運営段階

取組評価とPDCAサイクルの考え方

施策・取組等の具体的な内容、実施主体及び実施時期を定めた年次実施計画に従い、関係者が情報を共有し、連携・調整による効率化を図りながら取組を実施し、PDCAサイクルに沿って、評価、見直し等を行います。
評価は、一般的に「体制」、「プロセス」、「成果」の観点から行われます。

地盤沈下や井戸枯れ等の地下水障害が発生し、保全対策による解決・改善が明確な目標となる取組の場合は、必要な保全対策と実施規模を検討した上で予算措置がなされ、業務として行われることが多く、主に【実施量( アウトプット)】が評価されます。
一方、地下水マネジメントの取組には、住民・団体や事業者等との協働によるものも多く、そのような場合には、進捗状況の把握といった量的なアウトプット評価のみでは、目標に対応し、効果的な施策・取組とするための改善に役立つ情報は得られません。
目標値に対する【進捗評価】の観点に加えて、「参画しやすく無理なく継続的に参加できる体制」、「より負担の少ない効率的・効果的な取組手順」、「取組の理解や意欲を高めたり、満足度・達成感を得られる活動となる工夫」などの幅広い観点から【体制】や【プロセス】も評価し、次年度の年次計画作成等に反映することが、取組の改善・活性化や目標達成に寄与します。
ここで、「体制」、「プロセス」、「成果」のいずれを重視すべきかは地下水マネジメントの段階に応じて変わるものであり、例えば計画策定から数年間は、従来の取組を持続的に行える体制を確立するといった、「体制」を重視した評価を行うなど、状況に応じた重みづけをしながら評価します。

取組の評価

取組の体制評価は、実施内容や規模、実施体制などを改善し、効率的で実効性の高い枠組みとするもので、特に地下水マネジメント計画の初期段階において重要です。
年間の取組を総括する際に、体制に対する地下水関係者の意見や意向を確認し、幅広い参加者が明確な役割分担と連携の下で、無理のない適切な規模・内容を行い、また、継続的に参加しやすい体制とするために改善すべき点等を評価します。

取組のプロセス評価は、取組手順や連携の状況、取組への理解度や意欲、参加者の広がり等の取組状況の評価及び計画に対する進捗状況( アウトプット)と、その成果としての直接アウトカム( 施策目標)の達成状況等の評価があります。
年間の取組を総括して次年度の年次計画等を協議する際に、取組状況等のプロセスに対する地下水関係者の意見や意向を確認し、参加者が取組の位置づけや意義についての理解や意欲を高め、地域の賛同のもとで納得して活動し、満足度・達成感を得られるために改善すべき点等を評価します。
個々の取組において、例えば地下水障害等の問題解決・改善や予防保全のための取組は「持続可能な地下水の保全と利用」の前提となることからも、活動計画・事業計画等で具体的な目標実施量等を設定している場合があります。そのような場合は、目標実施量等に対する進捗状況を評価( アウトプット評価)します。

取組成果の評価は、目標とした効果( アウトカム)に対する達成度や副次的な効果の有無等を確認し、取組の有効性を評価するものです。
年間の取組を総括する際に、実施した取組量から期待される効果の有無や達成度を考慮し、より効率的・効果的で負担の少ない取組とするために改善すべき点がないか検討します。

評価結果の共有・合意および計画等の見直し

各取組の実施主体及び事務局による評価結果は、地下水協議会で情報共有し、評価結果の妥当性や反省点、今後改善すべき点等について協議します。 役割分担や取組方法等について、参加者間で評価が一致しない点も想定されるため、見解の相違の背景について意見交換を行うなど、取組状況の評価について参加者が共通認識を得られるように努めます。
取組の評価結果から、改善すべきと考えられる取組手順、取組内容や実施時期、対象地区を連携・調整すべき取組等がある場合には、地下水協議会で協議し、年次実施計画等に反映し見直すべき事項として整理します。
また、取組の役割分担や内容を大幅に変更することが望ましい場合には、地下水マネジメント計画の改訂、あるいは基本方針の見直しの必要性について協議します。