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第三国定住による難民の受入れ事業の現状と今後の方針について

平成24年3月29日
難民対策連絡調整会議
第1 事業実施概要
   我が国は、平成20年12月の閣議了解及び難民対策連絡調整会議決定により、平成22年度から、パイロットケースとして、年1回のペースで、タイのメーラ・キャンプに滞在するミャンマー難民を、1回につき約30人、3年連続しての受入れを開始することとした。
 まず、第一陣として、平成22年度には、国連難民高等弁務官事務所(以下「UNHCR」という。)の推薦を受けた者について、書類選考、現地タイでの面接調査、国際移住機関(以下「IOM」という。)による健康診断及び出国前研修経て、難民5家族27名が平成22年9月から10月までにかけ来日した。
 政府から委託を受けたアジア福祉教育財団難民事業本部(以下「RHQ」という。)は、1週間程度のオリエンテーション実施後、東京都新宿区内に居住する難民に対し、同区内にあるRHQ支援センターにおいて、通所方式で、日本語教育、社会生活適応指導、就職支援等から成る定住支援プログラムを、平成23年3月上旬までの約180日間実施した。
 RHQ支援センターを退所した5家族のうち3家族は、三重県鈴鹿市で定住生活を開始し、同市内の農業法人において、大人6名が6か月間の職場適応訓練を受講した。その後、平成23年9月に同法人と雇用契約を締結し、男性3名はフルタイム、女性3名はパートタイムで就業中である。3家族の子供たちは、同市内の小学校又は保育園に在籍している。
 他方、2家族は、千葉県東金市で定住生活を開始し、同県八街市内の農業法人において、大人4名が6か月間の職場適応訓練を受講したが、同法人との雇用契約締結に至らず、平成23年秋に東京都内に転居し、現在は大人1名を除き、東京都内又は埼玉県内の事業所で就業中である。2家族の子供たちは、保育園児相当年齢の子供1名を除き、東京都内の中学校又は小学校に在籍している。
 続いて、平成23年度には、第一陣と同様に、UNHCRの推薦を受けた者について、書類選考、現地タイでの面接調査、出国前研修等を経て、平成23年9月に難民4家族18名が来日し、RHQが、オリエンテーション及び定住支援プログラムを実施した。
 平成24年3月にRHQ支援センターを退所した4家族は、いずれも埼玉県三郷市において定住生活を開始し、同年4月から、男性4名は東京都内の靴製造業、女性4名は埼玉県三郷市内のリネンサプライ業において、それぞれ6か月間の職場適応訓練を受講する計画である。
 また、平成24年度については、平成24年2月に現地タイにおいて、難民2家族10名に対し、書類選考及び面接調査を実施するなど、現在、難民選考過程にある。

第2 定住状況に関する調査等
定着状況調査
 難民の我が国への定着状況等を的確に把握するため、平成22年度に来日した第一陣の難民5家族27名に関し、これまで2回の生活状況調査(RHQの定住調査員等による難民及び関係者への聞き取り調査)及び日本語能力調査(日本語講師による難民の日本語能力及び日本語使用・学習状況調査)を実施した。
 その結果、生活状況については、三重県で定住生活を開始した3家族については、大人たちの働きぶりに関し、2回とも、書類作成能力を除いては職務内容の理解度及び作業能力について比較的高い評価を得た。
 他方、千葉県で定住生活を開始した2家族については、大人たちの働きぶりに関しては、1回目では、おおむね高い評価を得たが、難民自身は、農業法人による訓練条件や生活環境が、同人らの希望と異なること等を理由に不満を述べていた。
 次に、日本語能力に関し、子供たちについては、5家族とも1回目の調査では、日常生活に関する話題について、単語・単文でやり取りできる状態であったが、2回目の調査では、身近な事柄についても問題なくやり取りができる程度まで日本語能力が上昇した。
 他方、大人たちについては、5家族とも1回目の調査では、日常生活に関する簡単な質問を聞き取り、単語・単文レベルで返すことができたが、2回目の調査では、三重県で定住生活を開始した3家族の大半は、簡単な言葉でゆっくり話せば、身近な事柄についてやり取りできる程度にまで至ったものの、千葉県で定住生活を開始した2家族は、転居・転職や生活環境の影響と推察されるが、単文レベルでやり取りができる程度にとどまっていた。
三重県鈴鹿市におけるヒアリング
 定住先での難民の生活状況をより的確に把握するため、3家族の定住先である三重県鈴鹿市を訪れ、関係機関等に対し、第三国定住による難民の受入れ事業についてヒアリングを実施したところ、関係機関等からは、定住先地域への支援員の配置、RHQと定住先地域関係者との緊密な連携、定住先地域における継続的な日本語学習、就職支援の早期取組等の意見・要望が述べられた。
その他
 民間団体等との意見交換会では、第三国定住による難民の受入れ体制に関し、官民連携による政策の立案、選考過程における民間団体等の関与、地域・民間も交えた受入れ体制の確立等の意見が述べられた。
 また、政府に対し、民主党法務部門会議から、有識者、NGO関係者、自治体関係者などの参加の下で、難民の受入れ、支援方策等に関する基本的な方針を検討すること、来日後の定住支援については、受入れ自治体、地域住民、NPO、難民経験のある者等との更なる協力関係を構築すること等の意見書が提出された。

第3 第三国定住による難民の受入れ事業の改善状況
   上記のとおり、第一陣の難民家族の定着状況調査結果、鈴鹿市関係者へのヒアリングなどから、第一陣の第三国定住による難民の受入れ事業に改善すべき問題点が多々あることが判明したため、第二陣以降の同事業に関し、以下のとおり改善を行うこととした。
広報活動の強化及び対象キャンプの拡大
 国内においては、第三国定住による難民の受入れ事業に対する理解及び支援を促進するため、政府として積極的に同事業に関する情報発信を図り、現地タイの難民キャンプにおいても、同事業に関する広報活動を強化するとともに、第三陣から、メーラ・キャンプ以外にヌポ・キャンプ及びウンピアム・キャンプにも対象キャンプを拡大し、受入れ候補者数の確保に努める。
選考における面接調査の更なる充実
 第三陣の面接調査から、事前に関係省庁から具体的な聴取事項等の意見提出を受けた上で、面接調査自体にも関係省庁の積極的な参加を呼び掛け、また、難民の社会適応能力及び自立意欲の有無を判断するのに必要かつ有効な参考情報を可能な限り多く入手できるよう、実態調査も実施するなどして、面接調査を更に充実して行う。
RHQ支援センターにおける定住支援プログラムの充実・強化
(1)社会生活適応指導の強化
 定住支援プログラムのカリキュラムのうち、社会生活適応指導が不十分であったことから、社会生活体験の充実を図るとともに、定住先で必要な事項に関する生活ガイダンスを強化する。
(2)就職支援の充実
 就職支援を効率的に進めるため、あらかじめプログラムの中に、就職支援に特化した日程の確保、職場体験の実施、訓練条件等の十分な事前説明を組み込む等、就職支援の充実を図る。
(3)日本語教育の充実
 職場における作業内容の指示を理解し、雇用主等とのコミュニケーションを十分図ることができるよう、仕事に関する日本語の学習時間を増やすとともに、職業体験実習、一般人と会話をするなどの実践訓練の実施など日本語教育の充実を図る。
定住生活開始後の支援の充実
(1)地域定住支援員の設置
 定住先地域における支援体制を強化するため、定住先地域に地域定住支援員を配置し、地域における関係者と難民とのネットワークを構築し、難民が円滑に支援を受けられるようにする。
(2)日本語の継続的学習機会の提供
 三重県の難民3家族に対しては、平成24年1月から鈴鹿市国際交流協会に委託して、日本語教室の開設及び指導者研修を実施しているところであり、今後とも、必要に応じて、定住先の日本語教育実施機関・団体等と協力して日本語教室の開催等を行う。
(3)職場適応訓練の見直し
 職場適応訓練については、難民に過度な負担を生じさせず、かつ、訓練の実効を上げるため、段階的に訓練を受講することができるようにする等所要の見直しを行う。

第4 現時点での第三国定住による難民の受入れ事業に対する評価
   これまで述べてきたとおり、第三国定住による難民の受入れ事業は、関係行政機関の緊密な連携協力の下で、実施されてきたところであり、同事業の意義自体は、国際的にも一定の評価を得ていると認められる。
 第一陣の千葉県で定住生活を開始した難民2家族については、職場適応訓練先の農業法人との雇用契約締結に至らず、RHQからの支援を拒否するなどの問題状況が発生したが、その後、関係行政機関等で協議し、改善等を講じてきたところである。
 そこで、現時点での同事業に対する評価であるが、現時点で定住生活を開始しているのは第一陣の5家族のみであり、現時点での受入れ難民を合わせても9家族45名であって、当初予定の約90人の半数にとどまっている。また、同事業を評価するためには、上記の事業改善状況をも考慮する必要があるため、現時点での第一陣の定着状況のみで、同事業全体を評価するのは時期尚早である。

第5 平成25年度以降の対処方針
パイロットケースの2年間継続
 上記のとおり、現時点での第三国定住による難民の受入れ事業の評価は時期尚早であり、必要な改善を行いつつ、その改善効果を検証するためには、パイロットケースの継続が必要である。
 また、予想される第三陣の受入れ数を勘案しても、当初予定の90人に達しない見込みであることから、より多くの候補者を確保する必要がある。
 そこで、第三陣から対象キャンプをメーラ・キャンプの他ヌポ・キャンプ及びウンピアム・キャンプにまで拡大し、パイロットケースによる受入れを更に2年間継続することとする。
有識者会議の開催
 第三国定住による難民の受入れ事業については、これまで政府部内での検討を重ねてきたところであるが、民主党法務部門会議からの意見等を踏まえ、パイロットケースの現状及び課題を検証した上で、受入れ体制等今後の方針を策定するためには、官民が連携して、幅広く総合的な視点から検討を行うことが必要である。
 そこで、難民対策連絡調整会議の下に、難民問題又は難民受入れ支援等に精通した学識経験者を含む有識者等で構成された「第三国定住に関する有識者会議」を開催することとする。