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GISアクションプログラム2002−2005

〜GISにより豊かな国民生活を実現するための行動計画〜



2002年2月20日
2003年4月17日一部改定

地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議




目   次

第1部 新たなGIS計画の必要性、計画の目標等
1.新たなGIS計画の必要性
2.計画の目標等
(1)計画期間
(2)目指すべき姿
(3)政府の果たすべき役割
(4)計画の目標

第2部 政府が実施する主な施策
1.国土空間データ基盤に関する標準化と政府の率先使用による行政の効率化の推進
2.地理情報の電子化・流通を促進する観点からの制度・ガイドラインの整備
3.地理情報の電子化と提供の推進
(1)空間データ基盤の電子化・提供の推進
(2)基本空間データ、デジタル画像の電子化・提供の推進
(3)クリアリングハウスの拡充等流通環境の整備
4.GISの本格的な普及支援
(1)地方公共団体との協力、地域への支援
(2)GISを基本とした新たなサービス・産業の創出及び
 関連技術との連携等
(3)GISの普及活動の充実と国際協力の推進
5.GISを活用した行政の効率化、質の高い行政サービスの実現
(1)電子申請・届出等に係る取り組みとの連携
(2)GISを用いた質の高い行政サービスの実現
6.その他計画のフォローアップ等

GISアクションプログラム2002-2005年度別スケジュール
別表1 空間データ基盤に該当する項目
別表2 毎年度の調査項目
用語の説明


第1部 新たなGIS計画の必要性、計画の目標等

1.新たなGIS計画の必要性
 政府においては、1995年に「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議」(以下「GIS関係省庁連絡会議」という。)を設置し、GISは、今後、社会経済活動の広範な分野において、極めて大きな役割を果たすものであり、GISの利用を支える地理情報(地図データ、統計情報等)は、従来の社会基盤に匹敵する利益をもたらす新たな社会基盤であると位置づけて、その整備と相互利用の環境づくり等に計画的に取り組んできた。
 この結果、数値地図2500等主要な地理情報の電子化(※1)が進み、国土数値情報等一部についてはインターネットによる無償提供を開始した。また、政府の地理情報クリアリングハウスの運用を開始するとともに、地理情報標準やG−XMLのJIS化、民間データの活用も含む制度的・技術的課題の検討、GISの普及活動等に取り組んできたところである。
 このように、GISを利用するために必要な国土空間データ基盤及びその利用環境(以下、基盤環境という。)は、順次整備されつつあり、今後とも、その取り組みを更に進める必要があるが、一定の基盤整備が進みつつある現状においては、従来のように社会基盤としての整備にとどまることなく、整備された基盤環境を利用して、行政、産業、国民生活の各分野で、GISを活用した効率的かつ質の高い活動を実現させるという新たな展開を図ることが極めて重要になっている。
 また、ITによる高度情報通信社会の実現が我が国国政の最重要課題の一つとして位置づけられる中で、ハード面の整備とともに、多くの人々が簡便に利活用できる優れたコンテンツが益々必要不可欠なものとなっている。「e-Japan重点計画」を具体化し、行政の情報化を通じた公共サービスの質の向上や新しいビジネスモデルの創造等を通じて豊かな国民生活を実現するためには、GISはこれまでにも増して重要な役割を担うことになろう。現に、GISは、近年、技術進歩が著しいインターネット、携帯端末、GPS(汎地球測位システム)等関連分野との連携により、カーナビゲーションや様々な位置情報サービス等一般国民にも身近なサービスにその利用範囲が拡大しており、IT社会の中で重要な一角を占めつつある。
 こうしたことから、2001年度末をもって計画期間を終了する「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」、「国土空間データ基盤標準及び整備計画」及び「今後の地理情報システム(GIS)の整備・普及施策の展開について」(以下「GIS関係省庁連絡会議申し合わせ」という)に代わるものとして、2002年度以降を計画期間とする政府の新たな計画を作成し、GISの整備・普及をより確かなものとする必要がある。

2.計画の目標等

(1)計画期間
 計画期間については、GISとITは密接な関係にあることから、「e-Japan重点計画」との整合を図り、2002年度から2005年度の4年間とする。

(2)目指すべき姿
 GISは、行政、産業活動、国民生活の幅広い分野において、これまでの諸活動を
効率化・迅速化するとともに、従来にはない新しい質の高い様々なサービスを産み出し得る技術である。
 従来のGISの利用は、ややもすれば、専門家による施設管理等特定の分野に限られていたところがあった。しかし、近年、官民による様々な地理情報の電子化・提供が進むとともに、技術進歩が著しいインターネット、携帯端末、GPS等関連分野との連携により、特別な専門知識を持たない一般の人々も簡便に利活用し得るようになりつつある。これは、一定の基盤環境整備が進んだため、民間においても様々な分野でのGISアプリケーションの開発・提供が進んできた結果ともいえる。
 政府としては、こうした動向も踏まえ、引き続きGISの整備・普及を推進することで、更に多くの人々がより簡便に優れたGISコンテンツを利活用し得るようになり、その結果、IT社会の実現時に、

@様々な行政分野における効率化・迅速化、サービスの質の向上
A産業分野における新しいビジネスモデルの創造、新規雇用の形成
B国民生活全般における安価で質の高い各種サービスの享受
などが可能となることを最終的には目指すものである。

(3)政府の果たすべき役割
 政府の果たすべき役割は、第1に、これまでと同様に、引き続きGISを利用する基盤環境の整備を進めることである。その際、政府単独で全てを整備することは不可能である。現に、地理情報の多くを保有するのは地方公共団体であり、また、GISアプリケーションの多くは商業ベースで開発されている。このため、政府のみならず、地方公共団体、民間企業など多様な主体が協力してGISの整備・普及に当たることが求められる。こうした中で、政府が果たすべき役割は、大別すると、@政府が保有する国土空間データ基盤の整備と流通の促進、AGISの普及支援の2つになる。前者については、政府が保有する国土空間データ基盤の整備、及びこれに関連する標準の策定、並びにデータの提供・流通環境の整備が重要な役割となる。特に、国土空間データ基盤の整備や流通環境の整備に当たっては、我が国における基盤の概成に向け、地方公共団体、民間の取り組みと連携しつつ、迅速かつ効率的な整備を行っていく必要がある。また、後者については、教育や人材育成も含めたGISの本格的な普及・啓発活動とともに、地方公共団体、民間企業、研究機関等GISの整備・普及に係る諸主体との連携とこれらの主体への適切な支援が重要な役割となる。
 第2に、政府自らがこのような基盤環境を活用し、GISによる国政の効率化・迅速化、行政サービスの質の向上を実現することである。
 GISの整備・普及により、最終的に目指しているものが、行政、産業、国民生活の各分野において質の高いサービスが提供される社会の実現であることを踏まえると、GISの基盤環境の整備とともに、自らが率先してGISによって行政サービスの質の向上等を実現することも重要な政府の役割となる。すなわち、防災、まちづくり、交通、環境、教育等の各行政分野においてGISを有効に活用することにより、行政の効率化と質の高い行政サービスの実現を図り、電子政府の確実な実現に寄与することが政府の重要な役割となるのである。

(4)計画の目標
 これまで述べた考え方に基づき、本計画の目標を次のように設定する。
@ GISを利用する基盤環境を概成する。

ア.国土空間データ基盤に関する標準化を概ね終了し、政府はこれを率先使用する。
イ.地理情報の電子化・流通を促進する観点からの制度・ガイドラインの整備を概ね終了する。
ウ.空間データ基盤に該当する項目(※2)の電子化を概ね終了し、これを広く提供する。
エ.GISの普及を支援する。
A 政府の各分野においてGISを有効に活用し、行政の効率化と質の高い行政サービスの実現を図る。

(※注1) 本計画における「(地理情報の)電子化」とは、紙地図を一定の品質を保ちつつデジタルデータとすることのほか、地物を電子データとして直接取得することも指している。デジタル画像に関しては、衛星画像の電子データを直接取得する場合も電子化という。
(※注2)「空間データ基盤に該当する項目」とは、別表1に示す国家基準点を始めとする25のデータ項目である。

第2部 政府が実施する主な施策

 第1部の考え方を基本に、具体的には、@「e-Japan重点計画」との整合性、A本計画の目標との整合性、B施策間の重複排除、Cスケジュールの明確性の観点から、次に述べる施策を選定した。
 これらの施策は、GISの全国的な普及等を通じ、効率的で質の高い行政の展開や新しいビジネスモデルの創造等本計画が目指すべき姿を実現する上で極めて重要なものである。このため、今後の財政状況を勘案しつつ、これらの施策を優先的に実施するものとする。
 なお、これらの施策の推進に際しては、国際ルールとの整合性の確保や官民の適切な役割分担のあり方に留意して進めていく必要がある。



1.国土空間データ基盤に関する標準化と政府の率先使用による行政の効率化の推進

(基本的な考え方)
 国土空間データ基盤の効率的な整備とGISの利活用の促進のためには、異なる主体により整備された空間データの相互利活用が容易に行える環境整備が必要である。
 このため、政府では1999年3月にデータ交換方法等に関する「地理情報標準」を政府の技術的な標準として定めたが、より一層の普及を図るため、その後の国際標準化機構(ISO)において国際規格となった項目について、国際標準との整合性を確保し、国内の地理情報標準として順次日本工業規格として制定(以下「JIS化」という)を図る。
 また、インターネット技術を用いて各種のGISを利用したサービスにおける地理情報の相互流通を実現するために国内で開発したプロトコル(G−XML)については、ISOへ国際規格とするよう提案を図る。
 政府は、GISを用いた事務の効率化、迅速化、高度化を図るため、地理情報標準及びG−XMLを率先して使用する。具体的には、データ整備・提供等の際にJIS化された地理情報標準を使用するとともに、インターネット技術を用いて各種のGISを利用したサービスを行う際は、必要に応じてG−XMLを使用する。加えて、これらの標準が、地方公共団体や民間においても積極的に使用されるよう、標準の普及活動や技術支援等を実施する。

(具体的な施策の進め方)
○ 地理情報標準については、ISOにおいて検討されている項目のうち主要な項目を1999年の時点で政府の技術的な標準として定めたが、これらの項目については、ISOによる国際規格が2002年度を目途に確定する予定であることから、当該規格の確定段階で速やかにJIS化する。その他の項目については、2001年に一部JIS化がなされているが、国際規格が確定し次第必要に応じ順次JIS化する。(国土交通省)

○ G−XMLについては、2002年度中にJIS X 7199(既存のJIS化されたG−XML)の改正案を作成・提案する。さらに、G−XMLとGMLとの国際統合版の国際規格化に向け、関係機関との調整を強化しつつ、2002年度中に国際標準化機関への提案を行う。(経済産業省)

○ 2002年度以降、国土空間データ基盤に該当する地理情報の電子化・提供等を行う際は、原則としてJIS化された地理情報標準に準拠して電子化・提供等を行う。
 なお、地理情報標準のJIS化が行われるまでの間は、必要に応じて、最新版の地理情報標準に準拠して電子化・提供等を行う。
 また、インターネット技術を用いて各種のGISを利用したサービスを実施するために地理情報の相互流通を行う際は、G−XMLと国際統合されたGMLが国際標準となるまでの間、必要に応じてJIS X 7199を使用する。(関係府省)

○ 2002年度中に地理情報標準がJIS化された場合は、2003年度中に国土数値情報及び街区レベル位置参照情報の全部並びに数値地図2500の一部を当該地理情報標準に準拠させる。数値地図25000については、現在の地理情報標準に準拠した形式で全国整備が完了しているが、順次JIS化された地理情報標準に準拠させる。(国土交通省)

○ 地理情報標準の普及を促進するため、JIS化が予定される2002年度以降を目途に、セミナーの開催、マニュアルの作成等の普及活動、技術支援を実施する。(国土交通省)

○ 2002年度から、G−XMLの実用化に向けたセミナーの開催、マニュアルの作成等の普及活動・技術支援を実施する。(経済産業省)

2.地理情報の電子化・流通を促進する観点からの制度・ガイドラインの整備

(基本的な考え方)
 地理情報の電子化・流通を促進するには、主要な地理情報について現行の諸制度を電子化・流通促進の観点から見直すことが必要である。このため、空間データ基盤を含む地図等(空間データ基盤に該当する項目を含み、一定の品質を有すると判断された地図等)について、電子地図(※3)にも対応した制度及び運用となるよう見直しを図るとともに、これらの地図の整備に当たっては、可能な限り電子データで納品を行うものとする。
 また、地理情報の流通を促進するためには、その情報を利用するに当たっての条件、制約等が明確でなければならない。このため、政府が提供する地理情報の2次利用に係る条件(政府が提供した地理情報に民間企業が付加価値をつけて販売する際の条件)など流通面の諸課題について整理し、明確なガイドラインを作成する。

(具体的な施策の進め方)
○ 空間データ基盤を含む地図等を有する府省は、当該地図について2002年度中に電子地図にも対応した制度及び運用となるよう対応方針を定め、原則として、2003年度から具体的な施策を講じる。(関係府省)
○ 空間データ基盤を含む地図等の電子データによる納品に係る実態調査等を2002年度中に行う。(GIS関係省庁連絡会議)
○ 国土交通省が実施する公共測量の測量成果等の電子納品要領を2003年度早期までに作成し、当該公共測量の業務に適用する。(国土交通省)
○ 空間データ基盤を含む地図等を有する府省は、当該地図について、GIS関係省庁連絡会議の調査及び国土交通省が実施する公共測量作業の測量成果等の電子納品要領等を参考とし、2003年度から電子納品を実現するための具体的な施策を講じる。(関係府省)
○ 政府が提供する地理情報の流通に係る制度面の諸課題(著作権、2次利用に係る条件等)について検討を行い、2002年度中に、地理情報の提供方法に係るガイドラインとしてとりまとめ、地方公共団体も含め広く周知する。(GIS関係省庁連絡会議)

(※注3)ここでいう電子地図とは、紙地図をデジタル化したり(基本的にはベクトルデータ)、地物を電子データとして直接取得することにより作成された一定品質を有する空間データを指す。

3.地理情報の電子化と提供の推進

(1)空間データ基盤の電子化・提供の推進

(基本的な考え方)
 空間データ基盤の電子化・提供については、これまで、「国土空間データ基盤標準及び整備計画」において空間データ基盤に該当する項目を含む地図等を中心に電子化・提供を進め、2000年のGIS関係省庁連絡会議申し合わせにおいて、特に、道路データ及び位置参照情報等地図データの中でも骨格となるデータ項目の電子化・提供を優先することとした。
 この結果、数値地図2500(都市計画区域内)、数値地図25000(全国)及び街区レベル位置参照情報(都市計画区域内)の3種類の地理情報の電子化が優先され、これらについては近々すべての電子化が完了し、一般提供される予定となっている。
 これら3種類の地理情報により、空間データ基盤項目の多くが網羅されることに加えて、これらは各種地理情報の中でも特に多くの主体が利活用することから、地理情報の中核となるものとして位置づけるものとする。
 今後、空間データ基盤の電子化・提供については、上記3種類の地理情報のデータの定期的な更新を重点的に実施し、広く提供するものとする。また、政府が地理情報を整備、利用する際には、上記3種類の地理情報を活用した効率的なデータ整備等に努めることとする。
 空間データ基盤項目のうち、上記3種類の地理情報では網羅していない地域(都市計画区域外)や項目(筆界等)、あるいは、より高い精度を有する地理情報であって整備の必要性が高いものについては、引き続き、整備スケジュールを定めて電子化するものとする。

(具体的な施策の進め方)
○ 数値地図25000について、2002年度以降、全国の主要地物を少なくとも年1回更新するとともに、数値地図2500について、地方公共団体との連携により定期的な更新を行う。(国土交通省)
○ 街区レベル位置参照情報の更新方策について民間活力の活用も含め、2002年度中に検討し、2003年度から少なくとも年1回の更新を行う。(国土交通省)
○ 海域に関する空間データ基盤である水深、海岸線など現在所有するデータの電子化を2002年度中にほぼ整備完了し、2003年度より新たに日本沿岸域の詳細海底地形データの電子化を進める。(国土交通省)
○ 道路関係図面については、電子化の仕様等に関するガイドラインに基づき、2002年度から道路データ整備に係る課題検証のための実証実験を行うなど、その電子化に向けた取り組みを進める。(国土交通省) 
○ 20万分の1等の小縮尺の電子地図について、2004年度末までに、数値地図25000等を活用し効率的な整備を行う。(国土交通省)

(基本的な考え方)
 政府が保有する地理情報については、2000年のGIS関係省庁連絡会議申し合わせにより、個人情報保護やセキュリティの観点等から特別の理由のあるものを除き、インターネットにより無償で提供することを基本としている。この方針に則り、2005年度までにはほとんどの空間データ基盤に該当する項目がインターネットにより提供されるようにする。
 また、提供した地理情報の有効活用を図るため、ウェブマッピングシステム(ウェブブラウザ上で閲覧、加工できるシステム)を用いたインターネットによる一般利用を推進する。
 地理情報の効率的な整備を進めるため、民間データについて適切な品質を備えたものは行政でも幅広く容易に活用できる環境を早期に整備する。

(具体的な施策の進め方)
○ 2002年度末までに数値地図25000を、2005年度末までに20万分の1等の小縮尺の電子地図をインターネットにより提供する。
 水深データ、海岸線データ、詳細海底地形データについては、データを適切に更新する必要があることからCD−ROM等により2002年度から順次提供を行い、インターネットによる提供についても検討を進める。(国土交通省)
○ 数値地図2500、数値地図25000及び国土数値情報について、ウェブマッピングシステムを用いたインターネットによる提供を2003年度から実施し、一般ユーザーがウェブブラウザ上で地理情報を手軽に閲覧等できるようにする。(国土交通省)
○ 民間データを行政でも幅広く容易に活用できる環境を整備するため、2002年度早期に民間との協力の下、地図データの品質を容易かつ効率的に比較するための品質評価ガイドラインに基づく品質を明示するための評価表(以下「品質評価表」という。)を作成するとともに、その普及を図る。(GIS関係省庁連絡会議)
 2002年度中に数値地図2500、数値地図25000及び森林基本図について、品質評価表によって品質を明示するとともに、これらを参考として空間データ基盤を含む地図等についても、2003年度中に品質を明示する。(関係府省)
○ 民間データの行政での活用を促進し、地理情報の効率的な整備を進めるため、政府、地方公共団体の業務で民間データを活用する際の契約形態等について、民間とも協力しつつ2002年度中に調査、検討を行い、2003年度早期に成案を得て広く周知する。(GIS関係省庁連絡会議)

(2)基本空間データ、デジタル画像の電子化・提供の推進
(基本的な考え方)
 GISの本格的な普及を図るため、空間データ基盤の電子化・提供に併せ、空間データ基盤と結びつける様々な統計・台帳データ等基本空間データ及び視覚性等に優れた航空写真、衛星画像等のデジタル画像の電子化・提供並びにメタデータの整備を進める。

(具体的な施策の進め方)
○ 環境対策・防災対策等各種対策上の基礎となる地すべり地形分布図、火山地質図、活断層図等の地理情報を、2005年度末までに空間データ基盤・基本空間データとリンクして使用可能な数値情報として整備する。(文部科学省、経済産業省)
○ 地質図について、2003年度までにその作成に必要な記号等のJIS化を図るとともに、2005年度までに電子化を半数程度完了する。また、電子閲覧システムの機能を拡充する。(経済産業省)
○ ハザードマップ等の基礎となる土地条件図、火山土地条件図、活構造等の地理情報を2005年度末までにGIS基盤情報とリンクして使用可能な数値情報として整備し、インターネットにより提供する。(国土交通省)
○ 地球観測衛星データの検索、提供を可能にするシステムを2005年度末までに構築する。(文部科学省)
○ 国土交通省が保有する空中写真の電子化を進め、2002年度より、インターネットによる提供サービスを開始する。(国土交通省)

(3)クリアリングハウスの拡充等流通環境の整備
(基本的な考え方)
 地理情報の流通を促進するためには、地理情報クリアリングハウスの利用者がより多くの情報をより簡便に検索できることが重要である。このため、政府の「地理情報クリアリングハウス」へのメタデータの登録の拡充を進めるとともに、機能向上に必要な技術開発を進める。

(具体的な施策の進め方)
○ メタデータの整備と地理情報クリアリングハウスへの登録を進め、2003年度までには、政府が保有する国土空間データ基盤については、原則として、地理情報クリアリングハウスに登録されるよう努める。(関係府省)
○ クリアリングハウスの検索を容易にするため、2003年度末までに、メタデータ検索に関連するデータのプロファイルに係る技術仕様の規格化を行う。(経済産業省)
○ 政府の地理情報クリアリングハウスと地方公共団体、大学等関係機関のクリアリングハウスとの接続について、2002年度以降も引き続き関係機関との協力の下、接続に向けた取り組みを進め、より多くの情報を検索できるようにする。(国土交通省)

4.GISの本格的な普及支援

(1)地方公共団体との協力、地域への支援
(基本的な考え方)
 GISの本格的な普及のためには、地理情報の多くを保有する地方公共団体の取り組みが極めて重要になる。地方公共団体等への支援については、2000年のGIS関係庁連絡会議申し合わせにより、地方公共団体等における地理情報、メタデータ、クリアリングハウス等については、地方公共団体等によって整備されることが基本であるが、地方公共団体等の保有する地理情報の重要性、財政状況等を踏まえ、政府として、技術的な支援や補完的な財政支援を行うことを基本的な考え方としているため、引き続きこの考え方に基づいて必要な支援を行う。
 また、我が国にGISを本格的に普及させるためには、地域レベルにおいてデータ整備、流通及び相互利用を自立的に実施し得る基盤を形成することが重要であることから、必要な支援を行う。

(具体的な施策の進め方)
○ 地方公共団体への統合型GISの普及を図るため、2002年度に統合型GISの運用及び利活用に関する指針を策定し、2003年度までに統合型GIS導入・運用に関するマニュアルを作成するとともに、関係府省との協力による普及活動を実施するなど、積極的な普及施策を展開する。(総務省)
○ 2005年度末までに地方公共団体が実施する農業振興地域における1/2500レベルの地理情報の概成を目指し、その整備を支援する。(農林水産省)
○ 2002年度以降も引き続き、地籍調査成果の電子化を支援するとともに、地方公共団体における地籍調査データを基図としたGISシステムの利活用を支援する。(国土交通省)
○ 地方公共団体によって整備される地理情報の重要性を踏まえ、地方公共団体との連携を強化するため、2002年度から地方公共団体と定期的な意見交換を実施する。(GIS関係省庁連絡会議)
○ 高度情報社会におけるGISの普及発展に資するため、共同利用型の研究開発施設を整備し、2004年度末まで企業、大学、研究機関、地方自治体等に開放し、GIS応用技術の研究開発を支援する。(総務省)
○ 全国で数件程度のGISに係る推進体制が2003年度までに整備され、各地域でデータの整備、クリアリングハウスの構築、地理情報標準やG−XMLの普及等について自立的な取り組みが進められることを目標に、推進体制整備のための指導・助言、技術支援等を行う。(経済産業省、国土交通省)

(2)GISを基本とした新たなサービス・産業の創出及び関連技術との連携等
(基本的な考え方)
 GISで使用するデータを効率的に整備し、また、GISの活用分野を拡大するには、関連分野と密接な連携を図ることが重要である。特にCADとの連携については、将来的には地理情報の随時更新にもつながる重要なものであり、関連する技術開発を進めるなどその推進を図る必要がある。また、CALS/EC等行政効率化に向けた施策への活用を図ることも必要である。
 GISとその関連技術の連携等による様々な新しいサービスの創造や新規産業の育成が十分期待されることから、GPS技術等を用いた位置情報サービスに向けた取り組みや3次元GIS等に関連する技術の開発等を官民の役割分担を十分に踏まえて推進する。
 また、産業分野における新しいビジネスモデルの創造、新規雇用の創出のためには、民間のニーズや産業動向を十分踏まえてより効果的な施策を講じる必要がある。
このため、これまでにも増して民間と十分な連携を図る必要がある。

(具体的な施策の進め方)
○ 施設等の維持管理に必要なGISデータの効率的な整備を実現するため、工事竣工時に納品されるCADデータに含むべき地物とその属性及び精度を整理し、2002年度までに標準案を作成する。また、その成果を次世代CADデータ交換標準の策定に反映させ、CALS/ECの推進を図る。(国土交通省)
○ 精度の高い位置情報を利用者に提供するための低コストのシステムを2004年度まで検討し、効果的な整備方法の提案を行う。また、道路管理に必要な道路GISの効率的な整備を行うために、車両等を用いた自動測量技術、あるいは建設時に作成するCADデータをもとにした高精度GISデータの生成技術を2004年度までに開発する。さらに、GISを用いた新しい行政サービスの展開に資するため、工事や規制情報などをGISデータとして収集、交換するための標準を検討し、2004年度を目途に提案する。(国土交通省)
○ リアルタイムに全国どこでも正確な位置を知ることのできる高精度位置情報基盤を構築するため、2002年度までに電子基準点のデータを常時収集・解析・配信する電子基準点リアルタイム化のシステムを構築し、2003年度から、全国の電子基準点(1,200点)についてリアルタイム化を進める。(国土交通省)
○ 複雑かつ大容量の3次元GISデータベースの構築及び更新を自動化し、解析、処理するネットワーク基盤技術及び電子基準点等を応用した高精度な3次元GISデータの取得、利用技術の研究開発を2002年度末までに行うとともに、3次元GISの普及を図るため、2002年度までに3次元GISショーケースの構築を行う。(総務省、国土交通省)
○ 2003年度から2005年度まで、3次元GISがモバイル端末でも利用可能な次世代GISの実現のために、空間データ配信技術等の研究開発を行い、プロトタイプの試作・機能試験を行う。(総務省)
○ 2002年度から、GISを基本とした新たなサービス・産業の創出に当たり、制度的課題が生じた場合において、GISの整備・普及の推進の観点から、必要に応じ、課題解決のための検討を行う。(関係府省)
○ 新たなビジネスモデル等民間におけるGISの動向を2002年度から定期的に把握するなど、これまで以上に民間との連携を図る。(GIS関係省庁連絡会議)
○ GISモデル地区実証実験について、2002年度までに官民連携によるアプリケーション開発や技術開発等具体的な成果を上げるとともに、その成果を一般に公開する。(総務省、経済産業省、国土交通省)
○ G−XMLに準拠した多種多様なGISコンテンツの市場流通の実現、及び、これによる新たなサービス・産業の創出を促進するため、G−XMLに準拠したGISコンテンツの流通促進に向けた諸課題の検討体制を2002年度中に整備する。さらに、2003年度末までに、豊富かつ多様なGISコンテンツをG−XML化し、相互に紹介・流通させる仕組みを実証構築する。(経済産業省)

(3)GISの普及活動の充実と国際協力の推進
(基本的な考え方)
 GISを本格的に普及させるためには、GISに係る様々な情報を広く国民各層に提供することが重要である。このため、GISに係る政府の取り組み状況や最新の動向等について積極的な広報活動を展開する。
 加えて、GISに係る教育や人材育成をより一層強化することが必要である。非営利分野の活動に有用な民間のアプリケーション開発支援等を推進するなど、様々な手法で、普及や人材育成を図っていく必要がある。
 また、産業分野におけるインターネットを利用した国際間での商取引や地球規模の環境問題解決に向けた国際的な取り組みへの貢献等にもGISが活用されることが想定されるため、国際間での基盤的なデータ整備等様々な取り組みについて国際協力を推進する。

(具体的な施策の進め方)
○ GISの整備・普及に係る政府の取組等について幅広く広報するため、2002年 度から以下の施策を推進する。(GIS関係省庁連絡会議)

@インターネット上に政府の実施するGIS施策等に係る総合的なポータルサイトを開設する。
A関係府省が連携した定期的なセミナーの開催等、積極的な普及施策の展開を図る。
○ GISの広範な普及を促進するため、民間企業等の参加を得て、今後GISの一層の普及が期待される教育分野や一般家庭における基本的なGISアプリケーションの開発を行い、2002年度から一般に提供する。(国土交通省)
○ 2003年度から2005年度まで、国民生活に関わる様々な場面における多様なユーザーのGISの利用を通じて、GISによる利便性の向上や事業機会の拡大、GISの本格普及の効果を検証し、広く国民生活におけるGISの利用定着を推進する。(国土交通省)
○ 自然災害、地球資源探査、地球環境問題の対策等事業等に資するため、国際地質情報整備を行う。2005年度までに各国の地質図・地球科学図メタデータ等を作成するとともに、東・東南アジア地質情報ネットワーク・システムを国際共同で構築する。(経済産業省)
○ 地球環境問題の解明等に資するため、2005年度までに、アジア地域の土地利用等の時系列データを作成するなど各国との協力の下地球地図データを整備するとともに、アジア太平洋地域の基盤的空間データのメタデータを作成する。(国土交通省)

5.GISを活用した行政の効率化、質の高い行政サービスの実現

(1)電子申請・届出等に係る取り組みとの連携
(基本的な考え方)
 電子政府の実現を確かなものとするためには、申請・届出等に伴う地図等についても電子化することが重要である。また、電子申請・届出等において、GISに関する技術を利用すれば、情報を階層化し、必要な情報だけを送受信するなど申請・届出者の負担軽減が図られることが期待される。
 電子申請、届出等については、「e-Japan重点計画」に基づき、現在、申請・届出等手続きのオンライン化のための法整備の検討や必要なシステムの前倒し整備が行われているところである。GIS関係省庁連絡会議としても、これらの取り組みを踏まえ、申請・届出等における添付地図のうち、空間データ基盤を含む地図等の形式等GISの整備・普及の観点から必要な事項について検討を進める。

(具体的な施策の進め方)
○ 公共測量に係る手続きの電子申請化のシステムを2003年度末までに運用開始する。(国土交通省)
○ 申請・届出等における添付地図のうち、空間データ基盤を含む地図等の形式等GISの整備・普及の推進の観点から横断的に検討すべき事項について検討し、2002年度早期に結論を得る。(GIS関係省庁連絡会議)
○ GISに関する技術を利用したより効率的な申請・届出等の在り方について、技術的な課題及びその適用分野の整理について検討を行い、2003年度中に結論を得る。(GIS関係省庁連絡会議)

(2)GISを用いた質の高い行政サービスの実現
(基本的な考え方)
 GISによる豊かな国民生活の実現のためには、政府自らが様々な分野においてGISを活用し、質の高いサービスを提供する必要がある。このため、防災、まちづくり、交通、環境、教育等の各行政分野において、GISを活用し、行政の効率化、迅速化、及び質の高い行政サービスの実現を図る。
 その際、効率的なシステム構築を行うとともに、関係職員の知識・技能の向上を図り、GISの導入効果がより高まるよう努める。

(具体的な施策の進め方)
○ 迅速かつ的確に防災情報の把握を行うため、人工衛星画像等を活用した被害把握システムを整備するほか、各防災機関や国民が防災情報を共有化できるシステムの整備を2003年度までに行う。
 また、火山活動状況に即応した防災対応を行うため、ハザードマップを活用する火山防災システムの整備を2003年度までに行う。(内閣府)
○ 警察庁と国土交通省が保有する交通事故関連情報を統合し、これを地図上で分析した結果をオンラインで提供するシステムの改善、拡充等を2002年度以降継続的に行い、交通事故の原因究明と危険個所情報の提供による事故の削減を図る。(警察庁、国土交通省)
○ 国勢調査等の結果について、2003年度より地図情報と併せてインターネットによる提供を行い、統計のより高度な利用サービスの提供を図る。(総務省)
○ 大規模災害発生時の消防広域応援活動の迅速な展開に資するため、地理情報システムを活用した広域応援支援システムについて、2005年度を目標に全都道府県及び消防本部へ導入を推進する。(総務省)
○ 国有財産情報公開システムについて、2002年度末までに国有財産に係る情報を電子化し、地図情報と併せてインターネットによる提供を行い、国有財産に係る情報提供サービスの強化を図る。(財務省)
○ 2005年度を目標に整備・充実を進めている教育情報ナショナルセンターにおいて、教育用GISソフトを広く紹介するなど、GISを活用した教育及び学習の振興を図る。(文部科学省)
○ 都道府県で林況、施業履歴等森林に関する多様な情報を一元的に管理できる森林GISを2005年度末までに整備し、民有林、国有林における森林管理の効率化を図る。(農林水産省)
○ 防災関係機関をはじめ広く一般の国民が、分かりやすい気象・災害情報を手軽に入手し、活用することができるように、2003年度に「防災情報提供センター(仮称)」を設け、国土交通省における気象や災害などに関する情報を、光ファイバーネットワーク等を活用して集約し、インターネットを通じて分かりやすい形で総合的に提供を行う。(国土交通省)
○ 2003年度までに、GISを活用して、都市の震災・市街地大火の危険に関する現状と防災対策効果のシミュレーションシステムを開発するとともに、対話型でビジュアルな計画策定支援ツールとして活用できるシステムを開発し、その普及を広く図っていく。(国土交通省)
○ 水に関するあらゆる情報を収集整備し、国民がそれを共有し、活用することによって実現された、安全で多様な文化をもつ国土(水情報国土)の構築を推進するため、2005年を目標に、全国109水系において、水文・水質に関する観測情報や河川に生息・生育する動植物等の河川環境情報などのGIS化を図り、インターネット等による情報提供を行う。(国土交通省)
○ 国土交通省の保有する数値地図や空中写真などの基盤的な情報等地理情報を利活用し、国土の変化をリアルタイムに把握する電子国土を構築するためのシステムを2003年度に開発・公開することにより、情報提供サービスの強化を図る。(国土交通省)
○ 我が国の生物多様性や自然環境に関する様々な情報を電子化し、地理情報との重ね合わせを行う自然環境情報基盤の整備を2002年度以降行い、国土の自然環境、生態系の総合的かつ効率的な管理を図るとともに、情報提供サービスの強化を図る。(環境省)

6.その他計画のフォローアップ等

(基本的な考え方)
 本計画について、毎年度、進捗状況を調査するとともに、必要に応じて施策の修正や新たな施策の追加を行う。これらの結果は、公表する。

(具体的な施策の進め方)
○ 本計画の推進に当たっては、必要に応じGIS関係省庁連絡会議の内部組織(作業部会、ワーキンググループ)を改組し、関係府省の連携の下、強力にその推進を図る。
○ GIS関係省庁連絡会議において、毎年度、本計画に記述した施策の実施状況を把握するとともに、国土空間データ基盤の整備状況、GISの普及状況、GISに関連する技術動向、諸外国の状況等について調査を行う(調査項目は別表2)。その調査結果も勘案し、必要に応じ、施策の修正等を行うものとする。




「GISアクションプログラム2002-2005」年度別スケジュール
項  目 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度
1.国土空間データ基盤に関する標準化と政府の率先使用による行政の効率化の推進 標準化とその普及  ○ 地理情報標準のJIS化(2002年度国際規格確定次第順次/国土交通省)
○ JISX7199の改正案の作成・提案。G−XMLとGMLの国際統合版の国際規格化に向けた国際標準化機関への提案(経済産業省)
○ 地理情報標準、G−XMLのマニュアル作成、セミナー開催等の普及支援活動実施(2002年度より/国土交通省、経済産業省)
     
政府での標準の率先使用 ○ 原則JIS化された地理情報標準に準拠して、電子化、提供を実施(JIS化されるまでは最新版の地理情報標準を適用)(2002年度以降/関係府省)
 インターネット技術を用いて各種のGISを利用するために地理情報の相互流通を行う際は、G−XMLを使用(2002年度以降/関係府省)
○ 国土数値情報及び街区レベル位置参照情報の全部並びに数値地図2500の一部をJIS化された地理情報標準に準拠。(国土交通省)    
2.地理情報の電子化・流通を促進する観点からの制度・ガイドラインの整備 制度・運用の見直し ● 空間データ基盤を含む地図等について、電子地図にも対応した制度及び運用となるよう対応方針決定(関係府省) ● 対応方針に基づき、原則として具体的な施策を講じる。(2003年度から/関係府省)    
電子データによる納品 ● 空間データ基盤を含む地図等の電子データによる納品に係る実態調査等を実施。(GIS関係省庁連絡会議) ● 国土交通省の公共測量の測量成果等の電子納品要領を作成し適用。(2003年度早期/国土交通省)
● 電子納品を実現するための具体的措置(関係府省)
   
ガイドライン整備 ○ 政府の提供する地理情報の流通に係る制度面の諸課題について検討し、ガイドラインをとりまとめ、広く周知。(GIS関係省庁連絡会議)      
3.地理情報の電子化・提供の推進 空間データ基盤の電子化 ○ 数値地図25000について主要地物を少なくとも年1回更新、数値地図2500について定期的更新(2002年度より/国土交通省)
○ 水深、海岸線の電子化をほぼ整備完了(国土交通省)
○ 道路データ整備に係る課題検証のための実証実験など電子化を推進(2002年度より/国土交通省)
○ 街区レベル位置参照情報について、少なくとも年1回更新(2003年度より/国土交通省)
○ 沿岸域の詳細海底地形データの電子化(2003年度より/国土交通省)
○ 20万分の1等の小縮尺の電子地図の整備(国土交通省)  
空間データ基盤の提供 ○ 数値地図25000のインターネット提供開始(2002年度末/国土交通省)
○ 水深、海岸線データ、詳細海底地形データのCD−ROM等による提供(2002年度から順次/国土交通省)
○ 数値地図2500、数値地図25000、国土数値情報のウェブマッピングシステムによる提供開始 (国土交通省)   ○ 20万分の1等の小縮尺の電子地図のインターネット提供開始(国土交通省)
民間データの活用 ● 民間との協力の下、品質評価表を作成し、普及を図る。(GIS関係省庁連絡会議)
● 数値地図2500等について先行的に品質明示(関係府省)
● 政府等の業務で民間データを活用する際の契約形態等につ いて調査、検討(GIS関係省庁連絡会議)
● 空間データ基盤を含む地図等について品質を明示(関係府省)

● 成案を得て、広く周知(2003年度早期/GIS関係省庁連絡会議)
   
基本空間データ、デジタル画像の電子化・提供の推進 ○ 国土交通省保有の空中写真の電子化とインターネットによる提供サービス開始(国土交通省)      ○ 地すべり地形分布図、火山地質図、活断層図等の電子化(文部科学省、経済産業省)
○ 地質図の記号等をJIS化電子化を半数程度完了、電子閲覧システムの機能拡充(経済産業省)
○ 土地条件図、火山土地条件図等の電子化、インターネットによる提供(国土交通省)
○ 地球観測衛星データの検索、提供システムの構築(文部科学省)
クリアリングハウス ○ 政府の地理情報クリアリングハウスと地方公共団体、大学等の接続推進(2002年度以降/国土交通省) ○ 政府が保有する国土空間データ基盤について、原則、クリアリングハウスへ登録(2003年度までに/関係府省)   ○ メタデータ検索に関連するデータのプロファイルに係る技術仕様の規格化(経済産業省)
4.GISの本格的な普及支援 地方公共団体との協力、地域への支援 ○ 統合型GIS運用及び利活用に関する指針策定など普及施策を展開(2002年度以降/総務省)
○ 地籍調査成果の電子化支援と地籍調査データを基図としたGISシステムの利活用支援(2002年度以降/国土交通省)
○ 地方公共団体との定期的意見交換実施(2002年度より/GIS関係省庁連絡会議)
○ 統合型GIS導入・運用に関するマニュアル作成(総務省)

○ 各地域での自立的なGIS推進体制整備のた めの指導・助言、技術支援等(2003年度まで目標/経済産業省、国土交通省)
○ 共同利用型の研究開発施設の研究機関等への開放によるGIS応用技術の開発支援(2004年度まで/総務省) ○ 地方公共団体が実施する農業振興地域における1/2500レベルの地理情報整備支援(2005年度中目途に概成/農林水産省)
GISを基本とした新たなサービス・産業の創出及び関連技術との連携等 ○ 工事竣工時のCADデータに含むべき地物とその属性及び精度について標準案を作成(2002年度まで/国土交通省)
● 電子基準点リアルタイム化のシステム構築(国土交通省)
○ 3次元GISデータベース構築等のためのネットワーク基盤技術及び高精度3次元データ取得技術等の研究開発、3次元GISショーケースの構築(総務省、国土交通省)
○ GISを基本とした新たなサービス等の創出に当たり制度的課題が生じた場合、必要に応じ、課題解決のための検討実施(2002年度より/関係府省)
○ 民間におけるGISの定期的な動向把握等民間との連携推進(2002年度より/GIS関係省庁連絡会議)
○ GISモデル地区実証実験について具体的な成果を上げ、一般に公開(総務省、経済産業省、国土交通省)
● G−XMLに準拠した多様なコンテンツ流通のための諸課題検討(経済産業省)
● 全国の電子基準点(1,200点)のリアルタイム化を逐次実施(2003年度から/国土交通省)
○ モバイル端末での3次元GIS実現のため、空間データ配信技術等の研究開発を実施(2003年度から2005年度/総務省)
● G−XML化したGISコンテンツの相互流通の仕組み実証(経済産業省)
○ 精度の高い位置情報を低コストで利用者に提供するシステムの効果的な整備方法の提案。道路管理に必要な道路GISの効率的な整備を行うための、自動測量技術や建設時に作成するCADデータをもとにした高精度GISデータの生成技 術の開発。GISを用いた新しい行政サービスの展開に資することを目的とした、工事や規制情報などをGISデータとして収集、交換するための標準の検
討。(2002年度から2004年度/国土交通省)
 
GISの普及活動の充実と国際協力の推進 ○ 国の実施するGIS施策等のポータルサイト開設及びセミナーの開催等積極的普及施策の展開(2002年度より/GIS関係省庁連絡会議)
○ 今後GISの一層の普及が期待される教育分野、一般家庭における基本的なGISアプリケーションの開発、提供(2002年度から/国土交通省)
○ 国民生活に関わる様々な場面でのGIS利用による利便性向上、GISの本格普及の効果等を検証し、GISの利用定着を推進(2003年度から2005年度/国土交通省)   ○ 各国の地質図、地球科学図メタデータ等作成及び東・東南アジア地質情報ネットワークシステムの構築(経済産業省)
○ アジア地域における地球地図の土地利用等時系列データ整備及びアジア太平洋地域の基盤データのメタデータ作成(国土交通省)
5.GISを活用した行政の効率化、質の高いサービスの実現 電子申請・届出等に係る取り組みとの連携 ○ 申請・届出等における添付地図のうち、空間データ基盤を含む地図等の形式等GIS推進の観点から必要な検討を行い、結論を得る。(2002年度早期/GIS関係省庁連絡会議) ○ 公共測量に係る手続きの電子申請化システムの運用開始(国土交通省)
○ GISに関する技術を利用したより効率的な申請・届出等の在り方について検討し、結論を得る。(GIS関係省庁連絡会議)
   
GISを用いた質の高い行政サービスの実現 ○ 交通事故関連情報を地図上で分析し、提供するシステムの改善、拡充(2002年度以降/警察庁、国土交通省)
○ 国有財産に係る情報の電子化と地図情報と併せての提供(財務省)
○ 自然環境情報基盤の整備、情報提供サービスの強化(2002年度より/環境省)
○ 人工衛星画像等を活用した被害把握システムの整備、ハザードマップを活用した火山防災システムの整備等(内閣府)
○ 国勢調査等の結果を地図情報と併せてインタネット提供し、統計の提供サービスを高度化(2003年度から/総務省)
○ 防災情報提供センター(仮称)を設け、気象・災害情報をインターネットで広く国民一般に分かりやすい形で総合的に提供(国土交通省)
○ GISを活用した地震防災シミュレーションシステム、防災まちづくりに係る計画策定支援システムを開発し、広く普及(国土交通省)
○ 国土の変化をリアルタイムに把握する電子国土を構築するためのシステムを公開(国土交通省)
  ○ 地理情報システムを活用した消防広域応援支援システムの全都道府県等への導入(2005年度目標/総務省)
○ 教育情報ナショナルセンターでのGISを活用した教育、学習の振興(2005年目標/文部科学省)
○ 森林に関する多様な情報を管理する森林GISを都道府県で整備(農林水産省)
○ 全国109水系において、水文・水質に関する観測情報、河川環境情報をGIS化し、提供【水情報国土の充実・強化】(2005年度目標/国土交通省)
6.その他計画のフォローアップ等   ○ 必要に応じGIS関係省庁連絡会議の内部組織を改組し、本計画を推進。(2002年度より/GIS関係省庁連絡会議)
○ 毎年度、本計画に記述した施策の実施状況等を把握し、必要に応じ施策の修正等を実施。(2002年度より/GIS関係省庁連絡会議)
     

※単年度の施策については、年度の記述を省略している。また、年度を越えて関連する施策については、●にしている。



(別表1)

空間データ基盤に該当する項目

分類項目 データ項目
測地基準点 国家基準点、公共基準点
標高、水深 格子点の標高、水深、島しょの標高
交通 道路区域界、道路中心線、鉄道中心線、航路
河川、海岸線等 河川区域界、水涯線、海岸線、湖沼、低潮線(干出線)、河川中心線
土地 筆界等、森林区画界
建物 公共建物及び一般建物
位置参照情報 地名に対応する位置参照情報、行政区画、統計調査区、住所に対応する位置参照情報、標準地域メッシュ
公園等 公園、飛行場
画像情報  

※航空写真、衛星画像等の画像情報は、多くの空間データ基盤に該当する項目を含んでおり、個別の項目として位置付けるものではないが、空間データ基盤に該当する項目の整備、地図の代替としての利用など様々な目的に利用することができることから、空間データ基盤に匹敵する重要なものとして本表に位置付ける。


(別表2)

毎年度の調査項目

1.国土空間データ基盤の整備状況
 ○国際標準化、国内標準化の動向
 ○JIS化された地理情報標準、G−XMLに準拠した地理情報の件数
 ○電子データによる納品の実施状況
 ○空間データ基盤の項目のうち、電子化された件数
 ○空間データ基盤の項目のうち、インターネットでの提供がなされた件数
 ○主要な地理情報の更新状況

2.GISの普及状況
 ○地理情報クリアリングハウスへのアクセス件数
 ○地方公共団体におけるGIS導入件数
 ○地方公共団体における統合型GISに基づく共用空間データ整備件数
 ○GISアプリケーションの普及状況

3.GISに関する技術動向

4.諸外国の状況

5.その他
 ○政府におけるGISを用いた新たな行政サービス

※ 調査項目はその後の状況の変化により、追加、変更することがあり得る。


用語の説明

CAD:computer-aided designの略で計算機を利用して設計、製図を行うこと。
CALS/EC:CALSは、Continuous Acquisition and Life-cycle Supportの略で、生産・調達・運用支援統合情報システムのこと。ECは、Electronic Commerceの略で、電子商取引のこと。電子メール、電子掲示板等の情報技術を活用したネットワーク上での商取引を意味する。
GIS:Geographic Information Systemの略で、地理情報システムのこと。地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術。
GPS:Global Positioning Systemの略で汎地球測位システムまたは全世界測位システム等複数の呼称がある。人工衛星を利用して、地球上の三次元位置を正確に測定できるシステム。カーナビゲーションで位置測定などに利用されている。
GML:Geography Markup Languageの略で、ISO/TC211等と連携関係をもつ国際的な業界団体であるOGC(Open GIS Consortium,Inc. 本部は米国)が、業界標準用としてG-XMLと同様なスコープで開発を推進している仕様。
G−XML:GISコンテンツや電子地図をXMLに準拠した形で記述・通信・交換するためのGISコンテンツ等の相互流通に適したプロトコル。
ISO:International Organization for Standardizationの略、国際標準化機構。工業・農業産品の規格の標準化を目的に1947 年に設立された国際機関。
ISO/TC211:ISOに設けられた第211番目の専門委員会。地理情報に関する国際標準化の検討を行っている。
IT:Information Technologyの略で、情報技術のこと。情報通信技術からその応用利用場面まで広い意味で使われ、コンピューターやインターネットの進展により、応用範囲が広がっている技術・手法の総称。
JIS:Japanese Industrial Standardの略で、日本工業規格のこと。工業標準化法により主務大臣が定める鉱工業品の種類・形状・寸法・構造などに関する規格。
XML:eXtensible Markup Languageの略。データの構造や意味を定義できるようにしたマーク付き言語で、HTMLと同様に、タグとテキストで構成されているが、XMLでは目的に応じてタグを自由に定義できる。
アプリケーション(application):ワープロソフト、表計算ソフトなどのような、コンピュータ上で動作するアプリケーションソフトウエアの略。
位置参照:情報を特定の地点や地域に対応づける手段。
ウェブブラウザ(web browser):インターネット上のウェブページの情報を表示するための閲覧ソフトのこと。
ウェブマッピングシステム(web mapping system):インターネット上でGISの機能が扱えるシステム。
街区レベル位置参照情報:全国の都市計画区域全域を対象に、街区単位(「○○町△丁目□番」)の位置座標(緯度経度、平面直角座標)を整備したデータである。
基本空間データ:国土空間データ基盤で定義されている空間データ基盤に結びつけて利用される台帳・統計情報、主題図などのうち、公共的観点から必要性が高く、広く公開される可能性がある基本的な空間データ。
空間データ基盤:空間データのうち、国土全体の地勢や行政界などの基盤的な地図データや位置参照データ。「標準及び整備計画」では「空間データ基盤標準」として項目を標準化している。
クリアリングハウス:空間データの所在や内容を記述したメタデータを管理し、インターネットで検索可能にする仕組み。
国土空間データ基盤:国、地方公共団体、民間が整備している空間データのうち、基盤的なものを指し、「空間データ基盤」、「基本空間データ」、「デジタル画像」の3つの要素からなる。
国土空間データ基盤標準:「標準及び整備計画」における様々な空間データを異なるシステム間で相互利用するための技術的な標準「地理情報標準」と、基盤的な地図データ項目「空間データ基盤標準」の二つの標準のこと。
国土数値情報:国土計画業務のため、国土交通省が各省庁の協力を得て整備してきたデジタルデータであり、全国を対象とした地形、自然、土地利用、交通施設など国土に関する様々な項目が含まれている。
コンテンツ(contents):ネットワークで提供される動画・音声・テキストなどのデータや情報の内容を指す。
数値地図2500:全国の都市計画区域を対象に国土地理院が刊行している1/2500の精度のデジタル地図データで、空間データ基盤の骨格となる項目のデータセット。
数値地図25000:全国を対象に国土地理院が整備している1/25000の精度のデジタル地図データで、地理情報標準に準拠した空間データ基盤の骨格となる項目のデータセット。
地球地図(Global Map):国土交通省の提唱で始まったプロジェクトで、地球環境問題の解決を目的に世界の地図作成機関が協力して整備する地球全体をカバーするデジタル地図。
地物:英語では、feature。ISO/TC211では、 abstraction of real world phenomena
と定義している。実世界の現象を抽象化した概念を指す。
地理情報標準:ISOによる国際的な地理情報に関する標準化の検討を踏まえ、国内の標準として作成したもの。
デジタル画像:航空写真や人工衛星により取得されたデータから作成される画像データ。
統合型GIS:地方公共団体が利用する地図データのうち、複数の部局が利用する基盤的なデータを各部局が共用できる形で整備し、利用する横断的なシステム。総務省は統合型GISに関する指針及び共用空間データの調達仕様書・基本仕様書を作成している。
ハザードマップ(hazard map):地震・台風・火山噴火などによる災害時における人的被害を防ぐことを主な目的として作成され、被害想定情報、避難情報等が掲載されている地図。
プロトコル(protocol):ネットワークでデータや情報を通信するための手順や約束ごと。
ポータルサイト(portal site):ポータルは玄関の意味で、インターネットでウェブページを見る際に、最初に入るウェブサイトのこと。
メタデータ(metadata):データの内容、品質、状態、特徴などを記述したデータ。



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