Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
地域共助による自動運転ラストマイル送迎サービスの社会実装
愛知県春日井市教育・子育て
実施年度
Digi田甲子園 2023
主な実施地域
愛知県春日井市
取組開始時期
2023年2月
デジタルを活用した取組の全体概要
石尾台地区は、高低差が非常に大きく、高齢化率も高いため、免許返納後の移動方法が懸念されている。住民の外出促進や健康増進には、低価格のドアtoドアサービスの提供が効果的であり、本来であれば既存の公共交通事業者によるサービス提供が望ましいところ、著しく狭い範囲と距離では事業として採算性を確保することは困難である。これら移動の問題を地域の課題として捉え、持続的で自立した移動の仕組みを目指して地元有志でNPO法人を設立、令和4年10月から送迎サービスを開始した。事業継続性の確保や地域住民の負担軽減を目指し、令和5年2月から、名古屋大学、KDDIなどと連携し、自動運転車両を使用したサービス提供を開始した。
実施に至る経緯・動機
当該地域では、外出しにくい住民に対して周囲の住民がボランティア送迎を実施していたが、サービスの持続可能性が課題であった。行政も石尾台地区の高蔵寺ニュータウンにおいて取り組むべきプロジェクトをまとめた行政計画を策定、名古屋大学も自動運転のニュータウンモデルを模索していたところ、3者の方向性が合致して実施に至る。
解決する課題の具体的内容
地域の課題を地域で解決するため、3年以上の検討期間を経て地域住民の有志14名が自ら発起してNPO法人を設立、実装に至った地域発の自動運転送迎サービス。外出がしにくい住民を地域共助として支えるのみならず、地域の魅力向上に向け、地元町内会や地元企業に働きかけて資金を得ながらサービスを運営している。
デジタルを活用した取組による成果
市、大学による無償の実証実験、NPO法人による無償プレ運行を経て、有償運行を開始。実証実験時は3人/日程度だったが、NPO法人の努力もあり、有料運行開始後も概ね5人以上/日の利用がなされている。町内会の会員数(もしくは町内会員数)も令和4年10月当初は約150世帯だったのが、令和5年8月末時点で約300世帯と着実に増加しており、地域への理解も広がっている。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
将来的なサービスの担い手として、行政ではなく住民主体を想定していたことから、地域において主体的に活動している団体等(自治会、老人クラブ、民生委員等)の代表者に声をかけ、ワークショップ、検討会、サービス開始前の準備会などに参画いただき、これらを発展させてNPO法人を設立することができた。
成果をあげるためのポイント
早期から地域を巻き込み、地域の課題を自分事として捉えることが必要。初期の住民説明会では市や大学に対する要望しか意見が出なかったが、NPO法人による運営が決定した後は、住民説明会もNPO法人理事(当時は候補)が前面に出て、必要性や事業を説明することでより建設的な説明会とすることができた。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
2019年以降、春日井市、名古屋大学等による自動運転送迎サービス実証実験にあわせ、地域住民との検討会や住民説明会等を開催してきた。市や大学による実証実験が先行してしまったため、市に対する期待や要望、意見が多く、地域の課題を自分事として捉えるといったパラダイムシフトに時間と労力を要した。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
自動運転や配車システムの導入といったDX化は住民サービスを持続的に展開するための手段であり、DX化したサービスの実装はゴールではない。当市の場合は、将来に渡り住民サービスが持続的に継続していくことが目標であり、今後もそのための手段(ツール)を適切に選択し、地域の発展を支えていきたい。
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