第2回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部 議事次第 令和6年9月20日 10時15分から10時30分まで 首相官邸4階大会議室 1.開会 2.議事 (1)旧優生保護法訴訟関係の取組の進捗状況 (2)障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部に関する取組の進捗状況 3.閉会 p1 資料1 (1)旧優生保護法訴訟関係の取組の進捗状況 訴訟の早期解決 総理指示(7・17) ○早急な訴訟の解決が政府の責務と考え、皆様方と直ちに協議を進めてまいります。現在係属している、最高裁判決以外の訴訟については、除斥期間による権利消滅の主張は撤回し、優生手術の実施が認められる訴訟については、和解による解決を速やかに目指してまいります。 対応状況 ○7月23日、除斥期間による権利消滅の主張を撤回する準備書面を係属している全裁判所に提出。 ○7月31日、東京地裁において、東京2次訴訟の和解成立。 ○9月13日、調印式を開催し、残りの係属する全訴訟(調印式時点で3高裁6地裁10件)を終局するための和解合意書(主な内容は別添1)を締結。 (同日、先行して、東京高裁において、静岡控訴審、浜松控訴審の和解成立) ○今後、合意書をもとに各訴訟の期日において、和解を順次実施。 新たな補償の仕組み 総理指示(7・17) ○今般の最高裁判決の内容を踏まえ、 ・現在訴訟を起こされていない方々も含めた幅広い方々を対象とした補償とすること ・本人のみならず配偶者の方々が受けた苦痛も視野に入れ補償を検討すること ・確定した判決に示されている金額も踏まえつつ十分かつ適正な補償の額とすることを基本方針として新たな補償の仕組みを創設することとし、超党派の議員連盟と調整しながら、議員立法の検討を進めてまいります。 ○加えて、こうした新たな補償の仕組みが、被害者の皆様に広く届くことも必要であり、その周知徹底の在り方についても、ご要求を踏まえた検討を進めていきます。 対応状況 ○7月9日以降、超党派の議員連盟総会(2回)、議員連盟PT(7回)を開催し、総理指示の以下の事項を基本に新たな補償の仕組みを議論。 ・訴訟を起こしていない者を含めて補償 ・配偶者の補償を含む ・判決の金額を踏まえた補償 ○9月18日に、議員連盟総会で「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案(仮称)」骨子素案(別添2)を取りまとめ。 <骨子素案の主な内容> ・補償金・人工妊娠中絶一時金の金額 優生手術を受けた者の補償金 1,500万円 優生手術を受けた者の配偶者の補償金 500万円 人工妊娠中絶を受けた者の一時金 200万円 ・審査会で認定。認定基準は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律と同様に、「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」とする。 ・支給手続等について周知し、補償金等の支給を受けようとする者に対する相談支援を講じること(個別通知を行うかどうかは、各都道府県の運用に委ねる)。その際、障害者支援施設その他の関係者の協力を得て、障害の特性に十分配慮すること。 p2 偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策 総理指示(7・17) ○全ての国民が疾病(しっぺい)や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、政府として、最大限の努力を尽くしてまいります。 ○違憲とされる国家の行為が約半世紀もの長きにわたって合憲とされてきたという重い事実を踏まえれば、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証に加えて、優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けた恒久的な対策が不可欠です。 ○国会においても様々な議論が行われていくものと承知していますが、政府として、国会とも相談しながら、ご要求を踏まえた、より客観的な検証を実施すべく、そのあり方を検討してまいります。 ○優生思想及び障害者に対する偏見差別の根絶に向けては、これまでの取組を点検し、教育・啓発等を含めて取組を強化するため、全府省庁による新たな体制を構築します。 対応状況 ○7月29日、第1回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部(本部長:総理大臣、全大臣が本部員)を開催。幹事会を設置し、全府省庁による体制を構築。 ○第1回推進本部では、 ・こども家庭庁より旧優生保護法を巡る経緯等についての説明 ・内閣府、法務省、文部科学省より現状の取組について報告 ・総理より、 1 結婚、出産、子育てを含めた希望する生活の実現に向けた支援の取組の推進 2 各府省庁における職員の研修・啓発の点検・強化 3 ユニバーサルデザイン2020(心のバリアフリー等)のフォローアップ・取組強化 4 障害当事者の意見を反映する体制の構築 の4点の基本方針を指示。 ○今後、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現のための対応策を検討し、教育、啓発等の取組強化を含む新たな行動計画を取りまとめる予定。 ○客観的な検証の在り方については、超党派の議員連盟総会で取りまとめた骨子素案に、国が原因究明及び再発防止のための検証を行うことが盛り込まれ、今後、第三者機関に委託して実施予定。 継続的な協議の場 総理指示(7・17) ○被害の回復を含め、今申し上げた様々な課題に関して、皆様方と協議させていただきたいと考えており、関係府省と皆様方との継続的な協議の場も設けてまいります。 対応状況 ○上記の和解合意書の中で、今後、上記検証を含めた恒久対策や定期的な協議の場の設置等を盛り込んだ基本合意書を締結することを明記。 ○基本合意書の締結後、早期に継続的な協議の場を設け、協議を実施予定。 p3 (2)障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部に関する取組の進捗状況 結婚、出産、子育てを含めた希望する生活の実現に向けた支援の取組の推進 総理指示(7・29) ○「結婚、出産、子育てを含め、障害者がどのような暮らしを送るかは本人が決めること」を前提として、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、希望する生活の実現に向けた支援を行うことが必要です。 このためには、障害者の地域生活の支援と併せて、障害福祉や母子保健・児童福祉の関係機関・事業所が連携し、必要なサービスの活用や見守り等の支援体制を構築していくことが不可欠であり、本年6月に示されている事例集の周知徹底を図るなど、取組を推進してください。 対応状況 ○厚生労働省において、「障害者が希望する「結婚・出産・子育て」支援取組事例集」について、「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者指導者養成研修会」、「全国自閉症支援者協会」等での周知を行っている。今後、「共生社会フォーラム」等、様々な研修やイベント等の機会を通じて、自治体や事業者、支援者等への周知を行う予定。 ○また、本年度中に、自治体や事業者、支援者等向けに解説動画を作成するとともに、障害当事者の方にも当該事例集の内容が伝わりやすいリーフレットを作成し、活用を図る。 各府省庁における職員の研修・啓発の点検 総理指示(7・29) ○障害者差別解消法に基づき、各府省庁において、職員が適切に対応するために必要な「対応要領」や、事業者が適切に対応するために必要な「対応指針」を策定しています。取組の実効性が上がるよう、まずは各府省庁が「対応要領」に基づきどのような研修・啓発を行っているかを点検するなど、PDCAサイクルを回し、取組を強化してください。 対応状況 ○各府省庁、地方支分部局、独立行政法人等を対象に、「対応要領」に基づく職員への研修・啓発に関する点検依頼を9月に発出済。 ○点検及び障害当事者からのヒアリング等の結果を踏まえ、職員の研修・啓発に向けた取組を検討の上、新たな行動計画に反映させる予定。 p4 ユニバーサルデザイン二〇二〇(心のバリアフリー等)のフォローアップ・取組強化 総理指示(7・29) ○東京オリンピック・パラリンピック競技大会を機に策定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」における「心のバリアフリー」の取組等は、東京大会のレガシーと言えるものです。 旧優生保護法を巡る今日の状況やパリ大会の開催を踏まえ、「心のバリアフリー」に係る学校教育・企業等・地域における取組、国民全体に向けた取組、更には障害者自身による取組等について、その実施状況をフォローアップするとともに、新たな課題も取り込みつつ、取組の強化を図ってください。 対応状況 ○各府省庁に対し、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」のフォローアップに関する依頼を9月に発出済。 ○フォローアップ及び障害当事者からのヒアリング結果等を踏まえ、必要な取組を検討の上、新たな行動計画に反映させる予定。 障害当事者の意見を反映する体制の構築 総理指示(7・29) ○当本部を中心に今申し上げた取組を進めていくに当たっては、障害当事者から意見を伺うことが不可欠です。このため、当本部の下に置かれる幹事会において、有識者の協力を得て、障害当事者の方からご意見を伺った上で、当本部の成果をとりまとめる体制を構築してください。 対応状況 ○第1回推進本部の開催後、全府省庁の局長級を構成員とする幹事会を2回開催。 ・第1回(7月29日) 第1回推進本部の概要報告、今後の幹事会の進め方に関する関係府省庁間での共有 ・第2回(8月30日) 今後、障害当事者からヒアリングを実施するにあたって、重要となるポイント等について、障害当事者を含む3名の有識者構成員が講演を行い、質疑応答を実施 <有識者構成員> 石川准 静岡県立大学名誉教授(視覚障害当事者) 田門浩 弁護士(聴覚障害当事者) 坂元茂樹 人権教育啓発センター理事長 別添1 係属訴訟の和解等のための合意書の概要 趣旨 ○(作業者注・下線ここから)9月13日(作業者注・下線ここまで)に、係属中の全ての訴訟(※9月13日の調印式時点で、3高裁6地裁10件が係属中。)を対象として和解手続による早期解決のため、(作業者注・下線ここから)原告団・弁護団・国の三者の間で「係属訴訟の和解等のための合意書」を締結。(作業者注・下線ここまで) ○今後、(作業者注・下線ここから)この合意書をもとに、各訴訟の期日において迅速に和解手続を進め、全ての訴訟を速やかに終局(作業者注・下線ここまで)させる。 合意書の内容 ○(作業者注・下線ここから)最高裁の判決又は決定により確定した高裁判決で認容された損害賠償金に従い(作業者注・下線ここまで)、原則、(作業者注・下線ここから)損害賠償金(慰謝料相当額)(作業者注・下線ここまで)は、次の金額に従う。 1 (作業者注・下線ここから)原告が(作業者注・下線ここまで)優生手術被害者(作業者注・下線ここから)本人のみの場合(作業者注・下線ここまで) (作業者注・下線ここから)優生手術被害者本人:1,500万円(作業者注・下線ここまで) 2 (作業者注・下線ここから)原告が(作業者注・下線ここまで)優生手術被害者(作業者注・下線ここから)本人及びその配偶者の場合(作業者注・下線ここまで) (作業者注・下線ここから)優生手術被害者本人:1,300万円 配偶者:200万円(作業者注・下線ここまで) ○訴訟上の和解等に関する内容のほか、今後、(作業者注・下線ここから)検証を含めた恒久対策や定期的な協議の場の設置等を盛り込んだ基本合意書(仮称)を締結することを明記(作業者注・下線ここまで)。 別添2 優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟総会(令和6年9月18日)資料 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案[仮称] 骨子素案 p1 前文 案文については、別紙参照 第一 定義 一、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者 ※一時金支給法における「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者」と同様の者を定めることを想定 二、特定配偶者 この法律において「特定配偶者」とは、次に掲げる者をいう。 1・ 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた日(2・において「手術日」という。)からこの法律の公布の日の前日までの間に、当該旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者と婚姻(事実婚を含む。)をしていた者 2・ 1・のほか、手術日の前日までの間に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けることを理由に離婚(事実婚の解消を含む。)をした者 三、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者 この法律において「旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者」とは、次に掲げる者をいう。 1・ 平成8年の法改正で削除された規定等に基づき人工妊娠中絶を受けた者 2・ 名目上の理由を問わず平成8年の法改正で削除された規定等の要件を客観的に満たしている者その他1・と同様の事情があると認められる者として内閣府令で定める者 第二 補償金等の支給等 一、補償金の支給等 1 補償金の支給 (1)本人に対する補償金の支給 国は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者(本人)に対し、補償金を支給する。 p2 (2)特定配偶者に対する補償金の支給 国は、本人の特定配偶者に対し、補償金を支給する。 (3)遺族に対する補償金の支給 (a) (1)又は(2)の補償金の支給を受ける権利を有する者(本人又は特定配偶者)が死亡したときは、その者の遺族は、自己の名で、その者の補償金の支給を請求することができる。 (b) 補償金の支給を受けることができる遺族は、配偶者(事実婚を含む。)、子、父母、孫、兄弟姉妹、曽孫、甥・姪とする。その順位は、本文に掲げる順序による。 (c) 補償金の支給を受けるべき同順位の遺族が二人以上あるときは、その一人がした請求は、その全額について全員のためにしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。 2 補償金の額 補償金の額は、次に掲げる対象者の区分に応じ、それぞれ次に定める額とする。 1・ 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者 1,500万円 2・ 特定配偶者 500万円 3 補償金に係る認定等 ※補償金の認定手続等については、一時金支給法における一時金の支給の請求の認定手続等に関する規定と同旨の規定を設けることを想定 ※補償金の請求期限については、施行日から起算して5年を想定 (*認定基準は、一時金支給法に基づいて行われている、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給と同様に、「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」を基準とする。) 4 損害賠償との調整 (1)補償金の支給を受ける権利を有する者に対し、同一の事由について、国により損害の填補がされた場合(この法律の施行前に、既に国により損害の填補がされている場合を含む。)においては、国は、その価額の限度において補償金を支給する義務を免れる。 (2)国が国家賠償法その他の法律による損害賠償の責任を負う場合において、国が補償金を支給したときは、同一の事由については、国は、その価額の限度においてその損害賠償の責任を免れる。 (*補償金と二、により支給される優生手術等一時金との併給調整、補償金と三、により支給される人工妊娠中絶一時金との併給調整はしない。) p3 二、優生手術等一時金の支給等 ※現行の一時金支給法の規定を取り込んで定めることを想定 1 優生手術等一時金の支給 国は、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者であって、この法律の施行の日に生存しているものに対し、優生手術等一時金[仮称]を支給する。 2 優生手術等一時金の額 優生手術等一時金の額は、320万円とする。 3 その他 ※優生手術等一時金の認定手続等については、一、3(補償金の認定手続等)と同旨の規定を設けることを想定 ※優生手術等一時金と人工妊娠中絶一時金は、両方を受給する場合には併給調整を行う。 三、人工妊娠中絶一時金の支給等 1 人工妊娠中絶一時金の支給 国は、旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた者であって、この法律の施行の日に生存しているものに対し、人工妊娠中絶一時金[仮称]を支給する。 2 人工妊娠中絶一時金の額 人工妊娠中絶一時金の額は、200万円とする。 (*人工妊娠中絶の回数によって支給する金額に差は設けない。 *人工妊娠中絶後に子を生んだか否かで金額に差は設けない。) 3 その他 ※人工妊娠中絶一時金の認定手続等については、一、3(補償金の認定手続等)と同旨の規定を設けることを想定 (*一時金支給法における優生手術と同様に、人工妊娠中絶に関して今後の訴訟や和解で支払を受ける損害賠償金については、人工妊娠中絶一時金との併給調整は行わない。) p4 四、その他の補償金等に関する規定 1 関係機関等の協力 ※一時金支給法における関係機関等の協力の規定と同旨の規定を設けることを想定 2 補償金等の支給手続等についての周知、相談支援等 国及び地方公共団体は、補償金、優生手術等一時金及び人工妊娠中絶一時金(以下「補償金等」という。)の支給手続等について周知するとともに、補償金等の支給を受けようとする者に対する相談支援その他の措置を講ずるものとする。この場合において、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等の多くは障害者であることを踏まえ、障害者支援施設その他の関係者の協力を得るとともに、障害の特性に十分に配慮するものとする。 (*旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等の補償金等の支給の請求を支援する体制を整備する。 *個別通知を行うかどうかは、各都道府県の運用に委ねる。 *弁護士会等による請求をサポートする仕組みを活用する。) 3 補償金等に係る不正利得の徴収 偽りその他不正の手段により補償金等の支給を受けた者があるときは、国は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金等の価額の全部又は一部を徴収することができる。 4 補償金等に係る非課税等 ※一時金支給法における一時金に係る譲渡等の禁止、非課税等の規定と同旨の規定を設けることを想定 第三 旧優生保護法補償金等認定審査会 ※旧優生保護法一時金認定審査会を「旧優生保護法補償金等認定審査会」[仮称]に改組し、補償金等の支給の請求についても審査させることとした上で、一時金支給法の旧優生保護法一時金認定審査会に関する規定と同旨の規定を設けることを想定 p5 第四 調査及び検証等 一、調査及び検証 国は、特定の疾病や障害を有すること等を理由として生殖を不能にする手術若しくは放射線の照射又は人工妊娠中絶を受けることを強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、特定の疾病や障害を有する者に対する優生上の見地からの偏見と差別を根絶し、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等及び旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等に関する調査その他の措置を講ずるとともに、当該措置の成果を踏まえ、当該事態が生じた原因の究明及び当該事態の再発防止のために講ずべき措置について検証を行うものとする。 (*上記の検証は、第三者機関に委託して実施することを想定。) 二、周知 国は、この法律の趣旨について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとする。 第五 雑則 ※一時金支給法と同様の支払スキームで補償金等を支給することを前提に、一時金支給法における雑則の規定(独立行政法人福祉医療機構への事務の委託等)と同旨の規定を設けることを想定 第六 施行期日等 一、施行期日 この法律は、公布の日の3月後から施行する。【P】 (*支払機関におけるシステム改修、審査体制の整備及び弁護士会等による請求をサポートする仕組みの活用等に要する期間を踏まえ、施行期日を検討する必要がある。) 二、その他 その他所要の経過措置規定、他法改正規定を設ける。 (*旧法の規定に基づく一時金は、新法の規定に基づく優生手術等一時金[仮称]とみなす、旧法の規定に基づく一時金の請求は、新法の規定に基づく優生手術等一時金[仮称]の請求とみなす 等) 別紙 前文(案)(たたき台) 昭和二十三年制定の旧優生保護法に基づき、あるいはその存在を背景として、多くの方々が、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するという目的の下、特定の疾病や障害を有すること等(以下「特定疾病等」という。)を理由に生殖を不能にする手術若しくは放射線の照射(以下「優生手術等」という。)又は人工妊娠中絶を受けることを強いられて、子を生み育てるか否かについて自ら意思決定をする機会を奪われ、これにより心身に耐え難い苦痛を受けてきた。 特定疾病等を理由に優生手術等を受けることを強いられたことに関しては、平成三十一年に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が制定されたが、同法はこれを強いられた方々に対してその被った苦痛を慰謝するものであり、国に損害賠償責任があることを前提とするものではなかった。また、特定疾病等を理由に人工妊娠中絶を受けることを強いられたことに関しては、これまで謝罪も慰謝も行われてこなかった。 しかしながら、令和六年七月三日の最高裁判所大法廷判決において、特定疾病等に係る方々を対象者とする生殖を不能にする手術について定めた旧優生保護法の規定は日本国憲法第十三条及び第十四条第一項に違反するものであり、当該規定に係る国会議員の立法行為は違法であると判断され、国の損害賠償責任が認められた。 国会及び政府は、この最高裁判所大法廷判決を真摯に受け止め、特定疾病等に係る方々を差別し、特定疾病等を理由に生殖を不能にする手術を実施してきたことに関し、日本国憲法に違反する規定に係る立法行為を行い及びこれを執行して優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するための施策を推進してきたことについて、悔悟と反省の念を込めて深刻にその責任を認めるとともに、心から深く謝罪する。また、これらの方々が特定疾病等を理由に人工妊娠中絶を受けることを強いられたことについても、心から深く謝罪する。 ここに、国会及び政府は、この問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、これらの方々の名誉と尊厳が重んぜられるようにするとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、およそ疾病や障害を有する方々に対するいわれのない偏見と差別を根絶する決意を新たにしつつ、この法律を制定する。 【参考】第一条のイメージ (趣旨) 第一条 この法律は、令和六年七月三日の最高裁判所大法廷判決において国の責任が認められた者と同様の被害を受けている者に対してその損害の迅速な賠償を図るための補償金の支給に関し必要な事項等について定めるとともに、特定疾病等を理由に優生手術等又は人工妊娠中絶を受けた者に対してその被った苦痛を慰謝するための一時金の支給に関し必要な事項等について定めるものとする。