Digi田甲子園の事例を中心に、
デジタルを活用した地域の
課題解決や魅力向上の優れた
取組をご紹介します。
似た境遇のひとり親同士をつなぐトークアプリ「ペアチル」
一般社団法人ペアチル教育・子育て
実施年度
Digi田甲子園 2023
主な実施地域
東京都全域
取組開始時期
2020年10月
デジタルを活用した取組の全体概要
ペアチルは、全国の多様な境遇のひとり親同士が子育て・仕事・家計・家事などの雑談や相談を気軽にできるトークアプリである。親子の年齢・子どもの人数・住まいなどの基本情報と、自由に会員が設定できる境遇タグ(「3歳児の子育てに困っている」など)をもとにアルゴリズムを用いた自動レコメンド表示で、簡単に素早く相談したい人・共通点の多い人を探すことができる。孤独で苦しむひとり親にとっては、の励まされる場・ネットにはない情報交換の場になっている。また、データの暗号化によるセキュリティ保護、運営への通報・ブロック機能、本人確認書類の提出必須によって、安全安心に交流できるシステムとなっている。
実施に至る経緯・動機
十数年前と比べ、ひとり親家庭が使える制度や支援団体が増えた。しかし、未だに貧困等の問題が深刻である要因を、数十名のシングルマザーやシングルファザーに調査した。浮かび上がったボトルネックは「人・情報」からの孤立、そして望んでもいないのに孤独になっていることだと考え、本サービスを開発した。
解決する課題の具体的内容
ペアチルは地域の課題解決に対し、以下のような革新的な貢献が見込まれる。ひとり親の孤立を防ぎ、地域内での支え合いを促進する。地域特有の情報を共有し、生活の利便性を高める。さらに、地域産業と連携して会員限定の特典を提供することで、会員の生活の質を向上すると同時に産業活性化にも一役買う。スキルシェアで生産性を向上させ、メンタルサポートで健全(or誰もが安心して参加できる)なコミュニティを築く。
デジタルを活用した取組による成果
定量評価をするのはまだ難しいが、アプリを利用しているひとり親の多くの方から孤独だった人生が明るくなってきた、ネットで収集しきれなかった情報を交換できたといった感想をいただいている。月に100~1,500通のやりとりをする人が全体の40%もおり、かなり交流が促進されている。
本取組の特徴的な点やデジタルの活用において工夫した点
アプリを正式に公開するまでに60名ほどのひとり親の方に使っていただき、フィードバックをいただき、24回の改修を行った。「望まない孤独」を解消するためには、「いつでも・どこでも、簡単に、安心して、似た境遇の人に、相談・気持ちを吐き出せる」サービスが必要だと分かり、それぞれの要素にこだわった。
成果をあげるためのポイント
シングルマザー・シングルファザーの単位でコミュニティをつくっても、境遇が異なると、結局、本音で話し合える関係にならず、孤独・孤立の解消に至らないケースが多い。そのため、細かい境遇をもとに数秒でつながれるUX/UIにこだわり、トークアプリを開発した。
デジタル化を実施するにあたり、苦労した点と対応方法
ひとり親の方の経済的困窮、ワーキングプア、虐待してしまう心理などの背景の調査にかなり苦労した。数十名のひとり親のインタビュー、数十本の論文、調査データなどから、ひとり親の諸問題のボトルネックは孤独であると判明した。この問題を特定した後は提供するソリューションを策定しやすくなった。
今後DX化に取り組む自治体等へのアドバイス
DX推進には、明確なビジョンと戦略の策定、データ活用基盤の整備、人材育成と組織文化の醸成が不可欠である。顧客中心主義を徹底し、アジャイル型開発を導入すべきである。外部パートナーとの連携も重要で、成果の可視化と継続的な改善を行うことで、競争力強化と持続的成長につながる。
- 問い合わせ
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- 部署
- 一般社団法人ペアチル
- 電話
- 080-1552-5065
※基本、メールアドレス宛にお問い合わせをお願いいたします。
- メールアドレス
- info@parchil.org