Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
「やさしい日本語」とは、簡単で外国人にもわかりやすい日本語のことである。多文化共生の観点から自治体などで「やさしい日本語」の活用が進んでいるが、近年の研究により小中学生の情報理解度を高めたり、障害のある方への情報伝達にも寄与することがわかってきた。「やさしい日本語」への言い換え作業には非常に手間を要するが、この言い換え作業を自動化する仕組みは存在しなかった。そこで、ウェブサイトの日本語を「やさしい日本語」に自動で言い換える「伝えるウェブ」というサービスを日本で初めて実用化した。その後、印刷物などで「やさしい日本語」を利用されることも多いため、オリジナルの文章作成を支援する「やさしい日本語エディタ」も開発した。
実績や効果
「伝えるウェブ」を利用して自動で言い換えた「やさしい日本語」の文章について、外国人留学生にアンケートを実施。自然災害や熱中症への注意など様々な内容で原文と言い換え後を比べどちらがわかりやすいかを聞いたところ、いずれの内容でも85%近くの方が「伝えるウェブで変換した後の文章の方がわかりやすくなった」と回答した。
取組全体を通じて訴えたいポイント
「やさしい日本語」の有用性を知っている人は増えてきたが、いざ使うとなると難しいという声をよく聞く。「伝えるウェブ」の活用で、手間のかかる言い換えやルビ振りの省力化が可能になる。平時から利用することで、緊急時にも「やさしい日本語」で発信し、より多くの住民の方にも情報を迅速に伝えることができるようになる。
地域の課題解決・魅力向上
外国人住民の増加に伴い、自治体から発信する情報を外国人にもわかりやすくするために多くの地域が機械翻訳を導入しているが、国籍の多様化により多言語翻訳機でカバーしきれないこともある。簡単な日本語ならば国内の外国人の6割は理解できるとされており、やさしい日本語で情報発信する取組が広がっている。
独自性・先進性
自然言語処理の技術を使った言い換えプログラムと独自に作成した言い換え辞書データベース(現在約4万語)に自社の技術力を合わせ、日本初のやさしい日本語化を実現した。また、「伝えるウェブ」APIを通じて、多言語通訳アプリやデジタルサイネージ、防災無線などにも活用されている。ロジックの一部では特許を取得した。
持続性・発展性
多文化共生の観点だけでなく、障害者差別解消法における合理的配慮の面からも、「伝えるウェブ」へのニーズ・関心が一段と高まっている。役所や教育現場での「簡単な日本語への言い換え」「ルビ振り」等の作業負荷を軽減でき、より多くの住民への情報発信の一助となる「伝えるウェブ」は今後ますますの利用が見込まれる。
他地域への横展開
現在、東京都を含め45都道府県200以上の自治体で「伝えるウェブ」が導入されている。その他にも教育現場、国際交流協会、図書館や美術館等の公共施設への導入、さらに民間企業からも問い合わせいただく機会が増えた。医療や介護の分野でも「やさしい日本語」は必要とされていて、日本中に取り組みが広がっている。
取組を進めるうえで苦労した点
阪神・淡路大震災をきっかけにして生まれた「やさしい日本語」であるが、取組を始めた時点では機械的に言い換えを支援するサービスはまだ存在しなかった。ないならば作ろうと自社で開発を進め、言い換え精度を高めてきたが、作ることよりもこのサービスを知っていただくことに今も一番苦労している。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
リリース後、早い段階で導入していただいた自治体が注目を集め、それを見た他自治体からの問い合わせが増えた。また、「やさしい日本語」の有用性はウェブサイトの言い換えに留まらないと考え、その活用の幅を広げるために「やさしい日本語」の文章を作成するためのエディタ、音声読み上げ機能など常に進化を続けてきたことである。
今後の展望
「やさしい日本語」の必要性は感じているが、手間のかかる言い換えに人手も多額の予算も割けないという課題を解決するサービスとして導入が進んでいるが、今後は自治体に加えて教育現場での利用を促進していきたいと考えている。外国にルーツがある子どもたちと保護者を支える先生向けに導入しやすいプランを検討する。