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裁判員制度の円滑な実施のための行動計画


平成17年8月3日
裁判員制度関係省庁等連絡会議


はじめに
本行動計画の趣旨
 平成16年5月28日に公布された「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(平成16年法律第63号。以下「裁判員法」という。)は,平成21年5月までに施行され,これによって,一般の国民が裁判員として刑事裁判に参加する裁判員制度が導入される。この裁判員制度は,国民の参加による司法の国民的基盤の確立を目指すものであり,一連の司法制度改革の中でも,最も重要なものの一つに位置づけられる。
 本行動計画は,裁判員制度を円滑に実施に移し,同制度の趣旨・目的を実現するため,内閣に設置された「裁判員制度関係省庁等連絡会議」において,関係省庁等が重点的に取り組むべき施策を取りまとめたものである。
基本的考え方
 裁判員制度が円滑に実施され,司法の国民的基盤が確立されるようにするためには,国民が同制度の意義を十分に理解し,積極的に裁判に参加することが不可欠である。しかしながら,これまでのところ,裁判員制度に対する国民の理解や関心は必ずしも十分とはいえず,新たな制度に対する不安も小さくないように思われる。
 この点,裁判員法は,政府等に対し,同法の施行までの期間において,裁判員の参加する刑事裁判の制度についての国民の理解と関心を深めるとともに,国民の自覚に基づく主体的な刑事裁判への参加が行われるようにするための措置を講ずることを義務づけ(附則2条1項),国民がより容易に裁判員として裁判に参加することができるようにするために必要な環境の整備に努めることを求めているところである(同3条)。関係省庁等は,このような法の趣旨に従い,必要な財政上の措置の下,所要の施策に全力で取り組むべきである。
 
II 裁判員制度に関する広報・啓発活動の推進
【目標】
 国民が裁判員として刑事裁判に参加することの意義,裁判員の選任の手続,事件の審理及び評議における裁判員の職務等,裁判員制度についての国民の理解と関心を深め,裁判員裁判への主体的参加を促す。
【基本的姿勢】
 国民の自覚に基づく主体的な刑事裁判への参加を促すためには,何よりもまず,裁判員制度についての国民の理解と関心を深めることが不可欠である。このため,制度の運用に直接携わることになる法務省,最高裁判所及び日本弁護士連合会は,緊密な連携協力の下,国民各層に対するきめ細かな広報・啓発活動を計画的に実施するとともに,その実施にあたっては,関係省庁,地方自治体等にもその内容を事前に十分説明し,必要な協力を得る。関係省庁等は,このような広報・啓発活動に積極的に協力する。
【具体的施策】
 法務省,最高裁判所及び日本弁護士連合会で構成する「裁判員制度広報推進協議会」において,広報・啓発について,裁判員制度実施までの全体的な計画を策定するとともに,これを具体的に実践するための計画を年度ごとに策定し,これらに基づき協力して計画的・効果的な広報・啓発活動を実施する。また,各地においては,これまでの取り組みを一層充実させるとともに,活動内容に応じて,全国の地方裁判所所在地ごとに裁判所,検察庁及び弁護士会が設置する 「裁判員制度広報推進地方協議会」を活用するなどしつつ,各地の機関・団体とも緊密な連携を図って広報・啓発活動を推進する。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 国民が裁判員として刑事裁判に参加することの意義,裁判員の選任の手続,事件の審理及び評議における裁判員の職務等について具体的かつ分かりやすく説明したリーフレット及びパンフレットを作成し,地方自治体等とも連携しつつ全国で配布するほか,広報用ポスターを作成し全国で掲示するなどして,国民の裁判員制度に対する認知度と関心を高め,理解を深めるための広報活動を行う。リーフレット及びパンフレットについては,関係機関,関連団体の窓口等で配布するほか,全国の世帯に配布するよう努める。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 裁判員の参加する刑事裁判について国民が具体的に理解でき,かつ,刑事裁判への参加の意義を実感できる 内容の広報用ビデオを作成し,移動・出前教室の機会を利用し,あるいは大学等の協力を得てこれを上映するほか,全国の学校,図書館,公民館等に備え置いて上映・貸出を行うよう要請するなど,映像媒体を利用した広報・啓発活動を推進する。(法務省,文部科学省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 裁判員制度について具体的かつ分かりやすく紹介するウェブ・サイトを設け,同サイトを使って広報用ビデオの配信を行ったり,国民からの質問・要望等に答えたり,関連サイトとのリンクを設定するなど,コンテンツの充実等に努め,インターネットを活用した広報活動を推進する。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 裁判員制度をテーマとする政府広報を適時適切に行い,裁判員制度に関する広報を推進する。法務省,最高裁判所及び日本弁護士連合会は,政府広報の内容がより充実したものとなるよう協力する。(内閣府,法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 法務省,最高裁判所及び日本弁護士連合会の協力の下に,裁判員制度をテーマとするタウンミーティングを適時に開催し,裁判員制度についての周知を図るとともに,国民の意見や要望に幅広く耳を傾け,裁判への参加に対する不安解消等に努める。(内閣府,法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 裁判官,検察官及び弁護士が参加して広く国民と対話するイベントを全国各地で開催し,国民の裁判員制度に対する意識を把握しつつ,裁判員制度の意義や裁判員の役割等を分かりやすく説明することにより,裁判員制度に関する啓発を推進する。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 裁判員の参加する刑事裁判の手続等について国民が具体的なイメージを持ち得るような広報用模擬裁判を全国で開催し,裁判員制度に関する啓発を行う。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 「法の日」記念行事,地方自治体主催の各種行事に参加し,その機会を利用して,積極的に裁判員制度の広報活動を行う。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
10 関係機関,関連団体等の窓口等において,裁判員制度に関するポスターの掲示やリーフレット及びパンフレットの配布等を行うとともに,関係機関,関連団体等の主催する行事において広報資料を配布するなどの広報活動を行う。特に,刑事司法の重要な一翼を担っており裁判員の参加する刑事裁判に深い関わりを有する警察においては,都道府県警察本部,警察署及び警察関連団体の窓口等において,上記ポスターやリーフレット等を活用した積極的な広報を行うとともに,警察又は警察関連団体が主催する行事においても,広報資料を配布するなどの広報活動を積極的に行う。また,都道府県教育委員会等を介して,各地の図書館など社会教育施設等において,広報資料の配布等を行う体制を構築・運用する。(警察庁,文部科学省,関係省庁等)
11 各種世論調査,モニター調査等の手法を用いて国民の意識調査を適宜行うことにより,裁判員制度の広報・啓発活動の効果の的確な把握に努め,その結果を関係省庁等と共有するとともに,必要に応じて広報・啓発計画に修正を加え,広報内容についても再吟味するなど,国民への周知の度合い等に応じた的確な広報を行う。(内閣府,法務省,関係省庁等,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 
III 司法参加のための環境の整備
【目標】
 国民が幅広く司法に参加することができるよう,様々な立場にある国民が容易に裁判員となることができるような環境の整備に努める。
【基本的姿勢】
 国民の刑事裁判への参加により司法の国民的基盤の確立を図るという裁判員制度の趣旨・目的を十全に実現するためには,様々な立場にある国民が幅広く裁判員として参加することが必要である。このため,関係省庁等は,国民が裁判員として刑事裁判に参加することについて有する不安・要望等を幅広く的確に把握した上,所要の施策を講じて不安の解消・要望への対応に努める。
【具体的施策】
 経営者団体,個別企業,職能団体,消費者生活団体,各種協同組合連合会等に対して,裁判員制度の意義等を説明するとともに協力依頼を行うことにより,これらの団体の構成員が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境が整備されるよう努める。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 企業において従業員が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境を整備するための自主的かつ社会的な取組が行われることを促すため,関係機関が1記載のとおり企業等に対して裁判員制度の意義等を説明し協力依頼を行うに際し,企業等の参加を呼びかけるなどの積極的な協力を行う。(経済産業省,関係省庁等)
 労働者が裁判員の職務を行う場合等が労働基準法第7条の公の職務に該当する旨の通達を発出し,使用者は労働者が裁判員の職務に必要な時間を請求した場合には拒んではならないことについて周知を行うとともに,裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止を徹底する。また,裁判員制度が円滑に実施されるためには,裁判員の職務等に対応した休暇制度を導入するなど,労使の自主的な取り組みが促進され,労働者が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境が整備されることが重要であるため,その旨周知するなど,法務省,厚生労働省及び最高裁判所が連携して必要な施策を実施する。(法務省,厚生労働省,最高裁判所)
 児童の保護者が裁判員の職務等により児童の養育を行うことが一時的に困難になる場合,保育所における「一時保育」・「特定保育」や,児童養護施設等における「子育て短期支援事業」を活用することにより,当該児童を短期間又は夜間に預けることが可能になることから,これらのサービス・事業について広く国民に周知する。また,厚生労働省,法務省及び最高裁判所は連携して,全国各地でこれらのサービス・事業の実施主体との協力体制が構築されるよう努めるなど,これらのサービス・事業が十分活用されるような措置を講ずることにより,児童の保護者が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境の整備を図る。(法務省,厚生労働省,最高裁判所)
 高齢の要介護・要支援者や障害者を介護している者が裁判員の職務等により介護を行うことが一時的に困難となる場合,通所介護やショートステイ等の利用が可能であることから,これらのサービス・事業について広く国民に周知する。また,厚生労働省,法務省及び最高裁判所は連携して,全国各地でこれらのサービス・事業の実施主体との協力体制が構築されるよう努め,介護している者が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境の整備を図る。(法務省,厚生労働省,最高裁判所)
 国民が裁判員として刑事裁判に参加することについて有する不安・要望等を的確に把握した上,既存の制度について,裁判員となる国民のニーズに十分対応し得るかを具体的に検討し,その結果に即して更に必要な措置を講ずる。(法務省,関係省庁等)
 
IV 国民に対する法教育の充実
【目標】
 将来の司法を支える若い世代を始めとする国民一般の司法及び法に対する理解と関心を深めるため,法教育の充実を図る。
【基本的姿勢】
 国民が裁判員として司法に主体的に関与するためには,国民が司法制度を理解し,法的なものの考え方を身に付けることで,法や司法を身近なものと感じることが必要である。特に,将来の司法を支える若い世代に対しては,充実した法教育が行われることが望まれる。このため,関係省庁等は,学校教育を始め教育のあらゆる分野で,司法及び法に関する学習の機会と内容の充実を図る。
【具体的施策】
 「法教育推進協議会」において,「法教育研究会」の報告書の趣旨を踏まえつつ,学校教育における法教育の実践,教育関係者に対する法教育についての研修等について更なる検討を進めるとともに,裁判員制度を題材とした法教育のための教材・資料を作成することなどにより,裁判員制度の導入を見据えた法教育の推進のための基盤整備を図る。(法務省,文部科学省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 法教育に有用な教材・資料等を教育委員会や学校に対して提供することにより,学校教育における法教育の充実を図る。また,教育委員会や学校側の要望に応じて,裁判官,検察官及び弁護士が授業の企画や実施等に協力できるよう体制の整備を図る。(法務省,文部科学省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 公民館等の社会教育施設等における司法制度・裁判員制度に関する講座の実施にあたり,情報や資料を提供することなどにより,法教育の機会と内容の充実を図る。また,講座開設者側の要望に応じて,裁判官,検察官及び弁護士が講座の企画や実施等に協力できるよう体制の整備を図る。特に,講師派遣に関する具体的な要望に応じられるようにするため,各地の地方裁判所,地方検察庁及び弁護士会が協力して共通窓口を設け,社会教育施設側からの具体的要望に応じた適切な講師を派遣できるよう協力して対応する。(法務省,文部科学省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 全国都道府県教育委員会連合会,生涯学習・社会教育主管部課長会議など各種研修会等の機会に,法教育に関する資料等を配布するとともに,これら研修等に,裁判官,検察官及び弁護士が協力できるような体制の整備を図ることにより,法教育の機会と内容の充実を図る。(法務省,文部科学省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 法廷傍聴・模擬裁判や出前講義等の機会を積極的に設け,裁判官,検察官及び弁護士が法教育に関与し得るよう努める。(法務省,最高裁判所,日本弁護士連合会)
 
 裁判員制度の運用を支える人的・物的基盤の整備
【目標】
 裁判員の参加する刑事裁判手続を円滑に進められるよう,裁判所及び検察庁の人的・物的体制を整備するとともに,裁判員の参加する刑事裁判に適切に対応できる弁護人の体制を整備する。
【基本的姿勢】
 裁判員の参加する刑事裁判手続が迅速かつ円滑に進められることは,裁判員となる国民の負担を軽減する上で極めて重要であるところ,手続の迅速かつ円滑な進行を実現するためには,その運営に携わる裁判所及び検察庁職員を確保し,手続を行うための法廷等の施設を整備するほか,手続に適切に対応し得る弁護人の体制を整備することが不可欠である。このため,最高裁判所,法務省及び日本弁護士連合会は,所要の人的・物的体制の整備を図る。
【具体的施策】
 裁判員制度導入後の円滑な刑事裁判手続の運用を確保しつつ,手続検討や広報のための模擬裁判を全国各地で早期に実施できるようにするため,法廷を中心とした裁判所諸施設の改修等の物的基盤を整備するとともに,必要な人員の確保等の人的基盤を整備する。(最高裁判所)
 裁判員候補者名簿調製作業における関係諸機関との連携及び裁判員選定事務の効率化によって,質問事項や呼出人数の絞り込みを図り,裁判員候補者たる一般国民の負担を軽減する。(最高裁判所)
 裁判員制度導入後の円滑な刑事裁判手続の運用を確保するため,必要な人員の確保に努めるとともに,各検察庁の実情に応じて人材養成の観点を含め必要な体制の整備を図るなど,人的基盤を整備する。(法務省)
 各弁護士会の実情把握のための調査,弁護士の業務態勢の検討,弁護士会が設置する公設事務所の拡充,日本司法支援センターの契約弁護士(常勤弁護士を含む)の確保などにより,裁判員の参加する刑事裁判に適切に対応できる弁護人の体制を整備する。(日本弁護士連合会)