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国土強靱化:私のひとこと special.9

強くしなやかに支え合える「つながり」をどうつくるか?

(国土強靱化ワークショップ(第2回))

災害時に支え合えるつながりを日本全国に増やしていくために、平成29年10月28日、岩手県盛岡市において、地方都市での最初の開催となる平成29年度第2回のワークショップを行いました。
 今年度は、国土強靱化ワークショップは全国の7つの地方で行われることとなっており、今回は、東北地方での開催です。
 このワークショップは、「災害時にもしなやかに支え合えるつながりをつくり出すには何が必要か!」をテーマとして、未来志向型の発想・共有を目指したものです。


国土強靱化ワークショップ【盛岡会場】参加者の集合写真

主催者である内閣官房国土強靱化推進室の開催の挨拶、レジリ学園の紹介に続いて、今回のワークショップのプログラムの説明を行い、まずは、テーブルごとに簡単な自己紹介をして頂きました。

支えあえる地域のつながり

続いて話題提供として2011年の東日本大震災当時、岩手県内に勤務し被災地を取材したNHKの近藤由香利記者に「災害時の現場で見えた、支えあえる地域のつながり」と題してお話をして頂きました。

近藤さんは、震災前の2009年12月から、NHK盛岡局配属の記者として大船渡市、陸前高田市、大槌町、遠野市の担当をされていたそうです。東日本大震災が発生した日の夕方5時には、大船渡市の被災地に行き、電気がない中での避難所の困難な現場の取材などをされたそうです。その後、2011年の7月から宮古報道室勤務になり、被災地に住み多くの被災者の方々の生活を密着取材してきました。
 今回、近藤さんが取材し放送された番組を2本上映していただきました。そのうちの一本目は、震災から1年経過した際の被災地、宮古市田老地区の人々の暮らしぶりを取材したものでした。
 田老地区では、昭和8年の昭和三陸津波のあとつくられた巨大な防潮堤を大津波が襲い、町の中心部が壊滅的被害にあいました。取材の内容は、田老地区の中心部にあった、1100世帯の大部分が震災復興事業の対象となる中、およそ300世帯の家が、直接、津波被害にあっていないため支援の対象とはならず、元の場所にとどまらざるを得ない状況にあるといったものでした。被災世帯が、高台移転か、かさ上げか、全戸移転か、部分移転か、で、議論しているなかで、支援がなく、移転の対象ともならず、とり残されることになる住民たちは、大きな不安を抱えていた、というものです。この対応の違いは、被災世帯とそうでない世帯といった住民の間にも溝をつくりました。
 また、仮設住宅では、集会所はあっても、日ごろ集まる方々が限定的で、まったく顔を合わせない方もたくさんいて、どのようにして仮設住宅での人々のつながりをつくるかというのが大きなテーマだったそうです。
 このほか、避難所から仮設住宅暮らしをされ、その後さまざまな事情により地域を離れた方や地域での再建を心待ちにする方の取材をされてきました。
 避難所生活や仮設住宅生活、高台移転など、被災された方々と復興の歩みについてはスポットが当たっていた数多くの震災報道の一方で、住宅が直接の被害にあっていないため、地域から取り残された方々、本当は元の地域の人々とともに暮らしたいと願いながらも長期間の復興事業にまちを出て行かざるを得なかった方々を取り上げたお話をいただき、つながりについて考えさせられるひとときでした。

話題提供を聞いて思ったことを語り合う!

印象に残ったことは? どんなつながりが災害時の支えあいに活かされると感じた?をテーブル毎に話し合っていただきました。


印象に残ったこととして、同じ地区でも被災状況や支援の内容によって溝ができてしまったこと、家が残った方々と仮設住宅(住宅再建後は高台移転)へ移った方との物理的な距離が心の距離もつくったこと。公共施設や商店などの人が集まる場が減ったこと、高齢者が多く、車などの移動手段を持たないために物理的な距離がコミュニティを分断すること、などが挙げられました。
つながりをつくるヒントとしては、SNSを使ったコミュニティづくり、物理的にコンパクトなまちづくりをすること、小さなコミュニティづくりからスタートし人間関係に配慮すること、子どもを核にした地域づくり、子ども同士は大人のつくった壁を気にしないということなどが挙げられました。
 具体的には、被災状況による差別化をせずに地域として復興に取り組むためのイベント等を一緒に実施すること、防災教育を通じたまちづくり、地域での楽しい体験などが挙げられました。

いざという時に支えあえる人が繋がるアイデア

ここで、先程出た「印象に残ったこと」、「つながりをつくるヒント」をもとに、個々に気になった”子ども”、”商店街”といったキーワードを書き出し、書いた紙を持って会場内をぐるぐる回りました。


ほかの人の紙を見て、関連したキーワードの人を見つけてグループをつくりました。それらのキーワードをもとに班を再編して班ごとに繋がるアイデアを深堀していきました。
 三つに分かれた班ごとに「いざというときにも支えあえるつながり」を考えていきました。

テーマ1 「子どもが大活躍のつながり方とは」

このテーブルでは子どもを軸としたつながりの様々なアイデアがでました。
 子どもが大活躍のつながり方について、子ども同士がつながることで親もつながる、高齢者と子どもがふれあう場をつくる、などのアイデアが出ました。
 また、郷土教育を行う、というアイデアでは、アウトドアで地域の地理を理解する事で防災・減災にもつながる、郷土料理をつくることで、郷土の産業を知ったり、地域の旬を知ることができる。といった展開も考えられていました。
 子どもがつくる広報誌を発行、というアイデアでは、取材を通じて地域を知るきっかけにもなる、取材対象者も地域に関われるし、子どもと触れ合うきっかけにもなる、災害の記録を扱うことで、防災教育にもつながる、という理由が挙げられていました。

子どもを主体としたつながり、子どもをきっかけとしたつながりをベースとして、地域に様々なコミュニティを形成しながら、各地域性を取り入れて郷土愛の育成にもつながるアイデアでした。

テーマ2 ハードル下げてじょじょに近づいて集まる場

このテーブルでは豊富きっかけや地域性に配慮した企画で参加する際のハードルを下げることで気軽に関われる仕組みづくりのアイデアがでました。
 アイデアとしては、様々な集まる機会をつくり、実施し続けることで、地域に新しく入った人や参加するタイミングがなかなかない人でも気軽に参加できる場を持つこと、周知活動を行い参加する機会を増やすこと、固い言葉を使わずにやわらかい言葉で参加しやすい状況をつくること、参加できなかった人にも声掛けし、次回につなげること、親子で参加できる場、などが挙げられました。
 まずは、顔を知り、話しができる場づくりからのスタートを目指します。


テーマ3 場(商店街など)

こちらのテーブルでは、既にあるコミュニティを活用することでつながりの拡大、多様な企画を実施することで参加するきっかけをつくるといったアイデアがでました。その他、まずは外に出ることをうながす環境づくりといったアイデアもでました。
具体的には、同窓会など既に気心がある程度知れた集まりから始める、部屋から出るきっかけづくり、 コミュニティへの参加でなくても外に出ることから始めるために誰でも使用可能なベンチを設置する、いつ訪れても誰かが居る状況をつくる、役割を与える、イベントや会のようなものではなく日常的な場をつくる、などがあげられました。

最後は、それぞれのテーマごとに出たアイデアを元にストーリーをつくりました。ストーリーの発表方法として、協力し合って紙芝居を作成しました。参加者の皆さんの思いが伝わる努力作品になりました。
 各班で、役割を決めて発表して頂きました。

 各班の紙芝居のタイトルは、「自治会長、桃太郎」、「独りぼっちのタロウさん」、「引っ込み思案のカスミちゃん、殻を破る‼」でした。地域の中で様々なことをきっかけに、人々がつながりをつくっていくといった、どれも楽しいストーリーでした。
 紙芝居によるストーリーの発表は笑いあり、名演ありで和やかに終了しました。

今回のワークショップでは、ゆるやかなつながりから少しずつネットワークを構築していくこと、年代や環境による壁をつくらないことへの配慮、子どもを軸とした地域ネットワーク、地域性・地域の歴史に配慮したつながりづくりといった、多様なアイデアが生まれました。

 面積の広い東北では多様な地域の方が集まる機会はあまり多くありませんが、こういった機会を通じての出会いを一歩として、SNS等で物理的な距離を超えたつながりから、多種多様なネットワークができればと感じました。

#つながり #コミュニティ

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