Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
デジタルを活用した取組の全体概要
広島市平和記念公園レストハウスを発着とし、ガイドとともに平和記念公園を巡りながら、被爆者の証言や過去の写真等の史実をもとにした再現VRを使用した平和コンテンツを運用している。 実際に78年前に起こったその場所でVRを通して当時の広島の姿を体験することができるため、広島の移り変わりを実感することができる。 長年語り部として被爆の実相を伝えてきた被爆体験証言者が高齢化により減少している中、VRのデジタル技術を活用することで持続的かつ均一化した内容を提供することで、広島で起こった事象を学び、現在から将来へ向けた未来志向を持てるツアーとすることで平和継承に貢献している。
実施に至る経緯・動機
被爆から75周年(制作当時)を迎えるにあたり、被爆者の高齢化並びに歴史の風化に対しての課題解決の一つとして、DXを活用しながら持続可能な歴史継承及び視覚的に体感することで当時の市民目線を感じていただき、写真や口頭では伝えられない内容を感じていただくことをフォーカスした。
解決する課題の具体的内容
長年語り部として被爆の実相を伝えてきた被爆体験証言者が高齢化により減少しているという課題に、原爆によって破壊された負のイメージとしての「ヒロシマ」と、被爆前の街並みや被爆後から復興していく「広島」の様子とをCG映像によって再現することで対応、さらに、新たな目線で感じていただくことができる。
デジタルを活用した取組による成果
『平和資料館や慰霊碑の滞在のみならず、VRツアーを取り入れたことで平和公園の回遊性につながるとともに、平和公園内の滞在時間を延ばすことができた。また、コロナ明けに入場規制がかかる中、待ち時間をVRツアー参加に充てることで渋滞緩和にも貢献できた。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
VRを使った新規的な平和ツアーとして運営開始した点は、他に類を見ない商品として予約が増加した。 また、被爆前から復興の軌跡を辿るストーリー仕立ての映像により理解を促しやすくしたほか、被爆前の街のにぎわいや復興シーンの映像を使用することで、悲惨な事実だけではない広島の姿を知っていただくことができた。
成果をあげるためのポイント
仮想現実の中でも、フィクションの映像として作り上げたものや、ノンフィクションではあるが、当時にタイムスリップするような空間は数ある中、我々の重要且つ唯一の取り組みとしては、VRゴーグルを屋外に持ち出し、当時起こった事象をその場所で、同じ角度で体感することで、映像内に映る当時と目視で見る現在を比較し、時代の移り変わりを肌で感じていただくことを大きなポイントとしている。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
忠実に再現したとはいえ、CGによる映像を使うことで事実とは異なるのではないか?という疑心暗鬼を持ちながら試行錯誤を重ねた。 しかしながら、現存する写真等では再現し得ない情景を伝えることで新たな価値観が生まれ、被爆事象の捉え方を一概に固定させないよう、ニュートラルな立ち位置で制作することに注力した。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
DX化にも様々な分野がある中、我々が取り組んだDX化の大きな挑戦は、史実に基づいたことをオーラルヒストリーとして伝える手法の一つとして具現化し、持続可能な体制を築いたことである。継続的な改善を含め、一過性にならないよう関係性の構築を重要な課題として捉えていただきたい。
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