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国土強靱化:私のひとこと special.4

支え合えるこれからのコミュニティについて考える

国土強靭化ワークショップ(第1回)

「強さとしなやかさを備えた国土、経済社会システムを平時から構築する」という国土強靭化の思想を、さまざまな立場の参加者が対話を通じて理解し自主的な活動へと発展させていくために――「支え合える これからのコミュニティについて考える」をテーマとして第1回の対話型ワークショップを開催しました。


第1回国土強靱化ワークショップ参加者で集合写真

国土強靭化を皆さんと一緒に考えていきたい、考えるきっかけにしたい

ワークショップの参加者が、互いに心を開き対話する環境をつくるために、5人程度のグループになり、自己紹介とともに今回のテーマである“コミュニティ”について、各自の考え方や経験を共有していきました。
 本ワークショップでは“コミュニティ”を人と人とのつながりとして幅広く捉えています。地域の単位だけでなく、家族、同じ時間を過ごす人、オンライン上のコミュニティや同じ興味をもって集まった人など、その解釈を広くすることで、固定概念から脱し、新しい考え方を模索することを狙いとしたからです。

災害につよい、つながりとは?~阪神・淡路大震災の記憶にコミュニティのあり方を考える

続いて、認定NPO法人レスキューストックヤードの常任理事である浦野愛さんより「災害につよい、つながりとは?」と題して、話題提供をいただきました。21年前の災害にご自身の活動の原点があると話し始めた浦野さん、阪神淡路大震災時の実態から、生活者に何が起っていたのか、人が支え合うこととはどのようなことなのか、事例を交え提言をいただきました。「巨大災害に立ち向かうための“つながり”とは?」、災害がもたらす脅威を3つのポイントとして図示されます。さらに浦野さんが震災の映像をスクリーンに映し出すと、そのリアルな光景に一瞬会場が静まりかえりました。「揺れている間は何にもできない」。被災者の言葉を紹介する浦野さんに、参加者の皆さんは一様にうなずいていました。
 「命を守る」「逃げる途中で死なない」「災害関連死を防ぐ」の3つのポイントから“つながり”を考えるとき、被災犠牲者に高齢者の方、そして障がい者の方が集中していること、一方で自力脱出困難な方の、実に7割を地域住民が救出していることを知っておいてほしいと浦野さん。そこにはまず、「はやく逃げろ!」というご近所さんの声がけが大切です。そして災害直後には、他に被災している人がいないかどうか、ご近所さんが一番よく知っているとも指摘し、さらに、在宅避難など行政がなかなか行き届かない状況にこそ、周りにいる人、近くにいる人がどれほど頼りになるか。そして、動ける人たちが力を合わせて、自分たちの生活環境を整えていかなければいけないと続けました。
 すべての参加者が、スクリーンに映し出された資料を食い入るように見つめています。それは、助けられる人、助ける人を自分に置き換えて、まさに自分ごととして考えているようでした。避難所での外国人の苦悩や、被災者自らが声を掛け合って生活環境を整えていくケースを例にして、「コミュニティを考えるきっかけにしてほしい」と結びました。

今、私達をとりまくコミュニティはどうなっている?

浦野さんから投げかけられた課題を、どうすれば解決していけるのだろうか。まず、自分たちのことを見つめ直すため、「今、私達をとりまくコミュニティはどうなっているのか?」グループごと対話を行いました。各テーブルに1人、対話を見える化するグラフィックレコーダーが入り、参加者の皆さんの話を絵や図を使って書き留めていきました。これまで気づいていなかったことや、気づいていても意識の薄かったことを思い返しながら、その理由を探りあう時間となりました。共感できる話が多いのか、うなずきながら話の輪が広がっていきました。
 話し合った内容を全体で共有しようと、とファシリテーターが発表を促すと、2つのグループが名乗りを上げました。最初のグループからは、地域に根づいた課題があげられました。東京下町に残る古くからの地理的なしがらみ、そして先住者と新しい住民との軋轢や意識の違いにどうやって折り合いを付けてつながっていくかが問題提起されました。続くグループは、都市型ともいうべき課題として、リアル(現実)社会とネット社会、一人暮らしとファミリー、職場と自宅の距離から生じる自宅滞在時間の違いを組み合わせて、三次元的な視点で、災害発生時や発生後の物理的な支援をどうすればよいのか、他のグループの皆さんに問いかけていました。

これからのコミュニティに大切だと思うこと~チームビルディングで自分の考えを再確認

ここで後半のディスカッションに向けて、新しいチームを編成し直します。参加者の皆さんがそれぞれ「これからのコミュニティに大切なこと」「自分が大切だと思うこと」を書き出し、それを見せあいながら、自分と似た考えの人や一緒に話し合ってみたい人を探す「マグネットテーブル」を行いました。徐々に考え方を同じくした新しいグループができあがり、参加者全体が、一つにまとまり、つながっていくようでした。

架空の隣人を想像しながら、あるべきこれからのコミュニティをイメージしていく

ワークショップの後半では「支え合える これからのコミュニティとは?」として、これからのコミュニティのあるべき姿をイメージしていきました。
 まずはじめに、自分たちのテーマを探り合いました。それぞれの思いを語りながら、周りの人の意見にも耳を傾けて、考え を深めていく。なごやかな雰囲気の中、時に意見をぶつけ合いながら、自然とテーマが具体的にまとまっていきました。強い言葉で話す姿には、防災、減災に向けたこれからのコミュニティへの真剣さ、妥協や曖昧を良しとしない、自分たちの問題として受け止めている熱い思いが伝わってきました。
 各グループともイメージが固まってきたところで、具体的な人物像を想定して、具体的なつながり方、安心できるつながり方を考えていきました。具体的な人物像を想像しやすくするために、「ペルソナシート」と呼ばれる、架空の人物のプロフィールや課題が具体的に書かれたシートが5枚、各テーブルに配られ、それらの人たちとどう関わっていけばよいのかを話し合いました。ファシリテーターがひとりひとりのプロフィールを紹介している間、参加者はそれぞれ静かに耳を傾け、カードに視線を落とし、思いをめぐらせ、その人物像を想像していきました。登場人物を自分たちの隣人に見立て、その人とどのようにしてつながりを持てるのか、どうすればコミュニティに参加させられるのか、自治体やママ友といった、自分たちの具体的なコミュニティを引き合いにして、さまざまな関わり方を検討していきました。1人に絞るのではなく、「5人ともみんな、近くにいる人たち」と考えるグループもありました。

自分ごととして考えた5つの未来像から、強くしなやかなコミュニティのあり方を見つめなおす

「未来のコミュニティ像を描く」ステップに進んでいくと、自分たちがテーマとして設定したコミュニティの観点から、「どんな人たちがかかわる?」「どのように支え合う?」「どんな工夫がある?」を整理しながら、自分たちの考える未来のコミュニティ像を真っ白な模造紙に形にしていきました。コミュニティに様々な機能を持たせるグループや、ドラマのシナリオを思わせるような物語を仕立てるグループもあり、楽しいながらも独創性溢れるコミュニティ像が出来上がっていきました。
 そしてグループごとに、ユーモアを交えながらも未来のコミュニティ、災害に強いコミュニティの姿について発表されました。「オープンな場作り」「守られる人から守る人へ」「ササキング ヒーローへの道」「自助強化できる社会」「誰もが生きやすい世界」と題して発表された5つのコミュニティ像は、どれも発想力豊かな内容で、3分間では時間が足りないくらい具体的な課題解決策に溢れたものでした。

テーマである「支え合える これからのコミュニティ」に必要なモノ、コトとは?

最後は、1日のワークショップを振り返る時間として、「支え合えるこれからのコミュニティに必要なもの」と題して、一人ずつ、気づきや思いを一言で表現してもらいました。それぞれが思い思いの一言を胸元に掲げ、全員が一つの輪になり、順番に読み上げていきました。深いうなずきと大きな拍手の中、支え合えるコミュニティの大切さと尊さを共有する時間となりました。

#つながり #コミュニティ

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