第3回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部 議事要旨 p1 (開催要領) 1. 開催日時:令和6年12月27日(金曜日)9時から9時12分まで 2. 場所:総理大臣官邸2階小ホール 3. 出席者: 本部長 石破 茂 内閣総理大臣 本部長代理 林 芳正 内閣官房長官、三原 じゅん子 内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画 共生・共助) 本部員 鈴木 馨祐 法務大臣、あべ 俊子 文部科学大臣、福岡 資麿 厚生労働大臣、浅尾 慶一郎 環境大臣、坂井 学 国家公安委員会委員長、伊藤 良孝 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策 消費者及び食品安全 地方創生 アイヌ施策)、赤澤 亮正 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、鈴木 憲和 復興副大臣、高橋 克法 国土交通副大臣、本田 太郎 防衛副大臣、古川 直季 総務大臣政務官、英利 アルフィヤ 外務大臣政務官、土田 慎 財務大臣政務官、友納 理緒 内閣府大臣政務官、西野 太亮 内閣府大臣政務官、山本 佐知子 農林水産大臣政務官、加藤 明良 経済産業大臣政務官 (議事次第) 1.開会 2.議事 (1)旧優生保護法に係る対応状況 (2)障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(案) 3.閉会 p2 (配布資料) 資料1:旧優生保護法補償金等支給法の施行に向けた準備状況について 資料2―1:障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(案)について(概要) 資料2―2:障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(案) (議事概要)<進行は三原内閣府特命担当大臣> (三原内閣府特命担当大臣) ただ今から、「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」を開催いたします。 議題1、旧優生保護法に係る対応状況、議題2、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画の案について、私から一括して御説明いたします。 まず、議題1、旧優生保護法に係る対応状況について、ご説明します。 資料1をご覧ください。本年9月30日に、原告団の方々等と、新たな補償法に基づく取組などについて定めた基本合意書を締結しました。今後、この基本合意書をもとに、恒久対策等の施策具体化のため、継続的・定期的な協議の場を開催する予定であり、引き続き調整を進めてまいります。 10月8日には、旧優生保護法補償金等支給法が議員立法により全会一致で成立し、11月15日には係属していた全訴訟が終局したところです。 こども家庭庁では、現在、来年1月17日の法の施行に向けた準備を進めています。 具体的には、各都道府県と連携した相談窓口の整備及び障害特性に配慮した情報保障、テレビやラジオ等の様々な媒体を通じた全国的な広報及び周知、弁護士が被害者の請求手続をサポートする仕組みの整備などの必要な取組を進めています。 被害者の方々に補償金等の支給が着実に行われるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。議題1についての説明は以上です。 続きまして、議題2、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画の案について、ご説明します。 資料2―1をご覧ください。これまで、幹事会の下で、有識者の協力を得て、旧優生保護法の被害者の皆さまや障害当事者の皆さまなど、約20団体30名の方々から御経験や御意見を伺ってきました。 2ページ目をご覧ください。 ヒアリングでは様々なご意見を頂きましたが、ご提示いただいた問題意識を1に記載しておりますので、御確認をお願いいたします。 今回、皆さまから頂いた御意見等も踏まえ、障害のある方への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」の考え方を踏まえて取組を強化するため、今後、政府が取り組むべき事項を3つの柱に沿って「行動計画」として取りまとめました。 1つ目の「子育て等の希望する生活の実現に向けた支援の取組の推進」については、結婚・出産・子育て支援取組事例集の解説動画等の作成や周知、こども家庭センターにおける関係機関と連携した相談対応、基幹相談支援センターや地域生活支援拠点等の整備の促進等を盛り込みました。 2つ目の「公務員の意識改革に向けた取組の強化」については、各府省庁における「対応要領」の毎年1回以上の周知、旧優生保護法の歴史的経緯や被害当事者の声を取り入れた公務員の人権研修への見直し、障害当事者や専門家を研修の講師として紹介する仕組みの整備等を盛り込みました。 p3 3ページ目をご覧ください。 3つ目の「ユニバーサルデザイン2020行動計画で提唱された「心のバリアフリー」の取組の強化」については、旧優生保護法等の検証を踏まえた人権教育の教材の作成や活用、障害者差別解消法に基づく業種別の「対応指針」への民間企業等の対応状況調査と好事例の横展開、人権相談等に携わる職員や、人権擁護委員を対象とした、旧優生保護法に関する研修の実施、障害のある人と無い人が共に参加し交流するイベントの実施、等を盛り込みました。 最後に、「今後に向けた更なる検討」及び「実施体制」について、各府省庁は、障害当事者の方々のご意見をしっかりと受け止めて引き続き検討を行うこと、行動計画のフォローアップを継続的に行うとともに、必要な施策については速やかに実施し、障害者基本計画などに反映することとしています。 議題2についての説明は以上です。 次に、議題2について、法務大臣から御発言をお願いします。 (鈴木法務大臣) 私の方から、行動計画(案)における法務省の主な取組を御説明いたします。 まず、公務員の意識改革に向けた取組の強化として、令和7年度に法務省が実施する国家公務員や地方公務員に対する研修において、旧優生保護法の歴史的経緯や被害当事者の声を取り入れ、公務員に対して人権啓発を行うこととしております。 また、「心のバリアフリー」の取組の強化として、全国の法務局のほか、障害支援施設等で臨時に開設する特設人権相談所においても、人権相談に応じるとともに、人権侵害の疑いのある事案については、人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講じてまいります。その際、人権侵犯性の有無にかかわらず、事案に応じて、障害者差別解消法の趣旨を踏まえた、より望ましい対応を提示するなど、積極的に啓発を行ってまいります。 これらを始めとする取組を通じて、法務省では、障害のある方に対する偏見・差別のない共生社会の実現に向け、全力で取り組んでまいります。 (三原内閣府特命担当大臣) ありがとうございました。次に、文部科学大臣から御発言をお願いいたします。 (あべ文部科学大臣) 文部科学省といたしましても、このたび取りまとめます行動計画を踏まえまして、所管する教育や文化、スポーツといった観点から、障害者に対する偏見・差別のない共生社会の実現に向けた取組を推進してまいります。 学校教育におきまして、障害に対する理解を進め、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶ環境の整備、また、障害のある児童生徒等を支える取組を推進するとともに、障害のある人とない人が共にスポーツ、文化・芸術活動を行う取組の充実等に取り組んでまいります。 全ての人が、疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、互いに尊重し合って共に生きる社会の実現に向けまして、教育の果たす役割は重大でございます。 引き続き、関係省庁とも連携しながら、必要な施策を着実に実行してまいります。 p4 (三原内閣府特命担当大臣) ありがとうございました。次に、厚生労働大臣から御発言をお願いします。 (福岡厚生労働大臣) 厚生労働省においては、障害者が希望する「結婚・出産・子育て」を支援する取組事例集の更なる周知を行うことに加え、自治体や事業者、支援者向けの解説動画や、障害当事者の方にもこの事例集の内容が伝わりやすいようなリーフレットを作成し、活用を図る、といった取組を行うこととしております。 本行動計画に基づき、関連施策の一層の充実を図るとともに、障害のある人に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいります。 (三原内閣府特命担当大臣) ありがとうございました。本日、御説明をいたしました資料2−2の「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」について、案のとおり決定したいと思いますがよろしいでしょうか。 【異議なし】 ありがとうございます。それでは案の通り決定いたしました。 それでは、総理から御発言を頂きます。 (石破内閣総理大臣) ただいま、「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」を決定いたしました。 この計画は、政府が、憲法違反とされた旧優生保護法を長年にわたって執行し、優生上の見地からの誤った目的に係る施策を推進してきたことについて、重く受け止め、真摯に反省・謝罪し、誠実に対応しなければならないとの認識の下、障害のある方に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた取組を改めて強化するため、策定したものであります。 三原大臣からも報告がありましたとおり、計画の策定に当たりましては、旧優生保護法の被害者の方々や障害当事者の方々から、御経験や御意見を伺ってまいりました。 この中では、「優生手術等に係る歴史的事実やその背景を後世に伝えるべき」との御意見や、「障害の有無に関わらず、やりたいことを自由にできる社会になってほしい」との御希望、「差別の解消に向けては、障害のある人も、ない人も、共に学び、育つ経験ができる環境が必要である」との強い思いなど、様々なお声を頂きました。 過去において障害のある方々が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視といったものはあってはならないものであります。同時に、障害がある人はかわいそうであり、一方的に助けられるべき存在であるといった考えも誤りであります。 「障害の社会モデル」という言葉にあるように、障害は、心身機能に障害がある方々の社会参加を困難にしている事物、制度、慣行、観念など、様々な社会的障壁によって生み出されるものであり、こうした障壁を取り除くのは、社会全体の責務であります。 真の共生社会を実現するためには、社会全体における意識改革を行い、社会全体が変わらなければなりません。 p5 各大臣におかれましては、旧優生保護法に基づく施策が数多くの障害者の個人の尊厳を蹂躙し、数多くの苦痛を強いてきたという事実を重く受け止め、本計画の背景にある考え方や、この推進本部で全大臣を構成員としている趣旨をよく御理解いただきました上で、各所管分野を通じて、国民全体に障害についての正しい理解が行きわたるよう、地方公共団体や関係者とも連携し、行動計画を着実に実施するとともに、その進捗を継続的にフォローアップするようにしてください。 また、これらの施策を進めていくに当たり、それを担う公務員の意識改革は不可欠であります。各府省において障害当事者が参画した研修の実施など、これまで以上に取組を強化するとともに、各大臣自ら、職員に向けて、障害のある人への偏見や差別の根絶に向けたメッセージを発信してください。 旧優生保護法による被害者に対する補償について定めた、旧優生保護法補償金等支給法の施行も、来年1月17日に控えております。三原大臣においては、これまでの経緯や法律の趣旨を十分に踏まえて、新たな補償の仕組みの周知・広報を行うなど、被害者の方々に一刻も早く補償が届きますよう、準備に万全を期すようお願いをいたします。 全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。大臣各位の一層の御協力をお願いいたします。 (三原内閣府特命担当大臣) ありがとうございました。 以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。 (以上)