Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
つるおか子育てワンストップe-私書箱で申請~交付を全て電子化
鶴岡市教育・子育て
実施年度
Digi田甲子園 2023
主な実施地域
山形県鶴岡市
取組開始時期
2021年11月
デジタルを活用した取組の全体概要
妊娠・出産・乳幼児健診・相談対応から小中高生の教育に至る行政サービスを切れ目なく円滑に提供するため、窓口をワンストップ化して申請から交付まで全ての手続をデジタル化する。令和5年よりマイナンバーカードを利用した個人認証による申請手続において、補助金の決定通知書を野村総合研究所が提供するe-私書箱で電子発行、個人口座への補助金の入金までの全てをデジタル化する仕組みを構築、職員の業務効率性と市民の利便性の向上を図っている。今後はBot Express社が提供するGovTechプログラムも活用、子育ての各段階で必要な一連の手続き(保護者への通知、面談予約、問診票記入、申請等)をすべてスマホだけで完結させる。
実施に至る経緯・動機
令和3年度に鶴岡市デジタル化戦略を策定し、地域社会のデジタル化を推進していくなかで、市民生活向上と業務効率化のニーズ把握のためのアンケートにおいて、市民目線では行政手続きのフローが分かりづらいという課題や子育てサービス拡充の要望が挙がった。加えて、職員目線では窓口対応や事務作業の効率化が求められていたため、これらの両輪での解決に資する施策の実施に至った。
解決する課題の具体的内容
子育てに関わる市民や職員の負担軽減を実現する取り組みで、人口減少が続く市の課題解決に直結し、「こどもまんなか社会」の実現に貢献する。市役所等から遠隔地に住む市民でも、誰一人取り残されずに質の高いサービスが享受できる取り組みであり、東北一広く、中山間地を含む自然豊かな市域を有する市の魅力向上に寄与する。
デジタルを活用した取組による成果
市民は場所や時間にとらわれず交付文書を閲覧可能。市民の庁舎への移動時間が10~30分から0分に短縮。窓口対応に15分/人かかっていたものが0分/人に短縮。封入封緘作業に15分/件かかっていたものが5分/件に短縮、87円/件の郵送費削減。印刷枚数が0枚になったことで3~6円/件の印刷費削減。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
申請と交付以外の部分の業務を変更することがないよう、従来様式を申請内容から自動作成するツールを作成することによって、現行業務への変更を最小限に留めた。 規則の見直しが必要になる場面では、関係課と調整内容を整理した調整事項一覧を作成のうえ、デジタル化戦略推進室と共同で調整事項の消込を着実に行った。
成果をあげるためのポイント
市ホームページへの掲載や事業実施地域全戸へのチラシ配布、中学校から協力を頂いての中学生保護者へのメール送信などにより、きめ細かな市民周知を行った。また、受付窓口では、電子申請・電子交付の希望者に対して各手続完了までサポートを行ったことで、令和5年7月のサービス開始時から令和6年3月まで期間、電子申請が全体の59%、電子申請のうち電子交付利用が89%と、初年度から多くの市民にサービスを利用していただいた。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
管理画面の使い方等について、職員によって習熟度が異なることから、職員の業務負荷とならないことを念頭に置いた推進が必要であった点。 書面から電子への移行に伴い、公印省略や請求書添付の省略等、事業を所管する原課以外の関係部署が多岐に亘っており、調整が難航した点。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
自治体DXにおいてはトップダウンとボトムアップのアプローチを組み合わせることが重要である。トップダウンでは首長やデジタル担当部署のリーダーシップが庁内調整等における強い推進力となる一方で、ボトムアップでは業務に詳しい担当職員が自ら手を動かすことで、市民に寄り添った緻密なサービスデザインが可能となる。自治体DXは最終的に誰のためなのかを常に問い続ければ、困難な道も拓けていくものと信じている。
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- 部署
- 鶴岡市企画部デジタル化戦略推進室
- 電話
- 0235-25-2111