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国土強靱化シンポジウム in 宮崎
~もしもから、いつもを守る。~

近年、自然災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震などの大規模地震の発生も切迫しています。
そこで「国土強靱化」をテーマに、令和5年12月20日(水)、宮崎市民プラザオルブライトホールでシンポジウムが開かれました。有識者らが災害に強い地域づくり・ひとづくりの必要性や、宮崎県ならではの課題と対策の進捗について議論を深めました。

開催概要

  • 日時:令和5年12月20日(水)
  •    13時30分から16時30分
  •    (開場13:00)
  • 会場:宮崎市民プラザ
  •    オルブライトホール
  • 定員:200名
  • 共催:宮崎県、宮崎市、宮崎日日新聞社
国土強靭化ポスター

開催挨拶

平沼 正二郎氏/
平沼 正二郎
国土強靱化担当大臣政務官
国土強靱化は国だけで進められるものではありません。国・地方・企業・国民が一体となって災害に強い国づくりを加速させるため、このシンポジウムを開催しました。
宮崎県も令和4年の台風14号をはじめ、大きな地震や津波を経験しており、災害に対する意識をさらに高めていただくことを期待しています。
佐藤 弘之氏/
佐藤 弘之
宮崎県副知事
今後40年以内に90%の確率で南海トラフ地震が発生するとされており、今回のシンポジウムで国土強靱化について議論いただくことは、大変意義があります。
県としても、「常在危機」の意識で県民の生命財産を守るため、防災、減災、国土強靱化の取り組みを一層推進してまいります。

講演

岡村 次郎氏/
岡村 次郎
内閣官房国土強靱化推進室 次長
パネルディスカッション1/
国土強靱化の最近の取組み
デジタル技術で防災力強化
令和5年7月、政府では「国土強靱化基本計画」を改定し、国土強靱化を進める上での5つの柱を設けました。うち2つは全く新しい方針で、「デジタル等新技術の活用」と「地域防災力の一層の強化」です。

前者では、例えば令和4年、全国で発生した線状降水帯は23回ありましたが、気象庁が事前にアラートを出せたのは9回でした。そこで、新たな気象衛星の打ち上げによる観測強化とスーパーコンピュータの改良により、精度の高いアラートを半日前に出せるよう技術向上に取り組んでいるところです。

後者では、防災計画の策定や避難所運営など女性に参画いただくことが重要と考えています。 道の駅の防災拠点化や災害復旧に役立つ高速道路のネットワーク化も進め、強さとしなやかさを有した安心安全な国土を構築してまいります。
川崎 杏樹氏/
川崎 杏樹
震災伝承施設
「いのちをつなぐ未来館」
語り部 ㈱かまいしDMC
パネルディスカッション2/
助けられる人から 助ける人へ
日頃の訓練が自主性育む
岩手県釜石市は東日本大震災で津波の大きな被害を受けたものの、小中学生の99.8%が難を逃れることができました。釜石東中2年だった私は地震発生時、部活動中でした。驚いて校庭へ行くと、先生から「すぐに逃げなさい」との指示があり、高台への避難を始めました。隣接する小学校も避難の途中で、私たちは児童の手を握り、高台までの約1.6キロを一緒に逃げました。

それができたのは、日頃の防災教育のおかげです。具体的な指示がなくてもどこへ逃げ、どう行動すべきかを理解していました。釜石東中では「ケガをした生徒をフォローしながら逃げる」といったように、避難訓練時にさまざまな想定を取り入れていました。

一方、防災教育全体としては楽しく参加できるプログラムも数多く用意されていて、楽しくかつ真剣に学ぶ工夫が災害時の行動を変えると実感しています。
佐藤 弘之氏/
佐藤 弘之
宮崎県副知事
パネルディスカッション3/
宮崎県における国土強靱化の取組みについて
津波被害と風水害に備える
地域防災力の向上とともに、ソフト・ハード両面で対策を強化していくことが、宮崎県の国土強靱化に欠かせません。

県内の沿岸市町では、地震に伴う津波ハザードマップや津波避難計画を作成し、2022年3月までに計26カ所の津波避難施設を整備しました。県も「ひなた宮崎県総合運動公園」内に津波避難施設を設けたほか、被災後に迅速な復旧・復興のための交通網の整備、橋梁の耐震工事などを進めています。

本県は風水害リスクも高く、県では、河川流域に関わるあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる「流域治水対策」を進めています。

また、道路のバイパス整備や道路拡幅などにより、災害に強い道路整備を行っています。国土強靱化は道半ばです。県民の皆さんへの周知活動を行いながら、引き続き力強く取り組んでまいります。

パネルディスカッション

<パネリスト>
山下 裕亮氏/
山下 裕亮
京都大学防災研究所
附属地震災害研究センター
宮崎観測所助教

丸岡 いずみ氏/
丸岡 いずみ
フリーキャスター


河野 幸治氏/
河野 幸治
宮崎青年会議所出向役員
日本青年会議所
強くしなやかな
国土創造委員会委員長
出水 和子氏/
出水 和子
みやざき公共・協働研究会
理事

清山 知憲氏/
清山 知憲
宮崎市長

岡村 次郎氏/
岡村 次郎
内閣官房国土強靱化推進室
次長
もしもから、いつもを守る。
~災害が起きる前にできること~
備えは多世代、官民一体の総力で
パネルディスカッション4/
<モデレーター>
森 耕一郎氏/
森 耕一郎
宮崎日日新聞社 取締役編集局長
1.災害の経験と教訓から行動へ
 森  地域防災力の強化に向け、皆さんはどのような心構え、取組みが必要と感じていらっしゃいますか。
 山下  過去の特徴から、地震は繰り返し起こるものです。南海トラフ地震は、宮崎県では最大震度は7、津波の最大高17m想定ですが、直近1946年の昭和南海地震は、宮崎市は震度4でした。揺れは小さく済みましたが、大きな津波がやってきました。揺れの強さ(震度)に関わらず、長く揺れる地震は規模が大きく、津波を起こす可能性があります。
 出水  各大学で防災に取り組んでいた大学生をつなぎ、東日本大震災を機に「宮崎県わけもん(若者のこと)防災ネットワーク」を設立、現在は県内大学生70人が活動しています。個々の支援のみならず、経験や教訓をもとに災害を風化させない活動に取り組んでいます。
 丸岡  これまで様々な震災取材を経験しました。新潟県中越地震では、被災直後から、地元コミュニティラジオが地域の情報を発信していました。災害発生時、停電や通信障害も起こりえます。スマホを使えない場合もあります。電池式のラジオを備えて、使い方も学んでおくことをお勧めします。
 河野  日本青年会議所では、企業版ふるさと納税を活用した官民連携のマッチングに取り組んでおり、本県新富町が計画を進める防災拠点整備のために、大手ハウスメーカーがコンテナ型ハウスを寄付していただく予定です。防災は建設業だけでなく、多様な企業が官と連携していく必要があります。
 清山  宮崎市では、住民の防災訓練や防災教育に取り組むとともに、津波避難タワーや複合型津波避難施設を整備しました。津波の想定される浸水地域が広く、ハード整備とソフト対策を一体的に進めています。また防災備蓄品管理や防災倉庫など民間企業のご協力もいただきました。防災訓練では、自治会からの参加者は適切な行動を取っていただけます。しかし、自治会への参加が少ない若い世代が有事の際に整然と避難行動に移れるのか、当市としても取り組みの余地が大きいという点で問題意識を持っています。
 岡村  国、県、市町村が国土強靱化のインフラ整備を進めていますが、先に災害が発生することもありえます。災害発生時には、官民を挙げて総力戦で当たることが重要です。
パネルディスカッション5/
2.平時からできることの実行
  森   地域コミュニティも含め総力を挙げることが、唯一の対処方法と言えますね。山下さんは防災教育の活動に取り組まれているそうですね。
 山下  小学校で防災教育に取り組んでいます。地震は予知できないからこそ、子どもたちに限らず大人も含めて防災教育が重要です。地域と学校で継続して行える防災教育をもっと充実させるよう、各自治体に取り組んでいただきたい。
 出水  大学生や高校生など若い世代が、自主的に子どもたちや地域を巻き込んで新たな防災の取り組みへと広がっています。「わけもん」ならではの工夫や仕掛けのヒントがあります。
 森  多世代がつながっていかないと、これからの防災は成り立たないでしょう。河野さん、地域防災力をどう高めるか、企業のお立場からお話しください。
 河野  企業が平時からできることは、BCP(事業継続計画)策定にあります。宮崎県でも都市部では地域コミュニティが希薄になりつつありますが、中小企業間では横のつながりは今も強い。BCP策定の際には自助だけでなく、共助も盛り込んで地域を守るようにしていくことが重要と考えています。
 丸岡  明日やろう、今度やろうではなく、気づいたときの行動が大切。それが情報難民にならずに、命を守る行動につながります。「すぐやる」をぜひ実行してください。
 森  宮崎市と国では、どのような施策を推進されますか。
 清山  市では、緊急輸送路の整備や上下水道の耐震化、防災拠点の整備などを進めています。地震はいつ起こるか分からないので、日ごろの避難訓練が大切です。地域での避難訓練を継続して行い、実際に体を動かすこと。すべての市民が一度避難訓練に取り組んでいただくと課題も見えてきます。
 岡村  防災には、自助・共助・公助のすべてが求められます。国としては、いまほど報告、提言のあった自助・共助・公助の活動がさらに活発になる支援や制度を充実させていきたいと考えています。
 森  災害は必ず起きる、備えていれば助かる命がある。地震が起きたときに私たち一人ひとりがどう動くのか、周りの人たちをどう守るのか、この議論がひとつのきっかけになればと思います。パネリストの皆様、どうもありがとうございました。
パネルディスカッション6/

【連絡先】
内閣官房国土強靱化推進室
〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1
TEL.03-5253-2111(内線33734)
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