Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
取組内容
県土が230キロと東西に長い島根県は、1/3の高校が中山間地域と離島に点在しています。また、県内の大学数は2つと、全国で最少です。そんな島根県の地理的制約と教育資源の不足を克服するため、島根県教育委員会では、デジタル技術と県内大学との連携を活かした、高校生のキャリア形成サポート活動「あなたの背中そっと押しますプロジェクト(通称:おしプロ)」を立ち上げました。県立高校に通う生徒なら誰でも、放課後や休日に自分の端末から、県内大学の先生や大学生、地域で活躍する様々な大人・外国人等とメタバース上で交流することを通じて、自らの新しいキャリアの可能性や、やりたいことを探究する機会を得ることができます。
実績や効果
2023年7月からスタートし、これまでに100以上のプログラムを実施しています。県内大学のすべての学部と協働して、プログラムを提供し、県立高校に通う生徒、延べ1,000人が参加。学校外で実施される各種コンテスト等に連動したプログラムも提供し、サポートした高校生が最優秀賞を獲得する事例もありました。
取組全体を通じて訴えたいポイント
社会の在り方や大学入試の形が変化する中で、「生徒一人ひとりの興味・関心の形成度合いが、新たな教育格差に繋がるのではないか」という問題意識を持っています。それを踏まえ、公教育の立場から、一握りの生徒だけでなく、すべての高校生が「好きなこと」「やりたいこと」を見つけられる環境を整えたいと思っています。
地域の課題解決・魅力向上
上記地域課題に限らず、都会と比べた際の情報・所得・意識格差を埋めることも意図しています。興味関心の形成が進んだ一握りの人だけでなく、すべての高校生が無料で、高等教育や魅力ある大人に触れ、自らの可能性を探究する機会を提供していくことは、SDGsの4「質の高い教育をみんなに」に通じると思っています。
独自性・先進性
デジタル技術の双方向性を活かし、高校生の「やってみたい」「挑戦したい」という生の声を聞き取り、それに応じたプログラムを企画・展開しています。学校現場で生徒たちに大量に配布される紙媒体による告知との差別化を意識し、デジタル技術で直接生徒と繋がる一方で、教員の負担も減らす「働き方改革」に繋がっています。
持続性・発展性
県内大学との連携に限らず、県外や海外で活躍する大人・大学生・外国人との連携も深化してきています。また「おしプロ」に参加した高校生が卒業し、今度は、大学生として参加するという循環のサイクルも整い始めています。卒業してからも地元と関わり続けることができ、「関係人口の創出」にも繋がります。
他地域への横展開
他県の高校からプログラムに参加頂いたケースの他、小学生や中学生が参加したケースもあります。小中学校での一台端末の導入も進む中、デジタル技術を活かすことで、校種の壁に捕らわれず、子どもたちに早いうちから「好きなこと」「やってみたいこと」を探し・深める機会を、公教育の立場から提供できる可能性があります。
取組を進めるうえで苦労した点
島根県全域、すべての県立高校を対象に、プログラムを提供していますが、参加してもらえる学校に偏りが見られました。特に、中山間地域の高校から参加者を募るべく、「総合的な探究学習」等の授業に足しげく通い、生徒と先生のニーズと困りどころを直接聴くことで、プログラムの質向上と信頼獲得に努めました。
取組の成果を上げることが出来た秘訣・工夫
高校には、生徒をサポートする多種多様なイベントの告知が送られてきますが、それを生徒に伝える先生は、情報過多になっています。また参加した後のフィードバックも十分ではありません。これらを踏まえ、先生に負担を掛けず、生徒に情報を届け、かつ、参加後の生徒の反応をきちんと先生に伝えることに力を注ぎました。
今後の展望
高校生の「やってみたい」「挑戦してみたい」という生の声をプログラムの内容に繋げるだけでなく、彼ら・彼女らが、大学生や大人たちとともに、自分のアイディアを形にし、実現する場や機会も、デジタル技術を活かし、提供していきたいと思っています。