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法令外国語訳・実施推進検討会議(第4回)議事概要

(司法制度改革推進室)
※ 速報のため,事後修正の可能性あり


日 時
平成17年7月27日(火)15:30〜17:30
 
場 所
永田町合同庁舎第1共用会議室
 
出席者
(構成員) 柏木昇(座長),内田晴康,垣貫ジョン,後藤修,松浦好治,内閣府,金融庁,警察庁,公正取引委員会,防衛庁,総務省,法務省,外務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省     ※敬称略
(オブザーバー)人事院,最高裁判所
(事務局)小林昭彦参事官,小川新二参事官,中川明子参事官補佐,山本拓参事官補佐
 
議 題
(1)平成18年度以降の法令外国語訳の推進について
(2)「行動計画」案について
(3)今後の進行について
(4)その他
配布資料
資料4−1平成18年度以降の法令外国語訳の推進について(議論のたたき台)
資料4−2翻訳予定法令一覧(素案)
 
議事要旨
 冒頭,事務局から,以下のとおり,対日投資会議専門部会委員に対するヒアリングの結果が報告された。
 「当会議の第2回会合でも報告したとおり,対日投資会議専門部会において,対日投資促進プログラム及び実施状況の見直しに関する取りまとめが6月末になされ,その中で対日直接投資を効果的に促進するために加速化・強化すべき事項として,法令外国語訳の推進が掲げられている。4月8日に行われた同専門部会会合においては,岡俊子委員(コンサルティング会社役員)及びウィルフレッド・C・ウェイクリー委員(外国法事務弁護士)から,法令の外国語訳について積極的に推進すべきという発言があり,同専門部会座長からも,是非個別にヒアリングを実施してもらいたいとの指示があったことから,当会議の了承のもと,事務局においてヒアリングを行った。
 岡委員からは,まず基本的な進め方について,ニーズが高い基本的な法令を中心にして政府が3年間で翻訳を行い,その後は基本的に民間に委ねるという方向性は合理的であるとの指摘があり,民業との関係については,政府の行動計画や標準対訳辞書が公開されれば,民間も事前に予測ができ,ビジネスモデルを変えていくことができるので,実際上,民業圧迫という問題についてはそれほど心配しなくてもよいのではないかとの指摘があった。
 また,翻訳法令だけでなく標準対訳語辞書自体も公開してほしいとの要望があった。ニーズの問題については,コンサルティングの経験上,医薬品や医療機器,食品の分野について,参入を考えている外国企業等から翻訳法令に対するニーズが高いと感じているとのことであり,また,租税関係法については,コンサルティングの立場からいうと一定の解釈が入る前の生の法律自体を知りたいというニーズがあるので,条文自体の翻訳が必要であるとのことであった。
 ウェイクリー委員からは,法令外国語訳は日本で活動しようとする外国企業のみならず海外との取引を行う日本企業にとっても重要であるとの指摘があった。翻訳の対象については,法律の翻訳がまず必要だが政省令とかガイドラインについても翻訳をする必要がある,特に独禁法等については,法律とガイドラインとを一緒に読まないと規制の内容は理解できないとの意見があり,また,対日投資の観点からは,金融関係,会社法関係あるいは入管法関係のニーズが特に高いという指摘があった。
 法改正や新規立法への対応については,一定範囲については法案のドラフティングの段階から同時に翻訳を進めるようなルールを作るべきという指摘があった。アクセスのポイントについては,インターネットの利用が不可欠であり,ホームページには,英語でのキーワードの検索機能が最低限必要という指摘があった。」
 その後,以下のとおり,議題について議論等が行われた。
(□座長,○有識者構成員,●関係府省構成員,■事務局)
(1)平成18年度以降の法令外国語訳の推進について
 資料4−1は,前回の会合で,政府として翻訳を進めるべき範囲や官と民との役割分担等の問題についての考え方を整理してほしいとのリクエストがあったことから,事務局が作成したものである。「1 翻訳の実施について」は,「平成18年度から平成20年度までの間は,各府省において,行動計画に従い,翻訳ルールに準拠して翻訳を実施する」,「平成21年度以降については,基本的に民間において翻訳ルールに準拠した翻訳が行われることを期待するが,政府等においても,以下のとおり所要の措置を講ずる」としているがどうか。
 政府と民間の間の役割分担については,今まで数十年間民間に任せていても満足いくものができなかったので完全に民間に任せるのは妥当でないと思う。当然,基本法等は政府がやっていくべきものと思うが,その後の法改正や,基本法と並ぶような新しい法律ができたときどうするのかについても議論が必要である。
 このプロジェクトの根本的な発想は,今まで民間に任せていたが民間ではコスト的にペイしないために進まなかったということにある。平成21年度以降についても一番効率のいいコスト配分で法令の翻訳が推進されるような方策というものを考えなければならない。「4 継続的なメンテナンスのための体制について」にも関連してくる。メンテナンス体制については,「考えられる体制」として,政府の機関,独立行政法人,民間団体という3つの方向性が出ているが,一長一短であり,継続してこの場で検討するしかなく,今のところ,まだはっきりとした方向性は出すことができない状態のように思う。
 弁護士会で有志が集まりユーザーの立場から若干議論をした。翻訳ルールや翻訳法令は,内容的にレベルが高くメンテナンスもしっかりされているものでなければ,ルールができて翻訳がなされても結局利用されず,せっかく努力してできたものが無駄になってしまう。そういう内容の高いものをつるためには,相当な予算を取り体制もしっかり作らないとなかなかうまくいかないのではないか。
希望としては,翻訳ルールの作成やメンテナンス,実際の翻訳については,予算措置を講じた上で,相当しっかりした対応をしてもらえないかという希望が強かった。例えば,弁護士としても,採算ベースに乗るような形であれば,ある程度の規模の事務所でパラリーガル等のスタッフも使いながら質の高いものを提供するというような協力はできるのではないか。その意味で,政府にも覚悟を決めていただき,しっかり予算措置を講じた上で対応していただければと考えている。
 質とコストの問題は非常に難しい。安く上げようとするとどうしても質が悪くなり,質が悪いと利用されないということになる。質のよいものを作るために何らかの方策を確保しないといけない。民間と各府省での翻訳のすみ分けの問題については,資料4−1にも民間で訳しているものは各府省で訳す必要がない旨が記載されており,これは全くもっともなことで二重に投資する意味は全くないが,それは民間の翻訳が良質で信頼できるものであるということが前提であり,信頼のできないものである場合には,やはり各府省で信頼のできる翻訳を作る必要が出てくるのだろう。予算の問題と質の確保については,これからも具体的なやり方について検討していかなければならない。
 民間と政府の役割分担について,在日米国商工会議所(ACCJ)の理事会でブレーンストーミングしたところ,最初は市場に任せればよいという意見もあったが,対日直接投資を促進しようとしている日本において,今まで満足いくようなものがなかったのであるから,市場に任せていては不十分で,政府にある程度イニシアティブをとってもらわなければならないというコンセンサスができた。民間の側では何をすればいいのかについては,基本法等は政府に責任をもって翻訳してもらい,民間では政省令や施行規則等の翻訳や注釈等の付加価値を付けて売れるものにすればよいとのことであった。
 実際,現在でもニーズの強いものについては,民間,特に弁護士事務所が翻訳してかなりの高価格で販売しており,それなりに需要もあるとも聞いている。法令によっては商業ベースで十分ペイする企画も出てくるのではないか。そういうものは民間に任せればよく,民間でやったのではペイしないというものについてのみ政府でやる。原則としては,そういう方向がよいのではないか。
 民間でやってペイをするものというのは業界をまたがった,あるいは国民一般に適用される一般法,基本法の類ではないか。特定の業界や利害関係者に適用される法律ほどペイしないとすると,そういうものはやはり政府でやってもらう必要があるのではないか。
 基本法の翻訳をやっていてもペイはしない。例えば,今回の新しい会社法でも翻訳を全体的にすればペイしない。電気通信事業法の関係や投資顧問業の細かい法律などについては依頼者はいるだろうが,それより大きい基本的なものは難しい。
 法律事務所で翻訳する場合は,一般の利用に供するというよりも特定の依頼者の関係が多い。今,民間というのは,どちらかというと民間の独立した事業者が法令の翻訳をしたものを一般に提供するかどうかという観点だと思が,そうなるとどうしてもかなり割高のものになってしまい,いわゆるユーザーが平等に使えるとか,適正な対価で利用できるという観点から見ると,適切な提供はできないのではないか。付加価値が高くビジネス的に採算の合うものは,利用者もそういう付加価値を期待して,ある程度の額のものでも購入・利用するであろうが,むしろ,ユーザーが平等に適正価格で使えるという観点で民間とのすみ分けをどうするか考えるべきではないか。
 似たような印象を受けている。例えば,対日投資会議専門部会の岡委員の挙げた医薬品,医療機器の分野など,ユーザーが大企業に限られ,かなり金も出してもらえるような分野は,むしろ民間に任せるべきかも知れない。食品になるとユーザーが拡散するので,民間で高い金を払って翻訳を得ようとする人は限られるのではないか。これも一般化は難しいので,具体的なニーズを打診しながら進んでいくしかない。
 省内にいろいろ議論がある。まず,行動計画の位置づけについて,世の中にある法律,政令等々の全部を翻訳するのではないとして,どこまでやるのか範囲をはっきりしてもらわないと動きづらいという意見がある。次に,行動計画に掲げる法令について,各府省がやっている翻訳は,基本的には各府省が行政を行っていく上で必要だと判断したという意味で,各府省側のニーズに従っており,今後翻訳を進めるということであれば,その目的を明確にした上で,利用者側のニーズというものがきちんと示されるべきであるという指摘がある。
 事務局においてもニーズを調べてもらっており,これからもやってもらえると聞いているので,是非,客観的な裏づけのあるニーズの把握をお願いしたい。一番疑問があるのは,資料4−1の2ページ目の「各府省の予算的・人的体制」のところである。省内でも予算・体制を確保しないとできないという意見はあるが,「所要の予算的措置は基本的に各府省において講ずる」という部分が予算計上の仕方の議論だとすれば,ここで決める話なのか。むしろ本当に進めるということであれば,政府全体としてちゃんとやるということを決めていかないと,実際問題として進まないのではないか。
 内閣官房が側面的に協力するとあるが,各省ないし各部局でやろうとすると,他の予算をつぶすことになるので,手を挙げたところが泣きを見るという構造がある。側面ではなく正面から調整を行ってもらえないか。計上の話はともかくとして,関係省庁で申合せをしても予算当局がどうするかは別であり,これで進むのだろうかという意見が省内的には出ている。
 行動計画については,資料4−2に「翻訳予定法令一覧表(素案)」があるが,これで範囲を確定してしまうということではなく,今後ニーズを更に把握しながら範囲を決めていくことになる。ニーズについて,過去に各府省が作った英訳は行政上の必要によるとの指摘があったが,行政上の必要と利用者のニーズとは一致するという理解ではいけないのか。
 我々が予算と人手を割いて翻訳したものの中には,外から必要だという話があってやったものもあれば,我々自身が仕事を進める上で必要だというものもあるが,いずれにせよ,我々が行政を進めていく上で必要だというものである。今回のプロジェクトの目的については,例えば,去年の司法制度改革本部の決定あるいはワーキンググループでの議論まで追いかけてみたがクリアーではない。
 例えば,対日投資であれば,外の参入という観点からどうかということになるのであろうが,連絡会議やこの検討会議で議論していることがそれとイコールかよく分からない。過去ないしは今の段階で我々がやろうとしていることと外からの要求との間にはずれがあるのではないかという指摘がある。
 例えば,対日投資を考えても,投資をするのは一体誰なのか。国によっても企業の規模によってもかなり事情は違ってくるであろう。ニーズを厳格に把握しようとすればアンケート調査ということになるかもしれないが,現実問題としてほとんど不可能だろう。そのために有識者の方々に会議に参加してもらいコメントをいただいている。また,事務局においても,随時各方面に出向いてヒアリング等を行っている。恐らくこの方法によるニーズの把握が一番現実的なのではないか。今後とも,各府省において,ニーズについて確信が持てないというような分野・法令があれば,事務局と打ち合わせて,適宜確認していくというのが現実的と思うがどうか。
 例えば,弁護士関係については,弁護士会に様々な委員会があるので,特定の分野について扱っている委員会において,その分野における弁護士の翻訳法令に対する需要を整理し,提供することは可能である。
 予算と人的体制の問題については,予算がなければ翻訳もうまくいかないというのはよくわかるが,先ほど指摘があったように,この会議でそういうことが決められるのかという問題もある。予算の獲得について事務局から説明して欲しい。
 事務局としては,各府省が計画的に翻訳を進めるために必要な予算を獲得できるよう,できる限りの協力はする。内閣官房は,内閣の重要施策に係る企画立案,総合調整を行うという立場上,現業的な予算を確保して自ら翻訳を実施することは難しいが,このような枠組みの中で可能な支援は積極的に行っていきたい。
 予算については,事務的な面で内閣官房に尽力を願いたいという意見がある。会議でやると決めたところで,各省が個別に予算当局と話をしても果たして進むのかという疑問がある。内閣官房は,各省庁の上に立って調整する権限があるのだから,本当に進めるのであれば,こういう予算についてはどうするということを財政当局と調整していただきたい。
 翻訳のニーズについては,第1回の会合からかなり議論がなされており,様々なニーズがあると確認がなされている。司法制度改革の一環として,事前規制・事前調整型の社会から事後監視・事後救済型の社会に移っていくという大きな価値判断の転換があり,従来は行政のニーズ,平たく言えば規制を執行するためのニーズで外国語訳をしてきたということが強かったかも知れないが,これからは,適用を受ける事業者あるいは国民の側が自分で法律を勉強して守っていくというやり方をしていかなければならない。企業だけではなくて国民一般という意味で,ニーズというものはあるという前提で考えていただきたい。
 予算については,例えば,私どもの企業の中で予算を考える場合,事業の主体としての事業部がその事業に関わる一切の費用を全部予算として取る場合と,例えば,我々法務部がその一部である弁護士報酬を予算として確保するという2つの方式があるが,各部が自らの仕事をする上で最も主体的に取り組めるフリーハンドを確保するためには各部がそれぞれ独自に予算を取る方がよい。ただ,法務部が予算を取る際,事業部から,こういう事業の必要性があるので予算を確保してくれと経理部に説明するという側面的な支援のようなことをしてもらうことがある。各府省としてどちらの予算の取り方が楽か,その後,仕事をするのにどちらが主体的に取り組めるかということで決まってくるのだろうが,我々はどちらかと言うと個別にとる方が楽だと思っている。
 こういう新規の予算要求をする場合には何かを削って出さなければいけない。予算規模が大きい府省であればやりくりしていけるのかもしれないが,予算規模の小さい役所では,現実的には難しい。平成18年度予算要求に向けて会計当局とも話をしたが,門前払い的な感じであり,要求に乗せることも難しそうであった。
 今,実際に取り組むところが予算を取るのがよいという御指摘があったが,予算要求の実態にかんがみると,各省でゲリラ的にやっても,どこを削ってやるのかということになり,とても埋め込めないというのが現実である。今までの会議で内閣官房のスタンスは承知しているが,何らかの形でもう少し内閣官房に動いてもらう必要がある。実際どれだけのことができるかという問題はあるので,そこは議論していかなければならないであろうが。当庁としては,対日投資促進は重要なことだとは思っており,協力はしていきたいが,ない袖は振れないというのが現実である。
 予算要求のやり方の問題は,最終的には事務的に詰める話であろうが,各府省が個別に予算当局と調整をするということになると,各府省の既存施策と今回の翻訳とでどちらが重要かという判断をすることになる。例えば,当省の場合では,アスベスト対策と翻訳のどちらが重要なのかといった観点から財務省に査定されることになり,結果として,予算をとれる省庁ととれない省庁とが必ず出てくる。
 それは,いわゆるニーズというものとは無関係に,それぞれの台所事情で決まるわけであり,先ほど医薬品関係で翻訳が欲しいというような御意見もあったが,医薬品関係法令の翻訳よりアスベストだと言われてしまえば黙らざるを得ない。そういうことが生じないためには,内閣官房に翻訳のための予算枠を用意してもらい,その中でニーズの高い法令から順番に翻訳ができるようにしてもらいたい。
 各府省の中での重要度が問題になるということはよくわかるが,この翻訳というものは,単に外資を招くというだけの問題ではない。日本の活動も日本の国内ばかりではなく,どんどんグローバル化している。法律というものは,適用を受ける人々に広く知らしめる必要がある。今までは日本語だけで一般国民あるいは関係者に知らせていたが,グローバル化に伴い,それではもう足りない。本来,すべての法律が,英語なり他のグローバルなコミュニケーションに使える言葉に置き換えられなければならない。本来やるべきことなのだということを是非御理解いただきたい。
 資料4−2に載っているような法令は特に対日投資に重要と思われるようなものばかりであり,これぐらいのものが翻訳されていないと対日投資の促進にはつながらないのではないかと懸念している。
 ニーズの把握については,先ほど,有識者からの意見を聞いたり民間からの意見を聞いたりしていると言ったが,やはり各府省が一番ニーズを正確に把握しているのではないか。法律は極めて広い分野にわたっており,いろいろな省の委員会などに出ると,情報量では圧倒的に各府省が上である。ニーズについても,各府省が一番正確な情報を持っているのではないか。先ほど,プライオリティーの高い方から予算を配分せよという意見があったが,これだけの法令にニーズで順番を付けるのは不可能だろう。やはり各分野のエキスパートたる各府省にやっていただかなければいけないのではないか。
 先ほど出たアスベストに対して翻訳の必要がどの程度かという議論については,予算の規模にも大分違いがあると思う。翻訳については,座長が言われたように,グローバル化した社会においては法令が日本語で出れば同時に国際的に通用する言語でも知らしめる必要があるという観点から,当然それに対応する予算を講じた上で,しっかりした翻訳ができるように是非やっていただきたい。
 各府省が既に非公式の訳文をつくってホームページに載せたりしているものもかなり多いと思う。そういったものを今回の翻訳ルールに基づいてチェックし,手直しする程度で済むものも少なくないのではないか。そういうものはそれほどの予算を必要としないのではないか。
 翻訳の必要性の問題については,所管の官庁の側で必要性を認めて翻訳するものと,今後,利用者の側で必要とするものの両方から,翻訳がされなければならない法令のリストが決まっていくのだろう。その意味では,今後も継続的にニーズの調査をしていかないといけないだろう。
 予算については,どの範囲のものをどういうふうに訳すかによって予算は変わってくるので,実際に1〜2年の間に翻訳するとして,どのぐらいの予算が必要とされるのかは,ある程度計算をしてみなければならないのではないか。それが非常に少額で済むのであれば,それなりの処理ができるだろうし,相当の金額になるのであれば,もう少し連携を取った対処法が必要になるということになる。
 今回のプロジェクトの考え方としては,所管の法令はやはり所管官庁でイニシアティブを取って翻訳をしていただきたいということなので,一体どのぐらいの予算が必要となるのかについても,各府省で検討を始めてみたらどうか。そもそも大体幾らの話をしているのかについては,ここで一度も議論したことがない。そういう話をする必要があるのではないか。
 確かに,抽象的なことを議論しているが,幾らぐらいかかるのかは取組体制にもよるだろう。資料4−1の2ページに,例えば「OBをボランティアとして活用し」というようなことがある。いろいろやり方があるだろうが,工夫をしてみると案外安く上がることがあるのかもしれない。もう少し具体的に考えてみる必要があるのではないか。
 アクセスの話があったが,それは勿論,質の高いものへのアクセスだろう。その際にコストの点をどう考えるのか。例えば,民間の既存のものが1万円で手に入るからアクセスが確保されているというのであれば,これは民間ベースでやっているから官はやる必要がないということになるが,仮に,採算に乗るには少し高くて一万数千円かかるので民間では翻訳されていないというものがあれば,これは官が全部負担して自由にアクセスできるようにするということが本当によいことであろうか。
 今1万円でやっているものを官が無料で全部やってしまうということではなく,やや補助的な感じでやるということもあり得るのではないか。例えば,事業者に相談すると,インターネット上では役所がフリーで出してよいが,出版物についてはその事業者にやらせるというような形をとることで翻訳の費用が若干安く済むという話もある。アクセスの考え方として,辞書に準拠したものが民間にあればもう官はやらないというのが本当にいいことなのかは若干疑問を感じる。
 予算関係について言えば,当省では今年幾つかやろうと思っているが,見積りをとろうとすると,質の問題と関係してくるが,高いものだと一桁,二桁変わってくる。実際に契約をするについては,会計部署と話すと,これは公募しかないかなということで,今はとりあえず公募を考えているが,条件の設定の仕方が難しい。低く設定すれば当然コストはかなり安く済むが,一定の質を確保する必要があり,試行錯誤しているところである。
 最初の部分がよくわからなかったが,つまり出版とドッキングで民間に任せると,割と安くあがるということか。
 そうである。実際に関連団体が訳して当省がそれを補助している例などについて聞くと,出版で回収できるところがあるだろうから補助はその分少なめにするということで安く済ませている例もあるようだ。
 やり方としては非常に合理的のような気がする。いかにしてコストを安くしつつ質のいいものを確保するかは,PFIのアイデアと非常に近い。そういうアイデアについては,今後も御紹介いただきたい。質の確保については,入札にすると,御指摘のように,安かろう悪かろうというものが入ってくる。これはプレクオリフィケーションの問題になるのではないか。試しに10〜20条ぐらい訳させてみて,それで質を判定し,プレクオリファイするというようなことになるのではないか。
 まさにそういう形でやった例もあるが,発注側の負担が非常に重くなる。例えば,ある程度,こういう事業者は一定の能力を持つものだという相場のようなものができてくると発注はしやすくなるが,現状はそれがないので,本格的にやろうとすると,まず試験のようなものを仮訳でやることになるが,それを全部見る必要があり,通常,公募だけでも1〜2か月かかるところに,更にそういう手続が入ってくると非常な負担になる。
 当省では,金を出して民間に文書を訳してもらい,それを何らかの形で使うということはよくやっているが,その経験上,入札の際に事前にテストのようなことをやるのは実際上難しいと感じている。すなわち,テストは会社の中で一番優秀な人に訳させ,実際に翻訳する際にはとんでもないのが出てくるということもある。また,外注して訳してもらったものをそのまま出せるわけはなく,所管府省としてのチェックが必要となるが,その部分に人を増やすのは現実的には不可能であり,大変な作業になるだろう。行動計画を作り,それを目標としてやっていくというのは,総論で賛成するのは簡単であるが,難しい問題も多い。
 予算の問題については,今後,どうやったらうまく予算措置を講ずることができるか知恵を出し合い,各府省と事務局とで相協力して努力していきたい。また,民間の活用が大事だというのはそのとおりであるが,簡単に利潤が上がる事業であれば既になされているはずであり,そうなっていない以上は,どうしてもある程度は政府がやらざるを得ない。ニーズについては,これを幅広く把握するために各分野の専門の先生方に会議に参加していただき,バックグラウンドにある団体等のニーズも踏まえて発言していただいているところであり,そういったニーズを吸い上げ,それを財務当局にも説明し,場合によっては,うまく民間を活用するという形でやっていきたい。アイデアがあれば是非出していただきたい。
 いろいろ御意見はあったが,この資料4−1の議論のたたき台に示された大枠ないし方向性については御了承いただけるか。
(「はい」と声あり)
(2)「行動計画」案について
 3年計画に先行して今年度に行う一部法令の翻訳(試訳)の対象については,前回私から試案として13本の法律をお示しし,了承を得たところであるが,内閣府がこれに個人情報保護法を追加されるとのことである。
 前回の会合の際に御指摘のあった個人情報保護法につき内部でも検討したが,当会議のみならず外部からのニーズも多々あるので,今回対応させいただきたい。
 資料4−2について,ビジネス法的な観点からは,金融関係の法律で基本的なものが少ないのではないかという印象を持った。また,証取法,労働法等で政省令レベルに非常に重要なものがあり,その辺をもう少し入れていただきたい。
 在日米国商工会議所(ACCJ)内の意見を調整した。本日欠席のスミス氏からもコメントを受けている。資料4−2のリストは非常に広範囲のもので,第一歩としては非常にすばらしいが,物足らないところもある。
 先ほどのビジネス法関係については我々も同じ意見であり,金融関係の投資信託や保険業法等の関係の法律も必要ではないかという意見もあった。また,電波法,電気通信事業法等についても,法改正があってパブリック・コメントを求められると,いつもACCJ内であわてて関係部分を翻訳して配布する必要があり,間に合わないこともあるなど,英語訳がなくて困ることが現実にある。法例や弁護士法,税理士法等の訳もあった方がよい。
 さらに,仲裁法や外国裁判所の嘱託に因る共助法といった法律の訳もあるとよい。税法関係では,所得税法,法人税法,消費税法,国税通則法等の訳が必要ではないか。知財関係では,著作権法の1つの特別法にプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律というものがあり,それも翻訳していただいた方がベターではないか。
 また,厚生労働省の関係では,労働関係に比して厚生関係は少ないのではないか。薬事法,食品衛生法,食品安全基本法等の改正があるといつもACCJで苦労している。外為法関係については,法律そのものだけではなく,外国為替令,輸出貿易管理令,輸入貿易管理令といった令の訳も必要と考えている。
 法例については,国際私法が既に掲げられている。税法については,条文自体の英訳ではなく,「日本の税法についての網羅的かつ詳細な解説書」を英語で作るという提案があるが,これはどうか。
 ACCJでも話し合ったが,大手で50年以上も日本に定着している会社は法律自体の訳文は必要ないという意見であり,他方,中小企業,あるいは大手でも最近日本に入ってきたところは必要あるとしており,意見は大体半分ずつだった。ただ,対日直接投資促進というのは,ずっと日本にいる会社の投資を促進することではなく,中小企業あるいは入ったばかりの企業の投資を促進する目的なので,ある程度の法律の訳も必要という意見がある。
 まず,行政関係では,地方自治法や行政不服審査法が必要だと言われている。税法関係については,今の解説書の件にも関連するが,大変過激な言い方をすると,税務については課税する側と課税される側とで意見が食い違うケースが多く,それを法律に基づいてどのように判断するのかという問題が出てくるので,行政側の解説書は非常に有用なものであるにしても,やはり法律そのものの翻訳が必要ではないかという意見が大勢を占めている。
 具体的には,国税通則法,国税徴収法,法人税法,租税特別措置法,ダンピング関係で関税法や関税定率法等が挙げられている。金融関係については,銀行法,保険業法,信託業法,貸金業の規制等に関する法律が挙がっている。証券関係では,外国証券業者に関する法律や証券取引法の下位規範で重要なものということが経済団体からの意見として出ている。また,公正取引委員会の所管法令は随分英語にされており,不公正な取引方法に関する一般指定,告示ももう英語になっていると思うので,これもリストに含め,対訳辞書に照らして改訂していただきたい。
 さらに,企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針が19年度で,企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針が20年度とされているが,これらは同時にしていただけると企業結合の審査を受ける側から見て便利だと思う。最後に,食品の不当表示の問題が最近増えており,食品については中国やアジア各国から入ってくるものが多い中で,これに関する法律も入れてはどうかという意見があった。
 民放の団体である民間放送連盟の担当者のヒアリングをしてきた。参入規制の問題もあり,通信に関する問合せが外国関係者からも非常に増えているとのことであり,リストには電波法等が入っているが,放送法やケーブルテレビ,衛星放送に関わるさまざまな法律・政省令等も併せて翻訳を進めていただけると非常にありがたい。
 大学や法整備支援に携わっていると,日本のシステムはうまく動いているというのが大体前提になっていて,うまく動いていることを説明する法的な構造を示してほしいというリクエストが多い。例えば,地方自治法のような国家と地方の関係が明確にわかるようなものとか,各省庁の設置法,警察の構造に関するようなものというのは結構聞かれるが,そういった基本的な法令群というのは,徐々に整備をする必要があるのではないか。
 本日欠席されているスミス氏からは,「特に金融分野について在日米国商工会議所金融サービス委員会にて検討の結果,資産の流動化に関する法律,投資信託及び投資法人に関する法律,保険業法,保険業法施行令,保険業法施行規則,投資顧問業法,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律,保険契約法(商法),有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律,銀行法,信託業法,信託法,証券取引関連の各種内閣府令,施行規則,金融商品販売法,出資法,貸金業法を追加していただきたい」旨の意見が寄せられている。
 多くの要望が出されたが,これも予算,プライオリティーとの関係があると思う。内容については事務局と詰めていただきたい。
 金融関係法令について,多くの要望をいただいたが,今回,証券取引法を平成20年度に翻訳するという案を提出したのも,予算的・人的措置の見通しが立っていない中で,内閣全体としての取組なので協力できることはないかということから,若干ない袖を振っている状況である。
 当庁は,予算の面から見ると,言わば遊びの部分が全くない官庁で,人間に例えれば,最低限の衣食住をするためだけの生活費をもらってやっているというような状況である。人も多くいる官庁ではないので,満足のいく水準のものを作るには,やはり外注をするというしか道がないが,予算もなかなか厳しいというのが現状である。
 保険業法,銀行法等の要望があるというのは重々承知しているが,これらは業法であり,銀行に預金をする人や保険商品を買う人といった,すそ野の広い利用者に直接法律の条文で利害が絡んでくるという場面は少なく,既に銀行業や保険業を営んでいる,あるいは海外からやってきて日本でそういう業を営もうとしている人が利用する,言わばプロの人たちが扱う法律である。
 銀行業や保険業を営んでいる企業は組織としても大きいであろうから,予算の制約がある以上,企業としてある程度の組織力があるような方々が使う法令については,各プレーヤーが自前で英訳すれば足り,プロ・アマを問わずすそ野が最も広い証券取引法のプライオリティーが高いのではないかと判断したものである。なお,SPC法,投信法,信託業法の要望もあったが,現在,証取法,SPC法,投信法,信託業法の投資商品の販売・勧誘を対象にするものについて,幅広い形の投資サービス法(仮称)という法制への転換を目指し,審議会で審議中である。
 これが,平成何年になるかは見通しが立たないが,改正されて形ができ上がったときに,その法律について英訳を提示させていただきたいと考えており,そういう意味で証取法を平成20年に翻訳という内容になっている。各省の中でプライオリティーを付けろということであれば,例えば,金融関係法令ではこれがぎりぎりのところということになる。もし内閣全体として,どうしても銀行法,保険業法というものが,他省庁のリストに載っているものよりもプライオリティーが高いというのであれば,やはり内閣全体での調整ということも視野に入れて見ていかないと,現実的には難しい。
 限られた予算・人員の中でプライオリティーを付けなければならないが,どういう観点からプライオリティーを付けるかが問題である。
 例えば,ビッグプレーヤーの需要しかないような法律と,証券取引法のような,すそ野の非常に広い法律とを比べた場合,少数のビッグプレーヤーの需要しかない法律は,民間に高い金を払ってでも翻訳を入手できれば足りるかもしれないので,むしろすそ野が広いものにプライオリティーを置くということも考えられるかも知れない。 プライオリティーの基準をすそ野に置くのか,あるいはビッグプレーヤーに置くのかということは,一義的には決められない。各省庁で様々な考え方があるのではないか。各省庁でそういう一つのポリシーを持ってプライオリティーを決めるというのはよいことではないか。
 ただ,同時にユーザーサイドの視点も忘れず,是非その意見を取り入れていただきたい。
 当省は,厚生関係を中心に,今回新規として10本ほど法律を出しているが,予算が付いているわけではないので,予算が付かない場合に,もしこれらの翻訳ができなかったとしても,それは御勘弁いただきたい。
 労働関係については,まさに一般大衆に関わりがあるということも踏まえ,従前からかなり取り組んできているが,これらの法令については,労働基準法,労働安全衛生法等々を含め,ほとんどが所管の公益法人や独立行政法人による翻訳である。
 それらの法人に改訂を速やかにやるよう依頼することは当然するが,法人自体の体力や能力の関係で,これも全部できるということをお約束できる状態にはない。さらに,先ほど個別に要望のあったもののうち,薬事法の関係については,当省は全く関係していないが,民間で訳が出ているようであり,そのような意味から今回の案には載せなかったという経緯がある。
 努力もせずに,予算が付かなかったからできないということでは困るが,その辺は程度問題である。関係各位に御努力いただき,是非予算獲得を目指していただきたい。薬事法については,民間の訳がある場合のプライオリティーの付け方に関係するが,仮に質の低い訳しかない場合には,民間の訳があってもなお政府の翻訳が必要であると思う。
 もし民間の訳が非常によいものであれば,その翻訳に関する精力をほかの法律の翻訳に回していただくということは当然であろう。この辺の判断も第一次的には各府省に委ねるのが適当ではないか。
 仲裁法は,国際仲裁等の関係で重要性が大きいと思うが,今回,仲裁法が対象に入っていないのは,既に仲裁法の英訳が出ているからか。
 そのとおりである。
 放送の関係について,電気通信事業法が入っていて放送法等が入っていないのは,参入する事業者の数が少ないということか。そうだとすれば,例えば,委託放送事業者というのはかなりの数で参入してきているので,規制対象事業者の数という意味では,放送法もかなり影響が大きいのではないか。
 内部で一体どこまでできるかを考えた上で案を出したものと承知している。いろいろ御意見をいただいているものについては,その中でどこまでできるかという問題だと思う。
 先ほど,プログラムの著作物に関わる登録の特例に関する法律を加えるべきとの御意見があった。著作権法の特例に関する法律は数多くあり,プログラムの著作物に関する法律もその一つであるが,基本的には指定登録機関の指定と一定の限られた対象に関わる手続等を内容とするものなので,当省として,ニーズが高いかどうか検討した上で,翻訳の必要は現在のところないのではないかと考えている。
 翻訳のための予算については,各府省は限られた予算の中で非常に重要な施策を担っているところ,他をつぶさないと要求できないということになるので,なかなか難しい。各担当課からは予算の要望も強いが,他をつぶしてやるよりは,むしろ省内のマンパワーの中で,例えば朝30分早く来て英語の辞書を開いてやるなど,何らかの方策等を考えるという判断はあり得る。法令外国訳も非常にニーズが高いことは承知をしているが,省として本来するべきことができなくなるのも困る。
 税法関係について,ACCJの理事会で話し合った際,理事の一人は,消費税法を直近の改正まで含め自ら翻訳したが,所管の省にこれを寄附してもいいと言っている。
 先ほど,警察法について御指摘があったが,具体的にどのような関係で警察法の英訳があればよいという話が出たのか。
 発展途上国においては,治安維持に関し,どのような警察制度を導入するかということが以前から問題になっている。その際,しばしば日本が引き合いに出され,交番の話などが出てくるが,それが全体としてどうなっているか,国家レベルでの警察システムと地方自治体レベルでの警察システムがどういうふうに連動しているかといった部分については,正確な英語での情報がない。システムとして全体像を示すということは,警察に限らず言われるが,警察はかなり重要な要素とされているので,例としてお話しした。
 システムということであると,例えば警察庁であれば,設置法というものはなくて,言わば設置法と権限法というのが一体になったような形で警察法というものがあるが,警察法に限らず各省の設置法も併せて必要とされるという理解でよいか。
 なるべく体系的に翻訳されることが望ましいが,差し当たりはその核心部分がほしいという言い方をされる。
 日本という国の制度全体を途上国に示す必要があるということであれば,当庁としては,予算要求の際に,他の省は設置法をやるのかと言われると説明に窮してしまう。 各省設置法をすべてやるという話になったとしても,そういう説明を当庁単独でするのは難しい。それに限らず,警察の制度等に関する法令の外国語訳を作成し,それを途上国に示すことが重要だということになった場合,財政上厳しい中で治安維持に関し,いろいろお願いして措置をいただいているときに,法令の外国語訳のために何か別のものを犠牲にしなければならないというのは,厳しい話ではないか。ただ,今後とも警察法の関係が必要だということであれば,詳しい話を御教示いただきたい。
 刑事関係については,個人的に,逮捕された外国人の世話をするボランティア活動をしているが,刑法の正確な訳がない上,警察からの構成要件の説明が不十分であるため,何罪で逮捕されたか自体わからないことが多い。また,代用監獄についての条文の訳も必要と思う。
 刑法に関しては、今年度の試訳の対象になっている。代用監獄に関しては,監獄法等の関係でこれから改正作業があるということもあって掲載していないが,確定した受刑者に関しては,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の翻訳を予定している。
 ところで,当省としては,所管する法令の中からニーズがあると思われるものをできるだけ広めに考え,今回の翻訳予定法令として提出している。その内容は多岐にわたり,翻訳予定年度についても一応特定した形にしている。省の内部でも,所管する法令の量や既存翻訳の有無等により,予算措置が必要かマンパワーでどうにかなるのか等も違ってくるが,予算が必要なものについては,その確保に最大限努力をするという前提でこの案を提出している。
 先ほど,どこかの省庁から予算がとれなければできないという留保がなされたが,それは恐らくどの省庁も同じであろう。その意味で,資料4−2のリストは,今回の会合で示された様々なニーズを踏まえ,更に改訂されていくものと承知しているが,翻訳予定年度に関しては,当省のように特定しているところは何が何でも必ずこの年度にやるというような形で思われるのは困るところがある。資料4−1の議論のたたき台にも,翻訳予定年度の記載の位置づけについては,なお検討するとされているので,この点も御議論いただきたい。
 資料4−2の翻訳予定法令一覧(素案)は,各省庁から,3年以内に翻訳をすることが考えられる法令として出していただいたものを基本的にはそのままの形で掲載したもので,翻訳予定年度についても各府省の記載に従っている。
 翻訳予定年度の記載の位置づけについては今後検討することになるが,現時点では,広く利用者の意見を聞く際の目安として,できる限り年度を明示していただきたい。このリストについては,9月ごろに予定している当会議の中間報告に盛り込んで公表し,更に広く各方面の意見を聞き,最終的には,遅くとも今年度中にとりまとめる最終報告書に記載することを考えている。
 翻訳予定法令の点については,本日の議論も踏まえ,事務局と各府省で更に協議していただきたい。
(3)今後の進行について
「法令外国語訳推進のための基盤整備に関する関係省庁連絡会議」の決定では,本年9月に当会議から,連絡会議に対して中間報告を行うことになっている。この中間報告については,先ほど基本的な方向性について御了承いただいた資料4−1と更に協議していただく資料4−2等を柱に,私と事務局で原案を作成し,当会議構成員の皆様にもあらかじめお諮りをした上で,次回会合において取りまとめを行いたいと考えている。そのような進め方でよろしいか。
(「はい」と声あり)
なお,8月2日に,「法令外国語訳推進のための基盤整備に関する関係省庁連絡会議」が開かれ,私から当会議の検討状況について報告することになっているので,お知らせしておく。
(4)その他
第5回会合は,9月下旬ころに開催する。


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