内閣官房ツイッター
キーワード検索


 トップページ > 各種本部・会議等の活動情報 > 国土強靱化 > 広報 > 国土強靱化:私のひとこと special.19

国土強靱化:私のひとこと special.19

いざという時に折れない心を作るためには?
『レジリエンス』x『こころ』

(国土強靱化ワークショップ(第7回))

平成30年1月27日、佐賀会場において、今年度7回目の開催となる平成29年度国土強靱化ワークショップを行いました。
 佐賀会場でのワークショップは、「いざという時に折れない心を作るためには?」レジリエンス×こころをテーマとし、日頃から防災・減災に関する取組を行っていたり、関心をお持ちの多様な方々に参加いただきました。


国土強靱化ワークショップ【佐賀会場】参加者の集合写真

話題提供: 心のレジリエンス~折れない心~を作るために必要な備えとは?

話題提供として、株式会社深谷レジリエンス研究所代表取締役の深谷 純子氏から、「心のレジリエンス~折れない心~を作るために必要な備えとは?」と題して、災害時や災害に備えるために心のケアについて何ができるのかという参加者の気づき・思いにつながるお話しをいただきました。

ショッキングな出来事を経験したときには、けがに応急処置をするように、心も同様に周りの人同士で助け合うことが必要とのことです。最初のケアがないと、なかなか回復できずトラウマになってしまうこともあります。そのために、サイコロジカル・ファーストエイド(Psychological First Aid)という心理的応急措置があります。被災者のために、専門家でなくても、被災者同士あるいはボランティアの人たちがサポートできるように、世界保健機関(WHO)等のガイドラインがあり、東日本大震災でも使われました。
 サイコロジカル・ファーストエイドは、紛争地や被災地を中心に全世界で推進されており、近頃は近親者と死別した人へのケアや職場でのメンタルヘルスケア、高齢化社会での地域の見守りにも使おうという動きがあるとお話されました。
 続いて、サイコロジカル・ファーストエイドの、『見る・聞く・つなぐ』という3原則についてお話されました。『見る』は、目で見るだけではなく、五感で「心のざわつき」を感じることが大事です。何か変だなという「ざわつき」を感じなければ、困っている人に気づくことができません。『聞く』は、相手に寄り添って話を聴き、気持ちを落ち着かせ、必要なニーズを確認します。『つなぐ』は、その人のニーズを満たすために、例えば、会いたい人、知りたい情報、必要としているサービスなどにつなぐことです。相手の名前を呼んだり、ゆっくりと穏やかに話したり、相手の気持ちに寄り添った敬意のある対応が求められ、押しつけや無理強いは避けなくてはいけません。じっくり気持ちを聞いてあげるだけでもよいです。
 そして、被災地で活動をする場合は、自分の身も守らなければいけないので、事前の情報入手や、現地の消防・警察・自衛隊などと連携して動くことが欠かせないとのことです。また、被災地では普段にはないストレスがあるため、自分だけでなく一緒に活動する仲間の様子も気づかい、活動終了後は気持ちを切り替えて、前向きな別れをすることも大切です。
 平時にサイコロジカル・ファーストエイドが実践されていると、地域がいろいろな人によって見守られている、安心・安全な暮しをつくることができること、また、普段から周囲に目を配り、声をかける練習しておくことは、被災地にボランティアで行く際にも役に立ちつとお話しされました。
 最後に、スマートフォンで使える手引書やガイドラインのダウンロード情報も紹介され、サイコロジカル・ファーストエイドの取組を呼びかけられました。

参加者対話 話題提供を聞いて、思ったこと、印象的だったことは?

参加者対話として、話題提供を聞いて印象に残ったことを、4つのテーブル(班)ごとに話し合いました。大事だと思ったこととして、共助としてのサイコロジカル・ファーストエイドの取組の必要性についての気づきが発表されました。

  • ・心のケアの大切さ、そして自分一人で何とかしないことの大切さを感じた
  • ・普段からの観察や、地域において自分たちで支え合うことが大事と感じた
  • ・被災地支援の体験からも、愚痴を聞いたり、一見元気そうな子どもへの対応など、相手の立場を考えた取組が大切と感じた
  • ・共助ではサイコロジカル・ファーストエイドが有効、大事で、見る・聞く・感じるは共助全般に通じると感じた

グループワーク ~みんなで ストーリーづくり~

いざという時に備えるために私たちが今日からできることを考えよう!

グループワークとして、『みんなで ストーリーづくり』と題し、サイコロジロカルファーストエイドの(疑似)体験に取り組みました。災害時のシーンでの「ストーリー」を想像して、「いざという時に備えるために私たちが今日からできることを考えよう」というものです。4つの班毎に、災害時のシーンは2つのシナリオが用意され、それぞれについてストーリーを考えていきました。
 まず、シナリオ①は、「巨大地震が発生した際に、男の子が一人で自宅の前で泣いている状況」です。『どのように判断し何をするのか、どんなサポートが必要か』のストーリーを、サイコロジカル・ファーストエイドの三つの原則(見る、聞く、つなぐ)から考えていきました。私たちって何ができるのか、欠けていた視点はなんだろうなど、熱気のある話し合いが各テーブルで広がりました。
 各班の話し合いの内容は、グラフィックレコーディングとあわせて発表されました。「自分や大切な人を守るために大事と思ったこと」として、「お互いに助け合う、支え合うこと」「一人ではできないので助けを求める手段の日頃からの確保」「近所の力」などが気づきとして共有化されました。

シナリオ②は、『大雨警報が発令され河川が増水しているなかで、荷物を自転車に積んだ80代と思われる女性が1人で自転車を押して歩いている』状況です。「この女性にどのように近付き何を話し掛けるか、どんなサポートが必要か」などをシナリオ1と同様、ストーリーづくりを、班毎に話し合いました。

発表 みんなで考えた楽しいストーリーをグラフィックで発表!

グループワークの最後に、班毎に、2つのシナリオでのストーリーづくりを通じた、話し合いの結果を発表し,共有化しました。

  • ・シナリオ①②を通じた話し合いにより、②では自転車を押しているおばあちゃんという、ただの町の風景ではなく、声をかけて川の増水に注意をするなどの取組につながる、イメージづくりができるようになった
  • ・自分たち(助ける側)がまず声をかけることが一番の問題であり、声をかけること自体に勇気がいるため、普段からの体験などを通じて、声をかけられるようにしておく必要を感じた
  • ・命を落とさないために安全確保にいかにつなげていくのかのためにも、「つなぐ」ことの重みや大切さを実感したとともに、今回のワークショップで様々な人と話し合ったことで、相手の立場を考えるための視野が広がった
  • ・シナリオ②では危機感が低く取組のアイデアが出にくかったなど、状況の違いによる難しさがわかったとともに、声をかけた上でどのようなサポートを考えていくべきなのかについて悩んだ
 発表に関連して、深谷先生から、声掛けを躊躇する気持ちは分かるが、人の命を守るためには勇気を持って声を掛けるのが大事とのご指摘もいただきました。
 参加者の発表災害時の多様な状況に応じて、サイコロジカル・ファーストエイドに取り組んで行くことの大切さを感じつつ、想像力を働かせていくことの大切さや難しさ、そしてみんなで話し合うことでの気づきなどが共有化されました。

それぞれ班毎の発表のあとには、深谷先生からサイコロジカル・ファーストエイドの観点からの取組についての気づきとなるお話があり、参加者の皆さんも聞き入っていました。

ワークショップのあとに、今回のワークショップを通じて「私は大切だと思ったこと」について、皆さんが輪になって発表し合いました。「おせっかいを、受けるもするも良い」「普段から人とのつながりなどを考える力」、「心の自分のケア」,「日頃からのコミュニケーション・会話」「想定外をなくすための妄想力」など気づきと行動に向けた発言が続きました。
 ワークショップの最後には、深谷先生から,グラフィックコーディングにより参加者の思いが共有化や深化されたと感じられたこと、そして参加者との対話によりご自身も気づきをいただいたとのお話がありました。
 深谷先生の思いが参加者それぞれに伝わり、防災・減災における心のケアの大切さと日常からの取組について、気づきと行動へのきっかけとなる貴重な機会となりました。

#つながり #コミュニティ

< special.18 国土強靱化地域自主ワークショップ(第5回) index special.20 国土強靱化地域自主ワークショップ(第6回) 
ページのトップへ戻る