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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

MaaSで進化するへき地医療DX

三重県鳥羽市医療・介護

実施年度

第4回Digi田甲子園

主な実施地域

三重県鳥羽市

取組開始時期

2020年11月

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取組内容

本市の離島・へき地では市立診療所を各地区に開設しているが、今後の人口減少による税収の落ち込みを考えると全ての地区でフルセットの公共施設を維持していくのは難しい。また、医療人材の確保も厳しさを増しており、将来的な診療所の集約化が必要であるが、反面、遠くまで外出困難な高齢患者が増えており、患者と医療の間にある物理的な距離が課題となっている。そこで、2020年からクラウド型電子カルテや遠隔診療機器等を活用し、離れた場所から医師が診察できる体制を整えることで少ない医師で広範囲の患者をカバーできるようにするとともに、2023年から医療MaaS車両を活用して患者の自宅近くで診察を受けられる体制を整えた。

実績や効果

2020年11月から市立診療所全体で実施したオンライン診療は620件(2024年9月末現在)。2023年12月から医療MaaS車両を活用したオンライン診療は22件(2024年9月末現在)。2023年12月から専用システムで予約した診療・移送予約は118件(2024年9月末現在)。

取組全体を通じて訴えたいポイント

離島を有し、本土側でも集落が点在する等、本市は地理的条件に恵まれない面があるが、デジタルという追い風を受け、物理的距離に囚われず、高齢者等が地域で引き続き医療が受けられる環境を維持できた。「住み続けられるまち」として基盤を整えながら、未来に向けて「できることは必ずある」と信じて歩みを続けている。

地域の課題解決・魅力向上

オンライン診療では、医師が患者の生体データを時差なく確認しながら画面を通じて患者の問診を行う。従前の対面診療と遜色ない医療サービスを患者の自宅近くで提供できており、離島・へき地においても暮らしの利便性を増強しつつ、住み慣れた場所で支援を得ながら生活し続けたいという患者の願いに寄り添っている。

独自性・先進性

各地区に施設と医師の配置を必須とする考えから脱却し、車両の機動性を生かして予約システムによる円滑な移送とオンライン診療を行うことで患者と医師間に介在する物理的距離という障壁を除去できた。これまで高齢者の移動を支えてきた地域の壮年層が減少する中、新たな工夫で高齢者の通院を支援できている。

持続性・発展性

効率性と引き換えに住民に著しい不便を強いることもなく、むしろ対面診療のみの時に比べて同じ時間で広いエリアをカバーできるようになったことで持続可能な医療体制を構築できた。暮らしの利便性を担保できたため、今後の施設統合も視野に入れながら、人口減少に応じた効率性と使いやすさを両立した診療所運営を目指す。

他地域への横展開

医療MaaS実証開始後11か月間で視察13件のほか、メディア取材を含む問い合わせを多数受けている。本市はオンライン診療とシステム予約による移送を組み合わせた初事例であるが、医療MaaS事業は様々な形で全国19か所(2024年10月時点)で展開されており、各地の実情に合わせた横展開が可能である。

取組を進めるうえで苦労した点

実際のオンライン診療では患者は画面の前でやりとりをするだけで済むが、高齢者には自分で操作しなければならないという思い込みと心許なさがあったため、体験を通じて不安の払しょくに努める必要があった。診療所にいる「いつもの」看護師が介添えをしつつ、温かみのあるデジタル活用に取り組む必要があった。

取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫

高齢の患者の不安を取り除き、本取組は受診しやすさを高めるための工夫であることを伝えるため、地域においてオンライン診療体験会を開催した。地域の掲示板へのチラシ掲示や町内会LINE等、地域の方に馴染みのある媒体を使って情報発信に努め、地域の集落支援員にも協力いただくことで地域の理解を深められた。

今後の展望

保健師によるオンライン保健指導や、これから始まるとされている国民皆歯科健診に向けて、医療MaaS車両を活用した歯科健診等、市民の健康寿命を延ばすため、デジタルを活用した新たな展開を検討している。住民が住み慣れた地域で最期まで安心して暮らせるようにしたい。今後も医療MaaSの更なる可能性を探っていく。