Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
スマートスピーカーを活用した『高齢者見守り・オンライン診療』
愛媛県宇和島市医療・介護
実施年度
Digi田甲子園 2023
主な実施地域
愛媛県宇和島市
取組開始時期
2022年12月
デジタルを活用した取組の全体概要
- ① 独居高齢者、高齢者世帯等にスマートスピーカー(以下スマスピ)を設置。
- ② スマスピアプリで体調確認や服薬確認を実施。結果はレポートで家族にメール自動送信。
- ③ 日本郵便社員が定期的に戸別訪問。生活状況を確認し、家族にメールでお知らせ。同時にスマスピの操作説明も実施。
- ④ 家族や行政、居宅介護事業所が必要に応じてオンライン通話。健康状態等を確認。
- ⑤ 日本郵便社員がタブレットを高齢者宅に持参し、オンライン診療および服薬指導を支援。
- ⑥ 薬局からの配送依頼を受け、処方薬剤を日本郵便が配達。
※Wi-Fiルータも貸出しすることで、ネット環境の有無に関係なくサービスの提供が可能となる。
実施に至る経緯・動機
島しょ部の公立診療所に医師が不足する中、包括連携協定を締結した日本郵便株式会社が「スマートスピーカーを活用した見守りサービス事業」を実施していることを知った。同時に、デジタル田園都市国家構想の交付金も知り、スマートスピーカーを利用したオンライン診療の実施について日本郵便株式会社に相談した結果、具体的に立ち上がった事業である。
解決する課題の具体的内容
高齢者率4割を超える宇和島市における独居高齢者等の支援において、行政、医療、介護単体では既に限界が来ている。
三者の連携の強化に加えて、市内各所に郵便局を持ち、機動力を強みとする日本郵便との四者連携により、人口が減っても市民が望む生き方に寄り添える、「安全・安心」なまちづくりにつながっている。
デジタルを活用した取組による成果
島しょ部の訪問服薬指導の場合、往復の移動時間含め2時間30分かかるが、オンライン服薬指導であればかかる時間は10分。移動時間を薬局での服薬指導に充てた場合、患者数は単純計算で15名。また、「できるだけ自宅で」と願う市民にとって、場所を問わない在宅医療が可能となる。実際の導入事例は補足資料参照。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
独居または高齢者世帯で子どもが遠方の方に、実機を見せて案内。
デジタル機器への拒絶感を高齢者が持つことが予想されたため、説明には家族の同席をお願いしている。
→説明時、高齢者はスマスピに対し「使いこなせない」と拒絶感を持つが、家族の強い勧めにより、訪問した世帯はほぼ導入。導入後は使いこなせている。
成果をあげるためのポイント
新たなシステムを開発するのではなく、既存の日本郵便株式会社の「スマートスピーカー」と本市の医療介護連携システム「みさいやネット」を有効活用したこと、そして事業の基本から運用の形成に至るまで、地域包括ケアシステムに関わる人材(医師、薬剤師等)がプレイヤーとして参画したことが成果に結びついた。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
① 医療費、薬代の支払い 当初訪問した日本郵便社員に支払えばいいと考えていたが、配達員の現金の取扱いがNG。
→口座引き落としの手続きを事前に取ることでクリア。
② 診療時の日本郵便社員の立ち会いについて、愛媛県医療対策課に確認。
ガイドライン上の「医療従事者等」の「等」にあたるとの解釈によりクリア。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
自治体だけでは、多様化するニーズへ対応することが難しくなっている状況。しかし、その中で、行政と協働して地域課題を解決したいと望む民間企業は決して少なくないと感じている。それぞれの既存資源や強みを活かし合うことで、多様な行政サービスの創出が可能となると考えている。
- 問い合わせ
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- 部署
- 愛媛県宇和島市役所高齢者福祉課地域包括支援センター
- 電話
- 0895-49-7019
- メールアドレス
- hokatsu@city.uwajima.lg.jp