指針・手引き等

地下水マネジメントの手順書

内閣官房水循環政策本部事務局では、地方公共団体等の地域の関係者が地下水マネジメントに取り組む際の参考資料として、「地下水マネジメントの手順書」を令和元年8月に作成・公表しています。
本書は、地域からの要望などを契機として、行政側から地域に対して地下水マネジメントの取組を提案する場合を想定しています。この場合、地域の様々な地下水関係者の意向や取組の実情を踏まえ、相互に調整・連携し、地下水協議会の設置・運営や取組の評価・見直しを行うことになります。本書ではこの手順と留意点等を「総論編」と「実践編」に分けて解説しており、地域の地下水マネジメントの実情や進捗状況に合わせて、必要な節を参照することができます。
また、参考となる事例や技術情報等については、技術資料編(別冊)に集録しています。
「総論編」では、地域社会と地下水の関わり、地下水マネジメントの必要性等の事前に必要な知見と地下水マネジメントの全体的な流れを示した上で、地下水マネジメントの取組を行うまでの導入段階と、取組実施後の評価・見直し段階の各段階において必要な調査、計画等について取りまとめています。
「実践編」では、行政側が提案して地域で取組を進める場合の、標準的と考えられる一例を参考として示しています。はじめて地下水を担当することになった地方公共団体の担当者が地下水マネジメントに取り組む際に利用することを想定し、地下水マネジメントの各段階の説明、合意すべき事項と合意形成を図る相手、説明事項等を具体的かつ詳細に解説しています。

「地下水保全」ガイドライン

近年、広域の地盤沈下は、地下水採取規制などの効果により多くの地域で沈静化しつつありますが、都市化などによる涵養量の減少、地下水位の低下、水質汚染などの影響が懸念されています。一方、地球温暖化対策、ヒートアイランド対策、再生可能エネルギー利用、防災用・災害時の利用など多面的な地下水利用が広がっていることから、地盤沈下を未然に防止しつつ、地下水の有効利用を図る方策が必要とされています。
このような状況から、環境省では、地下水・地盤環境保全に携わる地方公共団体等を主な対象として、地域に見合った健全な地下水の保全と持続可能な利用を図る施策を検討していく際に参考となる方策や情報を提供する「「地下水保全」ガイドライン(第二版)」を平成28年4月に公表しました。 その後、第五次環境基本計画の策定(平成30年4月)、新たな水循環基本計画の策定(令和2年6月)など環境政策にかかわる基盤整備が進展し、地下水においても、地域循環共生圏の創造や地下水マネジメントの展開など、「健全な地下水の保全と持続可能な利用」を図る地下水管理方策が必要とされています。このような背景を踏まえて令和3年3月に改訂し、地下水をめぐる最近の動向と地下水保全に向けた技術的・制度的課題、地下水保全の基本的な考え方を再整理・追加しました。また、地下水の保全・利用に関する施策例を紹介した別冊『「地下水保全」事例集~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』についても、地下水保全に先進的な地域の取組事例を追加しています。

硝酸性窒素等地域総合対策ガイドライン

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素(以下、「硝酸性窒素等」という。)は、地下水の水質汚濁に係る環境基準(以下、「環境基準」という。)項目の中で、最も超過率が高く、環境基準を超過した状態が長く続いています。
硝酸性窒素等による地下水汚染は、過剰施肥、不適正な家畜排せつ物管理及び生活排水処理等、様々な供給源により発生しており、これらの供給源対策を実施するためには、地域の関係者が一体となって取り組むことが必要です。さらに、面的な広がりが認められる地下水汚染に対しては、地方公共団体の垣根を越えた地域での対策の実施が求められています。
このような状況を踏まえ、環境省では、地方公共団体等が現状を把握し、対策を立案し、取組を推進していくための手引きとして、計画策定編、技術・資料編の2部で構成される「硝酸性窒素等地域総合対策ガイドライン(令和3年3月)」を公表しています。

湧水保全・復活ガイドライン

湧水は水循環の過程で地下水が地表に現れたものであり、地域の生態系を支える重要な環境要素であるとともに、生活に潤いをもたらす地域の文化資源としても貴重な存在です。また、災害時における水の確保や、環境学習の対象、観光資源などとしても重要な存在であり、近年その機能が見直され、湧水の保全・復活の必要性が高まっています。
湧水の保全・復活のためには、地域住民、行政、地元企業、大学、研究機関などの多くの組織が連携して、取組を進めていくことが有効的であることから、環境省では、先行自治体の取組事例を紹介しつつ、湧水の保全・復活の手引きとして分かりやすく解説した「湧水保全・復活ガイドライン(平成22年3月)」を公表しています。また、全国の都道府県・市区町村を対象に湧水保全に係る状況調査を隔年で実施し、各地の代表的な湧水に関する情報を環境省ウェブサイトの「湧水保全ポータルサイト」において公開しています。

地中熱利用にあたってのガイドライン

地中熱は、再生可能エネルギー熱の中でも、天候や地域に左右されず大気中へ排熱を出さないという特徴があり、地球温暖化対策への効果が期待されています。
環境省では、地下水・地盤環境の保全に留意しつつ地中熱利用の普及促進を図ることを目的に、地中熱利用ヒートポンプのメリットとともに、想定される地下水・地盤環境に影響を及ぼす可能性と技術の導入における留意点を提示し、熱利用効率の維持や地下水・地盤環境の保全に資するモニタリング方法等についての基本的な考え方を整理した「地中熱利用にあたってのガイドライン(平成30年3月改訂)」を公表しています。
また、地中熱をわかりやすく説明した一般・子供向けのパンフレットや動画をウェブサイトで公表しています。