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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

河川氾濫における浸水被害を事前予測する浸水AIシステム

Arithmer株式会社防災

実施年度

Digi田甲子園 2023

主な実施地域

福島県広野町

取組開始時期

2023年1月

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デジタルを活用した取組の全体概要

AI技術やシミュレーション技術を活用し、地形データ・予想雨量などの気象データ・水位などをインプットデータとして、河川氾濫の浸水エリアを事前に予想・リアルタイムに予測。
その結果、

  • 居住地に即した浸水予測により、住民の早期避難判断に資する情報の提供
  • 過去の豪雨など、現実的な降雨データの入力による実用的なハザードマップの作成
  • 職員や住民の防災意識の向上や具体的な防災対策の立案

などが可能となり、災害を最小限に抑え、地域住民の安心・安全を守るサービスを提供。
また発災後サービスの一例として、復興に必要な損害保険金額の早期判定が可能となることから、損害保険会社の水災保険金算定に応用されている。

実施に至る経緯・動機

地球温暖化の影響によりゲリラ豪雨などによる浸水被害が激甚化し、その被害も年々甚大なものとなってきている。そのような環境下、被害を減らすために正確な浸水状況の事前予測、また浸水からの迅速な復旧のために発生後の被災状況を早期に把握することが必要不可欠であると考え、本システムを開発。

解決する課題の具体的内容

「河川氾濫による浸水被害」という災害に対し、河川の越水・溢水(いっすい)状況の事前把握や、浸水高予測が可能となる本技術を活用することで、近隣住民への早期避難誘導や被災者への早期生活再建支援などに役立てることが可能となり、災害を最小限に抑え、地域住民の安心・安全に大きく貢献することが可能となる。

デジタルを活用した取組による成果

河川氾濫という自然災害による影響を事前に予想することで災害を最小限に抑え、地域住民の安心・安全を守るサービスとなることが期待される。
また、1㎢当たり最低3カ所浸水状況を実測することで地区の浸水高の推測が可能となり、復興に要する時間短縮(約1カ月→最短5日程度)へも貢献している。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

氾濫予測までを迅速かつ正確に行うために、ドローンによる3D点群データに加え、国土地理院の地形データを取り込み、精密な3D地形図を作成。そこへデータに裏付けられた信頼に値する膨大なデータから、降雨パターンに応じた地域住民の生活圏内における堤防決壊などのシナリオをAIが導き出し、よりリアルな予測を実現。

成果をあげるためのポイント

人命被害など、河川氾濫被害の最小化実現には正確性が重要となる。そのためにはゲリラ豪雨の頻度など変化する状況に応じた追加学習が必要であり、恒久的な運営が必要であること、また被害最小化のために本システムを活用した防災訓練・避難訓練などソフト面の充実を促すことにより日頃から防災意識を高めていくことが重要。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

本システムは、河川の水位予測と川から溢れる水の浸水高を予測する浸水予測の2つで構成。
浸水予測は計算単位(メッシュサイズ)を示す精度と処理速度がトレードオフの関係になり、お客様のニーズと精度と処理速度をバランス良く調整するための開発に苦労した。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

課題解決にはどのようなAI技術が最適なのか、専門的知識を持ったAI開発会社と早い段階から連携し、モデル構築からオペレーションの落とし込みまで実運用に向けた課題を洗い出し、最適なソリューションを構築していくことが大切。

問い合わせ
部署
Arithmer株式会社
電話
03-5579-6683
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