デジ田 メニューブック DIGIDEN MENUBOOK デジ田 メニューブック DIGIDEN MENUBOOK

Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

QRコードを活用して青果物の集出荷をデジタル化

株式会社セラク農林水産

実施年度

Digi田甲子園 2023

主な実施地域

広島県三原市

取組開始時期

2023年5月

関連タグ

デジタルを活用した取組の全体概要

農業生産物の集出荷現場では、生産者が等階級情報を段ボールに記載し、紙の伝票に必要情報を手書きする手間がかかっている。集荷側でも多くの生産者から集まる伝票をもとに数を確認するため間違いのリスクもあり、そこから荷物を分荷するための伝票作成、FAXを手動で送るなど手間と時間がかかる。今回の取り組みでは出荷用段ボールに必要情報とQRコードが印刷されたシールを貼り、専用アプリで読み取るだけで規格や等階級ごとの出荷数を自動計測、集荷側に通知する。集荷者の荷受けも、データに基づいて検品、分荷、出荷処理を行い、必要な伝票の自動生成と送信が可能になることで集出荷の効率化を実現している。

補足資料 PDFを見る

実施に至る経緯・動機

農産物の集出荷を行う集荷場では、目視による数量確認や紙伝票による情報伝達など、非常に負担の高い業務が行われていた。一方で、労働人口の減少の影響を受けて人員確保が年々難しくなっており、職員数も減少していく中で、生産量の増加に伴い集荷場での取扱量が増加。職員一人が行うべき業務量は1.5倍以上に膨れ上がっていた。しかも、こうした業務を本来は栽培指導や新規生産者の獲得を行うべき営農指導員が行っていたため、本来の業務ができない状況となっていた。
このような背景を踏まえ、デジタルの活用によって販売業務の省力化と精度向上を図りつつ、営農指導員が本来の業務に従事できるようにすることを目的にDX化の取り組みを行った。

解決する課題の具体的内容

農業生産現場では農業者の所得増大、そのための技術革新や規模の拡大など、取り組むべき課題が多くある。また集荷業務を担う人材の確保も難しい中、らくらく出荷の取り組みで数のカウントや伝票作成に費やしている時間を省力化し、農業者の技術革新や生産の拡大に活用することで農業生産現場の力を育てている。

デジタルを活用した取組による成果

本取り組みにより、集出荷に要する時間は農業者においては約25%削減、JA職員においては約85%削減した。また、作業工程の中での誤りが発生するリスクも70%程度削減することができたことで、より早く正確な情報を販売先に伝達することができるようになった。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

人が数を数える限り、間違えるリスクはなくならないため、いかに人に数えさせないかという点にこだわった。特に、QRコードの読み取り方法には工夫を行った。また、現在の運用を丁寧にヒアリングし、新たなフローの中で正しく表現できるように計画を立案したことで、すんなりと実運用に入ることができた。

成果をあげるためのポイント

今回の取り組みを成功させるためには、生産者に荷物へのラベルの貼り付けと読み取りを託す必要があり、その協力が不可欠だった。幸いにも、ラベルを印刷して農産物に貼り付けるという作業は、すでに多くの生産者が直売所などで経験されていた。また、QRコードをスマートフォンで読み取るという行動も同様に多くの生産者が体験済みの作業であったため、障壁はほとんどなかった。このように、既存のユーザ体験を活用して組み立てていくことが成果を上げるためのポイントであると考える。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

ITに不慣れな農業者の方々に協力していただくために、皆さんが日々行われている行動の文脈の中でいかにユーザ体験を生み出していくのかという点に非常に苦慮した。また、アナログだからこそ運用できていたことを、いかにしてルール化するのかという点において苦労した。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

すでに行われている業務を一気にデジタル化することは、非常に難易度が高いと思われる。業務の入り口さえデジタル化できれば、そこから先はデータ連携によって順次デジタル化を進めていくことが容易になる。データが生まれるところを、いかに既存の技術で、既存のユーザ体験を活用してデジタル化するかということがDXの入り口かもしれない。

問い合わせ
部署
株式会社セラク みどりクラウド事業部
電話
03-6851-4831
メールアドレス
info@midori-cloud.net