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国土強靱化:私のひとこと special.2

国土強靱化~私たちは次の世代に何を残すべきか~(報告)

第3回国連防災世界会議東日本大震災総合フォーラム

 今回の「国土強靱化:私のひとこと」は、特別版の続編として、3月16日に開催された第3回国連防災世界会議東日本大震災総合フォーラム「国土強靱化~私たちは次の世代に何を残すべきか~」(主催:内閣官房国土強靱化推進室、共催:東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA))で話し合われた内容について報告します。

このフォーラムは、巨大地震や巨大台風等、自然災害による人命・財産・社会的機能の壊滅的な被害から免れるため、自助・共助・公助それぞれの施策の担い手となるあらゆる方に国土強靱化について正しく理解されると共に、日本の国土強靱化に対する諸外国の理解を深めることを目的として開催されました。

第1部では、国土強靱化担当大臣の山谷えり子氏による挨拶(代読)、自由民主党総務会長・国土強靱化総合調査会長の二階俊博氏による挨拶に続き、内閣官房参与 ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会座長である京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡氏による基調講演が行われました。


 第1部 基調講演「ナショナル・レジリエンス(国土強靱化)について」

藤井氏  研「レジリエンスジャパン」という言葉がありますが、このレジリエンスとは「強靱性」を意味します。「柳に雪折れなし」という言葉がありますが、どんな激しい圧力があっても決して屈しない、強くしなやかにもとに戻るというのが強靱性です。

 レジリエンスを取り入れようとする行政の取組を簡単に説明すると、次の3つになります。1つめは、日本は今、多様な危機に直面しているという認識です。例えば、東日本大震災と同じような巨大地震が訪れるかもしれないという危機。あるいは、地球温暖化の影響によるメガ台風や大洪水による危機。高度経済成長期に作られたインフラの老朽化による事故の増大。デフレの継続やテロの増加。ギリシャの財政危機や中国のバブル崩壊、中東の不安定な情勢といった世界的危機の影響も受けます。昭和の時代にはここに挙げた危機は、ほとんど気にしなくて良かったかもしれません。ところが21世紀初頭の日本は、こういった危機に直面しているのが現状です。それにもかかわらず、社会のしくみは昔の安全な時代のものをそのまま、安全であるという思い込みのまま運用しています。実は危機を認識していないということが、日本国家が直面している最大の危機ではないかと思います

 2つめは、ではこの危機を突破するための強靱性を手に入れようじゃないか、という取組についてです。具体的には、経済、産業、地域コミュニティ、インフラ、エネルギー、教育、医療、食料、通信など、すべての分野における強靱性を確保しなければ、我々は今直面している危機を乗り越えることができないと考えています。例えば首都直下型地震が起きたと仮定しましょう。重要な経済機能が集中する首都が打撃を受け、関東圏の工場などもすべて止まってしまいます。重要な施設が破たんすれば、有機的につながっているサプライチェーンも影響を受け、日本経済そのものが麻痺してしまうことが容易に想像できるでしょう。折しも科学者は、70%の確率で30年以内に首都直下型地震が起こると言っています。東海地震に至っては88%と言われています。そうすると首都直下型地震あるいは東海地震、少なくともいずれか一方が96.1%の確率で30年以内に起こってしまうということになります。それだけの危機感を、今日本国民は持っているのでしょうか? これだけの危機を突破するためには、堤防を作ればいい、避難道路1本作ったらそれでいい、ビルの耐震補強をすれば安心だとか言っている次元の問題ではないのです。日本のみならず世界の方々と共に、この問題をしっかり心の中に埋め込まなければならないと思います。

 そして3つめです。強靱化の取組を日本国民が全力で行い、どんな巨大な危機があっても乗り越えられるような仕組みを作るとするならば、少々の経済危機が起こったり少々の国際的な金融危機のような事態が起こったりしても、日本国家全体としてたくましく成長していける力を手に入れることができる、そうすることで「21世紀の成長センター日本」が実現すると思うのです。すなわち最大の成長戦略とは、どんな危機にも屈しない強靱な社会、経済そして心の強靱さを実現することではないかと思います。こういう考え方に基づいて、政府では総理を中心として国土強靱化推進本部というものを作りました。さまざまな行政の方と連携をしながら国土強靱化基本計画がまさに昨年6月本格始動し、本部長である総理大臣のもとに政府全体で取組を進め、今2年目に入っております。

 今、私たちが直面している危機に対して何もしなければ、日本はたくさんの人命が失われると共に、経済も長らく大きな被害を受けてしまいます。しかしそれに果敢に立ち向かえば、決して危機に屈しない国を作ることができると私は確信しています。そのために我々はどういう対策をすればよいのか、ぜひ日本国民のさまざまな分野の方々と議論していきたい。また日本のみならず世界各国の方々とさまざまな知恵を出し合って、危機をどう乗り越えたらいいのかを考えていきたいと思っています。

 第2部 パネルディスカッション「防災・減災思想の主流化とよりよい復興のための文化の伝承」

 第2部のパネルディスカッションでは、藤井氏のコーディネートのもと、4名のパネリストが登壇し、防災・減災への取組などを発表しました。三陸鉄道社長の望月正彦氏は、東日本大震災の経験から鉄道の防災対策について言及しました。気象予報士の山本志織氏は、気象情報を活用した防災教育について説明しました。徳島県副知事の熊谷幸三氏は、徳島県の自然災害の歴史と国土強靱化地域計画について説明しました。危機管理教育研究所代表の国崎信江氏は、災害による被害を最小限に抑えるための対策と自助・共助の重要性を示唆しました。結びに藤井氏は、防災への意識は薄れるということを前提に、自分や家族、会社、地域の人を守るということを常に意識し、防災・減災に取り組んでいくことの重要性を伝えました。

 第3部 パネルディスカッション「アセアン及び東アジア地域の国土強靱化に向けて」

 第3部のパネルディスカッションでは、改めて二階氏からの挨拶と、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)事務総長の西村英俊氏による挨拶が行われました。その後、東京大学大学院経済学研究科教授の澤田康幸氏をモデレーターに迎え、3名のパネリストが登壇しました。ジャック・ラディッシュ氏、柴崎亮介氏、サイド・ファイサル氏の発表から、強靱性を高めるためには実行性の高いリスク管理メカニズムを確立し、国境を超えた宇宙からのデータ活用が有効であることが示唆されました。クロージングには、アセアン事務局分野横断協力局局長のラリー・マラミス氏からの挨拶がありました。

 今回ご参加いただけなかった方々にも、本フォーラムの内容を少しでもお伝えするため、2回にわたって「国土強靱化:私のひとこと」特別編としてまとめました。「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けて、その担い手として「できることは何か」を考えるきっかけの一つにしてみてください。


■■■ 国土強靭化フォーラム ■■■
  日時:平成27年3月16日(月) 10時から13時
会場:東北大学百周年記念会館 川内萩ホール
主催:内閣官房国土強靱化推進室
共催:東アジア・アセアン経済研究センター
参加者数:約430名
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