Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
福井県嶺北地域の11市町で構成するふくい嶺北連携中枢都市圏では、公共交通の利用促進による地域公共交通ネットワークの維持・強化が圏域共通の大きな課題となっている。また、令和6年春の北陸新幹線福井開業時に、観光・ビジネス等で福井に訪れる方々の多様な移動ニーズに対応する圏域の二次交通の充実を図る必要性を踏まえ、令和4年5月に嶺北11市町、交通事業者、民間、大学、金融、マスコミ等による産官学金言のオール福井体制で「ふくいMaaS協議会」を設立し、様々な団体と連携しながらMaaS構築の取り組みを進めている。ふくいMaaSアプリは、交通アプリとしての単独運用ではなく、デジタル地域通貨によるキャッシュレス決済やお得なサービスなどを提供する地域版スーパーアプリ「ふくアプリ」の一つのサービスとして導入し、現在、約17万人が利用可能となっている。
実績や効果
北陸新幹線福井開業により観光等で福井に訪れる方々がお得で便利に移動できるよう、県内の交通事業者(鉄道・バス)が連携した県内初の時間制切符「ふくふくきっぷ(29時間・2,900円)」やコンサートなどのイベント時の利用を目的とした臨時列車の切符を片道100円(通常時は450円)で販売。特に100円切符は取扱切符の上位を占め、公共交通の利用促進に繋がっている。ふくいMaaSの取り組みについては、第19回日本モビリティ・マネジメント会議(令和6年8月)や国土交通省総合政策局総務課主催の総合的交通基盤整備連絡会議(令和6年10月)にて取り組みを紹介した。
取組全体を通じて訴えたいポイント
切符の販売だけでなく、地域のデジタルチケットプラットフォームとして、地域イベントのチケット販売なども行い、地域公共交通利用促進に向けた相乗効果を図る。
地域の課題解決・魅力向上
福井県の自動車分担率は約80%弱(2020年国勢調査)と高く、バスや電車の移動手段ごとに切符購入が必要な状況や無人駅も多く、キャッシュレス決済が利用できる場所も限定されている。そのため、場所を問わず手軽に切符の購入や決済ができるツールの導入により利便性が向上し、課題解決に資する。
独自性・先進性
ふくいMaaSアプリは、地域プラットフォームである「ふくアプリ」内の一つのメニューとしてサービスを運用している。また、ふくいMaaSアプリのデジタル切符の決済には、クレジットカードだけでなく、福井県デジタル地域通貨「ふくいはぴコイン」でも購入でき、地域経済の循環にも寄与しており、「ふくいはぴコイン」で実施するプレミアム付商品券や子育てポイントの費消先として、地域公共交通の利用という機会の創出に繋がっている。
持続性・発展性
ふくいMaaS協議会の作業部会としてビジネスデザイン部会を設けており、部会ではふくいMaaSの取り組みを持続的にするためのマネタイズを検討した。ふくいMaaSの取り組みには令和5〜7年度にデジタル田園都市国家構想交付金を活用し、3年間のスケジュールにより段階的にふくいMaaSアプリの機能構築を図っていく。
他地域への横展開
ふくいMaaSの取り組みについては、第19回日本モビリティ・マネジメント会議や国土交通省主催の総合的交通基盤整備連絡会議にて取り組みを紹介しており、全国への情報発信を通じた横展開を図っている。
取組を進めるうえで苦労した点
交通事業者をはじめ、多くの関係者と各々の立場や意見を集約調整しながら事業を進めていく必要がある。特に、新規切符の造成には、価格設定をはじめ関係者との調整に多くの時間を要した。またアプリ開発においては、デジタルリテラシーの低い方やシニアの方などにも使いやすくなるよう打ち合わせを重ね、使いやすいUI設計に努めた。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
交通関係者のみではなく、産官学金言のオール福井体制で実施し、関係者それぞれの強みを生かした取り組みを実施することで相乗効果を図っている。また、ふくいMaaSアプリは交通単独のアプリではなく、地域プラットフォーム「ふくアプリ」の一つのサービスとして構築することで、交通を含めた様々なサービスとの連携と一体的なPRの展開を可能としている。さらに、地域イベントチケットの販売プラットフォームとして開放することで、DX分野でもまちの活性化に地域公共交通が貢献している。構想時から、ふくアプリのステークホルダーである福井銀行や福井新聞社との度重なる協議と併せ、嶺北11市町や交通事業者との協議も並行して実施したことにより、産官学金言のオール福井体制でふくいMaaSの取り組みを実施することができた。
今後の展望
ふくいMaaSアプリから得られるデジタル切符購入者の属性情報や利用場所が分かるヒートマップなどのデータとふくアプリユーザーのサービス利用データを活かした取り組みの実施や地域イベントと連携した切符など、地域に根差すアプリとなるよう取り組んでいく。