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国土強靱化:私のひとこと vol.10

自分たちのこれからの未来を自ら考えるための知恵やつながりを作る場として

「IT×災害」コミュニティ 運営メンバー 斎藤 昌義氏

 ITと災害をテーマに想いを分かち合える人たちが、つながり、情報を共有し、意見を交わす「場」を提供する「IT×災害」コミュニティについて、運営メンバーの斎藤昌義氏に話を伺いました。

 東日本大震災の時に、地元の人たちが、被災した地元を積極的に支援していこうと言うことで始まった「ITで日本を元気に!」という取組があります。主に南三陸を中心とした沿岸部で、震災直後は情報収集をして、自主的なものも含む避難所などにパソコンの提供やネットワークの整備等を、ある程度落ち着いた頃には、避難所や仮設住宅、役場などにITインフラの整備をするお手伝いをしていました。この活動は、仙台のIT企業の経営者を中心に始めましたが、次第に東京のIT関係者や経営者、マーケティングをやっている人たちともつながっていくようになりました。そして、この活動に参加する人はITのエンジニアだけではないのです。例えば、営業やマーケティングの人であれば、東京の企業と交渉してパソコンなどを寄付してもらう、資金を集めることなども必要です。このように、様々な形でITという切り口から、あるいはITに関わる人脈を通じて、被災地を支援してきた人たちや団体は結構いらっしゃいます。

 2013年に、ITに関わる人たちを集めて、情報をお互いに共有する場を持とうじゃないかという声掛けがあったのです。東日本大震災から間もなく2年半が経とうとしていた頃に、強い想いを持ちながら自分たちがやってきたそれぞれの取組を、お互い冷静にかつ客観的に見直して、反省すべきことは反省し、うまくいったことは評価しようじゃないかと。もしかしたら、そこで新たなつながりが生まれて、また違う方向に連携が広がっていくかもしれない。そんなある種の化学反応を引き出す場として、「IT×災害」会議をやろうと言うことになった訳です。

 そして、2013年10月に東京大学の駒場キャンパスに、IT分野ばかりでなく例えば災害医療の専門家等も含め100人ぐらい集まり、アンカンファレンスという会議手法を使って、その場で手作りでディスカッションの場を作っていきました。「IT×災害」会議と呼ばれるものの最初です。この場での議論がきっかけとなって、Facebookで「IT×災害」コミュニティが運営され、減災に役立つアイディアやアプリケーション開発をするための減災ハッカソンなど、いくつかの取組が自発的に生まれてきました。なお、「IT×災害」会議は2014年も開催し、今年の11月21日(土)にも開催する予定です。


「IT×災害」コミュニティは、人と人がつながり化学反応を起こすための触媒

 この「IT×災害」コミュニティの実活動は何かと一言で言うと、Facebookでのコミュニティしかありません。特に会則のような規定が存在している訳ではなく、参加するのも抜けるのも自由です。災害の時に何か役に立ちたいという想いと、ITに関わっているという、この2つのとてもゆるいキーワードでつながっているのです。つまり「ゆるいつながりの場」なのです。あくまでもゆるくつながる場を提供し、そこでシナリオなど持つことなく議論して一緒に考える場を提供する。そこで化学反応が起きて、具体的なプロジェクトが勝手に生まれればいいなあと言う場なのです。なお、参加している人のITリテラシーは高いので、ツールとしてITは使いますが、「IT×災害」コミュニティという活動そのものはITを使うことが目的ではありません。「IT×災害」コミュニティは人がつながる場なのです。

 ある仕事で自分のプロフェッショナリティを発揮している人たちは、世の中に貢献することに対しても当然プロフェッショナルとしての経験やノウハウを活かすことができるし、活かしたいと思っています。専門的な技能を持っている人たちのボランティア活動やボランティ団体をプロ・ボノと言いますが、まさにそういうプロ・ボノたちが集まる場です。ITということを軸にして、何か災害時に貢献する活動ができればいいとみんな思っている訳です。そのため、場を提供すれば、それが触媒となって何かが化学反応を起こす。そういう意味では、「IT×災害」コミュニティはまさに触媒と言ってもいいのかもしれません。


自律した人たちが多いからこそ機能する「ゆるい」つながり

 「ゆるい」ことこそ価値なんだと思っています。

 このゆるいつながりから、社会や災害に貢献できるような実態のあるしっかりとした組織や人がどんどん自発的に生まれていくことを強く望んでいます。また、実際に生まれたものもあります。そういう組織や人を生み出すためのきっかけを提供する「IT×災害」コミュニティという場を継続したいという気持ちはありますが、正直言って、本当に継続できるのかは分かりません。ただ、この場に参加していると、本当に気持ちいいぐらいみんな自発的なのです。仕事が忙しい中でも集まってきて、「それ僕が作っておきます」とか「私がまとめます」とか、誰に指示される訳でもなく、みんなが手を挙げて自分がやろうとするのです。このような自発的で思いのある人たちが集まっていますから、このゆるいつながりの場は継続されるのではないでしょうか。それぞれのプロフェッショナリティあるいは自発性に対するしっかりとした信頼の基盤を持った人のつながりがあるからこそだと思います。このように、自律した人たちが多いからこそ、この「ゆるい」つながりが上手く機能するのだろうとも思います。

 東日本大震災のような広域災害は、それほど頻繁に起きるものではありませんが、集中豪雨や洪水、大雪のような災害は毎年何回か発生します。そのような日常の災害についても、ITに関わる人たちがもっと関わって行くべきじゃないでしょうか。いつかはともかく、間違いなく発生する首都直下地震や南海トラフ地震に向けた備えをするにも、広域災害ではない日常の様々な地域災害に対しても積極的に関わることによって、経験やノウハウを蓄積していく必要があると思っています。

 また、私が個人的に感じていることですが、東日本大震災以降、被災地の問題、すなわち東日本大震災以前から進んでいる過疎化は、何も解決していないという気がしています。むしろ東日本大震災によって10年ぐらい加速しただけで、その地域にとっての本質的な問題である過疎化は何も解決されていません。まさに、東日本大震災は日本における過疎化という問題を改めて露呈させた出来事でもあったのではないかと思っています。その問題への取組は、果たして災害への取組かというと、必ずしもそうではないかもしれません。しかし、興味があってその問題に取り組むということが、「IT×災害」コミュニティから結果として生まれてきてもいいじゃないかと思っています。


何かをすることが目的ではない

 「IT×災害」コミュニティは、それ自体としては何かをすることが目的ではなく、何をすればよいのかを考え、何かをするためのアイディアやスキル、人のつながりが生まれてくる場なので、とにかくそれぞれの立場を超えて、ぜひこのコミュニティに参加し、多くの人とつながるきっかけを作ってほしい。特に若い人たちが参加し、自分たちのこれからの未来を自ら考える。そのための知恵やつながりを作る場として、うまく利用してくれればと願っています。

 また、行政と民間の人たちがお互いにつながる場としても利用してもらいたいと思っています。民間だけでは、いざ災害が起きた時に現場で円滑に活動をするのは容易ではありません。「IT×災害」コミュニティという場から生まれた個々の取組について、行政と連携を図りながら、また行政を支援しつつ、協力し合いながら、被災地をうまく支援していく取組にしなければいけないと考えています。そのためにも、普段からつながりのない人たちとつながっておくことによって、これまでにはできなかった新しい、本当に効果のある取組が生まれてくる場にしていきたいと思っています。


斎藤昌義氏 プロフィール
  株式会社ネットコマース代表取締役
2013年 IT×災害コミュニティ運営メンバー
2015年 IT DART発起人
HP http://www.itxsaigai.org/
Twitter  https://twitter.com/itxsaigai
Facebook  http://facebook.com/groups/it.saigai/(要ログイン)

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