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トップページ 資料集国家安全保障戦略について

平成26年度以降に係る防衛計画の大綱(概要)

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T 策定の趣旨
  •  今後の我が国の防衛の在り方について、「国家安全保障戦略(NSS)」を踏まえ、新たな指針を示す。

U 我が国を取り巻く安全保障環境
 【グローバルな安全保障環境】
  •  国家間の相互依存関係が一層拡大・深化し、一国・一地域で生じた混乱や安全保障上の問題が、直ちに国際社会全体に拡大するリスクが増大している。
  •  中国、インド等の更なる発展・米国の影響力の相対的な変化に伴うパワーバランスの変化により、国際社会の多極化が進行している。他方、米国は、世界の平和と安定のための役割を引き続き果たしていくと考えられる。
  •  国家間では、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、グレーゾーンの事態が増加傾向にある。
  •  海洋では、海賊行為等の発生に加え、沿岸国による自国権利の一方的な主張・行動により、公海の自由が不当に侵害される状況が生じている。
  •  技術革新の急速な進展を背景として、宇宙空間・サイバー空間といった領域の安定的利用の確保が、国際社会の安全保障上の重要課題となっている。

 【アジア太平洋地域における安全保障環境】
  •  グレーゾーンの事態が長期化する傾向が生じており、これらがより重大な事態に転じる可能性が懸念されている。
  •  北朝鮮は、地域の緊張を高める行為を繰り返し、我が国を含む地域・国際社会の安全保障にとって重大な不安定要因となっている。特に、北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国に対する挑発的言動とあいまって、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっている。
  •  中国は、地域と世界においてより協調的な形で積極的な役割を果たすことが強く期待されている一方、継続的に高い水準で国防費を増加させ、十分な透明性を欠く形で、軍事力を広範かつ急速に強化している。また、海空域等における活動を急速に拡大・活発化し、力を背景とした現状変更の試みを示している。こうした軍事動向等については、我が国として、今後も強い関心を持って注視していく必要がある。また、地域・国際社会の安全保障上も懸念される。
  •  ロシアは、軍改革を進展させ、軍事力の近代化に向けた取組が見られる。また、ロシア軍の活動は、引き続き活発化の傾向にある。
  •  米国は、アジア太平洋地域へのリバランスを明確にし、財政面等の制約の中でも、同盟国等との関係の強化等を図りつつ、地域への関与、プレゼンスの維持・強化を進めている。

 【我が国の地理的特性等】
  •  海洋国家である我が国にとって、「開かれ安定した海洋」の秩序を強化し、海上交通及び航空交通の安全を確保することが、平和と繁栄の基礎である。
  •  我が国は、自然災害が多いなど安全保障上の脆弱性を抱え、東日本大震災のような大規模震災が発生した場合、その影響は、国際社会にも波及し得る。今後、南海トラフ巨大地震等への対処に万全を期す必要性が増している。

 【以上を踏まえた結論】
  •  主要国間の大規模武力紛争の蓋然性は引き続き低いと考えられるが、様々な安全保障上の課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化してきており、22大綱の策定以降、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増している。
  •  安全保障上の課題や不安定要因は、多様かつ広範であり、一国のみでは対応が困難である。課題等への対応に利益を共有する各国が、地域・国際社会の安定のために協調しつつ積極的に対応する必要性が更に増大している。

V 我が国の防衛の基本方針
 1 基本方針
  •  NSSを踏まえ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を追求しつつ、世界の平和と安定及び繁栄の確保に、これまで以上に積極的に寄与していく。
  •  かかる基本理念の下、総合的な防衛体制を構築し、各種事態の抑止・対処のための体制を強化するとともに、日米同盟を強化しつつ、諸外国との二国間・多国間の安全保障協力を積極的に推進するほか、防衛力の能力発揮のための基盤の確立を図る。
  •  我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本方針に従い、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備する。
  •  核兵器の脅威に対しては、米国の拡大抑止の信頼性の維持・強化及びBMDや国民保護を含む我が国自身の取組により適切に対応するとともに、核軍縮・不拡散のための取組に積極的・能動的な役割を果たしていく。

 2 我が国自身の努力
(1)総合的な防衛体制の構築
  •  一層厳しさを増す安全保障環境の下、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める。
  •  平素から、関係機関が緊密な連携を確保する。各種事態の発生に際しては、迅速・的確に意思決定を行い、地方公共団体、民間団体等とも連携を図り、事態の推移に応じ、政府一体となってシームレスに対応し、国民の生命・財産と領土・領海・領空を確実に守り抜く。
  •  各種災害への対応や国民の保護のための各種体制を引き続き整備する。緊急事態において在外邦人等の安全確保のために万全の態勢を整える。
  •  関連する各種計画等の体系化を図りつつ、シミュレーションや総合的な訓練・演習を拡充し、対処態勢の実効性を高める。

(2)我が国の防衛力 − 統合機動防衛力の構築
  •  防衛力は我が国の安全保障の最終的な担保である。
  •  我が国を取り巻く安全保障環境が刻々と変化する中で、防衛力を不断に見直し、その変化に適応していかなければならない。
  •  想定される各種事態への対応について、統合運用の観点からの能力評価を実施し、総合的な観点から特に重視すべき機能・能力を導き出すことにより、限られた資源を重点的かつ柔軟に配分していく必要がある。
  •  平素からの常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察活動(常続監視)や事態の推移に応じた対処態勢の迅速な構築により、事態の深刻化を防止する。各種事態が発生した場合には、必要な海上優勢・航空優勢を確保して実効的に対処し、被害を最小化することが重要である。
  •  統合運用による適切な活動を機動的かつ持続的に実施していくことに加え、防衛力をより強靭なものとするため、各種活動を下支えする防衛力の「質」及び「量」を必要かつ十分に確保し、抑止力及び対処力を高めていく。
  •  アジア太平洋地域の安定化に向け、二国間・多国間の協力関係を強化する。グローバルな安全保障上の課題等への取組として、国際平和協力活動等をより積極的に実施していく。
  •  以上の観点から、今後の防衛力については、多様な活動を統合運用によりシームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行い得る実効的なものとしていくことが必要である。
  •  このため、幅広い後方支援基盤の確立に配意しつつ、高度な技術力 と情報・指揮通信能力に支えられ、ハード及びソフト両面における即応性、持続性、強靭性及び連接性も重視した統合機動防衛力を構築する。

 3 日米同盟の強化
  •  日米安全保障体制は、我が国自身の努力とあいまって我が国の安全保障の基軸であり、また、日米同盟は、我が国のみならず、アジア太平洋地域、さらには世界全体の安定と繁栄のための「公共財」として機能している。
  •  我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、日米同盟を強化し、よりバランスのとれた、より実効的なものとすることが我が国の安全の確保にとってこれまで以上に重要となっている。

(1)日米同盟の抑止力及び対処力の強化
  •  「日米防衛協力のための指針」の見直しを進め、日米防衛協力を更に強化し、日米同盟の抑止力及び対処力を強化していく。
  •  西太平洋での日米のプレゼンスを高め、グレーゾーンの事態における協力を含め、平素から各種事態までのシームレスな協力態勢を構築する。
  •  共同訓練・演習、共同の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動、米軍・自衛隊の施設・区域の共同使用の拡大を推進。各種の運用協力及び政策調整を一層緊密に推進する。

(2)幅広い分野における協力の強化・拡大
  •  海賊対処、能力構築支援、人道支援・災害救援、平和維持、テロ対策等における協力のほか、海洋・宇宙・サイバー分野における協力を強化し、国際社会の平和と安定に寄与する。
  •  災害対応に関し、米軍が国民の安全に大いに寄与した東日本大震災の事例を踏まえつつ、国内外における自衛隊と米軍との連携を一層強化する。
  •  情報協力及び情報保全の取組、装備・技術面での協力等の幅広い分野での協力関係を不断に強化・拡大する。

(3)在日米軍駐留に関する施策の着実な実施
  •  在日米軍の円滑かつ効果的な駐留を安定的に支えるとともに、在日米軍再編を着実に進め、米軍の抑止力を維持しつつ、地元負担を軽減していく。
  •  普天間飛行場の移設を含む在沖縄米軍施設・区域の整理・統合・縮小、負担の分散等により、沖縄の負担軽減を図っていく。

 4 安全保障協力の積極的な推進
(1)アジア太平洋地域における協力
  •  域内の対立的な機運や相互の警戒感を軽減するための協調的な各種取組を多層的に推進する。
  •  韓国との緊密な連携を推進し、情報保護協定や物品役務相互提供協定の締結等、今後の連携の基盤の確立に努める。
  •  オーストラリアとの関係を一層深化させ、国際平和協力活動等の分野での協力を強化するとともに、共同訓練等を積極的に行い、相互運用性の向上を図る。
  •  日米韓・日米豪の三国間の枠組みによる協力関係を強化する。
  •  中国との安全保障対話や交流を推進するとともに、不測の事態を防止・回避するための信頼醸成措置の構築を進めていく。中国による我が国周辺海空域等における活動の急速な拡大・活発化に関しては、冷静かつ毅然として対応していく。
  •  ロシアとの安全保障対話、ハイレベル交流及び幅広い部隊間交流を推進するとともに、共同訓練・演習を深化させる。
  •  東南アジア諸国等との関係をより一層強化し、共同訓練・演習や能力構築支援等を積極的に推進するほか、防災面の協力を強化する。
  •  インドとは、海洋安全保障分野を始めとする幅広い分野において、共同訓練・演習、国際平和協力活動の共同実施等を通じて関係強化を図る。
  •  能力構築支援を、ODAを含む外交政策との調整を十分に図りつつ推進する。能力構築支援の対象国及び支援内容を拡充していく。
  •  多国間安全保障協力・対話において、米豪とも連携しながら、域内協力関係の構築に主体的に貢献していく。多国間共同訓練・演習に積極的に参加していく。

(2)国際社会との協力
  •  グローバルな安全保障上の課題等は、一国のみで対応することが極めて困難である。平素から、国際社会と連携しつつ、グローバルな安全保障環境の改善のため、各種取組を推進する。
  •  軍備管理・軍縮、不拡散、能力構築支援等に関する各種取組を継続・強化する。その際、特にEU、NATO及びOSCE並びに英仏を始めとする欧州諸国との協力を一層強化する。
  •  国際平和協力活動等を積極的かつ多層的に推進する。特に、自衛隊の能力を活用した活動を引き続き積極的に実施する。

W 防衛力の在り方
 1 防衛力の役割
(1)各種事態における実効的な抑止及び対処
  •  各種兆候を早期に察知するため、我が国周辺を広域にわたり常続監視し、情報優越を確保する。このような活動等により、力による現状変更を許容しないとの我が国の意思を明示し、各種事態の発生を未然に防止する。
  •  グレーゾーンの事態を含む各種事態に対し、兆候段階からシームレ スかつ機動的に対応し、その長期化にも持続的に対応し得る態勢を確保する。
  •  複数の事態が連続的又は同時並行的に発生する場合においても、事 態に応じ、実効的な対応を行う。
  •  特に「周辺海空域における安全確保」、「島嶼部に対する攻撃への対応」、「弾道ミサイル攻撃への対応」、「宇宙空間及びサイバー空間における対応」及び「大規模災害等への対応」を重視する。

(2)アジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善
  •  我が国周辺において、常続監視や、訓練・演習等の各種活動を適時・適切に実施し、地域の安全保障環境の安定を確保する。
  •  同盟国等と連携しつつ、二国間・多国間の防衛協力・交流、共同訓練・演習、能力構築支援等を多層的に推進する。
  •  軍備管理・軍縮、不拡散に関する各種取組を強化する。国際平和協  力活動、海賊対処、能力構築支援等の各種活動を積極的に推進する。
  •  特に「訓練・演習の実施」、「防衛協力・交流の推進」、「能力構築支援の推進」、「海洋安全保障の確保」、「国際平和協力活動の実施」及び「軍備管理・軍縮及び不拡散の努力への協力」を重視する。

 2 自衛隊の体制整備に当たっての重視事項
(1)基本的考え方
  •  自衛隊は、上記の防衛力の役割を実効的に果たし得る体制を保持することとし、今後の防衛力整備において特に重視すべき機能・能力を明らかにするため、想定される各種事態について、統合運用の観点から能力評価を実施した。
  •  能力評価の結果を踏まえ、南西地域の防衛態勢の強化を始め、各種 事態における実効的な抑止・対処の実現の前提となる海上優勢・航空優勢の確実な維持に向けた防衛力整備を優先することとする。
  •  大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、最小限の専門的知見や技能の維持・継承に必要な範囲に限り保持し、より一層の効率化・合理化を徹底する。

(2)重視すべき機能・能力
 米軍との相互運用性にも配意した統合機能の充実に留意しつつ、特に以下の機能・能力について重点的に強化する。
  •  警戒監視能力
     我が国周辺海空域において常続監視を広域にわたって実施する。情勢の悪化に応じて態勢を柔軟に増強する。
  •  情報機能
     各種事態等の兆候の早期察知等を行うための情報の収集・処理体制 及び収集情報の分析・共有体制を強化する。
  •  輸送能力
     所要の部隊を機動的に展開・移動させるため、平素から民間輸送力との連携を図りつつ、統合輸送能力を強化する。
  •  指揮統制・情報通信能力
    •  全国の部隊を機動的・統合的に運用し得る指揮統制の体制の確立のため、陸上自衛隊の各方面隊を束ねる統一司令部の新設等を実施する。
    •  島嶼部における基盤通信網や各自衛隊間のデータリンク機能を始めとして、充実・強化を図る。
  •  島嶼部に対する攻撃への対応
    •  海上優勢・航空優勢の確実な維持のため、航空機や艦艇、ミサイル等による攻撃への対処能力を強化する。
    •  島嶼への侵攻があった場合に速やかに上陸・奪回・確保するための水陸両用作戦能力を整備する。
  •  弾道ミサイル攻撃への対応
    •  北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図る。
    •  日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化 のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる。
  •  宇宙空間及びサイバー空間における対応
    •  各種人工衛星を活用した情報収集能力や指揮統制・情報通信能力を強化するほか、宇宙状況監視の取組等を通じて衛星の抗たん性を高める。
    •  サイバー空間においては、統合的な常続監視・対処能力を強化するとともに、専門的な知識・技術を持つ人材や最新の機材を継続的に強化・確保する。
  •  大規模災害等への対応
     十分な規模の部隊を迅速に輸送・展開するとともに、長期間にわたり、持続可能な対処態勢を構築する。
  •  国際平和協力活動等への対応
     人員・部隊の安全確保のための防護能力を強化する。輸送・展開能 力、情報通信能力、補給・衛生等の体制整備に取り組む。情報収集能力及び教育・訓練・人事管理体制を強化する。

 3 各自衛隊の体制
(1)陸上自衛隊
  •  機動運用を基本とする作戦基本部隊(機動師団、機動旅団及び機甲 師団)及び専門的機能(空挺、水陸両用作戦、特殊作戦、航空輸送、特殊武器防護及び国際平和協力活動等)を備えた機動運用部隊
  •  地対艦誘導弾部隊
  •  地対空誘導弾部隊
  •  機動運用を基本とする部隊以外の作戦基本部隊(師団・旅団)

(2)海上自衛隊
  •  護衛艦部隊及び艦載回転翼哨戒機部隊
  •  潜水艦部隊
  •  固定翼哨戒機部隊
  •  掃海部隊

(3)航空自衛隊
  •  警戒管制部隊及び航空警戒管制部隊
  •  戦闘機部隊及び空中給油・輸送部隊
  •  航空輸送部隊
  •  地対空誘導弾部隊

X 防衛力の能力発揮のための基盤
 1 訓練・演習
  •  平素から、訓練・演習を通じ、各種計画を不断に検証し、見直す。戦術技量の向上のため、訓練・演習の充実・強化に努める。その際、関係機関や民間部門とも連携し、より実践的な訓練・演習を体系的かつ計画的に実施する。
  •  南西地域において、地元との関係に留意しつつ、米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めること等により、良好な訓練環境を確保する。

 2 運用基盤
  •  駐屯地・基地等の復旧能力を含む抗たん性を高める。
  •  各自衛隊施設及び宿舎の整備を進め、即応性を確保する。
  •  民間空港・港湾についても事態に応じて早期に自衛隊等の運用基盤として使用し得るよう、平素からの体制の在り方も含め、検討を行う。
  •  各種家族支援施策を実施する。
  •  装備品の運用基盤の充実・強化(必要な弾薬の確保・備蓄、装備品の維持整備)を図る。

 3 人事教育
  •  各自衛隊の任務・特性を踏まえつつ、適正な階級構成及び年齢構成を確保するための施策を実施する。
  •  女性自衛官の更なる活用や再任用を含む人材を有効に活用するための施策及び栄典・礼遇に関する施策を推進する。
  •  統合運用体制を強化するため、教育・訓練の充実、統幕・関係府省等での勤務等を通じ、各種事態等に柔軟に即応できる人材を確保する。
  •  多様な募集施策を推進する。
  •  地方公共団体や関係機関との連携強化等により再就職支援を推進する。
  •  専門的技能を要するものを含む幅広い分野で予備自衛官の活用を進めるとともに、予備自衛官等の充足向上等のための施策を実施する。

 4 衛生
  •  自衛隊病院の拠点化・高機能化等を進め、防衛医科大学校病院等の運営改善を含め効率的かつ質の高い医療体制を確立する。
  •  医官・看護師・救急救命士等の確保・育成を一層重視する。
  •  第一線の救護能力の向上や迅速な後送態勢の整備を図る。

 5 防衛生産・技術基盤
  •  我が国の防衛生産・技術基盤の維持・強化を早急に図るため、我が国の防衛生産・技術基盤全体の将来ビジョンを示す戦略を策定する。
  •  装備品の民間転用等を推進する。
  •  国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から、防衛装備品の活用等による平和貢献・国際協力に一層積極的に関与するとともに、防衛装備品等の共同開発・生産等に参画することが求められている。
  •  こうした状況を踏まえ、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配意した上で、移転を禁止する場合の明確化、移転を認め得る場合の限定及び厳格審査、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保等に留意しつつ、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定める。

 6 装備品の効率的な取得
  •  装備品の効果的・効率的な取得のため、プロジェクト・マネージャーの仕組みを制度化し、技術的視点も含め、ライフサイクルを通じたプロジェクト管理を強化する。
  •  更なる長期契約の導入の可否等を検討し、ライフサイクルを通じての費用対効果の向上を図る。
  •  民間能力の有効活用等による補給態勢の改革により、即応性・対処能力の向上を目指す。取得プロセスの透明化及び契約制度の適正化を不断に追求する。

 7 研究開発
  •  研究開発の開始に当たり、防衛力整備上の優先順位との整合性を確保する。
  •  新たな脅威に対応し、戦略的に重要な分野において技術的優位性を確保し得るよう、中長期的な視点に基づく研究開発を推進する。
  •  安全保障分野にも有効に活用し得るよう、大学・研究機関との連携の充実等により、デュアルユース技術の積極的な活用に努める。
  •  以上の目的を達成するための防衛省の研究開発態勢について検討する。

 8 地域コミュニティーとの連携
  •  各種事態において自衛隊が的確に対処するため、地方公共団体、警察・消防機関等の関係機関との連携を一層強化する。
  •  防衛施設周辺対策事業を引き続き推進する。平素から地方公共団体や地元住民に対し、積極的な広報等を行い、その理解及び協力を獲得する。
  •  部隊の改編等に当たっては、地域の特性に配慮する。同時に、駐屯地等の運営に当たっては、地元経済への寄与に配慮する。

 9 情報発信の強化
 自衛隊の任務の効果的な遂行に必要な国内外の理解を得るため、戦略的な広報活動を強化し、多様な情報媒体を活用して情報発信の充実に努める。


 10 知的基盤の強化
  •  教育機関等における安全保障教育の推進に取り組む。
  •  防衛研究所を中心とする研究体制の強化とともに、政府内の他の研究教育機関や国内外の大学、シンクタンク等との各種連携を推進する。

 11 防衛省改革の推進
 文官と自衛官の一体感の醸成、防衛力整備の全体最適化、統合運用機能の強化、政策立案・情報発信機能の強化等の実現のため、防衛省の業務・組織を不断に見直し、改革を推進する。


Y 留意事項
  •  本大綱に定める防衛力の在り方は、おおむね10年程度の期間を念頭に置いたものであり、NSCで定期的に体系的な評価を行うとともに、統合運用を踏まえた能力評価に基づく検証も実施しつつ、円滑・迅速・的確な移行を推進する。
  •  評価・検証の中で、情勢に重要な変化が見込まれる場合には、その時点における安全保障環境等を勘案し検討を行い、所要の修正を行う。
  •  格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、防衛力整備の一層の効率化・合理化を図り、経費抑制に努める。国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛力全体として円滑に十全な機能を果たし得るようにする。


(別表)

区分 現状(平成25 年度末) 将来
陸上自衛隊 編成定数
常備自衛官定員
即応予備自衛官員数
約15万9千人
約15万1千人
約8千人
15万9千人
15万1千人
8千人
基幹部隊 機動運用部隊 中央即応集団
1個機甲師団
3個機動師団
4個機動旅団
1個機甲師団
1個空挺団
1個水陸機動団
1個ヘリコプター団
地域配備部隊 8個師団
6個師団
5個師団
2個師団
地対艦誘導弾部隊 5個地対艦ミサイル連隊 5個地対艦ミサイル連隊
地対空誘導弾部隊 8個高射特科群/連隊 7個高射特科群/連隊
海上自衛隊 基幹部隊 護衛艦部隊


潜水艦部隊
掃海部隊
哨戒機部隊
4個護衛隊群
(8個護衛隊)
5個護衛隊
5個潜水隊
1個掃海隊群
9個航空隊
4個護衛隊群
(8個護衛隊)
6個護衛隊
6個潜水隊
1個掃海隊群
9個航空隊
主要装備 護衛艦
(イージス・システム搭載護衛艦)
潜水艦
作戦用航空機
47隻
(6隻)
16隻
約170機
54隻
(8隻)
22隻
約170機
航空自衛隊 基幹部隊
航空警戒管制部隊


戦闘機部隊
航空偵察部隊
空中給油・輸送部隊
航空輸送部隊
地対空誘導弾部隊
8個警戒群
20個警戒隊
1個警戒航空隊
(2個飛行隊)
12個飛行隊
1個飛行隊
1個飛行隊
3個飛行隊
6個高射群
28個警戒隊

1個警戒航空隊
(3個飛行隊)
13個飛行隊
-
2個飛行隊
3個飛行隊
6個高射群
主要装備 作戦用航空機
うち戦闘機
約340機
約260機
約360機
約280機

注1: 戦車及び火砲の現状(平成25 年度末定数)の規模はそれぞれ約700 両、約600 両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約300両、約300 両/門とする。
注2: 弾道ミサイル防衛にも使用し得る主要装備・基幹部隊については、上記の護衛艦(イージス・システム搭載護衛艦)、航空警戒管制部隊及び地対空誘導弾部隊の範囲内で整備することとする。

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