Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
富山県全域に設置された道路カメラの画像を学習し、路面の積雪状況を判別するAIを開発した。このAIは富山県のWebサーバに組み込まれており、道路カメラ画像が更新されるたびに路面積雪の有無を判定する。判定結果はWebサイトのマップ上に示されるため、地域住民や道路管理者の方々が道路状況をひと目で確認できる。
実績や効果
今回開発したAIは、路面積雪の有無を85%以上の正解率で判別することができる。このAIは、昼夜の違いや明暗の違い、車列の有無の違いなど、様々な路面状況に対応する汎用性の高いものである。
取組全体を通じて訴えたいポイント
今回の取り組みは、産学官が連携して、デジタル技術を活用し、地域課題の解決に挑戦したものである。また、AIの開発は富山大学都市デザイン学部の学生が卒業研究の一環として行ったものであり、デジタル人材の育成にもつながった。今後も同種の取り組みを続け、社会に貢献していきたい。
地域の課題解決・魅力向上
富山県では年に数回、市街地でも大雪が降り、交通渋滞を引き起こしている。2021年1月の豪雪では、大規模な交通不能状態が発生し、物流・人流の両方が阻害される深刻な状況となった。今回の取り組みは、除雪作業や通勤ルート選択の効率化を促進し、交通渋滞の予防につなげようとするものである。
独自性・先進性
今回の取り組みは、既存のシステムとデジタル技術を組み合わせて、元のシステムに新たな価値を付与した。開発に必要な学習リソース(道路画像)も元のシステムから得ているため、開発コストを抑えられ、かつ正確性の高いものができたと考えている。
持続性・発展性
今回開発したAIは富山県のWebサーバに組み込めるよう設計されているため、根本的なシステム変更がなければ永続的に稼働させられる。また、年々増えていく画像を学習し続けることで、より正確な判定ができるようになっていく見込みである。さらに、道路カメラの増設にも柔軟に対応できる。
他地域への横展開
今回の取り組みについて、他の機関からの問合せや導入の予定はないが、各種報道機関から多数の取材をいただいた。今後、同様の課題を抱える積雪地域への展開が期待される。
取組を進めるうえで苦労した点
最も苦労した点は、歩道や田畑など、路面以外の場所での積雪を検知しないようにすることである。特に、除雪直後は路面以外の場所が雪で覆われている場合が多く、これを積雪と判断しないようにするための工夫が必要となった。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
今回の取り組みは、富山県土木部道路課、NTTデータ北陸との連携で実現したもので、計画当初から三者で緊密な連携を取れたことが成功要因として挙げられる。これにより、状況に応じた的確な助言や協力を得ることができた。
今後の展望
今後も道路カメラ画像を収集して学習を続け、より正確な判定ができるAIを育てていく。これにより、信頼性を向上させ、より大勢の人に見てもらえるようにしていきたい。また、交通障害の要因となりうる他の事象についても同様の手法を展開することで、暮らしの利便性の向上につなげたい。