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<OECD加盟50周年関連イベント> 別ウィンドウで開きます
国際シンポジウム「公務労働力の高齢化における政府の人的資源管理」開催結果



平成26年3月
総務省人事・恩給局

1.開催日時

平成26年2月28日(金)15 時 〜17時15分
総務省 地下2階講堂(東京都千代田区霞が関2−1−2合同庁舎第2号館)
 

開催案内 はこちら

2.プログラム

プログラム・講師及びパネリスト略歴PDF はこちら

(1)開会挨拶 (笹島誉行 総務省 人事・恩給局長)

(2)講演

  1. 権丈英子 亜細亜大学 経済学部経済学科教授
    「高齢社会における労働のあり方 〜高年齢者雇用に関する先進国の潮流と日本〜」PDF(基調講演)
  2. クリストフ・デムケ OECD事務局 公共雇用・人的資源管理課長
    「OECD諸国の公共雇用の未来 −高齢化する労働力における人的資源管理の挑戦−」PDF
  3. 志摩俊臣 日本郵政株式会社 総務・人事部長
    「日本郵政グループにおける高齢者雇用の取組」PDF

(参考)国家公務員の高齢化に関する取組(人事・恩給局作成資料)PDFはこちら

(3)パネルディスカッション

「公務労働力の高齢化にどう取り組むべきか」

  • コーディネーター
    • 権丈英子 亜細亜大学教授
  • パネリスト
    • クリストフ・デムケ 公共雇用・人的資源管理課長(OECD)
    • 志摩俊臣 総務・人事部長(日本郵政)
    • 松本敦司 人事・恩給局 公務員高齢対策課長(総務省)

3.シンポジウムの概要

結果概要(PDFファイル)はこちら


シンポジウムの概要

 OECDの研究によれば、全てのOECD諸国において人口の高齢化が進む中、多くのOECD諸国では、公務部門の労働力は、民間部門を含めた労働市場全体よりも急速に高齢化が進んでいます。総務省人事・恩給局では、世界一の高齢社会である日本における公務員の高齢化の現状を踏まえ、民間企業やOECD諸国における取組を参考にしながら、公務労働力の高齢化に関する課題と対策を議論するシンポジウムを開催しました。
 シンポジウムでは、高齢化への対応策である職員の研修・キャリア構築・働き方の柔軟化・年齢差別などに関する取組の多くは、官民共通であることが明らかとなりました。OECD諸国では、高齢化対策に限らず、伝統的には公務の特性から官民で異なる制度を構築していますが、近年、民間と公務の労働条件が接近しつつあるようです。高齢化に伴う課題に対して、日本においても、民間企業や諸外国の取組を参考にしながら、公務の特性を考慮して、人的資源管理に取り組んでいく必要性が再認識されました。 

 

開催結果

 シンポジウムでは、公務員の高齢化に詳しい国内研究者・各国政府の人的資源管理を比較研究するOECDの専門家・民間企業で人事管理を担当する実務家の3名から講演をいただき、その後、人事・恩給局で国家公務員の高齢対策を担当する課長を加え、パネルディスカッションを行いました。

 

講演(1) 権丈英子 亜細亜大学 経済学部経済学科教授

「高齢社会における労働のあり方−高年齢者雇用に関する先進国の潮流と日本」 (基調講演)
 


 はじめに基調講演として、権丈教授より、高年齢者雇用について欧米と日本の現状、日本における官民の現状を講演いただきました。

 次のグラフ(権丈教授講演資料より抜粋)にあるとおり、各国ともに高齢化傾向にある中、日本は既に高齢化率が高く、2050年には65歳以上の人口比率が約4割になると予想されています。
 高齢期の労働について、欧米と日本を比較してみると、日本では、55〜64歳の男性の就業率が他国と比して一貫して高く、女性との差が大きい傾向にあります。西ヨーロッパでは、1990年代末までには、従来の早期引退策をやめ、高齢者の就業率向上を目指すようになりました。また、欧米では雇用における年齢差別を禁止している一方、日本では年齢を基準とする雇用管理が普及している状況にあります。
 次に、民間企業における高年齢者雇用については、年金支給開始年齢の引上げに対応して、高年齢者雇用安定法により、定年年齢の引上げに段階的に取り組んでいます。55歳から60歳への定年の引上げは実現しましたが、60歳を超える定年年齢を設定している企業は少ない状況です。2006年には、事業主は、段階的に65歳までの雇用確保措置として、定年延長・継続雇用制度・定年廃止の3つのうちいずれかを取ることが義務付けられました。このうち継続雇用制度(特に、定年退職した後、新たに契約を結び直す再雇用制度)を採用する企業が最も多くなっています。継続雇用制度では、対象者を限定できる仕組みがあったため、2013年の厚生年金の報酬比例部分の引上げ開始により、無年金・無収入の空白期間ができてしまうという「雇用と年金の接続」の問題が指摘され、これについては、定年延長ではなく、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止するということで対応することになりました。


高齢化する国家公務員の状況

 このページでは、シンポジウムで配付した総務省作成資料「日本の国家公務員の高齢化に関する取組」(総務省ホームページよりダウンロード可能)を用いて、国家公務員の高齢化について、引き続き、権丈教授の講演内容を紹介します。 


雇用と年金の接続について

・公的年金のうち、報酬比例部分は、平成25年4月から、3年に一度、その支給開始年齢が1歳ずつ引き上がっている

・多くの場合、定年年齢は60歳であるため、定年退職後、無職であれば、無年金・無収入期間が発生。
  →無年金・無収入期間が生じないようにするための取組を「雇用と年金の接続」といい、これが官民共通の課題。

日本の国家公務員の高齢化に関する取組 (権丈教授 講演概要)

 公務では新規採用の抑制や勧奨退職の減少等により、年齢別構成は高齢化の傾向にあります。定年後の雇用について再任用制度が導入されていますが、現状では定年前よりも低い官職に短時間勤務での任用が多くなっています。民間と同様、公務でも「雇用と年金の接続」の問題がありましたが、民間の動向を踏まえ、2014年度からフルタイム官職での再任用を原則とすることとなっています。定年延長ではないものの、従来の再任用制度に比べると本格的な活用への道を開くことを意図したものです。

 
 少子高齢・人口減少社会では、人々が男女共により長い期間にわたってその能力を生かし、社会に貢献することが望まれます。そのためには、人々が生涯を通じて健康や技能の維持・向上ができ、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現できる環境づくりが重要です。60歳を超える雇用について、定年延長ではなく、再雇用制度や再任用制度で対応し、民間も公務もそれぞれに工夫をしているところです。ただしこれらの制度はその性質上、高年齢者の意欲・能力を十分には引き出しにくいように見えます。民間では高年齢者をより本格的に活用するために、定年延長や定年制の廃止に踏み切る企業も出てきています。今後は公務も含めて、定年延長も検討していくことになると思います。
 定年延長や継続雇用制度が労働者の意欲を高め、生産性向上につながるかどうかは、賃金制度の設計や賃金以外の処遇(個々人の働き方の希望への配慮も含めたもの)に依存します。人材育成・活用や処遇などの見直しも必要になってきています。

 

講演(2) クリストフ・デムケ OECD事務局 公共雇用・人的資源管理課長

「OECD諸国の公共雇用の未来 −高齢化する労働力における人的資源管理の挑戦−」 の概要


 各国の人事行政を比較研究しているデムケ課長からは、OECD諸国における高齢化対策の傾向分析や具体例について講演いただきました。公務労働力の高齢化を検討する際に重要な課題としてデムケ課長が強調したのは次の点です。

   - より少ない労働力で多くの仕事をこなすこと
    (特に日本は他国と比して公共部門が小さい)
   - 魅力的な公務組織であり続けること
    (日本の中央政府の労働力は他国と比べると高齢ではないが、民間労働力の高齢化率は高く、官民競合状態にある)
   - 世代間の公平性のために差別をなくすこと
    (高齢職員に対する認識を改めること、若年労働者と高齢労働者の対立をなくすこと、公務の世界で確立されてきた年功賃金などのルールの再検討など)
   - 高齢職員と女性職員の就業率を引き上げること
    (特に日本はジェンダーギャップの縮小が必要)

 最後にデムケ課長は、高齢化は、ネガティブな作用だけではなく、公共サービスの見直し・人的資源管理の見直し・官民の役割についての議論など、多くの機会をももたらすものであると結論付けました


講演(3)志摩俊臣 日本郵政株式会社 総務・人事部長

「日本郵政グループにおける高齢者雇用の取組」の概要


 志摩部長からは、郵便・貯金・保険の3事業を柱にもつ日本郵政グループにおける、事業環境を背景とした特殊な年齢別構成と高齢者雇用の現状について講演いただきました。
 日本郵政グループでは、2007年に民営化された際に、高年齢者雇用安定法の下、他の民間企業と同様に継続雇用制度を導入しました。1つは、正社員の定年退職者全員を対象にした「高齢再雇用制度」です。また、管理社員として培った専門性を発揮してもらうため、一部の管理社員はエキスパート契約社員として雇用し、研修・指導・監査などの業務を担えるような仕組みも設けています。
 今後の高齢再雇用制度について、志摩部長より4つの課題が示されました。

  1. 高齢再雇用者の職務は全て担当者の職務に限定されており、現役時代に役職者等として培った能力がある社員も担当者の職務を行うため、その能力を引き続き発揮できない。
  2. 高齢再雇用者の給与は定年時の等級に基づき決定されることから、同じ職務に従事しながら、定年時の等級により給与に差が出る状態にあるため、職務にリンクした給与制度の構築が必要である。
  3. 定年延長の検討。高齢者は気力・体力・家庭環境に差がある中で一律の定年延長が妥当かどうか。また、定年延長後も引き続き役職を務める場合、若い社員の昇進が遅れるため、モチベーション維持のために役職定年制を導入すべきかどうか。現役世代と60歳以上世代の給与財源配分をどうするか。
  4. 今後さらに増加が見込まれる定年退職した社員に対する職務の開発。業務の内製化、子会社の設立などを検討しながら、高齢再雇用者に担ってもらう職務の開発が必要。


パネルディスカッション 「公務労働力の高齢化にどう取り組むべきか」の論点


 コーディネーターの権丈教授より次の2つの論点が示され、それぞれについて意見交換が行われました。

1.公務内における高齢労働者の活用
 日本の公務では、民間の主流と同様に、60歳定年、65歳までの再任用、1年ごとの契約更新、という再任用制度で雇用と年金を接続させています。従来、公務の現場では、再任用の職員は短時間勤務で、定年前より低い職責の補完的な職務に従事する事例が多い実態にあります。そこで、年金支給開始年齢の引上げに伴い今後ますます高齢職員が増加する見込みであることも踏まえ、次の点について議論します。
 ・高齢職員の能力を十分に発揮できるような働き方をどのような方向に進めていくべきか。
 ・高齢期に向けた準備として、若年・中年期からの能力開発や人事管理はどうあるべきか。
 ・若年層の雇用とのバランスはどうあるべきか。
2.公務外も含めて能力を発揮できる環境づくり
 組織活力・社会全体における人材の有効活用という点からは、全職員が組織において定年後に引退するのではなく、職員の主体的なキャリアデザインや再就職支援などによって公務内外の労働の移動(流動性を高めること)が重要という指摘もあります。デムケ課長の講演の中でも、最近は新卒採用で公務だけで過ごすというよりは、外から中途採用することも増え、流動性が高まる方向にあるという示唆もありました。日本では、民間企業間や公務間でも流動性が低い現状ですが、高齢化における人材活用という観点から、流動性について議論します。

論点1: 公務内における高齢労働者の活用

パネルディスカッション1
松本課長:
 国家公務員の高齢対策の方向性として、将来的には定年延長や年齢にこだわらない働き方の構築が必要と認識。また、職業生活が長期化するため、自律的なキャリア形成のための研修の充実・働き方の多様化などが重要。
志摩部長:
 基本的には松本課長と同じ問題意識。人事担当者として実際にみていると、高齢社員は気力・体力・家庭環境に差があるため、60歳以降の働き方に関するニーズは多様。これに応えることが官民共通の課題ではないか。高齢期の職務については、日本郵政グループにおけるエキスパート契約社員制度など 社員の適性や能力に合わせた人材活用方法の構築が今後ますます必要。
デムケ課長:
 一般に高齢職員の体力や能力に対するネガティブな印象があるが、実は事実に基づかないものもある。トップダウンのリーダーシップなどによって高齢職員に対する認識を改め、スキル開発・キャリア形成・勤務時間の多様化などの対策によって公務労働力の効率性を維持する必要がある。高齢期の職務については、メンター制度など、若年層とともに働くことが効果的であると指摘されている。ただし、これらの高齢化に伴う政策は、コストが高く複雑なものである。
権丈教授:
 (まとめ)高齢職員の活用拡大のためには、ネガティブなイメージにとらわれず、働き方の多様化、高齢期までに培ってきた能力の活用などによって働きやすい環境の構築が必要である。

論点2: 公務外も含めて能力を発揮できる環境づくり

パネルディスカッション2
松本課長:
 日本では流動性が基本的に低いことを背景として、組織内での再雇用制度が主流になっており、組織内で構築したキャリアの評価や組織間の人材情報を交換する仕組みがない現状にあると思う。政府では2013年に民間の再就職支援会社を利用した再就職支援を始めたところ。今後キャリアの多様化が進み、流動性が生まれれば、人材の適材適所の活用がさらに進むのではないか。なお、中央政府では、多様な経験を積むために、採用された省庁のみでの勤務ではなく、他省庁や独立行政法人、地方公共団体などへの出向する機会はある。
志摩部長:
 高齢職員が滞留すると、若い世代との対立が生じ、組織によってマイナス。民間企業では、一定の年齢に達した社員の子会社との人事交流を通じて、組織の
活力を維持する傾向があると思う。国家公務員の専門的な職種の中には、民間企業において公務内の経験がいかせるものがあると思うため、検証の上、官民で交流を深めていき、欲しい人材を活用できる雇用慣行を目指せばいいのではないか。
デムケ課長:
 流動性にはメリットもデメリットもあり、利益相反の問題など慎重に検討すべき課題もある。OECD諸国の傾向としては、職業経験の評価やポストごとに求められる能力や資質を定義するなど、組織外からの活用を可能とする仕組みがある。私自身も前職からOECDに転職する際、これらの試験を受けた。
権丈教授:
 (まとめ)流動性の創出には、採用の多様化・職業経験の評価・職務の定義などが重要である。

<完>

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