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国土強靱化:私のひとこと special.5

情報をどう伝え、どう受けとめて命をまもるか?

国土強靱化ワークショップ(第2回)

"レジリエンス"に関する様々なテーマで創造的な解決策を模索するため「情報をどう伝え、どう受けとめて命をまもるか?」をテーマとして、平成28年10月15日(土)に東京都にて第2回の対話型ワークショップを開催しました。


第2回国土強靱化ワークショップ参加者の集合写真

"伝える"ことと"伝わる"ことの違いを意識

災害発生時、的確な情報を伝えることは、多くの人の命を守る上でとても大切です。今逃げるべきか?どう逃げたら良いのか?正しい情報を発信していかなくてはいけません。しかし一方で、パニック状態に陥っている人が、冷静に情報を受けとめて判断し行動するということは、とても難しいものです。"伝える"ことと"伝わる"ということは、同じではありません。
 そこで、相手に"伝わる"伝え方とはどういうものか?情報の受信者の視点から、命をまもる情報の伝え方について考えるワークショップを実施しました。

東日本大震災のあの日、伝えた情報は伝わったのか?~災害時に情報と伝えるということ

今回のワークショップでは、20代~60代まで、多様な方に参加いただきました。互いの簡単な自己紹介を終え、和やかなムードの中、ワークショップが始まりました。
 話題提供として、NHK報道局 災害・気象センター災害担当部長の菅井賢治様から、「災害時に情報を伝えるということ」について、お話いただきました。
 東日本大震災時の報道を例に、当時の伝え方を振り返ります。何度も繰り返される「落ち着いて行動してください。」という言葉。「平時」の発想で用意していた、難しい呼びかけ文…。
 多くの命をまもるために、もっと報道にできることがあったのではないかと、菅井さんは振り返ります。落ち着いている場合ではなく、「とにかく逃げて欲しい。」そのことを一番に伝えるべきだったと。
 NHKでは、報道現場の反省から、東日本大震災以降、大幅に災害時の呼びかけ方法が見直されたそうです。大切なのは安心感を与えることではなく、とにかく逃げてもらう、命を守ってもらうこと。そのために 「急いで逃げてください。」 「決して戻らないでください。」 という、端的でわかりやすい表現に変え、切迫感をも伝えられるようにアナウンサーがトレーニングをしているそうです。
 人は、災害に直面した時、不安を和らげるため、「自分は大丈夫」と思ってしまいがちです。その中で、危険性を理解してもらい、自分のこととして受けとめてもらうのは、とても難しいことです。そのためには、受け取る側の状況を想像して、その状況に合わせた伝え方を考えることが大切です。情報とは、人の「情(なさけ)」に「報」いることだ、と話す菅井さん。相手の心に届くことで、はじめて価値のあるものになるのだと、教えていただきました。

伝えることの難しさ、受け止めることの難しさを、体感する

続いて、災害時を想定して、自分が置かれている状況を相手に伝えるロールプレイング(役割を演じる即興劇)を行いました。参加者は、二人組になり、一人がもう一人に対し、偶然引き当てたカードの中に書かれた「伝えるべきこと」を時間制限の中伝えるという簡単なゲームです。しかし、カードには「制約条件」も書かれており、達成するのは簡単ではありません。例えば、「声を出してはいけない」という条件や、「30秒で要点を伝えないといけない」という条件などです。
 日常とは異なる条件下で、とっさにボディランゲージを試みる人、誇張した表情で訴える人、さまざまな伝え方のチャレンジが行われました。

私達は、情報をどう受けとめている?どう伝えている?

ロールプレイングでの体験と、菅井さんのお話を振り返りながら、改めて伝えることの難しさについて語り合いました。「こんなにも伝わらないとは思ってもみなかった。」「わかってあげたいのに、わからないというのも辛い。」「相手がどこまで理解できているかを考えながら話すことが大事だ。」「普段から意識しておかないと、いざというときに伝えることはできないだろう。」「報道の人が日々努力していることが実感できた。」など、さまざまな意見が交わされました。

「伝わらない状況」「受け止められない状況」を変えるアイデアを発想しよう!

ここからは、新しい未来を創造する時間です。
 この伝わらない状況、受けとめられない状況をどうしたら解決できるのか、自分が考えたいアイデアの切り口を書き出し共有します。「災害時に役立つサインを考えたい。」という人もいれば、「教育の現場からできることを考えたい。」という人など、さまざまです。似たような考えを持っている参加者や、一緒に考えてみたい参加者を探してもらい、自主的にグループを編成します。
 グループが編成できたところで、改めて、今日のテーマ「情報をどう伝え、どう受けとめて命をまもるか?」に対して、さまざまな角度からアイデアを出し、ディスカッションをしていきます。その議論の様子を、グラフィックレコーダーが即座にイラストやキーワードで書き起こしていきました。個性豊かなたくさんのアイデアが、次々と具体的なアイデアとして表現されていき、次第に議論はひとつにまとまっていきます。

演劇形式で「情報の伝え方、受けとめ方」を表現

今回のワークショップでは、考えたアイデアを演劇で発表する形式としました。これは、「アクティングアウト」という手法で、サービスのデザインなどを行う際に用いられる手法です。演じることで、体験の流れと必要なポイントを明確にすることができます。
 最初は戸惑いを隠せなかった参加者たちも、発表のシナリオができてくると、キャスティングを考えたり、小道具をつくったり、入念なリハーサルをしたりと楽しみながら準備を進めていきました。
そして6つのグループから、それぞれのアイデアが発表されました。

  • 逃げる方向を向くとバイブレーションや多言語で示してくれるナビゲーションアプリ
  • 地震災害の時はバイブレーションでも通知できるという「伝わるサイン」、
  • スマートフォンをかざせばAEDスポットや危険な場所がわかり、防災教育用としても活躍が期待できるポケモンGo! ならぬ、「きょうじん(強靱)Go!」
  • さらに、地域情報をSNSと連携させ、地域住民との共有を強化させた「減災Go!」。
  • 既存の「共通ピクトマーク」の存在を多くの人に知ってもらい、馴染みあるものにするために、日常的にテレビやポスター、ニュースアプリなど、普段目にする場所で活用していくというアイデア
  • 相手の心に届けるため、災害時に肉親から声のメッセージが届く「にげろ!アプリ」など。

日常的な備えを誘発するアイデアから、心に届くための伝達方法を考えたアイデアまで、さまざまなアプローチが発表され、笑いと歓声につつまれました。

情報を受けとめ、伝えるために大切だと思うことは?

そして、ワークショップ最後には、今日のワークショップの体験をとおして、感じたこと、わかったこと、さまざまな発見を共有し合います。「災害時に、情報を受けとめ、伝えるために大切だと思うことは?」人それぞれ。しかしながら、相手を思い、心にとどける伝え方の重要性に気付いたワークショップとなりました。

#つながり #コミュニティ

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