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長野県内全77市町村が主体となった協働事業!市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」

長野県坂城町(市町村代表)はじめ、長野県内全77市町村教育・誰一人

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デジタルを活用した取組の全体概要

  • デジタル社会の到来によって「情報の形」が大きく変わり、一人ひとりの「知りたい・読みたい」に応えることが大きな役割である図書館も、サービスや提供する情報資源のあり方を社会状況の変化に対応させていくことが求められている。
  • 令和4年(2022年)8月5日、長野県内全77市町村と長野県は、「市町村と県による協働電子図書館」(愛称:デジとしょ信州)をスタートさせた。長野県民は、「だれでも」「いつでも」「どこからでも」利用できる。
  • 従来の図書館利用者に加えて、図書館が身近にない人、図書館に行くのが難しい人、図書館の開館時間が合わない人など、さまざまな理由で図書館を利用しづらい人もターゲットに貸出をはじめ、2か月で2万冊以上が貸し出された。

実施に至る経緯・動機

  • 令和元年東日本台風による水害や、コロナ禍によって休館を余儀なくされた図書館。特に、新型コロナウイルス感染症の流行が広がった2020(令和2)年4月ごろには、長野県内の図書館の約70%が休館し、「休館」のない電子図書館サービスの検討が始まった。
  • 2021(令和3)年1月に長野県内の公立図書館に対して実施したアンケートでは、各館単独での電子図書館サービス導入は課題が大きく、市町村を越えた連携への期待が明らかになった。
  • この結果を受け、2021(令和3)年8月に市町村と県でワーキンググループ(WG)を設置して、8か月間に50回以上のミーティングを重ね、「県の事業に市町村が乗る形ではなく、個々の市町村自身が責任を持ち、主体となって取り組み協働する」というスキームが定まった。
  • 2022(令和4)年4月末からは、WGに代わって「市町村と県による協働電子図書館運営委員会」を組織して準備を進め、計53回のミーティングや各種ドキュメント・ツールの作成、運用ルールの整備等を連携して行い、2022(令和4)年8月5日(金)より運用を開始した。

解決する課題の具体的内容

  • 持続可能な図書館
    従来のリアルな図書館と並行して電子図書館を導入することによって、災害や感染症の影響下でも、継続してサービスを提供していくことができる。
  • それぞれの自治体の負担軽減
    財政規模の小さい市町村が多い長野県では、単独での電子図書館導入は、予算面だけでなく、選書やサイト運営・利用者サポートなど運用上の負担が大きく、導入が先送りされている実態があった。
    アンケートの結果、電子図書館サービスの導入に向けた課題として、回答した図書館の9割以上は「予算の確保」を課題に挙げた。
    「望ましい導入方法」については、「コンテンツの選定、利用方法、利用支援などで市町村を越えて連携できること」への回答が約7割、「複数の市町村が連携し、共同で(電子書籍を)購入できること」が約6割だった。

デジタルを活用した取組による成果

  • どんな時でも学び(読書)つづけられる長野県の実現
    災害時や新型コロナウイルス下でも、オンラインでいつでもどこでも読書できるようになった。
  • 誰ひとり取り残さない長野県の実現
    図書館が身近になかったり、高齢や障がい、育児や介護、仕事などで、これまで図書館に行くのが困難だった人など、だれもがサービスを利用できるようになった。
  • これらの実現のため、2022(令和4)年度は、(公財)長野県市町村振興協会(宝くじ助成金)から助成をいただき、スタート時に18,000点以上のコンテンツが揃った。
  • 長野県内66自治体の106図書館/公民館図書室が利用申込窓口を開設(2022年9月23日現在)し、住民の皆さまに電子書籍を身近に感じていただけるように利用支援を行っている。
  • その結果、サービス開始から2か月で、7,000人以上が利用登録。2022年10月現在も1日約40人、新規登録者が増えている。
  • 利用者の年代は、40代が最も多く、全体の23%を占める。次いで50代、30代・60代と続く。子どもとシニアの利用が多い公共図書館にて、従来あまり利用されていなかった年代の方に、本を借りていただいている。
  • 今後は、学校教育との連携や、読書バリアフリー(障がい者サービス)にも積極的に取り組み、グッド・プラクティスを展開していく。
  • 参加自治体が著作権を持つ資料や地域資料を電子書籍化し、デジとしょ信州の本棚に置くこともできる。これにより、「地域資料のアーカイブ化」が加速し、県内の著作権者や本に関わる関連業界との共存が図られ、地方創生にもつながる。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

  • 県内の全市町村と県が協働して電子図書館を構築・運営するのは、日本初。他の地域にはない大きな特徴。
  • 予算面の協働として、市町村は、それぞれの住民数に応じて電子書籍の購入費を分担する。県は、サービス提供の基盤的経費を負担。
  • 運営面の協働として、運営委員会に「利用登録」、「選書」、「利用者支援・広報」、「システム」の4部会を設け、単独の自治体では負担が大きい、運営上必要な規定類やコンテンツ選定基準の制定、担当職員向け研修の実施、広報ツールの作成などを行い、効率的で質の高いサービスが展開できる基盤を整えた。
  • 書籍購入プロセス上重要な「選書」をクラウド上で行うことができるため、参加する全自治体は、購入を希望する資料の一次選書を実施できる。全図書館の主体的な参加を促進・尊重する仕組みを実現している。
  • 多くの自治体が関わる運営を効率的に行うため、意見やノウハウ共有・改善提案などをWebフォームで効率的に吸い上げ、RPAにより速やかに関係者間で共有している。
  • 各自治体で利用状況の分析・評価を行えるよう、利用統計を出力できるツールを作成・共有し、効果的に分析するためのマニュアルとセットで整備している。
  • このように、各市町村図書館等が責任を持った住民サービスを展開することにより、電子書籍がきっかけとなって、リアルな図書館や本の良さの再確認につながることにも期待する。
  • 公共サービスのDX推進が叫ばれるなか、財政運営が厳しい自治体も多い。県と市町村が費用負担や運営で協力する「デジとしょ信州」が、良きモデルケースとなるよう、さらなる協働をめざしたい。
連携団体
長野県、長野県市町村自治振興組合、(株)メディアドゥ
問い合わせ
部署
県立長野図書館 総務企画課
電話
026-228-4939
メールアドレス
naganotoshokan@pref.nagano.lg.jp
関連サイト
https://www.knowledge.pref.nagano.lg.jp/collection/elibrary/shinshu-kyodo-library.html