Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
本取組は人の移動を促すことを目的として、無料デジタルチケットを提供するサービスである。提供する無料デジタルチケットの費用(=運賃相当の費用)を、お店等の集客したい主体側が負担して、来客者の移動にかかる費用を軽減する。運賃費用を集客のための費用と捉え、集客という観点での「受益者負担サービス」とした取組である。株式会社ビーマップは、南海電気鉄道株式会社と株式会社NSDが共同開発したヘルスケアアプリ「へるすまーと泉北」とQUADRAC株式会社が提供する交通クラウドサービス「Q-move」を連携するシステムを開発し、へるすまーと泉北でのポイント交換に関する実証実験に本システムを用いた技術協力を行った。
実績や効果
アプリ利用の拡大:取組前1,400DL → 取組後5,700DL(4ヶ月で約4倍に増加)。アプリ利用者の一日当たりの歩数:令和元年度の成人の一日当たりの歩数6,278歩に対し、アプリ利用者のそれは約9,200歩であり、大きく上回っている。
取組全体を通じて訴えたいポイント
定量的には、厚生労働省健康日本21(第三次)の日常生活における歩数の増加目標値7,100歩を大幅にクリアしている(アプリ利用者の1日の平均歩数は約9,200歩)。定性的には、国土交通省から歩数の増加に伴う医療費抑制効果について言及されており、アプリの利用拡大は自治体の医療費抑制効果もあると推定している。
地域の課題解決・魅力向上
地域に住む皆様の健康増進の一助となるべく、地域に根ざしたヘルスケアアプリ(へるすまーと泉北)の利用拡大を図るという課題を、きっぷという魅力的な特典を配布するサービスを提供することにより解決した。副次的に地域で生活することへの豊かさの付加、地域発着の人の移動を喚起することでの人流や賑わいの創出ができたと言える。
独自性・先進性
コロナ禍を経た昨今、移動の必要性が減少した一方、移動そのものの価値が見直されている点に着眼してサービスを作り上げた。また、公共サービスでは一般的である受益者負担原則という考え方を商業活動におけるお客様の交通費用へ柔軟に当てはめ、新たなビジネススキームを生み出した点に独自性がある。
持続性・発展性
「お客様」+「交通」+「人の移動・行動による集客で利益を生み出すことができる受益者」の3つの関係は一時的なものではなく、「移動による喜び」を喚起することにより、持続性があるサービスとなる。また、様々な交通事業者が参加すること、複数の受益者が一つの取組に参加することができ、発展性も兼ね揃えるサービスである。
他地域への横展開
今回の取組では鉄道が対象であるものをご紹介しているが、本サービスのスキームは鉄道に限定されず、様々な交通事業者を対象としている。また、都市部・地方部を問わずそれぞれの地域に人が居住し、交通事業が運営されていることを考えると、他地域への横展開は大いに可能であると言える。
取組を進めるうえで苦労した点
取組には複数の事業者・複数のシステムが存在しており、取組の効果が上がるように各者の意識統一を丁寧に図ることや、複数あるシステムを誤りなくつなぎ込み、正しく動作させることへの準備を十分に行うことへ力を注いだ。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
アプリ利用者が健康増進へ取り組んでポイントを貯めるという仕組みはあったものの、ポイントを交換できる対象が限られていたという状況があった。そこへ「きっぷがもらえることはきっと魅力的なことだ」という考えのもと、新たな交換対象を提供したことにより、アプリ利用の大幅な活性化につながった。
今後の展望
今回の実証実験ではきっぷ、移動そのもの、移動したことによって得られる体験に価値があることが証明できたと考えている。人の移動を促す本システムを提供することで、多種の受益者と交通事業者を結びつけ、都市部・地方を問わず、人の移動による地域の賑わいの創出を目指す。