内閣人事局
人事院

国家公務員にキャリアチェンジした、私たち 国家公務員にキャリアチェンジした、私たち

MEMBER

村岡雄太

財務省

村岡 雄太

Yuta Muraoka

所属:関税局関税課第一参事官室係長
略歴:法学部 学士課程修了。令和2年3月まで政策金融機関に従事。令和2年4月に財務省入省。大臣官房総合政策課調査主任を経て、現在に至る。
前職で従事する中で、政策形成の場に直接自分の身を置かなければならないという考えに至る。人々が安心して経済活動に従事できる環境を整備したいという思いで、財務省を志望。
竹中良

厚生労働省

竹中 良

Ryo Takenaka

所属:労働基準局労働関係法課 課長補佐
略歴:経済学部 学士課程修了。生命保険会社の営業企画部、人事部、タイ留学、タイ現地法人出向、主計部等を経て、平成27年4月に厚生労働省入省。年金局企業年金・個人年金課企画係長や社会・援護局総務課企画法令係長、財務省主税局総務課課長補佐、厚生労働省クラスター対策班課長補佐を経験し、現在に至る。
子どもの誕生を機に、現代世代が生んだ負債を将来世代が生まれながらにして背負う必要のない社会にしていくことが必要と考えて厚生労働省に入省。
加賀谷洋輔

国土交通省

加賀谷 洋輔

Yousuke Kagaya

所属:道路局参事官付課長補佐
略歴:法学部 学士課程修了。大手総合ITベンダーを経て、平成30年2月に国土交通省入省。総合政策局公共交通政策部交通計画課係長・総合政策局地域交通課係長を経験し、現在に至る。
前職の業務に当たる中で技術面はもちろん大事である一方、法整備や政策を通して社会にどう実装させていくか、ということの重要性を感じる。そこで行政という分野に関心を持つようになり、国土交通省への入省を希望。
諏訪祥士

気象庁

諏訪 祥士

Yoshihito Suwa

所属:気象庁地震火山部地震火山技術・調査課技術専門官
略歴:大学院 修士課程修了。自然科学研究科 地球科学専攻。大学研究施設の技術職員等を経て、平成30年4月より気象庁に入庁、高松地方気象台技術専門官・気象庁地震火山部地震予知情報課技術専門官を経験し、現在に至る。
災害で亡くなる人を無くしていきたいと想いを持ち、気象庁に入庁。

※各職員の所属は2021年3月時点

CASE:01

関税政策を切り口に
国際経済にアプローチできる稀有な仕事

財務省

村岡 雄太

Yuta Muraoka

Question01

前職ではどのような仕事に携わっていたか教えてください

村岡

村岡

日本経済を良くしたいという思いを抱き、新卒で政策金融機関に入社しました。前職において、経済調査分析と金融政策にかかる業務に従事していました。経済調査業務としては、企業や経済団体へのヒアリングや「全国企業短期経済観測調査(短観)」等の統計作成を通じて、日本国内における直近の経済状態の把握に努めました。こうして得られた調査結果を基に金融緩和や引締めが実行されるのですが、金融緩和で市中の金融機関にお金を貸すときには、政策金融機関自身の資産価値を守るために担保として上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)の受け入れを行います。前職の後半は、こうした担保のリスク評価や管理を行う業務を担っていました。

村岡雄太

Question02

国家公務員を志望したきっかけや理由を教えてください
また、試験に向けてどのような準備をしましたか

村岡

村岡

私は、人々が安心して経済活動に従事できる環境を整備したいという思いで、財務省を志望しました。前職の調査業務に従事するなかで、米中対立やコロナ禍等による国内外の先行き不透明感に委縮して、企業が野心的な投資を控え、成長機会を逃してしまう事例がみられました。こうした負のマインドセットを払拭するためには、安定した国際秩序や持続可能な社会保障等、金融に留まらない包括的な公共財を提供し、人々の心に余裕を生み出すことが必要です。こうした経済安全保障の実現に携わるためには、政策形成の場に直接自分の身を置かなければならないという考えに至りました。
試験対策としては、4カ月前から進めました。経験論文に関しては、自分のこれまでの経験を書き出して整理したうえで、自分の描く理想を実現するために、今の自分をどう活かしていけるのかをまとめる練習をしました。また、面接の準備として想定問答を作成し、シミュレーションを行いました。本番では、「自分はどう役立てる人間なのか」を具体的にアピールすることを心がけました。

村岡雄太

Question03

今携わっている業務について教えてください

村岡

村岡

私が所属する関税局の業務は、輸入品に対する関税の賦課徴収や社会悪物品の水際対策等、海外との物流に深く根付いています。関税局が有するこうした政策手段を貿易の促進に役立てるため、外国との経済連携協定(EPA)の締結や国際機関(世界貿易機関(WTO)、世界税関機構(WCO)等)での活動に関する取りまとめを行っています。具体的には、政府全体の外交政策が関税政策と整合的になるよう関係省庁と調整し、財務省としての方針を示したり、コミュニケ等成果文書の推敲に携わったりしています。これらの業務は関税あるいは経済連携に特化していますが、外交全体を俯瞰できる広い視野が求められます。また、多くの利害関係者が介在しますが、それぞれが主張することは道理に適っていることを前提に、相手の立場を尊重しつつ、折り合いを見つけられる洞察力や調整力が試される業務でもあります。

Question04

国家公務員になって良かったことや国家公務員の魅力を教えてください

村岡

村岡

財務省には、予算づくりを通じた各省庁の政策への関与、税金の仕組みづくり、国債の発行・管理、G 7やG20といった国際会議の主催等、さままな役割があります。したがって、どの業務を担うことになっても、入省時に自身が抱いていた志を具体化することにつながると思います。そのなかでも現在の仕事は、米中貿易摩擦をはじめとする国際経済秩序に直接に携わることができます。現在貿易の世界では、環境問題やデジタル化等、これまで意識されていなかった新たな領域についての知見を導入し、国際的に百家争鳴の議論がなされています。国家公務員の仕事では、こうした複雑化する社会課題に対し、50年先を見据えて「正しく」対応することが要請されます。多くの利害関係者と不確かな将来に責任を負う大変な業務ですが、責任と等価のやりがいを常に味わうことができる稀有な職場だと日々感じています。

CASE:02

持続可能な社会保障制度の構築を意識して
日々仕事に取り組めるやりがい

厚生労働省

竹中 良

Ryo Takenaka

Question01

前職ではどのような仕事に携わっていたか教えてください

竹中

竹中

社会貢献に関心のあった私は、生命保険が人々に安心を提供する事業であり、海外を含めて業務に広がりがあることに魅力を感じて、生命保険会社に入社しました。入社当初は、営業職員の人事制度の改正等に4年間携わり、課題の分析や労働組合との折衝、規定の整備などを行っていました。特に、保険金不払い問題の発生を契機に、それまで主に新規契約獲得に応じて給与が決定された従来の人事制度を、契約者へのサービス重視型に変更する改正に携われたことは、貴重な経験となりました。その後、タイ現地法人に出向し、ノウハウ伝達や日系企業の開拓等を担当しました。帰国後、予算編成担当者として事業費支出の効率化や新規事業への投資可否判断等に携わりました。

竹中良

Question02

国家公務員を志望したきっかけや理由を教えてください
また、試験に向けてどのような準備をしましたか

竹中

竹中

子どもの誕生を機に、現代世代が生んだ負債を将来世代が生まれながらに背負う必要のない社会にしていく必要性を考えるようになりました。折しも消費税率引上げに関するニュースが聞こえていた時期のこと、財務省職員の方による講演に参加し、急拡大する社会保障関係の費用が財政に与える影響を知りました。それまでの経歴も活かして、持続可能な社会保障制度の構築に少しでも貢献したいと考えるようになり、厚生労働省を志望しました。
試験に向けては、2か月前から準備を始めました。インターネットの公務員試対策講座を利用し、出題傾向の高い問題に集中的に取り組んだほか、小論文は添削サービスを通じて、アドバイスを受けました。また、面接対策として、厚生労働省出身の方が書いた社会保障関連の入門書や専門書を数冊読み、それをもとに厚生労働行政全般の把握にも努めるとともに、想定問答を作成して頭を整理しました。

竹中良

Question03

今携わっている業務について教えてください

竹中

竹中

個別的労使関係や集団的労使関係について法制面を中心とした企画・立案を担当しており、主に、多様化する労働契約のルールに関する検討に携わっています。具体的な検討事項の一つは、「無期転換ルール」の見直しの検討です。このルールは、有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安の解消等に対処するため、有期労働契約が一定の要件を満たす場合に無期労働契約に転換する仕組みとして導入されたものですが、法律の規定により、今がちょうど見直し検討のタイミングに当たります。もう一つは、勤務地や職務、勤務時間を限定した正社員の雇用ルールの明確化の検討です。無期転換した人を含め、正社員として働きたいものの、「ワーク・ライフ・バランスを重視したい」とか「専門性を磨きたい」という労働者側のニーズがある一方で、企業側としても優秀な人材の確保や定着のニーズがあり、労使双方にとって望ましい多様な働き方が求められています。中でも勤務地限定等の労働契約の内容が曖昧なことに起因する労使の紛争の未然防止等が求められるようになり、勤務地限定等の雇用ルールの明確化の検討を行うことが閣議決定されています。この2つの課題に関する検討会の準備を主に行っているところです。

Question04

国家公務員になって良かったことや国家公務員の魅力を教えてください

竹中

竹中

問題意識として持っていた「持続可能な社会保障制度の構築」を意識して日々仕事に取り組めていることにやりがいを感じています。いま担当している業務もまた、多様な働き方を支えることにつながるのなら、ひいてはより多くの方が社会保障の支え手として活躍いただきやすくなる環境の整備にもなると思っています。こうした国家規模の課題に取り組めるのは国家公務員ならではです。また、財務省に出向する機会を得て、消費税率引上げ関係業務に携われたことも、私自身の問題意識にマッチした良い経験になりました。転職以降、私に求められてきた主な仕事は、自ら動いて課題を見つけ、課題への対応案を考え、その案をもとに関係者と調整することだったと思っています。その過程で自らの成長を感じられるだけでなく、携わった法案が成立したときや無事に施行したときの達成感はひとしおです。また、労使交渉等の民間での経験が現在の仕事にも活きていると感じています。

CASE:03

5年先の日本を見据えて
まちづくり、暮らしに貢献していく

国土交通省

加賀谷 洋輔

Yousuke Kagaya

Question01

前職ではどのような仕事に携わっていたか教えてください

加賀谷

加賀谷

もともと学生時代から世の中のいろいろなことに幅広く携わりたい思いがありました。その点、システムの設計・開発は、あらゆる業種に関わることのできる裾野の広い手段と捉え、さまざまな仕事を経験できる機会があると思い、大手総合ITベンダーに新卒入社しました。ここでは、保険会社を顧客とするシステムエンジニアとして、システムの開発・保守を行うほか、プロジェクトリーダーとしてシステムの仕様等について顧客と調整を図りながら要件を決めていく業務を行っていました。また、今後の自動運転社会に向けて、ビックデータやAIを活用してどのように新しい保険を提供できるのかの検討を行う企画業務にも携わっていました。

加賀谷洋輔

Question02

国家公務員を志望したきっかけや理由を教えてください
また、試験に向けてどのような準備をしましたか

加賀谷

加賀谷

企画業務に携わるなか、技術面は大事であるものの、法整備や政策を通して社会に実装していくことの重要性をより感じるようになりました。自動運転技術の方向性を示せたとしても、それが世の中で実際にどう活用されるのかはもとより、社会や生活者が移動手段として何を選択し、それがまちづくりや暮らしにどう反映されていくのかをトータルで考えないことには、“絵に描いた餅”になってしまうのではないかと考えるようになったのです。こうした疑問に民間企業の立場から解を出す方法もあると思うのですが、私はその仕組みづくりに携わりたいと考えるようになり、行政に関心を持ちはじめたことが国土交通省への入省を希望するきっかけになりました。
試験の準備としては、まず基礎能力試験は参考書を活用して演習を繰り返しました。また、経験論文は、自分の今までの業務内容やそれによって得た経験を整理し、これらがどの組織で、どのように貢献できるのかを整理し、A4用紙10枚くらいのボリュームで書き出すなどの対策をしていました。

加賀谷洋輔

Question03

今携わっている業務について教えてください

加賀谷

加賀谷

平成29年に国土交通省に設置された「自転車活用推進本部事務局」で、環境にやさしく健康増進に役立つ自転車が国民生活において幅広く活用されるよう、自転車レーンの整備等の利用環境の整備を行うほか、自転車保険の加入促進、自転車通勤の促進、サイクルツーリズムの推進などを行っています。また、国の取組をまとめた「自転車活用推進計画」というものがあり、これが今後の5年間の自転車施策を取りまとめたものになるのですが、次期計画の策定に向け、各省庁と調整したり、有識者と議論したりしながら策定作業を進めています。
この本部自体が警察庁や経済産業省など、さまざまな省庁のメンバーで構成されています。課題も多岐にわたるため、色々な関係者と調整を必要とする場面も多々ありますが、相手の関心事が何かを考え、本質を大切にした対話を心がけています。自分がいま携わっていることが、今後の5年間に多少なりとも影響を及ぼすことをモチベーションにして励んでいます。

Question04

国家公務員になって良かったことや国家公務員の魅力を教えてください

加賀谷

加賀谷

前職では、目の前にいる顧客の利益に貢献することが一つのミッションであり、顧客から「ありがとう」と言われるわかりやすさがある一方、自分が携わった仕事が世の中にどのような広がりをもたらすのかが見えにくい部分がありました。一方、国家公務員は目の前の国民に「ありがとう」と言われるわかりやすさは少ないかもしれませんが、自分の携わっていることが、国としての方針となり、3年後5年後の世の中にどのような変化をもたらすのかを大局から考えることができます。これだけスケールの大きな仕事に携われる職業は、他にはないと感じています。
政策の実行手段である法律・予算・税制も、民間企業には無いツールであり、これらを組み合わせてどのように世の中を変えていくのかを考えられることは国家公務員ならではの魅力です。

CASE:04

地震情報のセキュリティの要として
人命に直結した責任感のある仕事

気象庁

諏訪 祥士

Yoshihito Suwa

Question01

前職ではどのような仕事に携わっていたか教えてください

諏訪祥士

諏訪

私は九州出身なのですが、小さいころには水害をはじめとする自然災害に、また高校時代には震度6弱の地震を経験したことなどから、災害で亡くなる人を無くしたい思いが芽生え、大学院では地球科学を専攻し、地震や気象に関する学びを追究してきました。卒業後は、畑の違うバイオマス関連の研究所で働いていたのですが、地震や気象に関連した仕事に就きたい思いをずっと持っていたことから、当時募集のあった大学研究施設の技術職員にキャリアチェンジしました。ここでは地震計の設置や保守を主に担当していました。具体的には、日本各地の陸域における地震や火山の地震観測点の設置や保守管理、日本近海における自己浮上型の海底地震計の組み立て、設置、回収などにかかわりました。

諏訪祥士

Question02

国家公務員を志望したきっかけや理由を教えてください
また、試験に向けてどのような準備をしましたか

諏訪祥士

諏訪

気象庁に転職していた前職の先輩から、「気象庁で経験者採用試験があるけれど、挑戦してみないか」と案内を受けたことがきっかけです。それまで転職を考えたことはありませんでしたが、自分で調べたり、説明会に足を運んで話を聞いたりするうちに、「研究もやりがいのある仕事ではあるものの、人命を守ることに直結した仕事こそ、まさに自分のやりたい仕事ではないか」と考えるようになりました。さらには、これまでのキャリア以上の経験を積む良い機会になる、という期待感を持てたことも自分の気持ちを後押ししました。
試験への準備期間は2か月ほどで、このあいだは一般的な公務員向けの参考書を繰り返し勉強して基礎能力試験の対策としたほか、小論文試験が一般論文と経験論文の2種類あったので、自分のこれまでの経験や地球科学に関することをそれぞれまとめたり、時間内に書き終える練習を行ったりして当日に備えました。

諏訪祥士

Question03

今携わっている業務について教えてください

諏訪祥士

諏訪

気象予報士の資格を持っていたからかも知れませんが、入庁時には、地方気象台の技術専門官として配属され、約2年間は気象にかかわる業務に従事していました。その後、希望していた地震火山部に異動となり、現在はネットワーク班の一員として、地震火山ネットワークのセキュリティにかかわっています。具体的には、パソコンのソフトウェアの定期更新、セキュリティソフトを使用した管理や保守、作動中のネットワークのモニタリングが挙げられます。これらに加え、緊急地震速報や津波警報・注意報といった各種情報の通信に関する動作確認を主とする定期保守業務を担当しています。情報伝達先である各省庁や自治体、放送局等の要請による個別の動作確認の対応も、私の仕事の範囲です。

Question04

国家公務員になって良かったことや国家公務員の魅力を教えてください

諏訪

諏訪

緊急地震速報の通信の仕事は、その情報がテレビやスマートフォンを介して国民の皆さんにダイレクトにつながることから、その責任の重さを感じています。このようにして人々の命や生活と密接にかかわるいまの仕事は常に緊張感がともなうものの、そこにやりがいを見出せることが一番の魅力であり、醍醐味でもあると感じています。コンピュータセキュリティに関する業務を含め、いずれも前職とはまったく違う業務内容のため、勉強の日々です。これからも緊張感を忘れることなく、仕事と真摯に向き合うことで関与できる業務範囲をさらに広げていくとともに、自分の使命をしっかり果たしていきたいと思います。