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国土強靱化:私のひとこと special.10

強くしなやかに支え合えるネットワークについて学ぼう!

(国土強靱化地域自主ワークショップ(盛岡会場))

平成29年10月29日、岩手県盛岡市において、災害時に強くしなやかに支え合えるネットワークについて学ぼう、をテーマとした初めての地域自主ワークショップを行いました。
 国土強靱化地域自主ワークショップは、平成29年8月26日に東京で行われた第1回国土強靱化ワークショップに参加された各地域の「地域リーダー」が行うものです。
 「地域リーダー」とは、地域での防災・減災活動を自主的に行い、平時から様々な組織等とコミュニケーションをとり、中心となって活動していただいている方です。
その方々が防災、減災等のテーマについて自ら企画立案した形で、国土強靱化地域自主ワークショップを行っていただきました。


国土強靱化地域自主ワークショップ参加者の集合写真

地域自主ワークショップの自主的な企画づくりのプロセス

今回のワークショップでは、支援活動時に必要なネットワークとは? ネットワークで解決可能なこととは? など、ネットワークについて考えていただくため、地域リーダーの新沼真弓氏は、実際にネットワークの拠点づくりやネットワークの取組み支援の実践者である「いわて連携復興センター」の葛巻氏に現在進められているネットワークづくりについて実例をお話しいただき、それをヒントに、これから自分たちが災害時・平時にほしいネットワークをつくるにはどうしたらよいかを考える機会をつくりたいと考えました。
 さらに、ほしいネットワーク、その意義について、課題解決のアイデア、気づきを引き出すための手法として、アイデアシートづくりを行ってもらい、アイデアを共有することによって更なるネットワークの広がりが期待できる手法として連携デザインゲームを実施することとしました。連携デザインゲームとは、災害時に必要とするネットワークについてさまざまなアイデアによりデザインを構築し、グループ内でそのネットワークをどのようにつなげるか、平常時にはそのつながりがどのように役立つか、などを議論し、多様なアイデアにより、更なるネットワークの輪を広げていくというものです。

地域自主ワークショップ【盛岡会場】の開催趣旨~災害時に支え合えるネットワークを考える

ワークショップの冒頭では、今回のワークショップの趣旨を地域リーダーの新沼氏と地域サブリーダーの玉澤邦彦氏よりご説明頂きました。
 新沼氏からは、「東日本大震災で県内外から多くの支援を受けましたが、その際に、どういった組織者やネットワークが動いているのか知りませんでした。そのため、今後、自分たちが取組んでいくにあたって、どういったネットワークが必要なのかを学んで備えたいとの想いから今回の場を設けて頂きました。
 本ワークショップの参加者は多様な地域から来られており、抱えている課題も多様だと思いますが、今回の地域自主ワークショップを通じて、それぞれの課題解決のヒントや新たなネットワーク、つながりのきっかけとなればと思います。今回の会を通じて皆様に気付きがあれば幸いです。」という開催趣旨を説明していただきました。

 

話題提供 ~しなやかに連携できる地域ネットワーク

「しなやかに連携できる地域ネットワーク」と題して、東日本大震災における岩手のNPOの活動と連携について、「特定非営利活動法人 いわて連携復興センター」 常務理事 葛巻徹氏よりお話し頂きました。


葛巻氏は、まず、震災前の市民活動団体等の連携のようすをお話しくださいました。
 岩手県内では、震災前からNPOを推進する機運が高まり、県内各所に中間支援組織が出来上がっていったそうです。葛巻氏は、県内各地の中間支援組織の拠点の地図とその支援のネットワークの地図を示して、わかりやすく説明してくださり、被災地内外の県内のいたるところが市民活動とそのハブとなる各地域の中間支援組織により県内の地域ごとに中間支援組織を拠点としてつながり、網羅されていることがわかりました。
 その後、東日本大震災を契機に多くのNPOが設立され、地域の復旧や復興に携わってきました。これらの団体の中には震災後7年を経て既に解散しているNPOもあるそうです。
 このように、県内のネットワークは多少ありましたが、県外とのつながりが薄いといった状況の中、各団体は、地域の復興へ取り組む中で、さまざまな地域課題に直面し、課題の解決のため、地域内外とのネットワークを構築する動きも出てきたそうです。
 葛巻氏をはじめとしたメンバーの方々は、様々な団体・組織が被災地支援のために来県する状況を見て、県外・地域外との連携のためにも、それらをコーディネートする組織が必要と感じ、平成23年4月28日に「いわて連携復興センター」を設置しました。
 葛巻氏たちは、まず、支援に入っていたNGOの会合に参加することからスタートし、NGOの手法を学んだり、参加組織とのネットワークを構築しながら支援活動を実施されたそうです。
 また地域によっては、震災直後はネットワークの重要性は理解しているものの外部から押し付けられた考えへの反発もあったため、葛巻さんたちは、県内NPOとしてできることから少しずつ実施し、各地域に合ったコーディネートができるように、信頼関係を築きつつネットワークを構築してこられたそうです。
 葛巻氏たちは、この積み重ねの中で、昨年(平成28年)、県内で大きな被害が出た台風10号の際には、東日本大震災の経験をもとに、ネットワークの構築や現地でのコーディネートを実施され、大きな成果を得ることができたそうです。
 このように、震災や台風などの大きな災害での支援活動を経験しながら、少しずつネットワークの強化と熟成を行っているそうです。

 参加者の皆さんは、自分たちの活動に活かせるヒント満載のお話に熱心に耳を傾けていました。さらに話題提供後は多くの方から手が上がり、ネットワークの構築と、その際に実際に直面した具体的な課題解決に関する質問がありました。
 支援のために現地に入ったNPO同士の擦れ違いや摩擦をどう解決したか?、活動者の思いが強すぎてぶつかる場面があったと思うが、その時の対応はどうしたか?といった質問に対し、葛巻氏は、事前のネットワーク作り、コミュニケーションが重要とおっしゃっていました。葛巻氏の組織では、各地域に担当コーディネーターを置き対応することで、地域に合ったコーディネートができるように心がけられ、各地域の担当コーディネーターが外部支援者などとの潤滑油として活動されたそうです。
 さらに、ネットワークづくりはメリットだけか?という質問に対しては、地域ごとに背景が違うので、地域に合ったネットワークが必要で、そのためには、事前の話し合いの場などの準備が必要、皆が納得しないネットワークは機能しない、押し付けられたものではなく、作り上げたネットワークには強みがある。といったお話がありました。

参加者対話 ~必要とする・活用したいネットワークとは

話題提供に続いて、災害時に必要とするネットワーク、活用したいネットワークについて、ディスカッションしました。
 まず、様々な立場、状況を想定して、それぞれの地域で考えられるもの、災害直後の緊急時や避難所運営時や復興期にいたる中で必要な時期などを書き出してもらい、「被災直後の食料などの支援情報」、「防災教育・伝承」、「特殊なアレルギーの相談」、「情報の共有」、「地域内組織のネットワーク」、「各NPO法人とのネットワーク」など、発災直後からのものから復興期まで、また通常時からの備えとして、様々な意見が出てきました。

ワークショップ ~ネットワークがあるとどんなメリットがある?

続いて、先程提案したネットワークがあると災害時の支援時にどのようなメリットがあるのか?について、自身が提案したネットワークについて考えて頂きました。

 必要とする・活用したいネットワークとして、特殊なアレルギーの相談ネットワークを挙げた方はメリットとして、食品や環境による悪化に即対応できる、教えてあげられるといったメリットをあげていました。
 ご自身のご家族がアレルギーがあり、東日本大震災時に避難先などでアレルギーへの対応で大変苦慮された経験から多様なアレルギーへの対応が可能になるようにネットワークが形成できていればとの考えからの発案が出されました。

 その他に、必要とする・活用したいネットワークとして空間共有ネットワークを挙げた方は、メリットとして一時的な人や物のスペースを確保できる、変化していくニーズに合わせたスペースを確保できる、といった発災後から復興へ取り組む段階までの長期にわたり活用できるネットワークの提案がありました。

連携デザインゲーム

続いてのワークでは、連携デザインゲームを行いました。ワークショップで出た災害時に必要とするネットワークと、そのネットワークは平時からどのようなことをすれば実現・形成・つながることができるのかについて、自身の提案したアイデアから一つ選び、実現に向けて各班内で多様な視点から考えて頂きました。

 ここでは、グループ内のメンバーが実際の経験からのアイデアをきっかけに、更に深く議論したり、既にお持ちのネットワークを紹介して可能性を広げるアイデアが出るなど、すぐにでも実現可能なものや、将来に期待できるアイデアもありました。
 最後にそれぞれの考えたネットワークに参加者全員でコメントを書き込んで頂き、それを踏まえた感想を述べて頂きました。
 他の参加者のコメントを見て、自身の考えたネットワークに自身を持った方、もっと磨きあげられると感じた方、新たなアイデアに気付いた方など、様々な感想が出ました。

ふりかえり

ワークショップを振り返り、話題提供者のいわて連携復興センターの葛巻氏から、関わりのつくり方、情報発信による認知、中間支援組織など他の組織の活用や異文化、他地域間のネットワークも重要、そして何より、まずは楽しいことから無理なく取り組むことが重要、というお話をいただきました。

 今回のワークショップを通じ、ネットワークの構築には強制的な動きよりも、緩やかでもよいので常日頃からのつながりが必要と感じました。
 また、民間だけでなく行政や企業といった多種多様なつながりが考えられ、様々な課題に対して多様な取り組みを行えるネットワークの必要性を感じました。
 まずは、難しく考えず、ゆるやかな繋がりからのネットワーク作りからスタートすることが大事です。
 今後は、この学びを地域自主ワークショップの参加者自らが、それぞれの地域で地域リーダーとして、災害時にもしなやかに対応できる地域づくりを広げ、発信していくことを目指しています。

#つながり #コミュニティ

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