Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
「オープンな事業承継」で地域の小規模事業者の後継者探し
株式会社ライトライトその他
実施年度
Digi田甲子園 2023
主な実施地域
宮崎県宮崎市
取組開始時期
2020年7月
デジタルを活用した取組の全体概要
株式会社ライトライトは、従来社名や企業情報が伏せられてきた事業承継のマッチングをオープンネームで行う「事業承継マッチングプラットフォーム relay(リレイ)」を運営している。後継者がおらず事業承継を望む事業者について、事業の魅力やストーリーを発信することで、共感をベースにした新しい事業承継を実現するものである。具体的には、事業者への丁寧なインタビューから、創業から現在に至るまでの軌跡をわかりやすい文章と写真によって記事化し、共感した方から応募を募るという形で地方の第三者承継の推進を行っている。2020年2月のサービス開始以来、後継者募集案件の公開数は累計480を超え、約80件のマッチング実績がある。
実施に至る経緯・動機
毎年約5万件が廃業する大廃業時代を迎えたなか、地域を支えてきた小規模事業者の廃業は、人口流出や地域経済の衰退に直結する非常に大きな社会課題である。relayでは事業承継のオープン化で小規模事業者の「望まない廃業」を減らし、経営資源をいかした第二創業を加速することで、持続可能な地域を構築していく。
解決する課題の具体的内容
事業承継で事業が継続することにより、UIJターンの増加による意欲ある担い手の増加、事業改善の増加による地域内のコア機能の維持が見込まれる。それによってシャッターが開きまちに明かりが灯り、経済の地域外流出に歯止めがかかることで税収の維持、地域経済の維持・発展、地域のQOL向上につながる。
デジタルを活用した取組による成果
基本合意数 80
成約後移住した割合 67%(2024年調べ)
承継後アンケート結果 売上が承継前と同等または増加した 70%(2024年調べ)
宮崎県西諸県郡高原町では、relayで実現した1件の事業承継をきっかけに、約1年半で3件の事業承継を含む8件の新規創業が実現した。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
全国の自治体と連携し、事業者の掘り起こしだけでなく心理的な信頼を得ていったことである。宮崎の民間会社が地域の小規模事業者にメッセージを届けることは初めは難しかったが、間に自治体に入ってもらうことで、事業者の安心感を得て挑戦のハードルを下げ、サービスの土壌をつくることができた。
成果をあげるためのポイント
「地域の廃業や後継者不足が目立っているが、何から始めていいかわからない」という自治体・商工団体様に自治体連携プログラム「relay the local」を導入していただき、地域の事業者が安心できる自治体・商工団体様のサポート体制と、relayのマッチングノウハウを活かし、地域事業の望まない廃業をひとつでも減らすための取り組みを行っている。現地の事業承継の機運を高めるとともに移住定住者のマッチング、創業などが合わさり、事業承継をきっかけにした地域活性プログラムとして現在全国80以上の自治体・商工団体様との連携が済んでおり、引き続き加速度的に導入検討が進んでいる。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
サービスを始めた当初は「オープンな事業承継」という手法も価値観も全く根付いていなかったため、同業者や自治体、金融機関にも理解されず苦労した。現地で地域の事業者を一人ずつ回っていってオープンにするリスクが少ない個人事業主から公開を始めていき、事業譲渡の実績を出すことで業界の論調を変えていった。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
これまで事業承継はクローズで進めるがゆえに人の仲介が必須となっていたが、オープンにすることでインターネットの力で情報を広め候補者を集めることができる。デジタルを経由してさらに人間らしいサポートの提供ができ、誰もが住みたい街に住み続けられる未来がつくれると信じている。
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