Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
急増する空き家の実態把握及び所有者への喚起施策の立案等を目的に、水道使用量等をAI解析して、2050年までの空き家を予測する取り組みを行った。5年後の空き家予測精度は水道使用量だけでは82%であったが、ガス、電気使用量等その他の情報を精査収集後、AI解析することで92%まで向上させた。予測結果を基に空き家が増加する地域を対象にセミナーを開催したところ、参加者が従来の6倍(5名→32名)になった。予測結果を共有した上下水道局では、水道管凍結破損時の緊急漏水調査に活用し、断水被害の拡大を防止できた。予測結果を全庁的に展開し、各種計画の立案・改定時の基礎資料等に活用していく。
実績や効果
2023年2月の寒波では、水道管凍結破損を起因とする配水場(給水戸数:約100戸)の水位低下が発生したため、空き家予測を基に漏水調査を実施、1時間半後には漏水を発見・止水したことで断水被害の拡大が防止できた。また、空き家予測に関する協定を締結したガス会社が、空き家予測をガス管更新計画へ活用した。
取組全体を通じて訴えたいポイント
空き家問題は日本全体の課題であるため、空き家予測は、将来の日本の実態を俯瞰する基礎資料となり得る。重点的に対策すべき地域の優先順位付けができるため、所有者への喚起施策の立案等が容易となる。また、緊急時(水道における凍結破損時の漏水調査の優先順位付け、消防における緊急安否確認など)にも活用できる。
地域の課題解決・魅力向上
空き家問題の実態把握に対して、全国の自治体が保有し、かつ、定期的に収集している「水道の使用量」をベースに取り組みを行った。様々なニーズに対応するため、将来の空き家予測だけではなく、今現在の空き家を判定する技術の開発も行っている。将来的には、この取り組みを応用して市独自の人口動態予測も可能である。
独自性・先進性
一番身近な水道使用量等を活用して2050年までの空き家を予測できた。実務での活用を想定し、空き家を予測する単位を、町丁目単位ではなく「住居」単位とした。空き家予測精度向上に効果的な情報を精査・収集し、AI解析することで5年後の予測精度を当初82%から92%まで引き上げた。
持続性・発展性
空き家問題を自分事として捉えてもらうための効果的なセミナー(空き家対策、相続対策、定期修繕対策など)の開催が可能となった。各種インフラの更新計画等の基礎資料として活用が可能。また、業者が空き家予測を応用して賃貸住宅における空室の発生予測技術も開発したため、入退去業務の効率化支援が可能となった。
他地域への横展開
空き家が増加する地域を選定、NPO法人と連携して空き家対策セミナーを開催し、従来の6倍の参加者(5名→32名)があった。国交省モデル事業として、空き家が増加する地域に「ご自宅の将来に関する調査」を実施、1,550世帯(回収率:20%)から回答を得た。この調査結果を分析、セミナー等に活用していく。
取組を進めるうえで苦労した点
有料の電気使用量データ収集のための財政部局への予算説明、契約部局との契約方法などの調整に苦労した。市全域の固定資産税データは予測精度向上に寄与するため、課税部局、法務部局と調整を行ったが、地方税法の解釈により提供不可となった。結果として、登記簿データで補完した。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
豊田市全体での空き家に対する課題の共有。関係部局(空き家担当部局、上下水道局、法務部局、財政部局)の協力体制の構築及び密接な連携。空き家予測の予測精度向上のために必要な各種データの収集。新技術導入に対する上司・同僚の理解。そして担当者の情熱。
今後の展望
各種計画の改定時(都市計画マスタープラン、豊田市公共施設等総合管理計画、立地適正化計画、おいでん・さんそんプラン、住宅マスタープラン、ストックマネジメント計画等)の基礎資料として活用予定。また、市営住宅における入居傾向分析に、賃貸住宅における空室の発生予測技術を活用する予定。