実施に至る経緯・動機
- 従来の行政運営では、地域の課題を行政による公助を中心に対応してきたが、人口減少・少子高齢化という社会情勢の変化において、これまでにない地域の課題が発生してくることが予測される。
- 限られた資源の中で、そのような課題を解決し、より魅力的で持続的な地域を創出するためには、地域通貨を市民の協力を促進させるためのツールとして活用し、行政だけではなく、住民・地域事業者が一体となった自治体運営が必要であると考える。
- 深谷市は、郷土の偉人である渋沢栄一翁の教え「論語と算盤の精神(道徳と経済は一致しなければ仕組みや社会は長続きしない)」のもと、経済的な側面の枠を越える新たな地域通貨事業を令和元年度から実施している。
解決する課題の具体的内容
- 行政事業の最小単位である「事務事業」の成果指標を改善することで、市の将来都市像である「元気と笑顔の生産地 ふかや」を実現するためのツールとして活用していく。
- 行政は、ライフステージ(人が生まれてから亡くなるまで)において、人(地域住民)と多くの関わりをもっている。それらの関わりの中に、デジタルの地域通貨を浸透させることで、今までにない新しい取組ができると考えている。
- また、「地域からのお金の漏れを防ぐ」という地域通貨の経済的な性質からも、多くの場面で発行することで、市内の経済循環を高めていきたいと考える。
デジタルを活用した取組による成果
決済基盤の構築について(令和4年10月7日時点)
市内取扱店店舗数 | 約780店舗 |
---|---|
総流通額 | 約25億円分 |
利用アカウント数(累計) | 約12万アカウント |
活用総事務事業数 | 32 |
- 行政コストの削減と観光回遊での活用について
- 郵送料削減
遠隔でのポイント付与が可能であるため、普通郵便で郵送後に、ポイント付与を行った。結果として、従来発生する簡易書留の費用(320円)を削減することができた。
320円×18,000件=5,760,000円のコスト削減 - 手数料削減
口座振替の納付方法を口座振替に変更した方に、地域通貨をインセンティブとして活用することで、口座振替の申込者数が前年比2倍程度に増加した。
これにより、市の手数料を削減するだけでなく、督促通知発送などの事務負担も減らすことができた。
- 郵送料削減
- 観光回遊施策での活用
デジタルスタンプラリーにより、市内回遊をした方の景品としてネギーを活用した。結果として、市内回遊を可視化により実現することができた。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
- 地域通貨を発行するためには、様々なコスト(決済や精算コスト等)が発生する。過去の地域通貨事業の多くがそれらのコストを利用者、事業者による手数料負担で賄うというモデルで実施してきたが持続してこなかった。
- 本取組では、行政事業での活用により、成果向上・歳出削減を図る。さらにコスト削減効果を可視化し、その一部を地域通貨の発行原資として運用することで、持続させていくという新たな地域通貨モデルが特徴的である。
- また、既存の行政評価では事業実施後の測定・評価となり、実績による事業改善は翌年度以降となるものが多い。今後急速に変化する社会情勢においては、より迅速な対応が求められるため、既存の仕組みでは対応が難しい。
- 本取組は、デジタル技術を用いることで、リアルタイムで効果を把握、その活用を行うことで、的確な行政判断とスピーディーな対応による効果的で効率的な行政運営が可能となる。
- 連携団体
- 株式会社トラストバンク
- 問い合わせ
-
- 部署
- 産業ブランド推進室
- 電話
- 048-577-3819
- メールアドレス
- f-brand@city.fukaya.saitama.jp