1956~1998年

1956年10月

日ソ共同宣言

平和条約の締結交渉の継続及び平和条約締結後にソ連が歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡すことに同意

 第二次世界大戦後、日本はソ連との間で平和条約の締結に関する交渉を行いましたが、我が国固有の領土である北方四島のうち、択捉島及び国後島の帰属の問題について合意に至らなかったため、日ソ共同宣言を締結することにより、日ソ間の国交を回復することとなりました。
 日ソ共同宣言第9項においては、両国が「平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。」と明記されています。ソ連は歯舞群島、色丹島の引渡しに同意しました。ただし、平和条約の締結後に現実に引き渡されることとされました。

日ソ共同宣言(抜粋)

1956年10月13日から19日までモスクワで、日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間で交渉が行われた。
日本国側からは、
 内閣総理大臣  鳩山一郎
 農林大臣    河野一郎
 衆議院議員   松本俊一
が参加し、
ソヴィエト社会主義共和国連邦側からは、
 ソヴィエト連邦大臣会議議長     エヌ・ア・ブルガーニン
 ソヴィエト連邦最高会議幹部会員   エヌ・エス・フルシチョフ
 ソヴィエト連邦大臣会議議長第一代理 ア・イ・ミコヤン
 ソヴィエト連邦第一外務次官     ア・ア・グロムイコ
 ソヴィエト連邦外務次官       エヌ・テ・フェドレンコ
が参加した。
相互理解と協力のふん囲気のうちに行われた交渉を通じて、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との相互関係について隔意のない広範な意見の交換が行われた。日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間の外交関係の回復が極東における平和及び安全の利益に合致する両国間の理解と協力との発展に役だつものであることについて完全に意見が一致した。
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間で行われたこの交渉の結果、次の合意が成立した。

1日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の戦争状態は、この宣言が効力を生ずる日に終了し、両国の間に平和及び友好善隣関係が回復される。

9日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。
ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

共同声明に署名した海部総理とゴルバチョフ大統領(写真:内閣官房内閣広報室)

共同声明に署名した海部総理とゴルバチョフ大統領
(写真:内閣官房内閣広報室)

1991年4月

ゴルバチョフ大統領訪日

歯舞、色丹、国後、択捉の四島が領土問題の対象であることを文書において確認

 ソ連の指導者として初めて、ゴルバチョフ大統領が訪日しました。海部俊樹内閣総理大臣との間で合計6回にわたる徹底した議論が行われた結果、 日ソ共同声明が署名されました。
 この声明において「歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の帰属についての双方の立場を考慮しつつ領土画定の問題を含む」両国間の平和条約の話し合いが行われたこと、及び「平和条約が、領土問題の解決を含む最終的な戦後処理の文書であるべきこと」が確認され、歯舞、色丹、国後、択捉の四島が平和条約で解決されるべき領土問題の対象であることが初めて文書の形で確認されました。

エリツィン大統領と共に「東京宣言」に署名する細川総理(写真:内閣官房内閣広報室)

エリツィン大統領と共に「東京宣言」に署名する細川総理
(写真:内閣官房内閣広報室)

1993年10月

エリツィン大統領訪日

「日露関係に関する東京宣言」に署名、平和条約の早期締結に向け交渉継続を確認

 細川護熙内閣総理大臣とエリツィン大統領の首脳会談の結果署名された「日露関係に関する東京宣言」では、両首脳が、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題について真剣な交渉を行ったこと、また、この問題を歴史的·法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意することが宣言されました。

エリツィン大統領と会談する橋本総理(写真:内閣官房内閣広報室)

エリツィン大統領と会談する橋本総理
(写真:内閣官房内閣広報室)

1998年4月

川奈首脳会談

橋本総理から領土問題解決のための提案が行われる

 静岡県川奈で、訪日したエリツィン大統領と橋本龍太郎内閣総理大臣の首脳会議が行われました。この首脳会談では、前年にロシアで行われたクラスノヤルスク会談以後着実に進展してきた日露関係がすべての分野にわたり一層拡充されました。特に平和条約については、同条約が「東京宣言第二項に基づき四島の帰属の問題を解決することを内容とし、二十一世紀に向けての日露の友好協力に関する原則等を盛り込むものとなるべきこと」で一致しました。さらに、橋本総理から、領土問題解決のための提案(川奈提案)が行われました。

モスクワにおいてエリツィン大統領と会談する小渕総理(写真:内閣官房内閣広報室)

モスクワにおいてエリツィン大統領と会談する小渕総理
(写真:内閣官房内閣広報室)

1998年11月

モスクワ首脳会談

「創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言」に署名

 小渕恵三内閣総理大臣が、我が国の総理大臣としては25年ぶりにロシアを公式訪問しました。「創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言」が両国首脳によって署名され、東京宣言並びにクラスノヤルスク及び川奈における首脳会談に際して達成された合意に基づいて、平和条約の締結に関する交渉を加速するよう両政府に対して指示しました。
 平和条約問題については「川奈提案」に対するロシア側の回答が提示され、日本側はこれを持ち帰って検討することになりました。

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