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Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。

地域の交通を支える『まちのクルマアプリ』

イツモスマイル株式会社交通・物流

実施年度

Digi田甲子園 2023

主な実施地域

徳島県神山町

取組開始時期

2023年4月

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デジタルを活用した取組の全体概要

徳島県神山町では2023年3月で町営バスを廃止、4月からは地元タクシー車両に加え、自家用有償旅客運送車両を導入し、オンデマンド個別輸送交通サービス「まちのクルマレッツ」がスタートした。当社は同町から開発を受託し、『まちのクルマアプリ』と付随するシステムを開発した。同アプリはタクシー及び自家用有償旅客運送車両に配備し、マイナンバーカードでの乗車認証、GPS距離・料金計算等の機能があり、スマホ一つでの乗車管理を実現した。また、住民予約、交通事業者予約受付機能があり、予約・運行・清算をデータ管理することで、紙チケット廃止による業務効率化に貢献、DXを実現した。

実施に至る経緯・動機

神山町は徳島県東部にある中山間地域である。高齢化率50%を超え、高齢者世帯は増加傾向にある。今までの生活を続けることが困難になる高齢者も少なくない状況で、行政情報は紙で作成され、各地区での配布担当住民が近所まで届けられないという声が挙がり、個別配送は手間やコストが増えてしまう懸念があった。文字を読むことは年齢を重ねると困難になり、高齢世代への情報伝達の再検討が急務であった。デジタルツール活用は、年代間の格差があり、解消へのハードルは高く、情報が届かないことは、本人と地域との距離を生み、地域への無関心につながる。さらに、通院や買い物など生活に移動は必要不可欠だが、既存の町営バスは利用率が低下し、高齢住民からは「家からバス停までの手段に困る」などの声が寄せられていた。交通改革をきっかけとした諸処課題解決は、他地域でも抱えており、多くの地域のモデルになることも期待された。

解決する課題の具体的内容

高齢者も操作できるUI、予約運行管理、料金計算システムの導入で、地域で実現したい交通制度をアプリ内のシステムで実現した。結果、「この交通システムができてよかった」という高齢者、「この交通制度があったから町に住めると思った」という転入者など公共交通の課題解決に貢献した。

デジタルを活用した取組による成果

神山町での運用開始半年で、月間平均約1500件の利用がある。これは、以前の高齢者等タクシー補助制度利用者、廃線になった町営バス利用者の約2倍である。これまでは、公共交通を利用していなかった若い世代の利用もあり、利用したくてもできなかった交通弱者ニーズの掘り起こしにもなっている。

本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点

地域に根ざした新たな公共交通の明確なビジョンがあったことで、それをどのようにデジタルでサポートするか、徹底的に追及できた。各ステークホルダーに対しては、システム開発中に何度も操作性等を確認しながら進め、開発時点から愛着を持って頂いた点は導入時より活発に使われている要因であると考える。

成果をあげるためのポイント

交通DXは、軒先から軒先へをコンセプトにしたオンデマンド個別輸送「まちのクルマレッツ」を開始した。全住民の37%が利用登録し、利用したユーザーは15%に上る。導入前のバス、タクシーチケットの利用数と比較すると184%となり、移動の活性化に寄与している。今回のプロジェクトのポイントは、ユーザー目線を大切に町民ファーストの精神で制度、ツールを構築したことがポイントである。

デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法

住民、タクシー事業者ともに高齢化が進む地域であったため、システム導入には、デジタルディバイド対策が必要であった。町民やドライバーの意見を聞きながら、操作性や見やすい画面構成を整え、システム操作に慣れるまでのフォローアップが苦労した。デジタルよろずや「さあ・くる神山ラボ」の設置は、アプリ構築のアフターフォローと町民に寄り添ったプロジェクトを進めるために一役を担っている。

今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス

自治体、住民、事業者の悩みやそれぞれの立場に一貫して寄り添う並走型での開発を徹底している。様々な地域課題に対して、革新的なシステムを求めるのではなく、地域毎の実態にあった最適なプロジェクト進行を官民学が連携し、多面的に取り組むことで、活きた施策になると思っている。

問い合わせ
部署
イツモスマイル株式会社
電話
070-4021-8555
メールアドレス
komagata@itsumo-app.jp