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国土強靱化:私のひとこと special.25

避難所運営ゲーム(HUG)を体験してみませんか?

(国土強靱化ワークショップ(第3回))

平成30年度第3回のワークショップは、防災・減災への関心を高め、取り組みを広げていくと伴い、より実践的なワークショップの観点から、「避難所運営ゲーム(HUG)を体験してみませんか?」として、平成30年11月3日東京都港区にて開催しました。
 今回のワークショップは、「避難所運営ゲーム H(hinanzyo避難所)、U(unei運営)、G(gameゲーム)」による実践的な体験を通して、より防災・減災に関心をもってもらうことを目的としました。新たな気づきや交流を広げていただこうとするものです。災害時の行動をイメージし、生き残り、支え合うための行動を避難所運営ゲーム(HUG)で実践的に学ぶことにより、自分・家族・街を守るため、災害時に、支え合う行動をともに考えることを目指しました。若い世代、高齢者の方など多様な世代の方々が参加しました。


国土強靱化ワークショップ【第3回東京会場】参加者の集合写真

話題提供: ~ 助け合い支え合う避難生活とは? 災害事例から学ぼう

話題提供として、(特活)日本ファシリテーション協会 (FAJ)フェロー・災害復興支援グループの鈴木まり子氏から、「助け合い支え合う避難生活とは?」と題して、災害実例から避難所のあり方、避難所運営について熊本地震での避難所についてのお話を中心に、参加者にHUG体験がより有意義なものなるためのヒント、気づきとなるお話をいただきました。

鈴木氏は、東日本大震災から、コミュニティーの再構築に向けた被災者コミュニティーの話し合いの支援や支援者同士の連携について取り組まれており、現在も北海道、広島、九州で支援をされています。
 具体的な事例としてのお話は、支援された熊本県上益城郡嘉島町での避難所運営です。嘉島町は震度6強の地震で多くの建物が全壊等の被害にあい、人口1万人ぐらいのところ2767名が避難したのことです。鈴木氏は、町民体育館での避難所運営を支援されました。
 余震が来ているなかで体育館も大丈夫かどうか分からず、靴を履いてないと危ないなどで、最初は土足で避難生活がスタートしたそうです。また、車中泊も多く、トイレが避難所にあるということで、その近くに多くの車が止められていたそうです。
 避難所の自主運営の訓練をしていなかったため、行政主導で運営が始まったそうです。行政の担当者は40代の女性の戸籍係の係長。大規模災害の場合は、静岡県でも1500カ所ぐらい避難所が必要といわれるなど災害対応に詳しい担当が来ることは困難とのことでした。
 避難所運営は、食料や日用物資の受け入れ調整、清掃・衛生管理、そして病気の避難者の対応、問い合わせ・苦情への対応、ボランティア・マスコミ対応など多岐にわたります。最初は福祉避難所が立ち上がらなかったので、介護が必要な人も避難し、担当の係長さんは介護もするなど、身も心も疲弊し倒れる寸前の状態になったとのことです。

この避難所での区分けは、学生とかのボランティアも手伝って、段ボールにより行いましたが、ほかの自治体ではやらなかったり、昼間は片付けるなどのケースもあったようです。最初に必要となるこのようなルールを、どう合意し決めていくかも課題とお話されました。
 さらに、避難所運営が進んでいく中で、いろいろな課題、問題が生まれてきたとのことです。まずはペットの問題。ペットは連れてきては駄目といっても、連れてくる人は連れてくる。それを追い帰すことが、なかなか行政にはできない。そして、外にしばっておくことにすると、避難してくる方や避難所の裏にある保育園の保育士を噛んだりした事故も起こったそうです。
 それから、子どもたちが静かに勉強する所がないというクレームもあったそうです。勉強部屋にするためコンテナハウスを建てることにしたが、感染症の人が出たためコンテナハウスは隔離部屋になったとのことです。女性の下着など洗濯物を干す所がない、小さな子どもがいるお母さんたちをどの場所にするかなどの問題も起きました。
 一番の課題は、1カ月ぐらいたって、避難者がやってもらって当たり前のような空気が生まれてきたことだそうです。やることがないので文句を言うことになる。そしてもう一つの課題は、避難者が、運動不足になり身体的にも問題が起きてきたそうです。
 この二つがあって、自分たちで運営してもらう方がよいとの話になったそうです。一方で、皆さんでやってくださいとは、行政からは言いにくいため、鈴木氏が参加していたNPOが、避難所の自主運営に向けた話し合いをお手伝いしたとのことです。
 まず、班分けし、班長をお願いしました。全部で7班です。まず班長達の代表となる人をお願いして決めた。代表から女性の民生委員に副代表をお願いしてもらった。代表と副代表が班長をやってくれそうな人に声かけして、7人の班長さんを決めるというやり方をしたそうです。班長の1人は大学1年生で、1グループ50人を担当した。鈴木氏たちが支援し、その班長たちで、HUGのようにどうやって運営するかなどを話し合い、皆さんで進めるということになったそうです。

そして、何かしなくてはと思っていた人や、してはいけないと思いこんでいた人が、自分たちで決めてやり始めたら、はりきって動くようになったそうです。
 自分たちで運営するということになった結果、どんな効果があったかというと、まず避難者同士が一緒に活動することで会話とか協力が生まれてきた。運営の大変さを実感し、マナーなども向上したとのことです。そういう人たちを見て、最初は行政がやることだと思っていた人たちも、だんだん参加するようになっていきました。
 協力意識が芽生えたことが一番の効果。避難所に入る人は建物が半壊や全壊の人が多く、避難所が閉鎖するとともに応急仮設住宅に入る可能性が高い。応急仮設住宅に入ると、自分のプライバシーが守られる一方でより孤立化しやすい傾向があるとのことです。避難所で皆さんが協力してコミュニティをつくったり、自分がやれることや人のためになることをやることが、より早い復興や元の生活に戻るために大事。避難所で自分たちが考えて、自分たちで生活していくっていうことは、次への一歩にとても大事だということです。
 まとめると、嘉島町では、避難所運営の訓練はされておらず、行政も住民も避難所運営はやったことがなかった。最初は行政がやることになり、住民もどう動いていいか分からない状況だったが、その後、自分たちで運営して、8月31日で閉めるまで本当に皆さんで頑張って運営をしたとのことです。班長会議は愚痴大会になることもあったが、「自分たちで考えて、自分たちで決めたやり方だから」と8月31日の閉鎖まで頑張ったそうです。

鈴木氏は、現在、豪雨災害に見舞われた呉、坂町、広島などの支援をされているそうです。そこでも、災害に備えての心掛けとして、避難所のイメージをまず持つということがとても大切だと感じていること、そして避難所でどんなことが起きるかイメージを持つことによって、主体的自立的に避難生活に取り組めるのではないかとのお話でした。そしてHUGなどを活用して、避難所運営のための訓練や話し合いを重ねることにより具体的な避難所での生活をイメージしていくことが、とても大事ではないかとのお話でした。静岡県下で取り組まれているように、HUGから発展して、実際に体育館に1泊2日する訓練・体験などにも取り組み、多様な人の避難生活をイメージして避難所をより良く快適にするために、いろいろなアイデアを考えておくことも大切だとお話されました。
 せっかく助かったのに、避難生活の環境が劣悪で亡くなってしまうなど関連死を防ぐためにも、HUGを通して意識していただけたらとの思いで話を結ばれました。

避難所運営ゲーム (HUG)体験~災害後の拠り所となる避難所ではどのようなことが起こるのか?

これらの発表から、関心をもってアイデアを検討していくため、参加者の意見で次の4つのテーマがまとまりました。ひとつは「避難の情報を知る、伝える」、そして「楽しい避難所」、「経験と知恵の伝承」、「災害時のイメージを理解する」です。

アイデア検討~災害時に支え合うアイデアを、楽しく出し合おう!

次にファシリテーターの早川鋭氏、水野実氏、宮野祐央氏の進行により、被災した時に拠り所となる避難所ではどのようなことが起こるのかを、HUGを通じて疑似体験します。HUGは、避難所に避難してくる年齢・性別などいろいろな人たちをイメージし、避難所運営を考えるものです。
 まず、話題提供で感じたことをテーブルの班ごとに話し合っていただき、班ごとの親近感を高めたうえで、ゲームの説明がありました。
 HUGでは、避難所運営に関する様々な疑似体験ができるよう用意されています。具体的には、避難者それぞれが抱える事情等が書かれたカードを避難所に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こり得るさまざまな出来事にどう対応していくのかを考えていくこととなります。進行者が順番にカードを読み、その内容に沿って、避難者に関することならば避難場所を決定して誘導する、イベントカードであれば対応を決定して対処行動をするという流れが説明されました。
 説明の後、HUGが開始されました。
 各グループのテーブルに、避難所となる小学校敷地の地図や体育館の平面図が広げられました。図面では、ほぼ避難者1人分の面積に相当するカード等が用意されていました。
 ゲーム冒頭では、作戦タイムがとられました。1番から15番までのカードを取り出し、まず配置のやり方やルールを、各班ごとに考えました。

ついで、進行者の宮野氏から、寒い冬の状況設定であること、ノンストップで続くため参加者が全部決めていくこと、早くカードを読みあげているので時間がなくなるが困った点を覚えて、気づきや学びとしていただきたいとの説明があり、いよいよカードが読み上げられていきました。
 参加者は、次々と読み上げられるカードを班毎に話し合いながら、避難者をどこに割り当てるか、避難してくる人の様々な状況(家族人数・構成、障害等の状況等)を考え、決めて行きました。さらに、毛布など物資搬入、電話機設置などへの対応が求められていきました。
 参加者は、次々にやってくる避難者の状況や要望への対応に、なかなかスムーズに平面図にカードを配置することが難しくなりました。

さらに、行政からの物資供給の連絡への対応や、周辺の人からの食料の支援要請、観光バスの避難要請、障害のある人やペットなどへの対応など、対応に悩むカードが読み上げられ、平面図も、カードで埋め尽くされていきました。
 郵便ポスト設置に関する連絡を内容とする、211枚目のカードが読み上げられ終了しました。次々と読み上げられたカードへの対応に熱心に取り組んだ形の終了となりました。

参加者対話・交流・発表~HUG体験・講評を通じて気づいた点、アイデアを共有しよう

ゲーム終了後、「HUG体験を通じて気づいた点、アイデアを共有しよう」について、班毎に話し合いました。 やさしい避難所づくりについて、子供・女性の声を避難所運営に反映することや、だれでもわかりやすい避難所運営、ペットへの対応などが話し合われました。
 また、地域・近所での取り組みについて、地域・近所とのコミュニケーションづくりや仲間でHUGをやってみることなどが話し合われました。
 各班を通じて、自分、家族の取り組みとして防災グッズの準備や事前に避難所の場所など自治体の情報確認なども話されました。
 そして、HUGを通じて大変だと感じた避難所生活・運営について、行かないで済む取組のためのアイデアも話し合われました。

発表 ~ グループワークを通じて気づいた点、アイデアなどを共有しよう

各班の話し合いの結果について、HUGを体験した気づき等によるアイデアについて発表されました。 1班のアイデアは、一つ目は避難所に行かないためのアイデア。自宅避難のためのアウトドア用品の活用を含めた備蓄、ルールの確認、自宅避難者への避難所での物資配布などの情報の確認。
 二つ目は、避難所に行くための備えのアイデア。情報収集や家族への連絡方法、日頃からの地域の方とのコミュニケーションや情報交換。ペットを預けるためのケージの準備、海外の方々の避難に対しての翻訳アプリ準備など。

2班からはのアイデアは、一番には自宅でも災害用のトイレを準備。自分の薬のチェック。
 それから仕事場を含めた避難場所、避難所や避難場所へ行くルートの確認。子どもとか女性の声を避難所運営に反映するなど、高齢者、子ども、女性、障害者に配慮のある避難所の準備。そして決めておいた担当が被害にあった場合にも備えて誰でもできる協力による運営にしておくことなど。

3班のアイデアは、まず、ペット対策について、犬に比べて扱いにくい猫に対してケージに入れる癖を付けておくなど。
 そして、備蓄の準備、避難所でのスムーズな受付や人々の連携のために平時からの地域の家族情報を把握しておくなど。そして、HUGを地域の人とやってみたり、学校での授業を含めて小さい子どもバージョンのHUGをやってみるなどのアイデア。

4班からは、まず、HUG体験による気づきとして、体力づくり、そして近所や運営仲間の人たちと、仲間づくり。そして、避難所運営に関して事前に知っておくこと。
 このためには、きょう体験したことを、家族や友人、職場に伝えて、さらに地域の防災訓練に参加することや、行政に頼らないこと。
 そして締めとしても、体力づくり。

5班のアイデアは、避難所運営が難しいことを周知し、共有の場を広げていくこと。このため、会社に属していたりなどいろいろな立場で、今回やったことを問題提起として、周りの人に訴えていく。それから、防災グッズを自分の努力として、避難所に頼るのではなくて、準備する。重要なのは携帯トイレ、充電器など。そして自分が所属している自治体、町内会とかの状況を知っておくこと。例えば障害を持つ人の割合を知っておくだけで、避難所の事前の区割りができる。

6班のアイデアは、発表者の主観との断り付きで、最低限、自分で守れることは自分で準備すること。
 一般的な物に加えて、自分の薬、家族のおむつ、ペットに関する物、トイレなど自分で対処できるような環境を整える。次に、隣近所とのコミュニケーション。周りの人がどんな人か知っておきたいことと、自分のことを発信できるようにする。情報をどう扱うかは、一つのポイント。
 そして、マーカーとか、紙とか最低限の本部設営キットみたいな物を自分たちで用意。自主的に最低限の運営ができる環境を作ること。

7班のアイデアは、一番は人に寛容になること。
 そして、持ちものの準備、確認。翻訳アプリソフトなど避難所で自分が人助けできるもの、自分の避難所で何ができるかを考えておくこと。
 さらに、自分の住んでいたり働いてる場所の特性の確認。まず近所の人にあいさつからはじめるコミュニケーションづくり。そして、家や仲間内でHUGをやってみる。そして避難所生活に備えた情報把握や創意工夫。

講評~話題提供者の講評により、新たな気づきを発見

HUGと参加者の発表をうけ、講評がありました。
 まず、鈴木まり子氏より、避難所運営に正解はないが、HUGを通じて避難所では様々なことが起こること、運営について様々な知識が必要なことを感じていただけたのではないかとのお話がありました。そして各班ごとに話し合われたことで、大切なこととして共有したいことが指摘されました。
 1班については、すべてを避難所で解決できるわけではないので要望を断ることなど。
 2班については、女性の視点が大切なことなど。
 3班については、見える化して整理していたことなど。
 4班については、避難所は、自宅でどうにかならない人が来るので、認知症などの人が多く来ることへの気づき。また、帰宅困難者や観光客など地区外の人を避難所に入れるかどうかの判断の問題。東京では、断ることはできないのではないかと指摘されました。
 5班については、取りあえず決めて進めていこうとする取組など。
 6班については、避難所のコーディネーター養成の必要性など。
 7班については、人に寛容になるという心の用意。関連して熊本の避難所で、リーダーの方が、クレームに対して、ユーモアや思いやりのある対応をして精神的にもいい環境にしていったお話をされました。
 また各班を通じて話し合われたように、避難所に行かないように自分の無事の確保のための準備も大切だが、それだけではなく、助け合い支えあいのために自分たちでやれることを考えていくことも大切ではないかと指摘されました。
 また、災害時の暮らしはいつもの暮らしの延長であり、普段から心配な人が余計心配になる。普段から困りごとを解決しておくことが、実は一番の防災になるのではないか、このためしっかりと自分、地元のことを考えていく必要があると感じたと結ばれました。
 有識者の宇野沢氏からは、季節や災害の種類(例えば地震災害と気象災害)、行政が大被害を受けた場合など被害の程度によって避難や避難所の条件も異なること、正確な情報の入手の大切さ等についての指摘があり、これらも配慮してもらいたいとのお話がありました。

ワークショップの最後には、早川氏から、避難所運営に関する参考資料の紹介・提供がありました。参加者が、今回の体験をより深めていくための貴重な情報提供となりました。
 今回のワークショップは、実践的なHUG体験を通して、実際の災害時をイメージした自分の取組を考えるための貴重な体験であったとともに、日常からの支えあいやつながりづくりによる防災・減災を考え、取り組んでいくための一歩となる貴重な機会となりました。

#つながり #コミュニティ

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