西村経済再生担当大臣記者会見要旨


令和3年2月17日(水)18:38~19:11
於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室

※下記の冒頭発言及び質疑応答は成長戦略会議に関する部分のみ。

1.冒頭発言

 まず、成長戦略会議であります。第7回の会議を行いました。本日はこのコロナ禍においていくつかのデータをお示しして、成長戦略、それから競争政策についての議論を行いました。まず、その中でいくつかのデータをご紹介しますけども、いつも申し上げているテレワークについてですが、アメリカのテレワークをやっている方で、職場での勤務の生産性を100としたときに、それより落ちるかテレワークの方がいいか、生産性が、効率的かということを調べたデータでありますが、職場と同じという人が43.5%、在宅勤務の方が効率的だという人が130%以上いいという人が12%おりますが合計41.2%で、要は85%ぐらいの方が在宅勤務が非常に効率的である、15%くらいの人が、職場の方が効率的である、こういうデータです。
 ところが日本の在宅勤務について調べますと、実際の労働者の側からの評価は、82%は在宅勤務の方が低いと、全く逆の結果、企業もさら悪くて92%在宅勤務の方が低いと、アメリカと全く逆の答えになっております。
 ちょっと理由を書いておりませんけども、社内のルールとか、そういったことがありまして、テレワークについて申し上げたいのは、ここでずっと申し上げているとおり、もう新たな日常の象徴ですから、感染拡大防止と、そして新しい経済社会を作って行くということでありますので、去年からもう1年経験を積んでいるわけですから、それで何か社内のルールとか、効率が悪いとか、機材が整っていないとか、そんな言い訳は通じない世界であります。世界中がテレワーク、オンラインで日常をやっていこうという中でありますので、まさにこれができないようでは成長が見込めないということであります。もちろん、現場で働いている皆さん、たくさんおられますので、交通インフラとか、スーパーマーケットで、あるいはごみの収集とか、あるいは何より医療の現場、介護の現場で頑張っている方もおられますから、そうしたエッセンシャルワーカーの方には配慮しなければいけませんけども、できる方は、できる業態は、是非テレワーク、この今できなくてどうするかと言うことだと思いますので、中小企業の皆様には支援策も用意しておりますから、是非とももう一度見直して頂いて、この緊急事態宣言の下で、7割、これをお願いしたいと思います。日米のデジタルの差がどんどん開いていってしまうことになりますので、是非お願いしたいと思います。
 そして、新たな業態への転換・変化についてでありますが、日本の消費のオンライン化について、アパレルでも、大変厳しい状況にあることは聞いております。対面販売は30何%落ちておりますけどもオンライン販売が伸びている。これ他の業種も同じで、電気製品でも、飲食・小売りでもオンラインがこれだけ伸びているわけであります。
 そして、その事業再構築を検討する企業の割合、大企業で、60%以上、3分の2が、今後2年間の実施意向はない、事業再構築を考えない、中小企業でも半分が、考えない、考えている中小企業はすでに実施しているのが10%くらい、今後1、2年で大幅でやるのが7%、非常に意欲があるわけでありますけども、ないという中小企業も50%あるわけで、特に大企業3分の2が事業再構築を考えない、信じられない結果であります。このコロナを機に、何度も私は申し上げておりますけども、日本が取り組んでこなかった、長年の課題を今こそ、取り組まなければいけないときですので、それがデジタルだったりグリーンだったり人材への投資だったり、私は3つのニューディール、デジタル・グリーン・ヒューマンと呼んでますけども、政府が今回支出をすると、そして民間の投資を促していくということであります。是非、事業再構築、特に中小企業の皆様に対しては、最大1億円の支援補助金も用意しているわけでありますので、もう後戻りはできませんから、未来に向かって進んでいくだけですので、是非ともこの事業再構築をお願いしたいと思います。
 今日も、それぞれの委員の皆様から、こうしたことについて、先ほどのテレワークや今の事業再構築、オンライン、こういったことについて非常に厳しい御意見がなされたところであります。
 事業再構築の、これは身近な例ですけども、飲食の皆さん、本当に大変厳しい状況になりますけども、テイクアウト、デリバリー、あるいはネット通販こういったことで頑張っている方もあります。オンラインでのフィットネスクラブ、そしてWEB事業や保育事業に進出などもあります。様々なEC、ネットのビジネス、あるいはテイクアウト商品、今日は旅館がテレワークの施設を貸し出している、テレワークのスペースを貸し出しているという紹介も、これは麻生副総理からもありました。アパレルも、先ほどから申し上げているようにオンラインでは伸びている、自社ビルの一部をレンタル空間、テレワーク空間として貸し出す、こういった例もあります。この機会に、新しいことにチャレンジをしていく、そういう機会に是非して頂きたいと、大変厳しい状況わかっておりますので、様々な支援策、協力金もそうですし、一時支援金も行っていきますけども、是非、新たなビジネスへのチャレンジ、これも3次補正でも、IT補助金であったり、持続化補助金もそうですし、今回の事業再構築の補助金でしっかりと応援をしていきたいと思います。
 そして企業年齢、今日、この議論も出ました。日本は11年以上の企業が非常に多い、7割以上であります。欧米では4割前後、そして、創業2年以内が2割くらい占めるんですけども、日本も少し増えてますが、まだ10数%、要はスタートアップ、ベンチャーが少ないということであります。
 上場企業の設立年も、1850年、今から100年以上前から1940年、戦前・戦中までの企業が圧倒的に多いと。その後90年代以降の設立は81社でございます。逆にアメリカはむしろ、90年代以降の設立の企業が上場企業は非常に多いということでございます。このコロナ禍におけるベンチャーキャピタル、ベンチャーへの投資、これもアメリカは前年より増えて、もちろん12兆円という非常に高い水準であります。中国も増やしております、2兆円、前年比12%。残念ながら日本は32%減らして、桁がはるかに少ないわけであります。この新しい時代に、確かにオンラインとか、ネット、様々なビジネス、若い人たちが挑戦をしております。空き店舗を使って新たなチャレンジをする若い人たちも出てきています。しかし全体としてまだまだ、このスタートアップ、ベンチャー企業への投資が少ない、今日は大企業がそういったこと、イノベーションに取り組む際に、ベンチャー企業との協力関係、あるいは投資、コーポレート・ベンチャー・キャピタル、CVCなんかも進めていくべきであるという御議論もありました。いずれにしても、とにかくこの機会に、コロナを機に、新たな経済社会を作っていくというところを大きく目指していかなければいけないという風に思います。そうした中で、失業なき労働移動、労働移動の円滑化、成長する産業にスムーズに移っていく、あるいは先ほど申し上げた大企業とスタートアップとの関係、これ知財の関係などもこれまで整理をしてきているところでありますけども、そういった議論がございました。
 そしてもう一つ、成長戦略に向けた競争政策の在り方についてです。まさに規制改革と並ぶ成長戦略のカギとして、競争政策をリデザイン、新たな形に再構築していく必要があるということであります。特に先ほどのスタートアップの方々が参入できるような規制を、できるだけ抑制されることがないよう規制を改革していくこと、そうした成長促進のための競争環境の整備、こういったことを検討する必要があるということ。それから公取委でありますけども、資料にも入っておりますが、アドボカシーという、いわゆる提言機能、こういったことを強化をしていくべきだ、更に、人材が小泉政権以降ぐっと増えてきたんですけども、最近は横ばいでありますので、外部人材の活用を含めて体制の拡充・強化とか、こういった議論もありました。また、グローバルな競争の中で、競争政策をしっかり考えていくべきだという議論もありました。競争政策については、引き続きワーキンググループで作業いただき、この成長戦略の場で、再度議論をしていきたいというふうに考えております。

2.質疑応答

質問)
 今回成長戦略のほうで示された資料で、テレワークや事業再構築と日本の遅れがわかったわけですけど、解決策について、夏にまとめる成長戦略に反映するということでよろしいでしょうか。今後の議論の進め方について教えてください。

回答)
 ご指摘のように、今日議論になったことは、ある意味でこれまで私どもが課題として昨年のコロナ危機以降、ずっと申し上げてきたことで、もう元には戻らないと、今日もそういうご発言もありました、戻してはいけないし、戻れない、戻るということは成長を止めるということですので、それはやらないと、前へ進むということであります。そうしたなかで、将来も見据えた三次補正予算を組んで成立をしたところであります。繰り返しになりますけれども、事業再構築、中小企業の皆さんには最大1億円の支援を行っていくということでありますし、失業なき労働移動の議論もありました。すでに今回、出向元そして出向先それぞれを支援する支援策を創設したところであります。そういう意味で、スタートは決められているわけですが、これをさらにどうやって後押しをしていくのか、さらに前に進めていくのか、これをデジタル、グリーン、ヒューマン、人材への投資を含めて、将来日本が世界のなかでリードしていけるそうした国際競争力を持つと、そういったことを含めて可能性のある分野について、積極的な成長戦略を取りまとめていきたいと考えています。
 具体的なテーマは、今後有識者のご意見も伺いながら決めていきたいと思います。今後、月に1~2回の開催をしていきながら成長戦略をまとめていければと考えております。



(以上)