Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
「つながりよりそいチャット」では、山形市に在住・在勤・在学し、孤独・孤立の悩みを抱えている方に対して、傾聴型生成AIを活用したチャットによる24時間切れ目のない相談支援を行っている。利用者がLINEから相談をすることで、生成AIとの即時のやりとりが可能で、利用者の希望や相談内容によって、有資格の専門スタッフが対応する。このサービスは、少子高齢化や核家族化の進行、地域や家庭内でのつながりの希薄化などにより、孤独感や孤立感を抱える人々が増えているという社会的課題の解決を目指し、職場や学校、地域などで孤立感を感じる方々への支援を行い、持続可能な支援体制を提供している。
実績や効果
相談実績(令和6年7月12日〜令和8年2月末累計):LINE登録数1,139人、相談者数1,273人、チャット回数21,151回、生成AI対応率81.3%、スタッフ対応率18.7%、支援団体へのつなぎ数55件。新たに24時間対応ができたことで、これまで孤独や孤立を感じても、誰にも相談できなかった方への対応が可能になった。
取組全体を通じて訴えたいポイント
傾聴型生成AIと専門スタッフの連携が、このシステムの核心である。傾聴支援を24時間対応で行い、専門スタッフがその後の具体的な支援を行うことで、より深いサポートが提供できる。生成AIだけでは対応が難しい複雑な問題には、専門知識を持つスタッフが介入し、きめ細かく効果的な支援を実現する。
地域の課題解決・魅力向上
24時間365日相談対応の実現で、平日の日中に窓口への来所や電話ができない方、対面相談に抵抗がある方などが匿名でいつでも気軽に相談ができる。切れ目のない多元的な相談支援の実施により、支援を必要とする市民の早期発見、早期対応につながり、ひきこもりの予防にも効果が期待できる。
独自性・先進性
傾聴型生成AIに加え、必要に応じて有資格の専門スタッフが対応するハイブリッド型のSNS相談支援サービスは、孤独・孤立の解決に向けた新しいアプローチである。傾聴などの仕様にカスタマイズした生成AIが24時間相談を受け付けつつ、希望や必要に応じて専門スタッフが具体的なサポートを行う。
持続性・発展性
週末や夜間帯の相談ニーズは高く、相談も多く受けているが、人材不足の中、専門スタッフが全て対応することは困難である。傾聴型生成AIと専門スタッフのハイブリッド型により、24時間での受付が可能となり、人件費の削減にもつながる。また、集積したデータを分析することで効率的かつ柔軟な支援を実現している。
他地域への横展開
傾聴型生成AIと人の連携モデルは、地域にあわせて一部をカスタマイズする程度で、比較的容易に横展開が可能である。高齢化や孤立問題が深刻な地域に加え、都心部でも若者や子育て世代の孤立感を抱える方々に対して有効に活用できる。既に他の自治体や団体からの問い合わせもあり、新たな相談体制として期待されている。
取組を進めるうえで苦労した点
傾聴型生成AIの開発において、生成AIが返す言葉の調整に苦労した。瞬時に長文や模範的な回答が返されることにより、親身に寄り添う印象を持たれないためである。また、財源確保についても、事業継続にあたっての安定財源確保に苦労した。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
傾聴型生成AIのシステム開発では、相談支援、AI、SNSを専門とする関係事業者と連携協定を締結し、共同研究を行った。また、相談支援を行うNPO団体などの意見を反映し、傾聴型生成AIからの返信を有人による相談支援に近づけることができた。
今後の展望
AI技術の進歩を積極的に取り入れ、より精度の高い傾聴と支援ができるシステムへと進化させるとともに、専門スタッフとの連携も強化し、孤独・孤立に悩む利用者一人ひとりのニーズにより的確に応えることを目指す。