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現場から知る国家公務員

DISCOVERING NATIONAL PUBLIC EMPLOYEES FROM THE FIELDS

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TECHNOLOGY

技術をもって国に報いる国を守る新たな装備品を目指して、邁進!

Kazuya Sakamoto

坂本 和弥

防衛装備庁 艦艇装備研究所
艦艇・ステルス技術研究部 流体研究室
2018年入庁

PROFILE

流体研究施設にて船そのものの形や船体周りの水の流れについての実験や研究を担当。
学生の頃に艦艇の一般公開を見に行ったことをきっかけに防衛装備庁に所属。

「国民を守るための研究」という仕事

防衛装備庁の艦艇装備研究所に勤めています。海上自衛隊の艦船や搭載されている機器の研究・開発が主な業務内容です。
私が担当しているのは巨大な実験施設を使用した、船の形状が性能に及ぼす影響に関する研究です。

例えば、舵の位置はどこがいいか、大きさはどのくらいがいいか、プロペラはどんな形でどう回せば静かに効率良く動かせるか等、模型を用いた実験やシミュレーションを使って研究を進めています。
研究開発を進めるうえでは巨視的な観点と微視的な観点の両方を持つようにしています。

防衛装備庁の研究開発では、様々な部署、組織との連携が重要です。装備品の設計・製造に直結するプロジェクトではこうした企業や、装備品を用いる各自衛隊といった関係者とのチームワークで事業を進めていくため、調整業務がメインになります。一方で、装備品を構成する個々のコアな要素技術の研究については自分たちだけで進めることもあります。プロジェクトマネージャーとして事業の管理をする場合もあれば、自分で手を動かして研究を進める場合も、どちらもあります。
ただ、自分だけで取り組む個々の研究はつい視野が狭くなってしまいがちです。私たちは防衛省・自衛隊のため、ひいては我が国の安全保障のために研究しているので、「なんの役に立つか分からないけどなんとなく面白そうだからやる」というわけにはいきません。

それぞれのプロジェクトにおいて、その背景や解決すべき技術的な課題、研究成果が防衛省・自衛隊の活動にもたらす影響、全体のストーリーを忘れないようにしなければいけません。

技術的な課題の解決に向けて設計内容が求める水準に達しているか等を要所で判断し最大限の研究成果を追求すること、ユーザーである自衛隊と綿密に連携しそのニーズを適切に反映していくこと、研究開発により試作した装備品が所要の機能・性能を満たしているか各種試験施設を活用して試験評価すること等、プロジェクトのリーダーとして関係各所を統率し、研究開発プロジェクトを成功に導く役割が求められます。

国家公務員を志した理由

きっかけは大学生の頃に友人に誘われて、アメリカ海軍と海上自衛隊の艦艇の一般公開を見に行ったことでした。

私が当時見たのはアメリカ海軍の空母だったのですが、アメリカの空母って世界一大きくて、排水量も10万トンくらいあるんです。それに比べると日本は4分の1くらいで物理的には小さいですが、これが我が国を守る海上自衛隊の船だと思うと、すごく誇らしく、威風堂々として見えて、感銘を受けました。その時に、防衛関係の仕事を目指したいと思いました。

元々大学で専攻していたのが工学だったので、そのエンジニアリングのバックグラウンドを活かせることもあり、海上自衛隊が使用する艦艇の研究開発を担う防衛装備庁への入庁を決めました。

やりがいについて

それはやはり、自分が携わった研究の成果が実際の艦船に反映されることですね。

それで言うと、実はまだ、最後までたどり着いたことがありません。船は建造だけで3~4年かかりますし、設計段階からとなると5年とか10年かかる場合もあります。研究成果が設計段階から反映されて、建造が完了するまでと考えると、入庁してから今までに携わった研究の成果が実際の船に反映されるのはもう少し先になりそうですね。

実はまさに今、自分が模型レベルで実験を行った成果を元に実物大のものを試作していて、上手くいけば数年後に実際の艦艇に乗ろうとしているところです。そういう、自分の手を動かしたものが実物になろうとしているところにやりがいを感じます。毎日地道に研究を積み重ねていったものが実るという感じですね。

キャリアパスについて
研究者と行政官、両方の選択肢

研究開発職として入庁すると、一定期間の研修等を受けたのち、陸上・航空・艦艇・宇宙・サイバー・電磁波など各分野の装備品の研究開発を担当する部署のいずれかに配属され、その分野の専門家として研究開発プロジェクトに従事することになります。その後、海外勤務や政策の企画立案部門への異動を経験し、海外での研究能力や、行政官としての素養を身に着ける機会を得ます。私の場合は、昨年度の1年間は技術戦略課技術交流室という部署にいました。技術交流室は国内外の各種研究機関との共同研究、研究協力を行うための制度・政策の企画立案、関係各所との調整、対外公表への対応等を実施する部署ですが、私は諸外国との共同研究を行うための、国際交流の窓口業務等を担当していました。

キャリアパスとしては、その後研究開発部門と政策部門を行ったり来たりする職員、研究開発部門で長く勤務する職員、政策部門で長く勤務する職員と様々で、各職員の適性に応じたキャリアパスが決まっていくことになります。私は技術交流室の業務が楽しかったので、今後も国際業務で活躍する機会があればと考えています。

防衛装備庁の研究職の良いところは、いろいろな経験ができることですね。研究者として最先端の技術や装備品に触れ、研究開発の現場でデータを取得し、分析することもあれば、装備品の専門知識を持つ行政官として政策の企画・立案に参画することもあります。どちらも経験できるので自分の幅を広げやすいのが防衛装備庁の良いところだと思います。

学生へのメッセージ

国家公務員という立場で防衛装備品の研究開発プロジェクトを主導できることが、防衛装備庁の研究開発職の魅力だと考えています。「国を衛る」というビジョンに基づいて自分の技術を活かせる。防衛装備庁ならではのスケールの大きなプロジェクトを、自分の手元にある技術に結びつけられることが技術者としては非常に面白いところだと思います。興味があったらぜひ入庁をご検討ください。