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法令外国語訳・実施推進検討会議(第1回)議事概要


(司法制度改革推進室)
※ 速報のため,事後修正の可能性あり

1 日 時  平成17年2月2日(水)10:00〜12:00

2 場 所  永田町合同庁舎第1共用会議室

3 出席者

(構成員)柏木昇(座長),アラン・D・スミス,内田晴康,垣貫ジョン,後藤修,松浦好治,内閣府,金融庁,警察庁,公正取引委員会,防衛庁,総務省,法務省,外務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省
(オブザーバー)人事院,最高裁判所
(事務局)本田守弘審議官(司法制度改革推進室長),小林昭彦参事官,小川新二参事官,中川明子参事官補佐,山本拓参事官補佐

4 議 題
(1) 検討会議の趣旨及び検討事項について
(2) 作業部会の設置について
(3) 法令外国語訳推進のための基盤整備について
(4) その他

5 配布資料
資料1−1法令の外国語訳に関する議論等の状況
資料1−2法令外国語訳に関するワーキング・グループ議論の取りまとめ
資料1−3法令外国語訳推進のための基盤整備に関する関係省庁連絡会議第1回会合における内閣官房副長官補発言要旨
資料1−4今後の検討・作業について
資料1−5作業部会の設置について(案)
資料1−6作業部会作業要領(案)

6 議事要旨
 冒頭,本田審議官から次のとおりあいさつがなされた。
 「当会議は,先月27日に第1回会合が開かれた『法令外国語訳推進のための基盤整備に関する関係省庁連絡会議』において設置が決められたものであり,今後1年を目途に,法令外国語訳推進のための基盤整備について多角的・総合的に検討を行っていくことが求められている。当会議には,法令を所管する各府省のほか,学界,経済界,法曹界の各方面から6名の有識者の方々に御参加いただいている。また,本日の会合には間に合わなかったが,更にもう一人,マスコミ関係の方にも参加をお願いしているところである。グローバル化する世界で,我が国の法令が容易かつ正確に理解されることは極めて重要であり,我が国の法令の外国語訳を推進するための基盤整備を早急に進める必要がある。当会議は,そのための実質的な議論の場となるものである。当会議では,1年という短い期間で,多くの難しい問題について検討しなければならない。構成員各位には,活発な御議論をお願いしたい。」

 次に,議事の公開について,報道機関及び関係団体に限り傍聴を認めることとし,プライバシー保護の必要性があるなど事情によっては会議を公開しないことができるとされた。また,議事の概要をまとめた議事録を作成し,内閣官房のホームページ上で公表することとされた。

 次に,柏木昇座長から次のとおりあいさつがなされた。

 「連絡会議の議長からこの会議の座長を依頼された。中央大学法科大学院教授で,専門は国際取引法と国際経済法である。昔,商社の法務部におり,海外との契約交渉で準拠法が問題になったが,日本法というのは大変エキゾチックで分かりづらいというイメージを持たれ,非常に苦労した。その後,学者になり,アメリカのロースクール何校かで日本の商取引法の講義をしたが,そのときもやはり日本の法律の英訳がないということで大変苦労した。昨年の11月まで司法制度改革推進本部国際化検討会の座長をしていたが,日ごろ考えていた日本法令の英訳という問題を出したところ,各方面から非常に大きな反響を呼び,急きょワーキンググループを作って去年の11月に一応議論のまとめというものを作成した。なぜこんなに需要がありながら信頼できる日本法令の英訳システムがなかったのかというと,作業が非常に難しいからである。その難しい仕事をこれからさせていただくということについて,非常に張り切っていると同時に,武者震いのようなものを感じる次第である。是非皆様方の御協力を得て,社会のインフラとしてのよい法令の翻訳を作りたい。」

 次に,以下のとおり,議題について議論等が行われた。
 
(□座長,○有識者構成員,●関係府省構成員,■事務局)
(1)検討会議の趣旨及び検討事項について
資料1−1から1−4に基づいて事務局から説明がなされた。
(2)作業部会の設置について
当会議の下に,資料1−5のとおり作業部会を設置することが決定され,その作業要領につき,資料1−6に基づいて事務局から説明がなされた。
(3)法令外国語訳推進のための基盤整備について
次のとおり意見交換等が行われた。
 弁護士として,日本法令を英文化して外国のクライアント等に紹介するという観点から日本法の英文化というのは非常に重要性があると認識している。また,日弁連で国際交流委員会の委員長をしており,法制度整備支援の関係で日本法を紹介するときに,ある程度体系的に日本の法令の外国語訳ができてくるというのは非常に役に立つのではないかと思う。作業部会における一部法令の翻訳については,例えば基本法とか取引に絡んだ割合根幹になるような法律の需要が非常に高いので,できるだけ需要の高いものを取り上げて作業をしていただければ有り難い。また,訳語の統一について,例えば各省庁で既存の英訳があるものの中から用語を抽出した場合に,実際に需要が非常に高いものが用語等として選ばれるかどうかもよく検証し,既存の英訳がないものでも,むしろ需要の高いような法令については,その中から訳語の統一ルールを作る対象として何らかの形で取り組まれることを期待している。
 7年前から米国の会社の日本・韓国地域の法務・政府関係担当を務めており,去年からは,米国商工会議所の副会頭も務めている。学生時代から日本法に関心があったが,日本法についての資料は,ほかの外国の法律に比べて少ない。今の仕事に入ってからよく分かったが,特にアメリカの本社は日本法の説明を聞きたいというときに,弁護士の意見だけではなく,法律そのものを見たがる。しかし,翻訳を探すのは非常に大変で,あっても法令が改正されて翻訳が古いため,会社内部で翻訳をしなければならない場合もある。また,金融関係では政省令やガイドラインが非常に重要で,一つのところにアクセスできて最新のものがあれば非常に有り難い。一部法令の翻訳については,どれが重要なのかというと企業によっても観点が違うので,なるべく多くの法律を翻訳していただける方が良いと思う。検討会議の役割については,学問的なことではなく,なるべく具体的な議論をしていただきたい。具体的なルール,特に法律用語,翻訳ルールを決めていただきたい。翻訳があっても翻訳によって使っている用語が違うため,その言葉の意味がある程度分かっても,内容が同じだということがわからないという問題がある。なるべくこの検討会議で法令用語,統一的な表現を決めていただきたい。
 企業の法務部長としてのビジネスの観点,名古屋大学で客員をやっているので学生に教えるという観点,さらに,経団連の経済法規委員会企画部会のメンバーとしての立場という三つの立場から御意見を申し上げる。ビジネスのニーズについて具体的な例を挙げると,例えばトヨタ自動車の場合,車を販売するのにディストリビューターを世界で約170 〜180 か国に持っているが,その合意は全部日本法準拠法,仲裁東京ということで規定をしてあるので,もめごとになったときには,日本法を説明していかなければならない。また,外国車の輸入販売契約上の仲裁はクロスになっており,当方がファイルするときは相手国法,先方がしてくるときには日本法ということで,そのときも日本法を説明するというニーズがある。また,(米国の)サーベンズ・オクスレー法に関し,SECに対して日本の監査役会制度について説明する必要があったが,そのときも商法,特に会社法等の英文があれば非常に楽だったと思う。欧州では個人情報保護の法律がしっかりできており,欧州の子会社で入手・利用している個人情報を親会社である私どもにもらおうとしたときには,日本に同じような個人情報保護法制がないといけないということになっており,日本の制度が具体的にこういうふうになっているんだということを示すというニーズもある。例えばタイでPL立法が進められていたり,中国で独禁法の立法の動きがあったりということで,海外の私どもの子会社から,日本は一体どうなっているのか,同時にアメリカ,ヨーロッパはどうなっているのかという問い合わせがあるが,なかなか日本ではこうなっているというのを示すのが難しいというのが現状である。次に,名古屋大学での教育については,後期は留学生を対象にして英語で講義をしている。特に独禁法,下請法,労働法,会社法,民法,訴訟法といった分野が日本のビジネスフォームを理解していただくために非常に重要なコアになる法律分野だと思うが,独禁法や下請法は一応翻訳があるものの,細かいところというのはガイドライン等も見ないと分からない。その辺りの翻訳がまだ十分整備されていないというところが今後の課題と思う。日本ではこういう法制度の下でこういった活動をしているんだということを説明することは,恐らく国際理解,国際交流のためにも役に立つのではないかと思う。そういった意味で,国際的な信頼度・認知度については,しっかりとした法制度が整っていて,しかもそれが法体系として先進国として自信が持てるものであって,統一的な運用・執行がなされているということを物で示し得るということが非常に重要だろうと思うので,今後そういったことができるようになるような外国語訳が進められるということを期待してまいりたい。
 外国法事務弁護士をしている。今までの3名の方々とほぼ同意見である。私の専門である知的財産の分野は英訳が比較的なされており,特許庁の特許法や商標法,文化庁の著作権法の英訳は,ほかの英訳に比べてよくできている。しかし,これらのお互いに似たような条文を比較しても,訳が違うというところもあって,それが同じことを指しているかどうかということは海外の方々は理解できないこともよくあると思う。戦後,日本のあらゆる法令を翻訳した業者が幾つかあり,そのころは訳がよくできていたが,その後のメンテナンスが不十分で,法改正の際に,同じ条文の言い回しを違う訳にするなどしたため,現在ほとんど使い物にならないというものも存在する。法律と政省令でお互いに同じ表現をベースにしつつ,言い回しが全く違うという問題も頻繁にある。私がよくやっているライセンス契約の交渉では,日本法は分からないということで日本法ではなくニューヨーク法が準拠法となり,しかも,日本の裁判所がそのニューヨーク法をちゃんと適用せず日本法的な考え方で適用して予測と違う結果になってしまうという懸念から,裁判地若しくは仲裁地も海外になってしまうというケースが多い。日本企業や日本経済,あるいは日本に投資する外国の投資家が不利にならないよう,もっと日本法を正確に,できるだけ幅広く,正しく英語で紹介すべきだと思う。
 翻訳は,法令にとどまらず,省令,政令,ガイドライン等まで手を伸ばし,できれば判例なども翻訳をすると良いとは思うが,余り風呂敷を広げるとどうにもならなくなるので,その辺は進ちょく状況を見ながらやらなければいけないと思う。
 私自身はもともと歴史をやっており,明治維新ごろのイギリスとアメリカの基本的な理論がどうなっているか,その後どう変わっていったかということを最初やっていたが,だんだん関心が新しいところへ移り,ある時期は法と経済学というものをやっており,その後,コンピュータがどのくらい法律の世界で役に立つかといったようなことをやってきている。翻訳の大筋は見えているので,学者というのはその先何をするかということに少し興味を持っている。特に名古屋大学は法整備支援ということでいろんな国から留学生を受け入れ,日本法の説明をしているが,そこでは日本法の説明と,相手国の法制度の理解という両方が必要となる。日本の場合,大六法のようなものを見ると参照条文というのが入っていて,参照条文を引いていくと大体のところが分かるようになっているが,ベトナムにはそれがないので,そういうものを持たなければならないということになる。そうすると,翻訳データベースの構造の中に特定の条文とそれに関連する情報を全部埋め込んでおくという作業をしないと実際上役に立たないということが分かってきたので,そういうのをやりたい人はいないかと言ったら,情報科学の人が是非やりたいとおっしゃるので手伝っていただいて,そういうことをやりたいと考えている。同時に,日本法と例えば英米法やドイツ法などと比較した場合,同じような概念でも実際の機能は違うことが少なくない。それはどう違うのかということを説明するには,ドイツ法はドイツ人が説明すべきであり,日本法は日本人が説明すればよいということになれば,情報をどうやって共有するかということが問題になる。2年ほど前から名古屋大学はアメリカのコーネルやウィスコンシン,ドイツのフライブルク辺りと協力して,特定の論点について最新の情報をお互いに出し合うということをやっており,そのためのシステムをインターネット上で構築できるという方向を考えている。そうなれば,ある概念について複数の単語が使われていた場合も,どこがどう違うかの説明を実は日本法については日本側が随時提供すればよい。つまり,条文を必要に応じて追完するような人的なシステムをちゃんと付けておけば徐々に動いていくであろうと考えており,その種のものの開発のヒントが幾つかここで得られれば有り難い。情報科学等いろんな分野の専門家が,大学にはいるので,そういう人たちと新しい情報提供の仕方を構築したいと考えている。
 法務省は,法整備支援を行ったり基本法を所管している立場から,この法令の英訳化というのは非常に大事なテーマだと考えている。
 その前提で事務局に質問したいが,資料1−4に関し,今後検討すべき具体的論点については,後の段階で具体的項目的に出してもらい,それをどう考えるかということをこの検討会議で議論をするということになるのか。また,資料1−6に関し,「対訳辞書に収録するのが相当と思われる単語等及びその訳語候補を選定」とあるが,どういう基準で選んだら良いのか。ボリュームがどれくらいのものになるのかもよく分からない。さらに,各府省に作業を均等に割り当てるとすると,実質的に関係するのが多い省と少ない省が出るように思われるがどうするのか。
 有識者の方々と各省で構成されている検討会議なので,民間の方々の知識・御経験を是非我々も吸収して,政府全体として明確な方針を作って議論していければと思っている。他方,各省これまでいろいろな翻訳はやっていると思うが,その過程で,この日本語についてはこういう訳じゃなければいけないんだというのは,それなりの理由があってやっているケースもあると思うので,所管省庁の考え方もある程度反映できるような作業部会であってほしい。
 この検討会議における具体的な論点については,国際化検討会におけるワーキンググループの取りまとめで一定の方向性が出ており,この検討会議では,それを引き継いで更に詰めた議論をし,かつ,作業をしていくということになろう。例えば,「翻訳のための基本原則」という点については,取りまとめでは翻訳ルールの策定とか訳語の整理統一についての基本的枠組みという項目の中で,どういったものを翻訳ルールとして定めるのか,それから翻訳ルールの位置付けをどうするのか,翻訳の基本的スタンスの在り方をどうするのかといったものがあり,この辺が具体的な項目となると考えている。ワーキンググループとして一定の方向性なり結論が示されているが,それでよいのか,更に補足すべき点や更に細かく議論すべき点はないか,そういった点についてこの検討会議で御議論いただきたいということで,後から論点を個別に示すというよりは,取りまとめで掲げられている項目を中心に御議論いただければと考える。
 作業部会における訳語の選別の基準については,複数の訳語候補の中でそもそも内容的にこういった訳語は適切ではないとか,誤解を招くというものもあると思われ,そういったものも各省における作業で外してもらうことになろう。また,複数訳があった場合でも,文脈に応じた使い分けを認める余地もあり,そういった点についてもとりあえず各省の目で見ていただき,それぞれ意味があるということであれば、それをとりあえず各省の御判断で残すなり,あるいは削除しても良いんじゃないかという意見を上げてもらう。具体的な明確な基準があるわけではないが,その辺のふるい分けをまずしていただきたいということになろう。その上で作業部会の構成員,有識者の方々にそれを確認していただき,そこでもいろいろふるい分けや選別があるだろうと考えている。用語の整理というのは既存の訳が前提になるので,既存の訳を作られた各省で,特定の訳語を選んだ理由なり背景が当然あると思う。そういう意味で,とりあえず用語の選択とか訳の選択を各省に振り分けたいが,各省間で御連絡を取っていただくなり情報交換していただくことも必要になるかもしれない。
 ボリュームについては,作業部会の方で作業をしながら決められていく,あるいは検討会議で議論いただくことになるかもしれないが,事務局としては,対訳辞書の用語数で例えば4,000 とか5,000 くらいが一つの目安になると考えている。これは既存の法令用語辞典に収録されている用語数などを勘案したものであるが,実際に既存の訳を基に抽出した場合にどのくらい抽出されるかということにもかかわってくるので,確定したものではない。各用語につき,特定の府省に非常にかかわりが深いということがあると思われ,とりあえず名古屋大学の御協力をいただき粗々の選別をしてもらえるので,特定の省庁に検討していただいた方が良いというものについてはその省庁にお願いし,また,一般的なものがたくさん残ると思うので,それは特定の省庁にお願いするものを勘案して,なるべく負担が平準になるように分配できないかと考えている。
 作業部会の作業に各省の意見も反映させていただきたいという点については,各省で下作業を行ってもらう際に作業部会構成員の方々との連絡窓口というものを当然各省さんに設けてもらうことになるので,内容についての説明や意見交換も必要に応じて行い得ると思われる。
 翻訳のための基本原則について,少なくとも推進本部のワーキンググループでの議論ではそれほど拘束力の強いものを作るつもりはなかった。というのは,これからこれは御議論いただくことになると思うが,民間とどういう役割分担をするかという問題があり,民間に対してこれを使えということは強制できないからである。ただ,これだけの組織で,これだけの頭脳を集めて作ったものは,多分デファクト・スタンダードになるだろうという具合に考えている。そういうデファクト・スタンダードでよろしいのではないか。訳語についても,余り厳格に考えることはしていない。例えば,よく例に出すが,債権という言葉はいろんなところに出てくるが,これを同じ単語をあらゆるところに使うとかえって誤解を生む。例えば破産法の関連では,債権はclaim ,債権者はcreditorという具合に,アメリカでもイギリスでも決まっている。これを違う単語に使うと,読んだ人が非常に混乱する。では,債権は全部claim かと言うと,例えば債権譲渡の対抗要件に関する特例法の翻訳のときには,元となったUNCITRALの条約がreceivableという言葉を使っているのでこれもreceivableにしないと読んだ人がUNCITRALの条約との関連が分からないということになる。そこで,一応対訳辞書は作るけれども,これはあくまでも基本原則で,何か特別な理由があるときにはほかの単語を使ってもよい。ただ,恐らくほかの単語を使うときには,ほかの単語を使ったという注を付けていただく。そうすると,読んだ人が非常に分かりやすいということになるのではないか。専門の各役所で,これが一番良いんだという単語があれば,むしろそれを使った方が読んだ人,ユーザーにとっては分かりやすいということになるのではないか。また,この翻訳を公定訳としないということもワーキンググループで決まっていた。公定訳ということの定義は不明確であるが,法令の翻訳は必ず解釈を含むものなので,公定訳とするメリットは全くないだろうということでワーキンググループでは意見が一致している。
 この取組は非常に重要だと我々としても考えている。外務省の場合,逆の作業というか,例えば国会に提出する条約に関しては,参考訳としてであるが,日本語を付けて出していることが多く,行政取極についても訳を事実上作っているケースが多い。我々の中でこれらをデータベース化したものは持っており,これをお出しして検討に役立てていただきたいと以前から司法制度改革推進本部事務局の方と話をしてきている。しかし,今回の割り振りの在り方を見ると,各府省に何百語という形で割り振るということを考えているようであるが,これまでの我々の理解では,内閣官房である程度民間の方々に作業をしていただき,それを各府省でチェックをするということだと思っていた。例えば,国際法局で一つの語を訳すときにどの語を使うかというのはまさに何時間も掛けて一つの国際約束を通すときには検討しているものであり,どこまで精度を求めるかにもよるが,何百という単位で1か月とかの間に各府省で実際問題できるのか疑問に思う。
 アウトソーシングも含めてどういうふうな段取りをするかというのはいろんな考え方があり得,また,この作業部会を作るのに当たり,どこまで民間の方々の御協力を得られるかという問題もあり,一番フィージビリティーが高い段取りとして,資料1−6のような作業手順になるのかと考えている。確かに個別の用語につき,特に訳の選定について,いろいろ検討すべき点も多いのも事実だが,それを例えば有識者の方々に最初に見ていただき,その結果を各省の方で見るという形にすると,かなり有識者の方々を広く確保して御協力を仰がないといけないことになるが,なかなかそれが難しいという実情もある。そこで,順番として,各省で下作業をしていただき,それを有識者の方々に見ていただくという形で作業した方が効率的に進むのではないかと考えている。各省において検討される際には,各省のいろんな体制があろうかと思うが,その中で外部の方の意見を聞いていただくとか,更に準備作業の準備作業をしていただくということもあり得る話だろうと思うが,そこは各省にお任せしたい。とりあえずどこまで精度を求めるかという点については,いろんな考え方があり得るだろうと思うが,既存訳を前提としてある程度スクリーニングに掛ける,適切でないものについてははじくけれども,それなりに理由があり,これは使っても良いであろうというものについては残していって,余りばらつかないようになるべく統一を図っていくということになろうかと思うので,可能な範囲で作業をしていただきたい。
 訳語の決定については,これで決定したら未来永劫変えないということではない。コンピュータを利用して,もっと良い訳があればそれに変える。例えば,包括承継という言葉があるが,最近のEUの国際会社合併ではuniversal successionと訳している。確かにuniversal successionというのは良い言葉だし,それを使えばヨーロッパの人はそれを読んだときに,包括承継というイメージを頭の中に浮かべることができるわけで,そういうものに変えていけば,世界の法令の英訳のハーモナイゼーションというのもできるのではないか。最初の段階では百点満点の翻訳を作るということは考えず,80点くらいの翻訳ができれば,これは大成功かと考えている。
 意義についてはもちろん異議は言わないが,作業量と作業の手順について御質問したい。1年掛けて共通のルールを作りその後に個別の法令の翻訳に移る,その法令の翻訳に当たっては,民間に対する委託を行うのか,あるいは純然とした民間の事業として行う可能性も含めて検討するものと理解していた。というのも,皆さん平常の業務を抱えながら作業をするので,各省庁に任していくと,なかなか進まないのではないか。実際にここには7月,8月で法令を訳すというような形で作業の手順が示されているが,例えば道路交通法を2か月で訳してくださいと言われると,私はノイローゼになってしまうんじゃないかと思う。今回の基本ルール策定後のメンテの体制というか,更なる翻訳対象法令の拡大に当たって,どの程度民間の力を借りるということを考えているのか。また,最初の1年目で基本ルールの策定と並行して個別法令の翻訳を行う意義は何か。
 基本ルール策定後の民間との役割分担,民間がどうかかわるのかという点については,この検討会議で御議論いただくべき問題であり,事務局として何か方向性を決めているわけではない。ただ,ワーキンググループの取りまとめにおいては,「法令の翻訳については,検討会議の検討結果を踏まえ,民間における取組を十分活用するとともに,関係府省において必要な対応を行う」とされているところであり,すべて民間にゆだねてしまって関係府省はかかわりがないという形になるかどうかは若干疑問があり,どうかかわってくるのかというところが問題になってくる。
 基盤整備の中で個別法令を翻訳していく意義については,その翻訳自体一つの成果物にもなるが,一義的には標準対訳辞書の有用性を確認するということにあると考えている。一応秋くらいに中間報告というスケジュールを組んでいるが,例えば秋までに一つの法令を訳し,更に次の法令を1月までに訳さなければいけないというスケジュールを考えているわけではなく,どういった法令を訳すかは次回の会議で決めることになろうが,一つの法令を訳していき,その中間的な状況なりを9月の段階で報告するということでもよろしいかと思う。そこは次回の会議で決まることになる。
 去年の議論で民間へのアウトソーシングという話が議論になり,その際,例えば民間にある作業を流すにしても当然ただというわけにはいかず,各省庁非常に予算状況も厳しい中で,人的な資源とか労働の犠牲を割いてまでやっていくということで,各省に任せておったのではなかなか進まないのではないか,内閣官房で一括して予算を取るということも考えているのかという質問が一部からなされ,そういったことも念頭に置いて検討を進めていきたいという回答があったかと思うが,その辺の今後の各府省が個別の金目の中でやっていくのか,あるいはもっと実効性を担保するために別の方法があるのかという点はどう考えるのか。また,対訳辞書の用語については,基本的に資料1−2にある「債権」,「附則」,「これこれの適用する」というような共通的な用語で大分カバーされると考えられるが,そうすると,各省庁が個別の分野で対訳の用語を選ぶというと,高度に各省の所掌に関係すること,例えば我が省なら,農地とか魚とか林業の間伐とか伐採など高度に農林水産業に関する専門辞書的なものなるように思われるが,用語の分野等を考慮するということは,そういった各省庁が所管している業に固有のカテゴリーの用語という理解でよいか。
 財政的な手当をどうするかという点については,まさに今後の進め方をどうするのかという点と密接にかかわる話であり,次回以降のこの会議で御議論いただきたい。
 用語の選別については,今の御意見のとおりであり,例えば所管の法律に使われている用語だからということではなく,むしろ業務的にかかわりが深い用語ということで個別にお願いすることもあり得るだろうと考えている。
 ここで辞書と言っているのは,紙の上で辞書を作るという観念ではない。インターネット上に例えば英語の辞書などはたくさんあるが,ああいったものをイメージしていただいた方がよく分かると思う。具体的には,現在,総務省の法令データベースの中に日本法が入っているが,それにもし公益という言葉が入っている条文を引き出し,クリックするとそれの英訳が出てくる。そのときに公益という言葉は総務省のデータベースだと公益という単語が入った条文を全部引き出すことができるが,それに相応する英文は全部リストアップされてくる。そうすると,例えば総務省で公益を訳すときにはこう訳している,外務省だとこう訳していると,全部違いがリストアップで出てくるわけであり,その違いを残すか残さないか,残すとすればどういう理由を付けて残すかというのはデータベース上で見えるようにする。例えば,public interestという言葉に翻訳したときに,そこにアンダーラインが付いて,クリックすると,public interestという翻訳をするときには,これは総務省所管のこういう法律のときにはこう訳されている,ほかの省庁だと違うように訳すという格好で出てくるというイメージである。
 今までそれぞれの省庁で作った英語と日本語の対訳を入力しそれを機械に掛けると,ある単語をその省庁でどう訳しているかのリストが出てくる。一貫して訳されている場合もあればばらばらになってくる場合もある。やっていただこうと考えているのは,そのばらばらになっているときに,ばらばらのままで良いか,それとも統一するかということになる。各省庁で公益という言葉を様々に訳していると,それを判断した結果を頂いても依然として差が残る可能性があるが,残ったときにそれでいくのが良いかどうかについては,省庁の御意見を伺うし,民間の御意見も伺った上で二つくらいにしようということである。public goodにするか,public interestにするかくらいでやりましょうという格好で決める。その全体が辞書として出てくるので,ある程度完成した格好になると,ある条文からその単語を含む英文の条文全部を引き出して,しかもそれからその単語がほかの条文でどう使われているかも引くことができるというような構造のものを考えている。したがって,各省庁でお忙しければ外に投げるわけだが,投げるときに,少なくと我が省で頼む法律については,この辞書でやってくれという縛りを掛けるために,共通辞書を作るというイメージで考えているというわけで,その辺の様々な情報は,クリック,クリック,クリックで何段階かに情報を入れることができ,全部を織り畳めば通常の条文の英訳というところに戻るという格好である。技術的には採用したもの,採用しないもののリストも全部お見せすることができるというものなので,こういう格好で進める。
 外務省のデータベースをそのまま持ってくるかどうかは別として,持ってくれば,外務省は特定の単語をどう訳しているかを全部リストで出すことができる。ほかのところはそれを参考にしながら,それに従うか従わないかを決めるという格好になるので,今までの辞書のカード式で作っていくやり方とは違う。この場合は単語だけではなく,用例も全部入れていく。この単語がどういうふうに使われているかという用例は日本法の法案起案のときにある,ある単語が日本法上どういうふうに使われているのかを引くのと全く同じ構造で提供しようと考えている。
 今までの英和大辞典,和英大辞典というものとは大分イメージが違うということと,縛りはそれほどきつい縛りを掛ける必要はないし,掛けるとかえって成果が分かりづらいものになるということかと思う。
 今話があったような形で1対1に近いようなものができれば,それは非常に理想的なことだと思うが,法令立案をやっていれば,一つの用語を日本語で選ぶために法制局でいろいろ詰めて過去の例も調べてようやく選んでということで大変な時間を掛けてやっている。当然一つの法律の中で同一の用語が定義によって中身が変わったりするし,総務省などでは,省としてこの単語をどう訳すかというように単純にはいかず,多分,行政分野ごとに意味が違ってきてもおかしくない。8割方の出来でよいという話であっても,もともと日本語と英語が1対1対応になっていないので,同一の日本語であっても違う英語の概念に該当するのは当然であり,それが簡単に作業できるかというのは,なかなか分からない。事務局は,場合によっては省庁間でやってもらうこともあるとのことであったが,そんな簡単にまとまる話ではない。また,人的・予算的な資源の問題は次回以降ということであったが,作業的にはもっと早く進めるようなイメージを受けた。そちらとの関係はどうなるのか。
 最初の御質問については,実際やってみないと分からないが,確かに日本語の単語と英語の単語は1対1に対応しないし,ないものもある。例えば「何々等」などいうのが法律にいろいろ出てくるが,エトセトラと訳している例も少なくないが,文章として見たら非常におかしい。また,担保権という言葉もない。lienとかmortgageという言葉はあるが,それを総称した上位概念の担保権という言葉は英語にはない。それを厳格に,正確にということは不可能であり,私どもが考えていたのは,英文を読んだときに,日本の原文に一番近いイメージをアメリカ人なりイギリス人の方が抱けるかどうかということで多少のぶれは目をつぶらざるを得ないのではないか。繰り返しになるが,最初から完全なものは目指さない。幸い名古屋大学のコンピュータ・システムは変更が非常にしやすい。これをウェブなどで一般に公開すればいろんなアイデアが集まってくるだろう。それを検討してみて,良いアイデアや示唆が正当なものであれば中身を変えていく。常に改良していくということになるのではないか。
 人的、財政的な手当の関係については,先ほども御説明したように,次回以降の議論の項目ということになるが,この1年間を目途に行う基盤整備の関係では特段予算的な手当があるわけではないので,各省における作業も含め,既存の体制でやっていただくことになろう。取りまとめがなされた後にどう進めるかという関係は,概算要求とか予算編成の関係を踏まえて,もっと早めに議論した方が良いとか,もう少し早く進めていただきたいという話であれば,その辺の事務的な作業も踏まえた上で議論の順番なりは検討するので,具体的に御要望等を事務局の方に寄せていただければと考えている。
 利用者の観点からは,英語と日本語の表現に1対1の対応関係がないとしても,なるべく統一していただきたい。債権は,私のイメージではright である。claim と言えば,それは請求するというニュアンスもあるから,完全にできた債権ではなくても請求できるということで,claim はちょっと違ってくる。また,破産法の場合にはreceivableだと言っても,receivableは,業者が何か役務か商品を提供してまだその支払を受けていない,というイメージである。right よりかなり幅は狭いので,一番良い方法は,簡単に表現にすることだと思う。それで英語のニュアンスは付いてこないので,いろんな場合に使うことができる。もともとは日本法は大陸法だから,フランス語,英語ならドイツ語よりフランス語の表現が分かりやすいから,法律辞典を調べると,ドイツ語と英語,フランス語,全部出てきている場合があるが,それを見て,それに一番近い簡単な表現にする方が良いと思う。直訳するより,何か適当な表現を統一できる表現を探せば良いと思う。
 債権というのは統一が非常に難しい分野で,もっと簡単なのは,例えば株式会社などというのは,翻訳によってはローマ字でkabushiki kaisha,これは翻訳になっていないと思うが,例えば,business corporation, company, joint stock companyと人によっていろんな訳がある。これは別に訳し分ける理由は余りない。どれかに決めれば良い問題だろう。そういう割と簡単な問題と,債権のように少なくともright とかclaim とかreceivableとかchose in actionとかcontractual rightとか文脈によって使い分けなければいけない非常に難しい単語とたくさんあるだろうと思う。これは皆様方からデータを出していただいて,この前後関係ではこういう訳が良いかというようなことを,今度は有識者の方々にその作業部会で判定していただくというイメージになるのではないか。最初にデータを松浦先生のコンピュータ・システムにほうり込むと,例えば債権についてどういう英語が使われているか,どこで,どういう英語が使われているということが一覧表になって出てくるので,作業を非常に効率化させることになるだろう。松浦先生のシステムも,英訳推進のためのツールという考え方だと思う。手でやるのと大分イメージが違い,最新のハイテクを駆使し,なるべく労力を少なくして進めていきたいと思っている。
(4) その他
 次回会合は4月ころに開催する。