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時代別テーマ解説

時代区分 Ⅲ 戦後、サンフランシスコ平和条約発効前後 1945年~1952(昭和27年)頃

資料集 vol.2 サンフランシスコ平和条約の起草過程と連合軍の認識

①サンフランシスコ平和条約の起草過程

英国は島の帰属をめぐる紛争の発生を懸念していたことが分かる資料 No.2 1950年11月20日付駐日英国連絡公館から本国政府外務省への報告

1950年(昭和25年)11月20日

資料概要

 駐日英国連絡公館(占領期の英国大使館)から本国政府外務省への日本の領土処分に関する報告書(1950年(昭和25年)11月20日付)。駐日英国連絡公館が、日本の戦前の島嶼領土の扱いについて調査を行ってまとめたとあり、時期としては、米国が「対日講和七原則」を関係国に提示し、対日平和条約の内容について非公式に協議を進めていた過程にあたる。
 この報告書では、英国が草案を作成する際の方針として、1947年に行われた英連邦キャンベラ会議(P7参照)において、英国代表団のために用意された、「日本との平和(条約) 領域・政治・一般条項」(Territorial, Political and General Clauses of Peace with Japan)が適切であるとして引用されている。これには、「(a)日本のすぐ周辺の海域にある多くの島々については、明らかに日本の主権の下に保持されるべきである」こと、そして、「(b)北海道と樺太、北海道と千島列島、そして日本本土(Japan Proper)と朝鮮の間にあるいくつかの島々はその処分に関していくつかの紛争が予想される」ことが記されており、そのため、日本に近接するどの島嶼も主権についての紛争が残ることにならないよう、この条項は非常に慎重な原案作りが必要であると結論づけている。
 英国が、日本周辺の島々の帰属が明確に処理されることを望んでいたことは、米英それぞれが対日平和条約の草案を作成しNo.3、両国が協議を行う過程を通じて明確にされておりNo.4、最終的には、米英事務レベル協議において、英国の懸念に対する解決策が反映される形で決着したNo.6


※1 1947年8月26日から9月2日までオーストラリアのキャンベラで行われた、英連邦による対日講和問題に関する最初の国際会議である。この会議での「討議はその後の英連邦各国の対日講和問題への態度の発展にあたって、基調を形づくった」と評価されている(細谷千博『サンフランシスコ講和への道』(1984年)pp.21-25)。

内容見本

His Majesty’s Government’s policy

18. It is relevant here to quote extracts about Japan’s future sovereignty from the Briefs prepared in 1947 for the United Kingdom Delegation for the Canberra Commonwealth Conference on a Japanese Peace Settlement and from the report of the Commonwealth Working Party on a Japanese Peace Treaty dated May, 1950.

A. Canberra Briefs F 8617/1382/23. O.R.C.(47) 33
Territorial, Political and General Clauses of Peace with Japan

Section Ⅰ Note__________(page 2)__________

“In general, there will be: -

(a) a large number of islands in waters immediately adjacent to Japan which should clearly remain under Japanese sovereignty;

(b) a number of islands between Hokkaido and Sakhalin, between Hokkaido and the Kuriles, and between Japan proper and Korea in regard to the disposal of which some dispute may be expected (the main interest here, both of the British Commonwealth and of the U.S.A. will be to prevent any undue strengthening of the strategic position of the Soviet Union);

(略)

Very careful drafting of this section will be necessary in order to ensure that no islands are left in disputed sovereignty.

日本語訳
英国政府方針

18. ここでは、日本の将来の主権に関しての抜粋を、1947年に日本との戦後処理に関するキャンベラ英連邦会議で英国代表団のために準備された文書と、1950年5月の対日平和条約に関する英連邦作業委員会の報告書から引用することが適切である。

A. Canberra Briefs F 8617/1382/23. O.R.C.(47) 33 Territorial, Political and General Clauses of Peace with Japan

Section Ⅰ Note__________(page 2)__________

一般的には、以下のとおりである。

(a)日本のすぐ周辺の海域にある多くの島々については、明らかに日本の主権の下に保持されるべきである。

(b)北海道と樺太、北海道と千島列島、そして日本本土(Japan Proper)と朝鮮の間にあるいくつかの島々はその処分に関していくつかの紛争が予想される(ここでの英連邦と米国にとって主要な関心は、ソ連の戦略的地位が必要以上に強化されることを避けることにある。)

(略)

どの島々も、主権についての紛争が残ることにならないよう、この条項は非常に慎重な原案作りが必要である。

作成年月日 1950年(昭和25年)11月20日
編著者 駐日英国連絡公館
発行者 駐日英国連絡公館
収録誌 Certain matters affecting the present and future disposition of Japan's former island territories (FO371/83825)
言語 英語
媒体種別
公開有無
所蔵機関 英国国立公文書館
利用方法 英国国立公文書館で利用手続きを行う
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