Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
デジタルを活用した取組の全体概要
賞味期限が近付いた余剰食品や型崩れ品、不揃い品など、これまで廃棄につながっていた商品を安価かつ簡単に決済して売買できるスマートフォンアプリ「HELAS」を開発し、配信。2023年7月、長野県内全域でサービスを開始した。 売り手である食品小売店や飲食店が、その日に余りそうな商品をアプリに出品すると、アプリユーザー(消費者)はリアルタイムで出品情報を受け取り、希望する商品を購入、決済し、売り手の店舗を訪れて商品を受け取ることができる。
実施に至る経緯・動機
食品ロス削減という課題において、自治体は県民への啓発活動以外に具体的な施策があまり実施されておらず、主に県民の義務感に委ねられている状態にある。また、生活者にとってのメリットが見えづらいことなどから、売り手も買い手も簡単に楽しみながら、得をしながら食品ロス削減に参加できる仕組みを考えた。
解決する課題の具体的内容
日本では事業系食品ロスの半減を目標としているが、県や市町村では1人あたりが1日に出すゴミ量(一般廃棄物)の統計は把握できても、事業系食品ロスの数値を把握することは困難である。HELASではこれまで廃棄につながっていた事業系食品ロスを一般生活者の消費に結びつけて、数値として「見える化」することが可能。
デジタルを活用した取組による成果
長野県内全市の食品ロス削減担当課と意見交換し、本サービス開始前に長野市や小諸商工会議所と連携して実証実験を実施。2023年7月に長野県全域でサービスを開始し、同9月末時点で65店が出店登録、アプリユーザーは約3400人。アプリを介して計440.8kgの食品が売買され、食品ロスの削減につながった。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
食品ロスの半分を占めるとされる事業系ロス食品を売買に結び付ける形で可視化し、これまで義務感が強くなりがちだった食品ロスの削減に、生活者が楽しみながら参加できる。 スマートフォンアプリとして開発しているため、小規模小売店でも接客の傍らスマホ一つで簡単に出品作業が可能であり、継続しての活用が見込まれる。
成果をあげるためのポイント
前述のように、ローンチ前に自治体や商業団体との意見交換を重ね、また、実証実験によって課題点を洗い出し、修正することによってローンチ後の目立ったトラブルもなくスムーズに運用開始することができた。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
消費者がリアルタイムで出品情報を受け取れるよう、プッシュ通知機能のあるネイティブアプリの開発にこだわった。ユーザーにとっては、アプリをダウンロードしてインストールする手間はかかるが、出品情報を受け取りやすくなる。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
まだアドバイスができるほど成果は上がっていないが、多様な市場ニーズに応えるため、できる限り多くの声に耳を傾ける必要性を感じている。
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