事例番号166

災害時に役立つ暗闇体験を通じた心の強靭化

目的
社会貢献をする!
テーマ大分類
普及啓発・人材育成
テーマ中分類
21 レジリエンス人材を育成している例
取組主体 法人番号 事業者の種類(業種) 実施地域
一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 4011005003611 その他防災関連事業者(サービス業(他に分類されないもの)) 東京都

取組の概要

暗闇の中での災害時対応を体験する「エマージェンシーワークショップ」

  • 一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティは、普段、意識しない視覚以外の感覚を使うための機会と場を提供する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」プロジェクトを推進している。参加者は、光を完全に遮断した暗闇の中にグループで入り、「アテンド」と呼ばれる視覚障がい者スタッフのサポートのもと、中を探検して様々なシーンを体験する。その過程で、視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気付き、コミュニケーションの大切さや人の温かさを思い出すこと等を重視した取組である。
  • 東日本大震災以降、この「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の特別版として、暗闇の中で視覚障がい者に導かれながら、緊急事態や災害時等に求められる助け合いや伝達、リーダーシップ等を育むことを目指したイベント「エマージェンシーワークショップ」を開催している。

暗闇ワークショップの事前説明の様子

取組の特徴(特色、はじめたきっかけ、狙い、工夫した点、苦労した点)

きっかけは「災害時ワークショップ」に適しているとの周囲の後押し

  • 同法人の前身となる特定非営利活動法人ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障がい者スタッフのサポートのもと、暗闇の中を探検してさまざまなシーンを体験する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」に関する事業を行うために、平成 14 年秋に設立された。
  • 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の「エマージェンシーワークショップ」は、故・森稔氏(元森ビル会長)より、災害対策ワークショップに適していると評価されたことがきっかけとなり、平成 23 年 5 月 10 日20 日に震災チャリティ企画として六本木アカデミーヒルズ 40 階で開催された。
  • 暗闇では、最も情報量の多い視覚を手放すことによって、災害時と同じように「日頃の常識が通用しない環境」を実際に体験することができる。警報音を流すなどの工夫を組込んだ「エマージェンシーワークショップ」では、参加者は、日頃社会的弱者と見なされがちな視覚障がい者に守られることを経験しながら、平時と異なる役割を持って探検や課題解決を体験する。
  • 災害時の心がまえや行動指針を自ら見出すシミュレーションとしての効果のほか、日頃から声をかけあう重要性や、災害時に私財や物品確保よりも自分や他人の安全確保を優先する発想等を身に着ける効果が想定されている。

災害の視点を取り入れることで、取組の幅が広がる

  • 「防災」の視点を取り入れることで、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の活動の幅も広がり、新たな開催場所や参加者の増加等につながっている。
  • 平成 27 年 2 月からは、積水ハウス株式会社との共創プロジェクトとして、グランフロント大阪で開催されている「対話のある家」において、「防災」をテーマとした企画を行った。

現状の課題・今後の展開など

日本中の子どもたちに「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の体験を

  • 世界では、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験した子どもたちのその後について、良い変化をもたらすことが認められており、学校教育の一環としてダイアログ・イン・ザ・ダークを体験する仕組ができている。そのため、ダイアログ・イン・ザ・ダークの参加者のうち、約半数が子どもとなっている。一方で、日本においては、子どもの一般利用は 3%にとどまっている。
  • そのような中、同法人は、平成 25 年から平成 26 年にかけて、神戸市内の小学生 4 年生を対象とし、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を開催し、平成 25 年に 254 名、平成 26 年に 379 名で、合計で 633 名の児童が体験した。しかし、これまでの教育的利用は単年度事業にとどまり、継続的な効果検証ができないことが課題である。
  • 同法人は、平成 27 年8月に、子どもの豊かな心の教育に取り組む佐賀県との協働に向け、短期開催を行った。今後は、佐賀県と連携し、平成 28 年度には県内小学生向けの体験会を開催予定を予定しており、継続的な開催とともに効果測定にも取り組む予定である。

周囲の声

  • 職場の訓練でも暗闇の中を進み救出する訓練を行うが、そこでは『いち早く救出し、いち早く次の現場へ向かう』ことが最重要とされていた。しかし、ダイアログ・イン・ザ・ダークを経験し、『救出した人のもとへ救急隊が着くまで傍にいてあげよう』と感じた。(体験された消防士)
  • 〒100-8968
    東京都千代田区永田町1-6-1
  • 電話番号 03-5253-2111(内線33734)

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