Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
ノーコードツールでIT経験ゼロの町工場社員を「DX人材」に!
墨田区産業観光部産業振興課生産性向上
デジタルを活用した取組の全体概要
町工場の社員がプログラミング未経験でもアプリを簡単に作成できる「ノーコードツール」の使い方を学び、自ら課題を見つけ、課題解決のアプリを開発・運用することで、区内中小企業におけるデジタル人材育成を通じたDXの土台作りを目指した。
今回は社員約200名のDXに意欲を要する区内中小企業を対象として、ノーコードアプリ開発支援に長けた区内のスタートアップと協業し、各部署から集めた社員10名に対して、集合研修形式でシステム作成の伴走コーチングを毎週実施した。
結果として、10名中9名がアプリを作成し、業務の効率化につながっただけでなく、全社員の過半数からDXの取り組みに対して前向きな意識変化が確認できた。
実施に至る経緯・動機
墨田区内の中小製造業の事業所数が、最盛期と比較して1/5にまで落ち込んでいることに危機感を覚え、事業者の意識・経営改革の起爆剤としてDXの推進を実施した。
中小企業へのサステナブルなDXの普及展開を図るため、「低コスト・手軽に操作が可能・簡単にDX人材の育成が可能」なノーコードツールに着目した。
解決する課題の具体的内容
DX化による中小企業の業務改革という課題のために、都内有数のものづくりのまちである墨田区の中小企業に対して、DX化を推進し、業務の効率化につなげた結果、IT分野での中小ものづくり企業の可能性を見出せた。
本取組による「すみだモデル」を他企業に波及させ、「ものづくり企業のDX化」を実現し、地域経済の力を高める。
デジタルを活用した取組による成果
実証前後に全社員に実施した調査において、以下の変化があった。
■DXの必要性を感じるか
取組前:56.8% 取組後:75%
■会社がDXを取り組んでいることを感じているか
取組前:29.7% 取組後:55.8%
⇒意識変化だけでなく、53.2%の社員がアプリを触り、DXを受け入れる土壌が育った。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
本取組は、一般競争等の通常契約方式で事業者と契約する形式ではなく、区の課題解決に資するスタートアップとの実証実験(プロトタイプ実証実験支援事業・https://www.city.sumida.lg.jp/sangyo_jigyosya/sangyo/monodukuri_sien/prototype.html)という枠組の中で、募集・審査して信頼できる事業者に補助金を交付する形式で事業を実施した。
区と事業者で実証内容を壁打ちしながらも、区は事業者が動きやすいような環境作り(関係各所へのつなぎ込み等)に徹底し、円滑に実証が進むよう事業者に現場を任せ、中小企業のDX化におけるモデルケースを確立できた。
成果をあげるためのポイント
まずはDXに意欲のある企業を探し、そこをフィールドとすることで前向きに実証し、事例を共に作り上げること。自治体内の企業がDXに取り組むことで、これまで関心のなかった企業にも自分ゴトとして捉えてもらうキッカケを作ることができる。本取り組みを通じたモデルケースを基に、実証の翌年には区内企業や他自治体への横展開を実現した。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
普段はPCを全く触らない職人達にもノーコードツールのコーチングを実施したため、町工場の社員から「自分たちにはできない・やる意味がない」等の反対意見があった点。対応方法として、コーチング初日に簡単なアプリを作成させて、「自分でもできる」という意識づけを行った。ものづくりとアプリ作成に親和性があったこともあり、結果として継続的に自社の課題解決に資するアプリを作成するDX人材の育成に成功した。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
中小製造業のDX化においては、「DX化=外部のシステムを導入すること」に捉われがちだが、本取り組みの実績から分かるように、未経験者でも内部主導型のDXが可能ということをご理解いただければと思う。
アプリ作成を通じて簡単なことからデジタル化を実施していくことで、次第に大きな社内改革を起こすことがノーコードツールにできることなので、「ノーコードツールによるDX化」を支援策の1つに入れてみるのもいかがだろうか。
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