Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
まちのコインを使った「ものづくりのまち」の新たな観光資源化
大阪府八尾市観光・文化・娯楽
実施年度
Digi田甲子園 2023
主な実施地域
大阪府八尾市
取組開始時期
2022年6月
デジタルを活用した取組の全体概要
本市は、商業施設が充実するベッドタウンであり、自然環境を中心とするような観光産業は乏しいものの、あまり知られていない魅力ある観光スポットや見どころ、歴史・文化スポットなどの「地域資源」がたくさんある。特に、「ものづくりのまち」である本市としては、まち工場がその最たるものである。そこで、2022年6月より本市の持続的な発展に向けて試験導入し、2023年4月から全庁挙げての本格実施に移行したコミュニティ通貨アプリ「まちのコイン」を活用し、地域住民や来訪者のみなさんが楽しみながら、その魅力ある「地域資源」を知っていただき、本市の魅力をもっと発信するため、新たな観光資源の開発に取り組んでいる。
実施に至る経緯・動機
八尾市には、魅力的な観光スポットや見どころ、歴史・文化スポットといった「地域資源」が多く存在するが、それらはあまり知られていない。特に、「ものづくりのまち」である本市では、まち工場がその代表的な存在である。これらの資源について、誰もが気軽に周遊できる仕組みを模索する中で、「まちのコイン」が適しているのではないかと考えた。
解決する課題の具体的内容
本市には、歴史遺産や河内音頭などの伝統文化はあるが、地域住民や来訪者が地域を周遊する仕組みがない。一方、本市にはものづくりのまちとして中小企業が集積し、高い技術をもった工場が点在している。まちのコインを使って工場を回遊することで、工場を新たな観光資源に変え、魅力的なコンテンツとして発信する。
デジタルを活用した取組による成果
利用者は、取り組み後から急速に増え現在約5,000人、コインが交換できるスポットは約180件になる。本市の商店街にスポットが集中し、そこを訪れた利用者は、現在まで約6,000人に上り、商店街への人流を作り、活性化につながっている。また、利用者の17%は市外在住者で関係人口の創出にも寄与している。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
本市には、様々な業種の事業者が多くいるので、まちのコインの「特別な体験」コンテンツが豊富である。それらのコンテンツは工場から出た端材やお店で不要になったものを必要とする人にまちのコインで提供するなど、本来捨てられるはずだったものに新たな価値を見出し、コストがかからず、更にはSDGsに貢献するものである。
成果をあげるためのポイント
八尾市では行政が主体となるのではなく、地域のスポット自体が主体的に動くことがポイントである。地域の特性を最大限に活かし、その魅力を最も理解している地元の当事者が主体となることで、より効果的に発信力を高めることができる。こうした取り組みによって、地域全体の魅力が伝わり、持続的な発展が期待できる。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
「まちのコイン」には貨幣価値がないという特性上、利用者は、「なぜ導入するのか」「導入するメリットは何か」を理解するのが難しい部分があったため、利用者に対して徹底的にハンズオン支援を行った。利用者が地域のイベントで利用する際は、本市も企画に携わり、ブース出展もするなど、コミットし続けた。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
八尾市は「まちのコイン」を通じて、地域の観光資源や事業者とのフラットな関係を築き、その過程で新たな協力者や仲間を増やすことができた。観光資源の開発にDX化の視点を取り入れることで、これまで想像し得なかった新しい広がりを体感している。ぜひ、DX化への第一歩を踏み出してほしい。
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- 部署
- 八尾市 産業政策課
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- sangyou5@city.yao.osaka.jp