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第三国定住による難民の受入れに関するパイロットケース実施の
具体的措置について

平成20年12月19日
難民対策連絡調整会議決定
平成24年3月29日一部改正
平成25年3月 8日一部改正

 我が国における第三国定住による難民の受入れに関するパイロットケースの実施については、平成20年12月16日付け閣議了解により、政府としての対処方針が定められたところである。
 これを受け、パイロットケースの具体的な実施方法及び第三国定住により我が国に受け入れる難民(以下「第三国定住難民」という。)に対する定住支援策の具体的措置について、次のとおり定めることとする。
 
第1 パイロットケースの具体的な実施方法
  パイロットケースとして受け入れる第三国定住難民の人数等
 (1) 平成22年度から、年に1回のペースで、1回につき約30人(家族単位)の受入れを5年連続して行うこととする。
 (2) (1)における「家族」とは、主たる申請者のほか、その配偶者、主たる申請者又はその配偶者の子及び主たる申請者又はその配偶者の親又は未婚の兄弟姉妹であって、日本社会への適応能力があり、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれるものからなるものをいう。
 (3) (1)により受け入れる第三国定住難民は、タイのメーラ・キャンプ、ヌポ・キャンプ、ウンピアム・キャンプ、メラマルアン・キャンプ及びメラウウ・キャンプに滞在するミャンマー難民とする。
  パイロットケースにおける受入れの実態等に関する調査・検証
 (1) 上記1により受け入れる第三国定住難民に対する定住支援策の実施状況及び当該難民の我が国への定着状況等を的確に把握するため、当該難民が我が国に入国してから半年ごとに、当該難民の日本語能力、生活状況等について調査を行うこととする。
 (2) (1)の調査結果等に基づき、パイロットケースの実施状況を検証しつつ、適宜、難民対策連絡調整会議を開催し、以後の受入れ体制等について検討を行うこととする。
  パイロットケースにおける広報活動
 受入れの対象となる難民に対し、広報活動を行い、定住支援策等に関する情報を周知するよう努める。
  パイロットケースとして受け入れる第三国定住難民の選考
 (1) 国連難民高等弁務官事務所(以下「UNHCR」という。)から候補者リストの提供を受け、書類選考により除外された者以外の全員について面接調査を行い、その結果に基づき、受入れ予定者を決定し、UNHCRに通知する。
 (2) 書類選考により除外する者は、上陸拒否事由該当者のほか、テロリスト等我が国の治安維持上好ましくない者とする。
 (3) 面接調査は、UNHCR及び国際移住機関(以下「IOM」という。)等の協力を得て、タイにおいて行う。
 
第2 第三国定住難民に対する定住支援策の具体的措置
  第一次庇護国であるタイから我が国に入国するまでの支援
 (1) IOMに委託し、タイにおいて、我が国に受入れ予定の第三国定住難民に対し、計3ないし4週間の出国前研修及び健康診断を実施する。
 (2) 出国前研修の内容は、我が国における基本的な生活習慣に関するガイダンス及び日本語教育等とする。
 (3) 第三国定住難民がタイの難民キャンプから我が国の宿泊施設まで移動するための渡航費用、交通費等に関する支援を実施する。
  定住支援施設における総合的な定住支援
 (1) 定住支援施設及び宿泊施設の手当て
 第三国定住難民の我が国への定着を支援するため、首都圏に通所式による定住支援施設(以下「第三国定住難民定住支援施設」という。)、同施設の通所圏内に居住専用の定住支援施設(以下「第三国定住難民宿泊施設」という。)を、それぞれ借上げ方式により確保する。
 (2) 入国当初の初動支援
  パイロットケースにより受け入れる第三国定住難民が我が国に到着した後、第三国定住難民宿泊施設に入所させ、健康診断を実施する。
  到着直後から一週間程度、第三国定住難民宿泊施設等において、生活、安全面等に関するオリエンテーションを行うとともに、食料、衣料品等の生活に関する支援を実施する。
 (3) 第三国定住難民定住支援施設における総合的な定住支援の内容
 パイロットケースにより受け入れる第三国定住難民に対し、入国当初の初動支援の後、第三国定住難民定住支援施設において、次の総合的な支援措置(以下「定住支援プログラム」という。)を講ずることとする。
  日本語教育
  社会生活適応指導
  職業相談員による職業相談及び職業紹介(必要に応じ、職業相談員が採用面接に同行することを含む。)
  第三国定住難民宿泊施設からの通所による職業訓練の受講
  児童・生徒の就学のための支援
  第三国定住難民宿泊施設入所期間中の生活援助費、医療費等の支給及び同施設退所時の定住手当の支給
  第三国定住難民宿泊施設から第三国定住難民定住支援施設に通所するための経費の支給等
  職場適応訓練受講援助費、移転援助費等の就職援助金の支給
  第三国定住難民を雇用する事業主に対する雇用開発助成援助費の支給
  第三国定住難民宿泊施設退所直後に住む住居を確保するための支援
 (4) 入国当初の初動支援及び定住支援プログラムの実施期間
 定住支援プログラムの実施期間は、入国当初の初動支援と合わせて180日間とする。
  第三国定住難民定住支援施設退所後の定住支援等
 (1) 第三国定住難民定住支援施設退所後6か月間における定住支援
  職場適応訓練の受講
  日本語学習に対する支援
 第三国定住難民定住支援施設に配した日本語教育相談員により、同施設退所後の第三国定住難民からの相談に応じ日本語能力を確認しつつ、指導・助言を行うなど、日本語学習に関する相談への対応を行う。
 また、必要に応じ、以下の支援を実施する。
@ 日本語教育に関する情報提供(日本語教育を実施している地方公共団体や日本語ボランティア団体等、日本語教材等に関する情報)
A 日本語教材の配布
B 日本語教育の実施(日本語教室の開催や指導者に対する研修等)
  生活相談員による定期的な指導・助言
 第三国定住難民定住支援施設に生活相談員を配した相談窓口を設け、同施設退所後の第三国定住難民に対し、一定期間ごとに、その生活状況を確認しつつ、行政手続、住居、職業、就学等に関する相談、精神的な悩みに関する相談等に応じ、指導・助言を行う。
 必要に応じ、生活相談員は地域定住支援員をもって代えることができる。
  地域定住支援員による支援
 第三国定住難民が定住生活を開始した地域に地域定住支援員を配置し、定住支援施設退所後の第三国定住難民が、定住先の地域社会において生活を立ち上げ、定住に至る過程で必要となる生活支援を行う。
 地域定住支援員は、地域における関係者(地方公共団体、事業所、学校、医療機関、保育所、自治会等。以下「地域関係者」という。)の関心等を踏まえ、地域関係者と第三国定住難民とのネットワークを構築するとともに、第三国定住難民への理解が深まるように、必要に応じて地域関係者へ情報提供を行うことにより、第三国定住難民が地域関係者から円滑に支援を受けられるようにする。
 (2) 上記6か月経過後の定住支援
  職業相談・職業紹介
 難民支援関係民間団体との連携強化により、通訳の確保に努めるとともに、ハローワークを含め第三国定住難民のニーズ(要求、需要)等を踏まえ、必要に応じ職業相談・職業紹介事業の充実に努める。
  職業訓練の受講
  日本語学習に対する支援
 第三国定住難民定住支援施設に配した日本語教育相談員により、同施設退所後の第三国定住難民からの相談に応じ、日本語能力を確認しつつ、指導・助言を行うなど、日本語学習に関する相談への対応を行う。
 また、以下の支援の実施に努める。
@ 日本語教育に関する情報提供(日本語教育を実施している地方公共団体や日本語ボランティア団体等、日本語教材等に関する情報)
A 日本語教材の配布
B 日本語教育の実施(日本語教室の開催や指導者に対する研修等)
  継続的な生活支援
 第三国定住難民の定住の状況を踏まえつつ、必要に応じ、上記3(1)エの地域定住支援員による支援を継続することとする。
 (3) その他関連措置
  教育訓練援助金の支給
 第三国定住難民の子女を対象に、入学・進学時の経済的負担を軽減し、進学を促進する目的で、教育訓練援助金を支給する。
  住民相談業務等における対応の充実
 地方公共団体がインドシナ難民・条約難民を含めた外国人住民一般に対して行う住民相談業務等の行政サービスについては、第三国定住難民に対しても同様に行うとともに、今後とも引き続き、難民に特有の事情に十分配慮し、難民支援関係民間団体との連携等により通訳の確保に努める等対応の充実に努めるよう求める。
  公営住宅への入居における在住期間要件の緩和の検討
 難民に対する住居確保の支援策の一環として、当該地方公共団体に一定期間以上在住していることを公営住宅の入居者資格の一つとしている地方公共団体に対し、条約難民のみならず第三国定住難民についても、当該在住期間要件を緩和することを検討するよう協力を求める。
 
第3 その他
    既に受け入れた第三国定住難民が、将来的に我が国において自立定住して扶養能力を有することが認められるようになった場合における被扶養者との相互扶助を前提とした被扶養者の呼び寄せについて、今後、具体的に検討していくこととする。


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