令和5年の大雨等において効果を発揮した事例から代表事例を採り上げ、資料を作成しました。以下の表のPDFリンクから以下のような詳細情報をご覧いただけます。(全26事例(一括ダウンロード))
対象施設 ・分野 |
事業名 (事業主体) |
地域 | 効果を発揮 した災害 |
事業内容と効果 |
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河川 | 雄物川流域の河川改修(国土交通省東北地方整備局) | 秋田県秋田市 | 令和5年7月の大雨 | 平成29年7月洪水を踏まえた堤防整備に加え、5か年加速化対策や3か年緊急対策等による河道掘削の実施等により、椿川地点では水位を約88cm低下させ、浸水被害を防止。 |
河川 | 千代川流域の河川改修(国土交通省中国地方整備局) | 鳥取県鳥取市 | 令和5年台風第7号 | 5か年加速化対策等で河道掘削及び堰改築を実施してきたことにより、H10.10洪水よりも2日雨量の多い令和5年台風第7号において、水位を約0.8m低下させ、浸水被害を軽減。 |
河川 | 佐波川流域の河川改修(国土交通省中国地方整備局) | 山口県防府市 | 令和5年6月の大雨 | 3か年緊急対策等で河道掘削を実施したことやダムによる洪水調節を実施したことにより、H21.7洪水よりも2日雨量の多い6月29日からの大雨において、水位を約0.9m低下させ、浸水被害を軽減。 |
砂防 | 地下水排除による地すべり災害の未然防止(国土交通省中部地方整備局) | 静岡県静岡市 | 令和5年7月の大雨 | 直轄地すべり対策事業を進める由比地区においては、地下水排除工等の実施により、地すべり活動を抑制し、国道1号等の重要交通網への被害を未然に防止した。 |
砂防 | 砂防堰堤により土砂・流木を捕捉し、土砂災害を防止(北海道) | 北海道利尻郡利尻富士町 | 令和5年9月の大雨 | 5か年加速化対策により、砂防堰堤の改良等を実施。低気圧の通過に伴う豪雨により土石流が発生したが、砂防堰堤で土石流を捕捉し、保全対象(人家25戸、公共施設等)への被害を防止した。 |
道路 | 国道42号 橋梁の流失対策(国土交通省近畿地方整備局) | 和歌山県有田郡湯浅町 | 令和5年6月の大雨 | 国道42号山田橋では、護床ブロックの散乱・流出や橋脚基礎の洗堀が見られたため、5か年加速化対策に基づき、洗堀・流失対策を実施。令和5年6月豪雨では連続雨量385mmを観測したが、河床洗堀による橋梁流失被害を未然に防止。 |
鉄道 | 洗掘被害を未然に防止し、交通機能を確保(南海電気鉄道株式会社) | 和歌山県橋本市 | 令和5年台風第2号 | 平成23年台風14号により洗掘被害を受けた橋梁において、洗掘防止対策を実施。令和5年6月の台風2号では、被災当時を上回る雨量を観測したが、被害を未然に防止し、早期の運転再開を実現。 |
鉄道 | 鉄道沿いの斜面崩壊を未然に防止し、交通機能を確保(平成筑豊鉄道株式会社) | 福岡県田川市 | 令和5年6月の大雨 | 平成筑豊鉄道糸田線において法面固定対策を実施することで、令和5年6月下旬から7月上旬にかけて九州北部地方で線状降水帯が発生した際、法面崩落による線路への土砂流入被害はなく、交通機能を維持できた。 |
鉄道 | 鉄道沿いの斜面崩壊を未然に防止し、交通機能を確保(伊豆急行株式会社) | 静岡県伊東市 | 令和5年台風第2号 | 3か年緊急対策及び5か年加速化対策により、斜面対策を実施。令和5年6月の台風2号等による大雨では、連続降水量214mmを観測したが、法面崩落による鉄道施設の被害を未然に防止した。 |
海上交通 | 平久保埼灯台の電源喪失対策(海上保安庁) | 沖縄県石垣市 | 令和5年台風第6号 | 台風等の自然災害時における長期停電による航路標識の消灯の未然防止を図るため、予備電源(非常用発動発電機)を整備して電源喪失対策を講じた。令和5年台風6号の影響によって停電が発生したが、航路標識の機能を維持した。 |
海上交通 | 海上保安施設の耐災害性向上による海上保安通信の維持(海上保安庁) | 沖縄県糸満市 | 令和5年6月の大雨、令和5年台風第2号 | 令和5年6月の大雨等の影響で、沖縄県糸満市等で停電が発生したが、喜屋武NAVTEX送信所については、非常用電源設備からの給電により稼働が継続され、航行船舶に対する台風情報等の海上安全情報の送信を維持することができた。 |
観測 | 線状降水帯の予測精度向上に向けた取組(気象庁) | 全国 | 令和5年の大雨、台風 | 線状降水帯による大雨発生の可能性について半日程度前からの呼びかけや、線状降水帯の発生をお知らせする情報発表の前倒しにより、線状降水帯による大雨の危機感をより早く伝え、自治体の早期の防災対応に寄与。 |
観測 | 浸水推定図の整備(国土地理院) | 福岡県久留米市周辺 | 令和5年7月の大雨 | 令和5年梅雨前線による大雨で、浸水被害が発生した久留米市周辺の浸水の範囲と深さを示した浸水推定図を迅速に整備した。整備した浸水推定図は被害状況の把握に利用された。 |
市街地 | 避難場所の整備(和歌山県日高川町) | 和歌山県日高川町 | 令和5年6月の大雨 | 南海トラフ地震の津波浸水が想定されている日高川町において、液状化の恐れがない高台に避難施設を整備した。令和5年6月の大雨では、一時避難場所として、和歌山県内に修学旅行に来ていた京都市立花園小学校の児童をはじめ、62名が避難した。 |
市街地 | 避難場所の整備(福岡県朝倉市) | 福岡県朝倉市 | 令和5年7月の大雨 | 平成29年7月九州北部豪雨災害にて被害を受けた朝倉市において、避難施設を整備した。当該施設は、指定緊急避難場所に指定されており、令和5年7月の大雨では、地域住民20名が、集落の孤立が解消するまでの間、避難した。 |
教育 | 小学校の避難所機能の強化(秋田県秋田市) | 秋田県秋田市 | 令和5年7月の大雨 | 令和5年7月豪雨の際、猛暑のため空調のある教室棟を避難所として開放した。トイレは全面的に改修済みで衛生面が向上していたため、避難者に感染症などの発生が無く、また、明るく、快適で安心なトイレを使用することで避難者の心身の負担の軽減につながった。 |
教育 | 急傾斜地の安全対策により安心・安全な教育研究環境を確保(国立大学法人琉球大学) | 沖縄県中頭郡西原町 | 令和5年台風第6号 | 老朽化により法枠の落下や法面の崩落等が発生している急傾斜地について安全対策を行った。安全対策の実施により、令和5年台風6号で1日当たり260.5mm、1時間当たり最大31.5mmの降水量を観測したが、法面の崩落等の被害は生じなかった。 |
教育 | 給排水設備の更新により大学キャンパスの浸水被害を防止(国立大学法人熊本大学) | 熊本県熊本市 | 令和5年梅雨前線による大雨 | 豪雨時に浸水被害を及ぼしていた合流式の排水設備について分流式へ改善を行った。令和5年梅雨前線による大雨では、1日当たり190mm、1時間当たり最大53mmの降水量を観測したが、浸水被害は生じなかった。 |
警察 | 警察情報通信基盤の耐災害性向上による警察通信の維持(警察庁) | 全国 | 令和5年梅雨前線による大雨、台風第6号、第7号 | 令和5年梅雨前線による大雨等に伴い、全国各地の無線中継所で停電が発生したが、無線中継所に整備した非常用電源設備による給電が行われ、警察通信の維持に必要な機能が確保された。 |
警察 | 警察用航空機を活用した被災状況に関する情報収集(警察庁、全国47都道府県警察) | 千葉県茂原市 | 令和5年台風第13号等 | 整備した警察用航空機(ヘリコプター)を活用し、被災状況に関する情報収集を実施することで、適切な部隊運用・指揮に貢献した。 |
警察 | 災害対策資機材を活用した迅速かつ的確な救出救助(警察庁、全国47都道府県警察) | 富山県南砺市 | 令和5年6月の大雨 | 富山県南砺市内で発生した土砂災害に対し、土砂災害対策として整備した装備資機材(災害救助活動用バックホウ)を活用して迅速に土砂等を除去し、被災者の救出救助を実施した。 |
防衛 | 3.5tダンプを活用した災害廃棄物の撤去支援(陸上自衛隊) | 秋田県秋田市 | 令和5年7月の大雨 | 令和5年7月の大雨による災害に際し、大規模災害等対処能力の向上のため秋田駐屯地に整備された装輪車両(3.5tダンプ)を活用し、災害廃棄物延べ約888.2tの撤去支援を実施した。 |
治山 | 治山事業による事前防災効果(林野庁関東森林管理局) | 福島県いわき市 | 令和5年台風第13号 | 福島県いわき市においては、令和5年9月の台風第13号に伴う大雨により斜面崩壊が発生したが、5か年加速化対策により治山対策を実施した箇所については、事前防災効果を発揮した。 |
林道 | 林道が災害時に代替路として機能(高知県津野町) | 高知県津野町 | 令和5年台風第6号 | 令和5年の台風6号の影響で発生した土砂崩れにより国道197号が通行止めになった際に、既設の林道が代替路として機能した。 |
農業 | 東大場・島排水機場の防災・減災対策(茨城県) | 茨城県水戸市 | 令和5年台風第2号 | 近年、地区内上流部の開発により地区内排水の流出量が増加してきており、既存の機場ポンプが対応しきれなくなったため、排水ポンプ等の更新を行った。令和5年6月の台風第2号の際には、連続雨量207.5mmを記録したが、湛水被害増大を防止した。 |
農業 | 庄川左岸地区の防災・減災対策(富山県) | 富山県砺波市等 | 令和5年7月の大雨 | 農業用排水路及び洪水調整池を整備・改修したことにより、地区全体の排水機能を回復させた。令和5年7月豪雨では、最大日雨量213mmを記録したが、農地や周辺住宅地の湛水、農業用水利施設等の被害を未然に防止した。 |